(1)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境については、少子高齢化に伴う人口減により国内市場が縮小する一方で、近年の科学技術・イノベーションの急激な進展により、データとデジタル技術を活用して、従来の製品やサービス、ビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す動きが活発化しております。
また、サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間が高度に融合し、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされる内閣府の提唱する「Society5.0」の実現が進んでいくと考えており、当社グループが提供を目指す「情報・ヒト・モノ・カネ」に関連する「デジタルシフト」に対する需要は更に高まると予想しております。
(2)経営方針
当社グループは、2030年に目指す姿を「Society5.0を牽引する新たな価値創出と社会課題を解決する、真のデジタルシフトカンパニー」と定義し、企業のあらゆる「デジタルシフト」を牽引することにより、企業価値及びキャッシュ・フローの最大化を図ることを方針としており、2020年7月1日付で「株式会社オプトホールディング」から「株式会社デジタルホールディングス」へと社名を変更いたしました。
また、主力事業を従来の顧客のプロモーション支援を中心としたマーケティング事業からデジタルシフト関連事業へ事業領域を拡大し、「2030年に企業価値1兆円」を達成することを目標としております。
(3)経営戦略等
当社グループは、経営方針の実現に向けた2023年までの中期事業目標としてDSイノベーション2023を掲げております。本年度はデジタルシフト事業へのピボットを強力に促進するため、「IX(産業変革:Industrial Transformation)集中投資」「広告事業収益性継続改善」を重点施策として掲げております。具体的内容は以下のとおりです。
① IX集中投資
当社グループは人的資源・金融資源への投資を、「選択と集中」の観点から、高成長が期待できるIX事業へ集中投下します。IX関連事業への投資額は33億円を予定しております。また、その結果として、当社グループのIX関連事業の売上成長率を前年同期比400%超と計画しております。
※IX関連事業の売上成長率:「収益認識に関する会計基準」等の適用前の会計基準に基づき算定
② 広告事業収益性継続改善
広告事業の2021年度営業利益率は、前年度の2.2%から4.2%に改善しましたが、今年度も継続してインターネット広告のオペレーション及びクリエイティブ業務プロセスを見直すこと等により、5.1%まで改善することを目標としております。
※営業利益率:「収益認識に関する会計基準」等の適用前の会計基準に基づく売上高ベースから算定
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年2月に策定した「DSイノベーション2023」において、新規事業の迅速な立ち上げを測る指標として、デジタルシフト事業の年平均売上成長率(期間:2021~2023年)及び同事業の粗利構成比(2023年末)、また、広告事業の収益性改善の進捗を測る指標として、営業利益率を掲げておりましたが、事業ポートフォリオ再編にともない子会社の異動が発生する見込みであるため、経営上の目標項目及び目標数値について見直すことにいたしました。目標項目及び目標数値については、見直しが完了次第速やかに公表いたします。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、以下の点を事業上及び財務上の主な経営課題と捉えております。
① デジタルシフト事業における高成長率の維持
国内の「デジタルシフト」に対する需要が高まる一方で、企業のDX関連サービスは大手ITベンダー、コンサルティングをはじめとした様々な企業から提供されており、競争環境は一層激しさを増しております。当社グループは従来のインターネット広告代理業で培った顧客基盤、マーケティングノウハウを活かしたサービスを提供し、同事業における高い成長率を確保する方針であります。
② 広告事業における収益性の改善
当社グループの広告事業の主力であるインターネット広告業の市場規模は、インターネット広告費の総額が2019年にはじめてテレビメディア広告を超え、2兆円を超える水準に拡大しております。一方で同業他社との競争環境も厳しさを増しております。当社グループは、業務プロセスを見直し、ニアショア・オフショア化の促進、運用業務における自動化の推進等により、収益性を確保する方針であります。
③ デジタルシフト事業への投資規模確保
当社グループは金融投資事業でのインターネット関連企業への投資により発生したキャピタルゲイン等を原資として、デジタルシフト事業に関連する企業等の買収を計画しております。デジタルシフト関連企業への投資は、その成長性の高さからバリュエーションが上昇する傾向にありますが、当社グループ創業時から培ってきたインターネット関連業界における知見・人的ネットワークを駆使して、候補先を選定する方針であります。
④ グループ運営体制の整備
当社グループは、将来の主力事業の成長を担う人材の育成・確保に向け、事業転換に適合したグループ運営体制の再整備を実施しております。また、当社グループの展開する事業はテクノロジーの著しい発展の影響を受けるため、意思決定プロセスの再整備を実施する方針であります。
⑤ 感染症の拡大による外部環境変化への対応
新型コロナウイルス感染症等の拡大に伴う消費活動の抑制に起因する広告需要の減少により、当社グループにおいても広告事業を中心に業績への影響を受けております。今後も感染拡大の収束時期を見通すことは困難ですが、当社グループでは、投資計画の見直しに取り組むとともに、社会環境の変化に柔軟に対応した新しいワークスタイルに取り組んでおり、オフィス関連費用や営業活動関連費用の削減を進めることで、業績への影響を抑制する方針であります。
⑥ ROE10%の達成
当社グループは、収益力、資本効率等の改善を図るために投資効率を重視した意思決定を行うため、恒常的にROE10%を達成することを目標とする重要指標としております。そのため、主要事業における収益性を改善する一方で、内部留保の水準等も考慮しながら、自社株買い等の株主還元策についても検討する方針であります。
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