業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績の概況

国内においては、医師会員31万人以上(2022年4月27日現在)が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に様々なサービスの展開をしています。

メディカルプラットフォームでは、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、会員へ医療情報以外のライフサポート情報を提供する「QOL君」等の一般企業向けマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。また、次世代MR「メディカルマーケター」の提供、医療系広告代理店等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。

エビデンスソリューションでは、治験に参加する施設・対象患者を発見する治験支援サービス「治験君」を核に、大規模臨床研究支援サービス、治験業務の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。

キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービスの展開を進めています。

サイトソリューションでは、医療機関の運営をサポートする各種サービスを展開しています。

さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(https://

www.AskDoctors.jp/)や医療福祉系国家試験の対策等の事業を行うエムスリーエデュケーション株式会社に加え、LINE株式会社と設立したオンライン医療事業を目的とした持分法適用関連会社LINEヘルスケア株式会社においてもサービス展開を進めています。

海外においては、米国で、医療従事者向けウェブサイト「MDLinx」を運営し、この会員基盤を活かした製薬会社向けサービスの他、医師向けの転職支援サービスや治験支援サービスも展開しています。欧州では、英国で医師向けウェブサイト「Doctors.net.uk」において製薬会社向けサービスの展開を進める他、フランス、ドイツ、スペインでVidal Groupを通じて医薬品情報データベースの提供を行っています。アジア地域においても順調に事業を拡大しています。なお、2021年6月18日付の「当社連結子会社の支配喪失に伴う利益の計上に関するお知らせ」に記載の通り、中国にて事業を運営する金葉天成(北京)科技有限公司を子会社に持つMedlive Technology Co., Ltd.(以下、「Medlive」という)については、支配喪失により連結子会社を外れ、持分法適用関連会社となっています。また、同社は2021年7月に香港証券取引所に上場いたしました。

また、日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、当社グループが世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルに登録する医師は合計で約600万人となっており、医師パネルを活用したグローバルな調査サービスの提供も行っています。

 

当連結会計年度の業績は、以下の通りです。

(当期の業績)                                    (単位:百万円)

 

2021年3月期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

2022年3月期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

比較増減

売上収益

169,198

208,159

+38,962

+23.0%

営業利益

57,972

95,141

+37,169

+64.1%

税引前当期利益

58,264

96,187

+37,922

+65.1%

当期利益

41,198

66,108

+24,911

+60.5%

 

(セグメントの業績)                                 (単位:百万円)

 

2021年3月期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

2022年3月期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

比較増減

メディカル

プラットフォーム

セグメント売上収益

77,076

85,928

+8,852

+11.5%

セグメント利益

37,903

39,553

+1,651

+4.4%

エビデンス

ソリューション

セグメント売上収益

19,473

22,756

+3,282

+16.9%

セグメント利益

3,618

5,654

+2,037

+56.3%

キャリア

ソリューション

セグメント売上収益

13,537

14,094

+557

+4.1%

セグメント利益

3,753

4,646

+893

+23.8%

サイト

ソリューション

セグメント売上収益

16,555

35,184

+18,629

+112.5%

セグメント利益

1,537

3,399

+1,862

+121.2%

海外

セグメント売上収益

42,147

51,831

+9,684

+23.0%

セグメント利益

12,599

44,837

+32,239

+255.9%

その他エマージング事業群

セグメント売上収益

3,328

3,360

+32

+1.0%

セグメント利益

950

△601

△1,551

調整額

セグメント売上収益

△2,919

△4,994

セグメント利益

△2,387

△2,348

合計

売上収益

169,198

208,159

+38,962

+23.0%

営業利益

57,972

95,141

+37,169

+64.1%

 

① メディカルプラットフォーム

製薬会社向けのマーケティング支援の需要が堅調に推移し、セグメント売上収益は、85,928百万円(前期比11.5%増)となりました。製薬マーケティングチームの強化等、将来の成長に向けた積極的な先行投資により、人件費や業務委託費を中心として販売費及び一般管理費は増加しているものの、売上増加によりセグメント利益は39,553百万円(前期比4.4%増)となりました。

 

② エビデンスソリューション

前期において新型コロナウイルス感染症拡大に伴い複数の治験プロジェクトが一時的に停止したこと等の影響が一巡し、回復基調が継続したことに加え、新型コロナウイルス感染症関連の治験プロジェクトも加速していることから、セグメント売上収益は22,756百万円(前期比16.9%増)セグメント利益は5,654百万円(前期比56.3%増)となりました。

 

③ キャリアソリューション

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い薬剤師を中心に転職動向が低調となったものの、医師向けのサービスが堅調に推移したことに加え、新型コロナウイルスのワクチン接種支援プロジェクトの拡大を背景に、セグメント売上収益は14,094百万円(前期比4.1%増)となりました。セグメント利益は、売上構成比の改善とワクチン接種支援プロジェクトの拡大を背景に、4,646百万円(前期比23.8%増)となりました。

