業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、当社連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いており、企業収益に与える影響については、先行き不透明な状況が続いております。

 このような経済状況のもとで、当社グループの主要事業であるインターネットマーケティングサービス分野では、消費者のデジタルシフトが進む中、特に動画視聴時間の増加や今後の通信環境のさらなる高速化などもあり、インターネット広告は、大手プラットフォーマーを中心に需要が高まっております。一方、インターネット広告がマスメディアとしての役割を果たす中、個人情報保護の動きが加速しており、消費者の行動を追跡できるCookieなどの利用を制限する動きが活発化しております。

 当連結会計年度において当社グループは、既存事業の更なる成長と今後の柱となる事業の開発を推進してまいりました。また、テレワークへの移行によってオフィスの在り方を見直し固定費の削減に努めました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による一部広告主の予算削減や消費者の消費に至る導線の変化等の影響により減収減益となりました。

 この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高26,700,229千円(前期比9.1%減)、営業利益2,318,795千円(前期比18.7%減)、経常利益2,516,213千円(前期比15.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,637,207千円(前期比17.8%減)となりました。

 

  a)CPAソリューション事業

   当社グループは、主力サービスでありますアフィリエイト広告サービス「A8.net」、スマートフォンアプリ向けCPI広告サービス「seedApp」等を提供しております。当連結会計年度においては、受注件数は徐々に増加傾向が見られるものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一部広告主の予算削減や検索アルゴリズムの変動などの影響を受け減収となりました。その結果、当連結会計年度の売上高は20,944,934千円(前期比7.2%減)、セグメント利益は3,457,183千円(前期比9.5%減)となりました。

  b)ADコミュニケーション事業

   当社グループは、主力サービスでありますスマートフォン向け運用型広告サービス「nend」等を提供しております。当連結会計年度においては、新規事業の企画・開発を推進した一方、大手プラットフォーマーへの広告予算の寡占化を背景として、nendの稼働広告主が減少したことにより減収となりました。その結果、当連結会計年度の売上高は5,216,159千円(前期比15.1%減)、セグメント損失は126,333千円(前期はセグメント利益94,091千円)となりました。

  c)その他

   当社グループは、シーサー株式会社が運営する「Seesaaブログ」を代表とするメディア事業等を展開しております。当連結会計年度においては、ブログメディア事業においてPV減少に伴い広告収入が減少したことなどにより減収となりました。その結果、当連結会計年度の売上高は539,135千円(前期比19.6%減)、セグメント損失は115,546千円(前期はセグメント損失57,960千円)となりました。

○ 報告セグメント別の売上高の内訳

セグメントの名称

2020年12月期

2021年12月期

金額(千円)

構成比(%)

金額(千円)

構成比(%)

CPAソリューション事業

22,565,645

76.8

20,944,934

78.5

ADコミュニケーション事業

6,143,384

20.9

5,216,159

19.5

その他

670,968

2.3

539,135

2.0

合計

29,379,998

100.0

26,700,229

100.0

 なお、提出会社の主力サービスであるアフィリエイト広告サービスにおける当連結会計年度末の利用広告主数(稼働広告主ID数)、参加メディア数(登録パートナーサイト数等)は、下記のとおりであります。

サービス

区分

2020年12月期

2021年12月期

「A8.net

(エーハチネット)」

 稼働広告主ID数

3,182

3,378

 登録パートナーサイト数

2,889,117

3,041,654

「nend(ネンド)」

 稼働広告主ID数

191

142

 登録パートナーサイト枠数

1,018,937

1,045,849

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は前連結会計年度末から1,404,574千円減少し22,975,204千円となりました。主な要因は、有価証券が896,904千円減少及び売掛金が444,194千円減少したことによります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は前連結会計年度末から262,193千円減少し1,679,603千円となりました。主な要因は、無形固定資産が173,176千円減少したことによります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は前連結会計年度末から854,618千円減少し4,807,135千円となりました。主な要因は、買掛金が362,291千円減少及び賞与引当金が151,950千円減少並びに未払法人税等が111,457千円減少したことによります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は前連結会計年度末から365千円増加し141,903千円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は前連結会計年度末から812,515千円減少し19,705,769千円となりました。主な要因は、自己株式を999,989千円取得した一方、利益剰余金が243,651千円増加したことによります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は19,362,918千円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,225,758千円の収入(前期より1,423,425千円の収入減少)となりました。主な要因は、法人税等の支払額が870,130千円あった一方、税金等調整前当期純利益を2,480,161千円計上したことによります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、940,393千円の収入(前期より209,527千円の収入増加)となりました。主な要因は、投資有価証券の償還による収入が1,051,725千円あったことによります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,394,781千円の支出(前期より46,019千円の支出減少)となりました。主な要因は、配当金の支払額が1,392,992千円あったこと及び自己株式の取得による支出が1,001,789千円あったことによります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.受注実績

