以下の記載事項は、特に断りがない限り「有価証券報告書」提出日現在の事項であり、将来に関する事項は同提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。
当連結会計年度につきまして、当社グループは「デリバリーの日常化」を実現すべく、出前館の拡大に向けた取り組みを加速させてまいりました。コロナ禍における感染拡大抑制のための行動制限が緩和され、経済再開の機運が高まる中、個人の消費行動が活発化した結果、外食需要がコロナ禍前の水準近くまで回復した一方、フードデリバリー市場においては、このような外部環境の影響を大きく受けました。
そのような状況下、2022年4月26日から2022年6月30日の期間で第2弾となる1都3県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)での大規模なキャンペーンを実施したことで、対象地域においてはデリバリー需要を大きく創出することができ、また、キャンペーン終了後も事業拡大には決して理想的とは言えない環境の中で一定の成長を続けることが出来ました。DAU(デイリー・アクティブユーザー)におけるマーケットシェアも第3四半期に引き続いて全体の約5割を維持することができ、カテゴリー別のアプリダウンロード数では第1四半期から第4四半期を通して1位を記録するなど、業界におけるリーディングポジションの獲得にまた一歩前進する結果となりました。
広告宣伝費については、外部環境や市場状況を見極め、引き続きコスト効率を意識したフレキシブルな投資を実践しました。また、7月から8月にはデリバリーシステムの刷新を全国的に実施し、需要ヒートマップの導入やマッチングアルゴリズムの改善などで1件当たり配送報酬の最適化や配達時間の短縮に効果が表れています。今後もプロダクト改善を重ねることで、配達員をはじめ、ユーザー、加盟店の更なるサービス体験の向上を図ってまいります。
その結果、当連結会計年度の売上高は47,314,715千円(前期比63.4%増)と引き続き事業の拡大が続いているものの、積極的な事業展開と投資実行により、利益については、営業損失は36,442,071千円(前期は19,157,250千円の営業損失)、経常損失は36,595,131千円(前期は19,148,070千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は36,218,020千円(前期は21,869,010千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次の通りであります。
1.出前館事業
出前館事業セグメントにおきましては、当連結会計年度末におけるGMVは2,201億円(前期比35%増)となりました。また、当連結会計年度末のアクティブユーザー数は873万人(前期比19%増)、配達員数は前期比で258%となりました。
その結果、当連結会計年度のセグメント売上高の内訳は、出前館サービス利用料14,840,351千円、配達代行手数料29,605,972千円、その他2,374,451千円となり、セグメント売上高は46,820,775千円(前期比64.8%増)となりました。
2.通信販売事業
通信販売事業セグメントにおきましては、飲食店向けに焼酎などの通信販売を行っておりますが、引き続き新型コロナウイルス拡大に伴う飲食店の営業縮小の影響を受け、当連結会計年度のセグメント売上高は493,939千円(前期比9.1%減)となりました。なお、2022年6月30日に通信販売事業を譲渡しております。通信販売事業に係るセグメント売上高は、事業譲渡前の2021年9月1日から2022年6月30日までの10ヶ月間の累計売上高になります。
当連結会計年度末における流動資産残高は、前連結会計年度末比で48,821,173千円増加し、68,863,819千円となりました。主な要因は、現金及び預金が43,065,671千円増加し、未収入金が4,223,973千円増加したことによるものです。
固定資産残高は、前連結会計年度末比で10,495千円減少し、326,898千円となりました。主な要因は、建物及び構築物が34,316千円減少したことによるものです。
この結果、総資産残高は、前連結会計年度末比で48,810,678千円増加し、69,190,717千円となりました。
流動負債残高は、前連結会計年度末比で1,829,248千円増加し、14,915,206千円となりました。主な要因は、未払金が1,998,267千円増加し、賞与引当金が110,033千円減少したことによるものです。
固定負債残高は、前連結会計年度末比で368,175千円減少し、50,108千円となりました。主な要因は、預り保証金が362,661千円減少したことによるものです。
この結果、負債残高は、前連結会計年度末比で1,461,073千円増加し、14,965,314千円となりました。
純資産残高は、前連結会計年度末比で47,349,604千円増加し、54,225,403千円となりました。主な要因は、増資及び資本金からの振替により資本剰余金が99,288,650千円増加、親会社株主に帰属する当期純損失36,218,020千円計上したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、53,262,598千円となり、前連結会計年度末と比較して43,065,671千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、39,986,042千円(前連結会計年度は16,419,301千円の減少)となりました。主な増減の内訳は、税金等調整前当期純損失36,083,689千円、未収入金の増加4,223,173千円、未払金の増加2,164,678千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は、50,474千円(前連結会計年度は2,346,773千円の減少)となりました。主な増減の内訳は、事業譲渡による収入238,956千円、無形固定資産の取得による支出164,105千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、83,001,239千円(前連結会計年度は3,183千円の減少)となりました。主な増減の内訳は、株式の発行による収入77,616,947千円、自己株式の処分による収入5,400,998千円等によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
・自己資本比率:自己資本/総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1. 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、出前館事業におきまして、アクティブユーザー数は約873万人(前期比19%増)、加盟店数は約10万店(前期比20%増)、オーダー数は約8,603万件(前期比42%増)と増加したことによるものです。
2.主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
当社の資金需要のうち主なものは設備投資及び売上原価及び販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、広告宣伝費、外注費、給与手当、雑給、地代家賃であります。
