業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 これに伴い、代理人取引と判断される一部の取引について、その売上高の計上額を、これまで取引総額であったものから、純額へと変更しております。その結果、当連結会計年度における売上高については、従来の計上方法(取引総額)と比較して、769百万円減少しております。よって、当連結会計年度における経営成績等に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい影響が残る中で、一部に弱さがみられる状況です。

 当社グループの主要顧客であるパチンコホール業界においては感染拡大に伴い、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出が常態化したことにより、施設利用者の来店自粛や、集客を目的とした広告宣伝が自粛される傾向にあり、広告需要は低調に推移しました。また、パチンコホール以外の広告分野において、現在力を入れているフィットネス施設についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は大きく、広告需要は低迷しました。一方で、9月末の緊急事態宣言解除後は、施設の集客数も緩やかに増加する傾向にあります。

 こうした環境下で、当社グループでは主力の広告事業において、パチンコホール以外の顧客開拓、取引深耕を推進し、収益の底上げに向けた取り組みを進めてまいりました。これらの取り組みは一定の成果が得られ、当連結会計年度の売上高は7,426百万円(前年同期は7,251百万円)、営業利益は296百万円(前年同期は290百万円の損失)、経常利益は313百万円(前年同期は268百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は247百万円(前年同期は310百万円の損失)となりました。

 なお、セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

広告事業

 当連結会計年度におけるパチンコホール広告市場は、当上期中は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出が常態化し、積極的な広告出稿は控えられる傾向にあったものの、前年同期にあった緊急事態宣言に基づく休業要請はなく、パチンコホール施設自体の営業は継続して行われていたことから、店内告知物やインターネット広告等において、一定の受注を確保することが出来ました。しかしながら、コロナ禍以前の広告需要回復までには至らず、引き続き厳しい事業環境にありました。また、フィットネス施設広告においても同様に、広告需要は低調に推移しました。一方で、下期に入ってからは、感染者数の減少を背景に、これらの施設の集客数は増加に転じたこともあり、集客広告需要も緩やかながらも回復の傾向にありました。しかしながら、2022年1月末の主要都府県に対するまん延防止等重点措置が発出されたことにより、再び広告需要への影響が見られました。

 こうした環境下において、当社グループでは、新規業種の顧客開拓を推進いたしました。また、連結子会社㈱ユーアンドユーにおいて、主力である通販広告以外の新分野における広告受注は、引き続き順調に増加しております。さらには、2021年3月に株式取得した㈱プレスエーの運営するフィットネス情報サイト「IDEAL」についても堅調に推移し、低迷するフィットネス広告分野における業績の下支えとなりました。また需要の回復に応じて、特に年末商戦における各種施設の集客広告提案に注力し、受注の拡大に努めました。

 これらの結果、売上高は7,356百万円(前年同期は7,187百万円)、セグメント利益は534百万円(前年同期は18百万円の利益)となりました。

 

不動産事業

 当連結会計年度においては、連結子会社㈱ランドサポートが所有する千葉県柏市の土地の賃貸収益のほか、賃貸仲介物件の引き渡し等に伴う手数料収益10百万円の計上がありました。

 その結果、売上高は59百万円(前年同期は57百万円)、セグメント利益は28百万円(前年同期は15百万円の利益)となりました。

 

その他

 当連結会計年度においては、キャンピングカーレンタル事業等による、売上高は10百万円(前年同期は7百万円)、セグメント損失は0百万円(前年同期は10百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益308百万円を計上したこと等により359百万円の収入(前年同期は114百万円の支出)となりました。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産取得による支出が45百万円あった一方で、投資有価証券の償還による収入が253百万円あったこと等により224百万円の収入(前年同期は11百万円の収入)となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期及び長期借入金による収入が650百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が575百万円、自己株式の取得による支出が449百万円あったこと等により419百万円の支出(前年同期は140百万円の支出)となりました。

 

 これらの結果、現金及び現金同等物は当連結会計年度において175百万円増加し、3,978百万円となりました。

 

③財政状態の状況

資産

 当連結会計年度末における総資産は6,254百万円となり、前連結会計年度末比56百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が175百万円増加する一方で、有価証券が253百万円減少したこと等によるものであります。

 

負債

 負債合計は1,777百万円となり、前連結会計年度末比189百万円の増加となりました。これは、主に借入金が75百万円増加したこと等によるものであります。

 

