課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の主力事業であるタウンニュースの事業コンセプトは、『地域に密着したアドコミ(アドバタイジング+コミュニケーション)を確立する』ことであります。地域の生活者にとっては広告も街のニュースであるという考えのもと、広告を通じて地域とのコミュニケーションをはかり、地域社会に貢献し、地域とともに発展していくことを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略等

当社は、神奈川県下で地域密着型の地域情報紙の発行を主たる事業として展開し、成長してまいりました。また昨年12月に2024年6月期を最終年度とする「中期経営計画」を公表いたしました。今後は、以下の施策に取り組み中長期的な経営戦略を実践し、地域の総合メディアとして事業規模の拡大、業績の向上を図ってまいります。

①  既存発行版の深耕と媒体価値の向上

タウンニュースは2022年6月末時点で神奈川県内全域に40地区、東京都(町田市、八王子市、多摩市)に3地区、計43地区43版の紙面を発行しております。今後も既存発行版の深耕を進め、地域のお客様の声に根差した提案型営業を通し、広告の受注機会拡大と業績のさらなる伸長に努めてまいります。
 また、タウンニュースは行政区単位を基本とした発行体制を敷き、1地区ごとにきめ細かくそれぞれ内容の異なる紙面を発行しておりますが、発行エリア内の読者の最大の関心事と身近なニュースや話題をきめ細かく丁寧にすくい上げ、さらに読まれる紙面を作ることで他媒体との差別化をより一層進め、媒体価値を高めてまいります。

②  紙面以外の広告需要の開拓・創出

地域の広告需要は多様化とクロスメディア化が進んでいます。地域の方々と接触する機会の拡大強化は、そのニーズを的確に探るもっとも有効な手段と考えられることから、これを推進し、編集室の枠を越えた企画特集の実行やタウンニュース紙以外の新媒体の発行、各種出版・印刷物の受注拡大を進めてまいります。また、これに加え、イベントプロモーションの企画運営やWeb広告・製作事業、電波媒体とのコラボレーションなど、既存の枠組みや紙媒体にとらわれない「地域の情報をビジネスに換える」戦略的展開を図ってまいります。

③  発行エリアの拡大

2015年6月に東京都八王子市、多摩市の2地区版の紙面を創刊いたしましたが、今後もこれらエリアへの浸透状況等に応じて順次紙面の発行エリアを拡大させていく計画であります。

④ デジタルメディアとのシナジー

当社ではタウンニュースの情報をデジタル化し、最新の記事や広告がパソコンやスマートフォン等でも読める情報サービス「Web版タウンニュース」を展開しております。これにより読者には居住エリア外の情報を提供できるほか、県外など紙面の未配布エリアや日刊紙を購読していないタウンニュース未読層への情報提供も可能になっております。さらに、紙面に掲載されたニュースや情報を定期的に無料で配信する「メール版タウンニュース」並びに「タウンニュースfor LINE」の普及と読者拡大にも努めてまいります。
 また、当社全発行エリア内の政治家のデータベースとしての「政治の村」、当社発行エリア内のご近所情報サイトとして「RareA(レアリア)」を開設しており、引き続きコンテンツの充実と事業拡大を図ってまいります。あわせて、当社の持つ地域情報のキュレーションサイトへの配信を積極的に行い、当社の認知度とブランド力の向上を進めます。
 今後は当社が持つ情報インフラを活用した新たなサービスの開発も含めたデジタルメディアのコンテンツの充実を図り、紙面の付加価値を向上させるとともに、紙面とデジタルメディアのシナジーが発揮できるよう努めてまいります。

⑤ 地域プロデュース事業およびPPP(公民連携)事業の展開

地域の隅々に分け入る本紙業務の中で日々蓄積される多様な情報や人的ネットワーク等は当社の最も重要な経営資源の1つであり、これらのリソースを最大限に活かしきることは、当社の成長戦略にとって不可欠な要素です。行政や市民、地元事業者らとの協同による多種多様な地域プロデュース(街おこし・街づくり)事業や公共施設の指定管理業務に代表されるPPP(公民連携)事業はそれを体現する事業例であり、こうした取り組みを今後の非紙面事業の柱と位置づけ強力に展開してまいります。

