(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要
① 財政状態及び経営成績に関する説明
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済の落ち込みから完全には回復しておらず、その影響が長期化しております、また、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの高まりや米国の金融引き締めから、資源価格の上昇や金融市場が不安定になるなど、未だ予断を許さない状況です。
当社の主要事業ドメイン市場においても、航空、バス、鉄道など交通関連事業に関する影響はコロナ前に戻っておりません。一方、様々な業種業態においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が積極推進されており、非対面・非接触サービスも増加、ITが果たすべき社会的役割も増してきております。このようなパラダイムシフトのなか、当社は「ペーパーレス化」「キャッシュレス化」をキーワードに、重点施策「電子決済時代への対応」「交通業界向けIT化プロジェクト/MaaS事業」などを推進、その文脈上にある生活密着フィンテック・プラットフォームを見据えた活動を行っております。また、会員管理のDX化を促進するサービス「ekaiin.com(e会員ドットコム)」)も本格的な拡販が始まるなど「決済+αプラットホーム」の拡充に注力してまいりました。また、札幌本社への間接部門統合による効率化効果も出始めました。
これらの活動の結果、当期の経営成績は、売上高8,950百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益735百万円(前年同期比29.7%増)、経常利益754百万円(前年同期比13.2%増)、当期純利益532百万円(前年同期比35.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は13,049百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において営業活動により獲得した資金は3,283百万円となりました。主な増加要因は税引前当期純利益770百万円、減価償却費の計上450百万円、収納代行預り金の増加1,820百万円であり、主な減少要因は預け金の増加513百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において投資活動により支出した資金は267百万円となりました。主な減少要因は有形固定資産の取得による支出151百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において財務活動により支出した資金は390百万円となりました。主な減少要因は配当金の支払による支出290百万円であります。
③ 受注及び販売の状況
a. 受注状況
当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
52,513 |
80.6 |
393 |
0.8 |
(注)1.当社における受注の内容は、相手先からの受託開発であります。
2.金額は販売価格によっております。
b. 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
前年同期比(%) |
決済・認証事業(千円) |
8,950,177 |
101.2 |
(注)最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当事業年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
アマゾンジャパン合同会社 |
2,984,447 |
33.8 |
2,594,155 |
29.0 |
ヤフー株式会社 |
887,919 |
10.0 |
751,208 |
8.4 |
(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び収益・費用の計上に関連して、種々の見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細は、「 第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
また、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに関しては、「 第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り)」に記載のとおりです。
② 経営成績の分析
当事業年度の経営成績は、売上高8,950百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益735百万円(前年同期比29.7%増)、経常利益754百万円(前年同期比13.2%増)、当期純利益532百万円(前年同期比35.1%増)となりました。
③ 財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の流動資産は16,864百万円となりました。主な内訳は現金及び預金13,129百万円、預け金2,637百万円、売掛金及び契約資産537百万円であります。現金及び預金には、回収代行業務に係る収納代行預り金が10,170百万円含まれておりますが、これは翌月の所定期日には事業者に送金されるものであり、一時的に当社が分割管理により保管するものであります。また、固定資産は6,778百万円となりました。主な内訳は建物2,274百万円、土地1,739百万円、差入保証金1,449百万円、ソフトウエア564百万円であります。以上の結果、資産合計は23,642百万円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は14,205百万円となりました。主な内訳は収納代行預り金10,170百万円、預り金2,857百万円であります。また、固定負債は2,026百万円となりました。主な内訳は長期借入金1,800百万円であります。以上の結果、負債合計は16,231百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は7,410百万円となりました。主な内訳は株主資本7,353百万円であります。
(参考)現金及び預金の純額(回収代行業務に関する預り金を相殺した、正味の現預金残高)
|
前事業年度 (2021年6月30日) |
当事業年度 (2022年6月30日) |
(A)現金及び預金(百万円) |
10,503 |
13,129 |
(B)収納代行預り金(百万円) |
8,349 |
10,170 |
(A)-(B)現金及び預金純額(百万円) |
2,154 |
2,958 |
④ 資金の財源及び資金の流動性についての分析
a. キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資金需要
当事業年度における当社の主な資金需要は、サーバ設備やソフトウエアの取得による設備投資等であります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社におきましては、コンビニインフラへの依存、システムトラブル及び事務リスク、競合他社との競争激化、新サービスへの対応、新規事業への投資、知的財産権、個人情報の管理などが経営成績に重要な影響を与える要因と認識しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
キャッシュレス社会に向けた大きな時代の変革期が予測されております。当社はこの変革期を大きなビジネスチャンスに変えるべく、積極的な経営姿勢に転換しております。かつてコンビニ決済など斬新なアイディアで現在の地歩を確立したように、強い思いをもってチャレンジを続けてまいります。
当社の目指すサービスプラットホームは「ストック型」であり、一旦収益ラインを突破すると一気に拡大する可能性を秘めております。重要なことは、ビジネスボリューム拡大に伴う人件費増加を避けることで、そのために運用など後方処理自動化に相当額の投資を継続的に行っております。
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