課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社の経営の基本方針といたしましては、「世界中のモノやコトとの連携で人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが、社会を豊かにしていくことを目指す」を経営理念に、広く有用な存在であり続け、社会と共存する企業であることとしております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、経営規模に関する指標として売上高、収益性に関する指標として売上高営業利益率を特に重視しております。売上高増大のためには営業力、製品力の強化が欠かせません。そのためにかかる人件費及び開発費用の投下バランスを考慮し、売上高営業利益率の急激な変化がないように見定めながら投資を行ってまいります。

 売上高の成長とともにお客様に高付加価値の製品を提供し高い売上高営業利益率を確保することが、株主価値を向上できるものと考えております。

 

(3)経営戦略の現状と見通し

 現在の世界経済は、多くの国や地域において長期に渡り続いた新型コロナウイルス感染拡大による行動制限も緩和が進み、経済活動も活発化してきています。しかし、感染拡大の収束はまだ遠い状況であります。さらには資源価格の高騰などもあり、世界経済の先行きは不透明な状況が現在も続いております。

 当社の主力事業であるアプリケーションサービス事業と関連性が深い宿泊旅行業界においても、新型コロナウイルス感染症の影響は続いています。国をまたいでの移動については制限緩和が進んでおり、日本への訪日外客数も増加しつつあります。しかしながら、感染拡大以前に訪日外客数の多くを占めていた中国をはじめ、まだ行動制限が完全には解除されていない国や地域もあり、緩和が進んでいるものの日本への入国にあたっては一日当たりの入国者数の制限が設けられている状況です。様々な要因をふまえ、新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで訪日外客数が回復するのは、早くても2025年春以降になると見ております。

 日本国内では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限が解除されて以降、宿泊旅行業界にも少しずつ回復の兆しが見え始めてきました。宿泊需要が回復傾向にある中、宿泊施設では人手不足の解消や業務効率化が喫緊の課題となっています。その様な状況下において、予約サイトの一元管理ができ、様々な販売チャネルや管理システムと連携をしているサイトコントローラーは必要不可欠な存在となっております。今後も、宿泊施設の売上および利益拡大を図る為、業務効率化に繋がるシステムや販売チャネルとの連携、及び新機能の追加などの施策を行い選ばれる製品にすること、そして全社一体となってお客様をサポートしていくことで、TEMAIRAZUの更なる普及に努めていきます。

 インターネットメディア事業では、比較サイト『比較.com』において、検索エンジンの最適化、ユーザーインターフェイスの改善、モバイルユーザビリティの向上等の対策を継続して行うと共に、コンテンツの充実やカテゴリの追加等により幅広く有意義な情報提供を行い、更に多くの人に利用されるサービスにしていく事で売上高の増加を図っていきます。

 間接部門においても、営業管理、教育体制の整備、リスク管理を行うための費用の増加を見込んでおります。また、今後も新型コロナウイルスを前提とした企業活動を行っていかなければなりません。それらに関連した費用の増加及び売上・利益の減少を次事業年度の見通しに織り込んでおります。

 インバウンド需要の完全回復にはまだ時間を要する事や新型コロナウイルス感染拡大の状況等から、当社の事業と関連性が深い宿泊旅行業界は、当面は弱い動きが続くと見込まれます。厳しい事業環境ではありますが、一層の営業体制の強化を行い、利益の確保に努めます。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社が対処すべき課題として認識している点は以下のとおりであります。

① サービスレベルの向上

 当社の競争力を強化し、より多くの宿泊施設やインターネットユーザーを獲得するためには、サービスの品質を総合的に高め、充実させることが必要不可欠であると考えております。今後は新規サービスの開発や機能追加も進め、より多くの宿泊施設及びインターネットユーザーのニーズに応えられるサービス作りを目指してまいります。

 

② 営業力の強化

 当社は小規模組織であることから営業部門も少数精鋭の体制で運営しております。営業部門は、蓄積されたノウハウを活かした提案により営業活動を推進しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んでいた宿泊需要に回復の兆しが見えてきたことを背景に、受注の獲得機会が増加することが予想され、営業力の強化、営業人員の早期育成が必要であると考えております。