 

④ サイトソリューション

提携医療機関の増加に加え、新型コロナウイルスのワクチン接種支援プロジェクトの拡大により、セグメント売上収益は35,184百万円(前期比112.5%増)となりました。セグメント利益は、第4四半期において海外拠点における無形資産等の減損損失が発生しているものの、売上収益が増加したことにより、3,399百万円(前期比121.2%増)となりました。

 

⑤ 海外

すべての地域で事業が堅調に推移した結果、セグメント売上収益は51,831百万円(前期比23.0%増)となりました。セグメント利益は、売上の増加に加え、中国にて事業を運営する子会社を傘下に持つMedliveが香港証券取引所に上場したことに伴う利益を計上したこと等により、44,837百万円(前期比255.9%増)となりました。なおMedliveは、2021年6月18日付で当社の連結子会社を外れ、持分法適用関連会社となっています。

 

 

⑥ その他エマージング事業群

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業へのマイナス影響からは回復傾向にあり、セグメント売上収益は3,360百万円(前期比1.0%増)となりました。セグメント利益は、子会社株式の譲渡益はあるものの、株式評価額の増減や、持分法で会計処理されている投資について減損損失を計上したことにより、601百万円の損失(前期は950百万円の利益)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は208,159百万円(前期比23.0%増)、営業利益は95,141百万円(前期比64.1%増)、税引前当期利益は96,187百万円(前期比65.1%増)、当期利益は66,108百万円(前期比60.5%増)となりました。

 

(2) 財政状態の概況

資産合計は、前連結会計年度末比72,858百万円増の345,981百万円となりました。流動資産については、主に現金及び現金同等物が15,109百万円増加したこと、また金融資産の取得等によりその他の短期金融資産が10,710百万円増加したこと等により前連結会計年度末比34,765百万円増の198,874百万円となりました。非流動資産については、主にMedliveが支配喪失に伴い持分法適用関連会社になったこと、また、同社が上場に際して新株を発行したこと等により持分法で会計処理されている投資が31,468百万円増加し、前連結会計年度末比38,093百万円増の147,107百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末比16,165百万円増の82,027百万円となりました。流動負債については、営業債務及びその他の債務が8,420百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比6,909百万円増の57,216百万円となりました。非流動負債については、主に子会社の支配喪失に伴う利益及び持分変動利益の計上に伴い繰延税金負債が8,348百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比9,256百万円増の24,811百万円となりました。

資本合計は、前連結会計年度末比56,694百万円増の263,954百万円となりました。剰余金配当8,145百万円を行った一方、親会社の所有者に帰属する当期利益63,845百万円を計上したことで、利益剰余金が55,762百万円増加したこと等によります。

 

(3) キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末残高より15,109百万円増加し、104,253百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、52,108百万円の収入(前期は46,627百万円の収入)となりました。主な増加は、税引前当期利益96,187百万円、主な減少は、持分変動利益21,906百万円、法人所得税の支払額20,953百万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、23,407百万円の支出(前期は3,592百万円の収入)となりました。主に定期預金の預入による支出から払戻による収入を差し引いた純支出7,510百万円、償却原価で測定する金融資産の取得による支出6,000百万円が発生しています。

財務活動によるキャッシュ・フローは、16,371百万円の支出(前期は11,615百万円の支出)となりました。主に親会社の株主への配当金の支払による支出8,144百万円が発生しています。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

② 受注実績

当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。

 

③ 販売実績

セグメント別の当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

メディカルプラットフォーム

(百万円)

83,180

+11.2%

エビデンスソリューション

(百万円)

21,899

+15.5%

キャリアソリューション

(百万円)

13,353

△1.0%

サイトソリューション

(百万円)

34,660

+109.4%

海外

(百万円)

51,811

+23.0%

報告セグメント計

(百万円)

204,903

+23.5%

その他エマージング事業群

(百万円)

3,256

+0.5%

合計

(百万円)

208,159

+23.0%

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度における各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載の通りです。

 

② 当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の概況、(2)財政状態の概況、(3)キャッシュ・フローの概況」に記載の通りです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益96,187百万円を計上したことを主な要因に、52,108百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出から払戻による収入を差し引いた純支出等により23,407百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出等により16,371百万円の支出となりました。これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より15,109百万円増加し、104,253百万円となりました。

当社はこの資金により、今後更に経営基盤を強化し、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出に、機動的に対応していきます。

余剰資金の運用については、市場リスクや与信リスクを極めて限定的なものにする保守的な運用を行う方針としており、規模、期間を勘案した適切な手段による資金運用を行っています。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について

経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得