課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中 将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「地域に根付いた真心のこもったサービスを提供し、誠意ある行動で責任をもってお客様と社会に貢献する」ことを経営理念に掲げております。その経営理念のもと、「お客様重視の運営」、「法令遵守の徹底」、「安全で安心な業務体制の強化」等を経営基本方針として、全国47都道府県で直営による介護サービス事業や人材事業等を積極的に展開してまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略等

当社グループは、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けた長期的な目標「ツクイビジョン2025」を掲げております。「ツクイビジョン2025」では、3つの大方針「デイサービスで圧倒的No1の地位を盤石化」「ツクイの考える地域包括ケアの確立」「従業員の幸せの実現」の達成を通じて、持続可能な介護サービスを提供していく存在でありたいというビジョンを示しております。

現在、2020年度を最終年度とした「ツクイ 第二次中期経営計画」では、「地域サービスづくり」「地域連携拠点づくり」「地域人財づくり」「全社基盤の改革」の4つを中心に捉え、地域戦略による力強い成長を目指すとともに、介護サービス事業周辺領域のニーズに対応するため新たな価値を創造する新規事業への取り組みも開始しております。

さらに、成長戦略を確実なものとするための構造改革の一環として、2020年10月1日(予定)にて持株会社体制へ移行するとともに、「株式会社ツクイホールディングス」に商号変更することを決定しております。

今年度は中期経営計画「ツクイ 第二次中期経営計画」の最終年度であるものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い2020年2月下旬から外出自粛、感染予防の観点からデイサービスの利用控えによるキャンセルが増加し、今後も利用控えは引き続き発生するものと思われます。また、積極的な営業活動および受け入れを自粛していることから新規顧客数の獲得は例年より乖離する等、先行きは不透明です。しかしながら、来年度以降の第三次中期経営計画の策定は大きな経営課題であり、新体制の下議論してまいります。

 

(3) 経営環境

介護業界におきましては、2000年の介護保険制度開始から19年が経った今、要介護者の急拡大、介護業界における人材不足、厳しい介護報酬改定等の介護事業政策やお客様のニーズの変化等、当社グループを取り巻く事業環境は急速に変化しています。また、2040年を見据えると、これらの事業環境の変化に加えて、生産年齢人口の急減により労働力の制約が強まり、介護事業の提供基盤の継続性が懸念されています。

一方、足元の状況としては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、先行きの不透明さは続くものと見込まれます。なお、新型コロナウイルス感染の沈静化するタイミングが業績と大きく相関するため、2021年3月期への影響は必至ですが、当社が提供する介護サービスが、お客様やそのご家族の生活を継続する上で欠かせないものであり、お客様に対して必要な介護サービスが継続的に提供されることが重要であることから、お客様や従業員の安全確保ならびに感染症対策を行ったうえで、可能な限りサービスの提供を継続してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上課題

① 優先的に対処すべき事業上の課題

a.介護保険制度の改正に対処すべき課題

2018年4月に介護報酬が改定され、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、心身状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制の整備推進が盛り込まれました。また、一部のサービスについては、2018年4月に介護予防給付から地域支援事業へ完全移行されました。更に、2018年8月より一定の所得がある第1号被保険者(65歳以上)の自己負担が2割から3割に引き上げられました。

当社は、こうした介護保険制度の改正に的確に対処し、人員配置基準の見直しや加算の積極的取得を進め、安定した事業収益の確保を目指してまいります。

 

b.経営体質の改善における課題

当連結会計年度の売上高に占めるデイサービス事業、住まい事業および在宅事業の構成比は88.5%であり、介護保険制度改正、報酬改定の影響を大きく受ける経営体質となっております。

当社は、 こうした介護保険制度の改正リスクに対応するため、デイサービスの利用率の更なる向上等により利益率改善に取り組むとともに、これまでに培った介護サービスのスキルとノウハウを活かした質の高いサービスを提供し、長く安心して任せていただける介護事業者としての歩みを続けていくことが最重要課題と認識しております。さらに中長期的に成長するために、介護保険外サービスについても引き続き取り組んでまいります。

 

c.拠点展開における課題

当社はツクイビジョン2025として、「ツクイの考える地域包括ケアの確立」を重要方針の一つと位置づけ、当社の強みが発揮できる重点地域においてさらに顧客ニーズに応じた拠点展開を行い、介護サービスの多層化を進めてまいります。事業環境につきましては、地域完結型医療への転換、療養病床の再編、特別養護老人ホームの中重度者への重点化、および高齢者夫婦のみの世帯や独居世帯も急速に増加する等の背景により、介護事業各社の競争が激化しております。

当社では、各自治体の介護保険事業計画等の情報収集および詳細な調査に努めるとともに、綿密なマーケティングリサーチを行い、需要の増加が見込まれる首都圏および地方都市部を中心に新設を進めてまいります。また、引き続き初期投資の負担を軽減させる方法を活用しながら、持続的な成長が可能となるよう適正な投資水準の維持を図り、健全な財務体質の構築に努めてまいります。

 

d .人材の採用、育成および定着における課題

少子高齢化の進展により労働力人口が減少する中、介護サービス業界においては、従業員の労働環境が厳しく、給与水準が低いこともあって離職率が高く慢性的な人材不足が続いており、人材の採用および育成が継続的な課題となっております。

このような状況のもと、当社は、採用を強化するために、採用担当者を増員し人材の採用に努めるとともに外国人技能実習生の受け入れをしております。また、Eラーニングを活用した研修体制の更なる充実や資格取得支援により従業員のスキル向上を図るとともに、社内検定制度の導入による適正な人事評価とキャリアパス制度の見直しや常勤従業員の人事制度の改定等、介護人材の採用・育成・定着に向けた施策を推進しております。併せて従業員専用の相談窓口の設置等により、労働環境の整備と従業員の定着率向上を図り、質の高いサービス提供に向けて人材の育成を強化しております。さらにコーポレート・ガバナンスやリスク管理、コンプライアンスについての継続的な教育により、業務の適正の確保に引き続き取り組んでまいります。

 

② 優先的に対処すべき財務上の課題

デイサービスにおける新型コロナウイルス感染予防のための利用控えにより売上高が減少するなか、感染予防のための備品購入の費用や賃料等の固定費は発生しております。運転資金については、内部資金を充当することにより対応しておりますが、このような状況が長引いた場合には、資金調達が必要となる可能性があります。そのため当社では、運転資金の確保および財務基盤の安定性向上のために機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的として、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとし株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社横浜銀行が参加するシンジケートローン方式による組成金額(極度額)100億円のコミットメントライン契約を2020年5月13日に締結しております。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への影響を合理的に算定することが困難であることから、2021年3月期の業績予想は未定としております。今後、予想が可能となった時点において、速やかに業績見通しを開示いたします。また、前述の通り新体制の下で第三次中期経営計画を策定する予定であり、中長期的な株主価値の最大化を達成するべく、各指標を明確化する予定です。

なお、長期的な目標「ツクイビジョン2025」において、以下の連結業績目標を設定しております。

 

(単位:百万円)

 

2026年3月期

売上高

120,000

経常利益

(同率)

(7~8%)

ROE

 

 

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