純資産

 純資産合計は4,476百万円となり、前連結会計年度末比246百万円の減少となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益247百万円を計上する一方で、株主還元として自己株式取得449百万円及び利益配当44百万円を実施したこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

生産実績

 該当事項はありません。

 

受注実績

 当社グループの商品・サービスは、受注から納品までの期間がきわめて短いため、記載を省略しております。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

広告事業

 

 

 

折込広告

(百万円)

2,822

インターネット

(百万円)

2,242

販促物

(百万円)

1,010

クリエイティブ

(百万円)

467

媒体

(百万円)

240

その他

(百万円)

572

広告事業計

(百万円)

7,356

不動産事業

(百万円)

59

その他

(百万円)

10

合計

(百万円)

7,426

(注)(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しております。このため、当該会計基準適用前の前連結会計年度の実績値に対する前年同期比(%)は記載しておりません。なお、当該変更により、従来の方法と比較して、当連結会計年度の広告事業の媒体の売上高は613百万円、インターネットの売上高は129百万円、その他の売上高は26百万円減少しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、原則として、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当社グループの財政状態及び経営成績の状況について

事業全体の経営成績の状況については以下のとおり分析しております。

 

売上高

当連結会計年度における売上高は、7,426百万円となりました(前年同期は7,251百万円)。当上期中は新型コロナウイルス感染症に伴う人流抑制策の影響もあり、広告需要は低調に推移したものの、9月末の緊急事態宣言解除後は回復基調となり、また当社以外の複数の連結子会社による収益の下支えもあったことから、前年を上回り推移しました。なお、会計方針の変更により、売上高は従来の方法と比較して、769百万円減少しております。

 

売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度における売上原価は、5,298百万円と前連結会計年度に比べ201百万円の減少となりました。これは、広告取扱高に伴う外注取引高は増加した反面、主として「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用したことにより、代理人取引と判断される一部の取引について、その売上高の計上額を、これまで取引総額であったものから純額へと変更した結果、これまで原価として計上していた代理人取引に係る外注費を原価として認識しなくなったためであります。

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,831百万円となり前連結会計年度に比べ211百万円(同10.4%減)の減少となりました。これは主として前連結会計年度中における需要の急減に対応して人件費を中心とする固定費の大幅な削減を実施し、その施策の効果が当連結会計年度に反映されたためであります。なお、販管費比率は前連結会計年度に比べ3.5ポイント減少し、24.7%となりました。

 

営業利益

当連結会計年度における営業利益は、296百万円(前年同期は290百万円の損失)となりました。主として前連結会計年度と比較し、広告事業における需要の回復があったことに加え、前連結会計年度において取り組んだ販売費及び一般管理費の削減効果があったことによるものであります。なお、売上高営業利益率は4.0%となりました。

 

営業外収益、営業外費用

当連結会計年度における営業外収益は、24百万円(前連結会計年度比6百万円減少)となりました。

当連結会計年度における営業外費用は、8百万円(前連結会計年度比0百万円減少)となりました。

 

経常利益

当連結会計年度における経常利益は、313百万円の経常利益(前年同期は268百万円の損失)となりました。また、売上高経常利益率は4.2%となりました。

 

特別利益、特別損失

当連結会計年度における特別利益は、ありません。(前連結会計年度は-百万円)

当連結会計年度における特別損失は、主として投資有価証券評価損の計上により、4百万円(前連結会計年度は-百万円)となりました。

 

税金等調整前当期純利益

当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、308百万円(前年同期は268百万円の損失)となりました。

 

税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)

当連結会計年度における税金費用は、61百万円と前連結会計年度に比べ18百万円(同42.7%増)の増加となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は247百万円(前年同期は310百万円の損失)となりました。

 

なお、セグメント別の状況については以下のとおり分析・検討しております。

 

広告事業

 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載のとおり、当連結会計年度の広告事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う広告需要の減少があったものの、下期に入り広告需要は回復基調になったことから、売上高は7,356百万円、セグメント利益は、534百万円(前年同期は18百万円の利益)となりました。

なお、未だコロナ禍以前の広告需要回復までには至らず、引き続き厳しい事業環境は継続しております。

そうした中、次期においては、パチンコホール、フィットネス関連広告以外の新たなセクターでの新規顧客開拓による収益の多様化が重要であると認識しております。具体的には、パートナー企業との協業案件の推進や、各種フランチャイズ分野での市場開拓を行ってまいります。さらには公営競技等大型施設への集客支援サービスを提供し、グループ全体の収益構造の転換を図ってまいります。