 具体的には、教育研修制度の充実、営業ツールやマニュアル等の整備、営業活動に集中できるようにサポート部門の充実、また、既存営業人員の育成と同時に、即戦力となる営業人員の採用を行い、営業力の強化を図ってまいります。

 

③ 優秀な人材の確保及び育成

 当社が展開しているビジネスは、従業員一人一人がユーザーの視点でニーズを感じ取り、企画し、ビジネスへと昇華することのできる知識と経験、ビジネスセンスが求められております。すなわち、個人の感性や経験等が事業展開の確実性、スピード、サービス内容の質に影響を及ぼすため、優秀な人材を確保することが経営の重要な課題と認識しております。そこで、優秀な人材にとって魅力ある企業となるため、労働基準法等の関連法令に従った労務管理の実施はもとより、公正な評価基準及び成果に連動した給与体系の構築や教育研修の充実に力を入れてまいります。採用においては、ビジネス経験を重視した中途採用に重点をおきつつも、将来的に会社を担う人物を発掘するために新卒採用も積極的に実施し、人員体制の拡充を図ってまいります。

 

④ 組織体制の整備

 当社は、高成長を維持し、継続的に企業価値を拡大していくために、事業の規模に見合った経営管理体制の充実が不可欠であると認識しております。そのため適時必要な組織改編を行い、優秀な人材の確保とバランスの取れた組織体制の整備に配慮してまいります。

 

⑤ 内部統制の強化及びコーポレート・ガバナンスの充実

 当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、企業価値を継続的に高めていくために不可欠な経営統治機能と位置づけており、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び充実に努めております。その一環として、当社は2021年9月17日、監査等委員会設置会社へ移行し、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員である取締役を取締役会の構成員とすることで、取締役に対する監視・チェック機能を強化し、コンプライアンス及びリスク管理の徹底を図ることで、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実に取り組んでおります。

 また、当社はいかなる場合においても反社会的勢力及びその関係者とは取引や交際をせず、金銭その他の経済的利益を提供しないこと、また、反社会的勢力に対しては組織的に対応することとしております。

 社内体制としましては、反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署が、反社会的勢力に関する情報を一元管理し、反社会的勢力との関係を遮断するための組織的取組みを行うとともに、警察庁・都道府県警察本部等との連携等を行うこととしております。反社会的勢力からの不当な要求に対しては、対応を統括する部署が上記機関に相談し対応することとしております。

 

⑥ 新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組み

 新型コロナウイルス感染症拡大による影響の長期化に、世界経済の先行きは未だに不透明な状況が続いています。国内においても、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が落ち着きを見せたかと思えば感染再拡大の波が来たりと、収束の見通しが立たない状況です。当社でも、お客様やお取引先様、従業員の健康と安全を最優先に、時差通勤や在宅勤務を取り入れるなどの感染予防の対策を継続しております。今後も、慎重に状況を見極めながら感染予防対策を引き続き行ってまいります。

 

⑦ ITシステムのリスクと対策

 当社のビジネスはITシステムを基盤として収益を生み出しており、当社のビジネスの根幹をなしているとも言えます。それゆえに外部からのサイバー攻撃、個人情報等の情報漏洩や人的・物的要因によるシステム障害のリスクが高いと認識しております。そのため、アプリケーションサービスの顧客である宿泊施設やインターネットユーザーに安心安全に利用してもらうためには従業員一人一人の高い情報リテラシーの植え付けやシステムの開発・保守・運用を担っている開発部員の技術力の向上、セキュリティ対策などによりリスク対策の強化が重要であると考えています。引き続き人的要因を防ぐ対策を取っていくとともに、完璧なシステムはないという事を念頭に置いて災害によるシステム障害や外部からのサイバー攻撃等の突発的な事象にも対応していける更なる対策を行ってまいります。

 

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