 該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前期比(%)

CPAソリューション事業(千円)

20,944,934

92.8

ADコミュニケーション事業(千円)

5,216,159

84.9

その他(千円)

539,135

80.4

合計(千円)

26,700,229

90.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 また、当社グループは、市場スピードを上回る売上高の確保並びに生産性の向上による業界上位の営業利益率を確保することを目標としております。当連結会計年度につきましては、インフラコストや家賃など固定費の削減に努めましたが、新型コロナウイルス感染拡大による一部広告主の予算削減や検索アルゴリズムの変更、大手プラットフォーマーの寡占化などの影響により、営業利益率は8.7%(前期比1.0pt減)という結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

③資本の財源及び資金の流動性

a.財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、財務の健全性や資本効率など最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本方針としております。

 

b.経営資源の配分に関する考え方

 当社グループの経営資源の配分に関する考え方は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

c.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、サービス運営に関わるインフラコストやサービス開発に関わるエンジニア人件費、サービスの拡販に関わる営業活動の人件費や販促費などがあります。

 また、投資活動に係る資金支出では、当社グループが展開するサービスとシナジーがある企業への投資やスタートアップ企業へ投資をしているベンチャーキャピタルへの投資などがあります。

 

d.資金調達

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金及び設備投資等の長期資金の調達につきましては、自己資金を基本としております。

④重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国で一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

 当社グループの以下の重要な会計方針が、連結財務諸表を作成するにあたり特に考慮されるべき見積りや判断に影響を及ぼす項目と考えています。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の停滞が、短期的には、当社グループの経営環境に影響を及ぼすことが想定されますが、中長期的にはオンラインサービスが消費者にとって身近になり、生活の中にオンラインサービスが増えていくことが想定されるため、会計上の見積りを検討する上では、新型コロナウイルス感染症の重要性は低いと考えております。

a.貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

 今後、将来において、顧客の財政状態が著しく悪化し、当社グループが見積りをした範囲を超えた場合には、追加の引当が必要となる場合があります。

 

b.固定資産の減損損失

 当社グループは、減損会計基準の対象となる有形固定資産、無形固定資産を有しております。投資意思決定を行う際の単位等を考慮してグルーピング方法を定め、減損の兆候の判定にあたっては、過去あるいは当期以降見込まれる営業損益や営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなる場合や経営環境の著しい悪化等を勘案し判断しております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、減損損失を認識しております。

 今後、将来において、当社グループを取り巻く環境に大きな変化等が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

c.投資有価証券の評価

 当社グループは、余剰資金の運用や当社グループとシナジーのある企業への投資等をしております。これらの有価証券には、価格変動性が高い公開会社の株式と株価の決定が困難な非公開会社の株式が含まれております。

 当社グループは、時価のある有価証券については、下落率が30%以上50%未満の状態が1年未満で回復の見込みがない場合、下落率が30%以上50%未満の状態が1年以上で回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合、下落率が50%以上で回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合は、投資有価証券評価損を計上しております。

 時価のない有価証券については、発行会社の1株当たり純資産が50%以上下落して回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合は、投資有価証券評価損を計上しております。

 今後、将来において、時価の下落又は投資先の経営環境の著しい悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

 

d.繰延税金資産の評価

 当社グループは、各社の実績情報や将来の事業計画等の収益力に基づき、課税所得が十分に確保できることを慎重に判断した上で繰延税金資産を計上しております。したがって、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対しては、評価性引当額を設定し適切な繰延税金資産を計上しております。

 今後、将来において、当社グループを取り巻く環境に大きな変化等が生じた場合には、繰延税金資産に対する評価性引当額を見直す可能性があります。

 

 

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