 

不動産事業

 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載のとおり、当連結会計年度においては、連結子会社㈱ランドサポートにおいて所有する千葉県柏市の土地の賃貸収益に加えて、賃貸仲介物件の引き渡し等に伴う手数料収益10百万円の計上がありました。

 その結果、売上高は59百万円、セグメント利益は28百万円(前年同期は15百万円の利益)となりました。

なお、不動産事業においては、現時点では新たな土地取得の計画はありません。近年ではパチンコホールの新規出店に伴う用地取得需要は減少しており、一方では企業間のM&A案件やパチンコホールからその他業種企業への売却等が増加しております。したがって次期においては、パチンコホール出店案件以外の賃貸物件の取扱い件数の増加や、パチンコホール企業のM&A案件に付随する不動産仲介、パチンコホール跡地へその他業種企業の誘致を中心として活動し、収益力を向上させてまいります。

 

その他

 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況に記載のとおり、連結会計年度においては、連結子会社㈱ジールネットが運営するキャンピングカーレンタル事業において、コロナ禍におけるアウトドア娯楽需要の高まりを受け、受注が回復基調にあります。

 その結果、売上高は10百万円、セグメント損失は0百万円(前年同期は10百万円の損失)となりました。

 

また、財政状態については、以下のとおり分析しております。

 

 当社経営陣は、当社の株式上場以来、一貫して「持たざる経営」を意識し、健全で透明性の高いバランスシートの維持に努めております。その結果、当連結会計年度末における流動比率は396.1%、自己資本比率は71.6%となり、継続的に高い安全性が確保できているものと判断しております。

 

②当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社経営陣は、広告需要の減少に伴い、新規投資や、株主還元の原資となる営業キャッシュ・フローが減少していることが課題であると認識しております。そのため、受注高の拡大、コストの削減を実施し、営業キャッシュ・フローの安定化に努めてまいります。

 また、当社経営陣は、中長期的な資本の財源としては、持続的な当期純利益と潤沢な営業キャッシュ・フローの獲得によりもたらされる充実した自己資本及び現金及び現金同等物残高が最も重要と考えております。また、資本効率向上と財務安全性確保の観点から、現状の当社グループの事業規模においては、概ね4,000百万円程度(参考:当連結会計年度末の純資産残高4,476百万円)の自己資本維持が最適であると判断しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は3,978百万円であり、今後の成長投資に備えた一定の投資余力を確保できているものと判断しております。

 なお、当社グループでは収益構造の転換が課題となっており、とりわけ新たな事業分野での積極的な投資による事業成長が重要と判断しております。従いまして、この先、事業規模の拡大を目的とした多額の投資が必要となる場合においては、自己資本のみならず金融機関からの借入についても活用していく方針であります。一方で、必要自己資本に余剰があると判断された場合には、自己株式の取得や配当等の株主還元を積極的に行うことで、継続的な資本効率の向上を目指してまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、市場価格のない株式の評価、固定資産の減損損失の認識、繰延税金資産の回収可能性、のれんの回収可能性等において、会計上の見積りを行っております。なお、当連結会計年度における会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、繰延税金資産の回収可能性については質的、金額的に財務諸表に重要な影響を与えるものと判断しております。その詳細については、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について

 当社グループが重要視している経営指標と、その実績値は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。

 当連結会計年度における売上高営業利益率及びROEは、前連結会計年度と比較し、大幅に上昇いたしました。これは、主として、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染拡大の影響により急減した広告需要が、当連結会計年度においては一定の回復が見られたことによるものであります。

 当社経営陣は、パチンコホール以外の広告分野における受注拡大等による収益構造の転換や、既存の紙媒体広告と比較して収益性の高い、自社ブランドのインターネット広告の拡販を重点施策としております。これらの施策を次の事業成長につなげることで、売上高営業利益率の更なる回復を目指します。

 また、当連結会計年度におけるROEは、前連結会計年度から回復したものの、コロナ禍以前と比較すると、引き続き低迷しております。これに対処すべく、適正な自己資本の水準を維持しつつ、上述の収益構造の転換により当期純利益の絶対額を高めていく方針です。

 

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