当社グループの財務方針は、中長期にわたる持続的な成長を可能とする十分な資金源を確保するとともに、バランスシートを強化することにあります。資金調達については、中長期的な投資と短期的な投資それぞれに応じて資本コストを重視する柔軟な手段を講じて投資資金の確保を目指しており、今後も当社グループの成長を持続させるために営業活動によるキャッシュ・フローの強化やスポットでの資金需要に対応できる金融機関借入枠の確保等を図ってまいります。バランスシートについては、過重な投資を避け、有利子負債の少ないスリムなものをめざしてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」並びに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績や一定の仮定のもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状況」に記載の通りであります。
b.経営成績
(売上高)
当社では、注文1件につき加盟店からの出前館サービス利用料及び配達代行手数料、ユーザーからの送料を主な売上として計上しており(自社配送の場合は出前館サービス手数料のみ)、事業の拡大に伴う注文数の増加によって、売上高が大きく成長しました。事業規模の拡大を経営目標とした戦略のもと、ユーザー及び配達員の新規獲得や利用促進等への積極的な投資を行なった結果、新型コロナウイルスの影響による需要も引き続き大きい中で、フードデリバリーがより日常的な食事の選択肢となり、需要も一段と高いものとなりました。この結果、売上高は47,314,715千円(前期比63%増)と大きく増加しました。
(売上原価、売上総利益)
注文数の増加に伴う業務委託配達員への配達報酬が増加したことにより、売上原価は49,224,255千円(前期比190%増)となったことで、売上総損失は1,909,540千円(前期は売上総利益12,002,627千円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
ユーザーへの認知度向上及び利用促進のキャンペーン等に起因する広告宣伝費に前期に引き続き大きく投資を実行したことにより、販売費及び一般管理費は34,532,531千円(前期比10%増)となりました。この結果、営業損失は36,442,071千円(前期は営業損失19,157,250千円)となりました。
(営業外収益)
助成金収入と持分法による投資利益が増加したことにより、営業外収益は266,522千円(前期比560%増)となりました。
(営業外費用)
新株式の発行を行ったことにより、営業外費用は419,582千円(前期比1,245%増)となりました。
(経常利益)
経常損失は36,595,131千円(前期は経常損失19,148,070千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
事業譲渡益129,627千円、新株予約権戻入益589,301千円、過年度決算訂正関連費用181,403千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は36,218,020千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失21,869,010千円)となりました。
c.目標となる経営指標
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」で掲げておりました経営指標の前連結会計年度と当連結会計年度の目標と実績については以下の通りです。
当社は、メインビジネスである「出前館事業」における市場シェア拡大に向け、新規ユーザー獲得及び既存ユーザーの利用促進を狙ったキャンペーン等に積極的に投資を行った結果、デリバリー需要が拡大し、利用頻度の高いアクティブユーザー数が増加したことに伴いオーダー数も増加いたしました。その結果、当連結会計年度ではGMVを2,201億円(前期比35%増)まで伸長させることができた一方、営業利益につきましては競合他社との競争環境の激化やGMV及び市場シェア拡大へ向け、より積極的に広告宣伝費などへの投資を増加したことに伴い営業損失が拡大いたしました。売上高は前期比で63%成長しているものの、オーダー数の増加や積極的なキャンペーンの実施に伴い、売上原価に計上される業務委託配送員への配達報酬も大きく増加した結果、売上総利益率は△4%となり、前年度に比べて減少しております。営業利益率につきましても、事業拡大のための広告宣伝費等への積極的な投資の結果、前年に比べて大きく減少しました。
一方で、グローバルの競合他社の動向やマーケットの期待値を鑑みると、事業の拡大を継続するとともに収益性の改善に向けたより強固な事業基盤と経営管理体制を築く必要があると認識しており、「ユーザー体験・満足度の最大化」、「ユニットエコノミクスの改善」、「新しい収益モデルの構築」を来期の戦略的な優先事項として事業運営を行い、2023年8月期の経営目標であるGMVは2,310億円から2,420億円(当期比105%から110%)、売上高は580億円から620億円(当期比123%から131%)の達成を目指します。その結果、営業利益は△210億円から△190億円の赤字を見込んでいます。なお、オーダー数、アクティブユーザー数、売上総利益率、売上高営業利益率、EBITDAにつきましては目標GMVの達成に向けて注視するべき指標ではあるものの、目標値は設定しておりません。
d.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の主な資金需要は、業務委託配達員への配達報酬(売上原価)及び広告宣伝費にかかる投資であります。これら資金需要については、2021年9月に海外募集及びZホールディングス株式会社並びにNAVER Corporationに対する並行第三者割当増資によって約830億円の資金調達を完了したことから、当面は今後の事業投資に対して十分な資金を保持していると考えています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載の通り、市場動向、競合他社、技術革新、人材の確保育成、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は、優秀な人材の採用、事業の拡大、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社は競合他社と競争が厳しく、市場としては成長期にあるフードデリバリー業界において、GMV(取扱流通総額)及びマーケットシェアの拡大を通して、国内のNo.1プレイヤーになることをゴールとして取り組んでいます。今後はフードに限らず、日用品や医薬品などのアイテムを扱うクイックコマースの領域へも進出することで、デリバリーをより日常的なサービスとして普及させ、ユーザーの利便性・QOLの向上に寄与していけるよう事業の成長に励んでまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社が今後更なる成長と発展を遂げるためには、厳しい競争環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。そのため、上記の経営目標達成のためにプロダクトやサービスの改修に向けて投資を継続すると共に、費用の適正化を図って収益面の改善も進めてまいります。
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