 

⑥ サステナビリティへの対応

主に「ダイバーシティ経営の推進及び労働環境の改善」と「社会的課題解決へのアプローチ」を目標に掲げ進めておりますが、横浜市が女性の活躍やワーク・ライフ・バランスを推進するため、誰もが働きやすい職場環境づくりを積極的に進めている企業を認定する「よこはまグッドバランス賞」の認定企業となることができました。また紙面を通じて地域課題に関する報道と情報発信はもとより、ESG投資として神奈川県や川崎市の発行する「グリーンボンド」への投資やJICAの「ジェンダーボンド」等への投資を行いました。今後も引き続き地域社会の持続可能な発展に貢献することに努めてまいります。

 

(3) 経営環境

新型コロナウイルス感染症拡大が国内経済はもとより世界経済にも大きな影響を与えてきました。このところ経済維持の観点から規制緩和の動きが出てきておりますが、感染収束の目途は立っておらず、まだまだ不透明な状況にあります。当社の属するフリーペーパー業界においても、その影響は大きく、またデジタルメディア化が進む中、媒体の選別化や価格競争が恒常化するなど、特に紙媒体においては大変厳しい環境が続いております

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の問題

こうした状況の下、当社の対処すべき課題は以下のとおりです。

①  有能な人材の確保・育成

質の高い新卒社員や即戦力となる中途採用者を確実に確保するため、自社の会社説明会開催、各大学、専門学校への訪問、インターンシップ生の積極的な受入れのほか、タウンニュース紙面、ホームページ、求人専門サイト等においても、幅広く採用活動を展開させてまいります。同時にこれらの採用者を早期に着実に戦力化するため、教育・研修にもより一層力を入れていきます。また総労働時間の抑制をはじめとする各種働き方改革を恒常的に進め、求職者等に選ばれる企業づくりに努めてまいります。

② 新聞購読率低下への対応

昨今、新聞の購読率が低下しており、新聞折込の形で配布している当社としても、その影響を看過できない状況が現出しております。引き続き、新聞購読者層や折込状況の把握に努めながら、各種施設等への配架をはじめとする新聞折込を補う配布方法の開発・開拓を進めるとともに、「Web版タウンニュース」や「政治の村」「RareA(レアリア)」「メール版タウンニュース」「タウンニュースfor LINE」などデジタルメディアとの複合的情報発信を推進してまいります。

③ 紙代等コスト上昇への対応

昨今の世界的な資源高やウクライナ情勢等の影響、さらには急激な円安の進行に伴う輸入品価格の上昇等により物の値段が上がっております。

紙媒体を主力事業とする当社にとって、特に紙代の価格上昇は業績に与える影響が大きく、看過することはできません。こうしたリスクに対し、使用する紙質の検討や折込部数の的確な見直しなど機動的な取り組みを強化していくとともに、紙面以外のデジタル配信の更なる展開を進めてまいります。

④ 新型コロナウイルス感染拡大への対応について

当社は、地域情報の発信という当社の社会的使命を最大限果たすべく、コロナウイルス感染拡大防止対策として、従業員の体調管理の徹底、密を避けるための勤務体制の見直し、Web会議の導入などさまざまな感染予防・感染拡大の防止に努めております。今後も事業環境や状況の変化に応じた機動的な対応を進めながら事業活動を継続してまいります。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、主要事業であるタウンニュース事業さらには紙面以外の地域の広告需要を受注するプロモーション事業を一層拡大するとともに、経営効率を高め、売上規模と営業利益率の向上を目指しております。

 中期経営計画の最終年度である2024年6月期には、売上高3,650百万円、営業利益530百万円、経常利益550百万円、売上高営業利益率14.5%を目標としております。

 

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