(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国際情勢と世界的な需要の回復により原油等の資源価格が上昇しているものの、輸出の増加や生産活動の改善、底堅い個人消費等により持ち直しております。一方、感染症の帰趨と内外経済に与える影響、世界的な物価上昇と金融・為替市場の動向等、先行きに対する不透明感は拭えない状況であります。
葬儀業界におきましては、葬儀に関する潜在的需要は人口動態を背景に年々増加するものと推計されておりますが、核家族化や葬祭規模の縮小等により、葬儀単価の減少傾向が続いております。また、直近の業界環境といたしましては、葬儀件数は前期と比較して増加し、葬儀単価は感染症の影響に伴う葬祭規模の縮小および法要料理の販売減により、低下した状態が続いております。
かかる環境下、当社グループは顧客満足度の向上を図るべく「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」「徹底した人財教育によるサービスの向上」「ドミナント出店による利便性の向上」を戦略の基本方針とし、直営・フランチャイズ出店による徹底した差別化戦略を展開しております。
当連結会計年度におきましては、会館数260店舗体制をはじめとする中長期ビジョンの実現とその後の持続的な成長を目指すべく「新生ティア」のスローガンのもと中期経営計画を策定し、4項目のテーマを設け8つの戦略を推進してまいりました。新規出店の状況につきましては、直営は愛知県下に「ティア桶狭間」「ティア岡崎竜美丘」「ティア御器所」、三重県下に「ティア桑名江場」「ティア四日市垂坂」、千葉県下に「ティア野田」を開設し、リロケーションにより既存会館1店舗を閉鎖いたしました。また、三重県下のFC会館1店舗を直営に切り替え、「ティア桑名星川」としてリニューアルいたしました。フランチャイズでは、愛知県下に「ティア豊田中央」「ティア江南」「ティアみよし」を開設し、これにより直営83店舗、フランチャイズ57店舗の合計140店舗となりました。
売上原価におきましては、固定費は増加したものの売上高の増収効果により負担割合が低下し、経費面では、新店稼働に伴う固定費の増加や、積極的な人材確保および賃金制度改定により人件費等が増加いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は132億83百万円(前期比8.9%増)となり、売上原価率は前期と比べ0.6ポイント低下し、販売費及び一般管理費は前期比8.6%増となりました。これにより、営業利益は10億57百万円(同19.2%増)、経常利益では10億48百万円(同19.5%増)となりました。翌連結会計年度において既存会館2店舗のリロケーションを計画していることから減損損失1億45百万円を計上し、これにより親会社株主に帰属する当期純利益は5億68百万円(同4.8%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億8百万円減少し、営業利益および経常利益は、それぞれ47百万円減少しております。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
(a)葬祭事業
当連結会計年度におきましては、「ティアの会」会員数の拡大を図るべく、感染症の予防および拡散防止対策を講じつつ、各種会館イベントや提携団体・企業向けの営業等に取り組んでまいりました。葬儀件数におきましては、既存店の件数が増加したのに加え、新たに開設した会館の稼働により、前期比12.6%増の14,189件となりました。葬儀単価におきましては、葬儀付帯品の単価は増加したものの、祭壇売上、供花売上の単価がそれぞれ低下し、前期比2.9%減となりました。この結果、売上高は128億57百万円(同8.9%増)、営業利益は20億66百万円(同21.4%増)となりました。
(b)フランチャイズ事業
当連結会計年度におきましては、FC会館が前期と比べ2店舗増加したことにより物品売上が増加し、また「収益認識に関する会計基準」の適用により加盟料売上が増加いたしました。経費面ではFC本部の強化を図るべく人材を増員し、この結果、売上高は4億26百万円(同7.2%増)、営業利益は66百万円(同8.5%減)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は38億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億63百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2億13百万円、売掛金及び契約資産が84百万円増加したことによるものであります。固定資産は103億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億64百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が2億93百万円、繰延税金資産が1億13百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、141億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億27百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は42億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億63百万円増加いたしました。これは主に契約負債が17億37百万円増加したことによるものであります。固定負債は24億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億85百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が2億62百万円、社債が80百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、66億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億49百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は75億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億21百万円減少いたしました。これは主に収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の当期首残高が16億42百万円(純資産の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益が5億68百万円(純資産の増加)および剰余金の配当4億48百万円(純資産の減少)によるものであります。
この結果、自己資本比率は52.9%(前連結会計年度末は66.6%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、30億80百万円(前期比7.4%増)となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は13億53百万円(同1.2%減)となりました。これは主に、法人税等の支払額4億17百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益が9億2百万円、減価償却費が5億66百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9億6百万円(同31.7%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8億85百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億37百万円(同73.0%減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入15億50百万円がありましたが、短期借入金の返済による支出17億1百万円、長期借入金の返済による支出4億58百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前期比(%) |
金額(百万円) |
||
葬祭事業 |
12,857 |
8.9 |
フランチャイズ事業 |
426 |
7.2 |
合計 |
13,283 |
8.9 |
(注) 金額は販売価格によっております。
d.葬儀請負の実績
最近2連結会計年度の地域別葬儀請負施行件数の実績は、次のとおりであります。
地域 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
店舗数 |
施行件数(件) |
店舗数 |
施行件数(件) |
|
名古屋市内 |
36 |
6,627 |
37 |
7,334 |
愛知県内(名古屋市内を含まず) |
26 |
4,172 |
27 |
4,632 |
愛知県外 |
15 |
1,800 |
19 |
2,223 |
合計 |
77 |
12,599 |
83 |
14,189 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額および偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要としておりますが、結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度につきましては、前期比で2期連続の増収増益となりました。
(売上高)
売上高における増減要因分析といたしましては、葬祭事業は葬儀単価が低下したものの葬儀件数が増加し、前期比8.9%増収の128億57百万円となりました。フランチャイズ事業におきましては、FC会館が前期と比べ2店舗増加したことにより物品売上が増加し、また「収益認識に関する会計基準」の適用により加盟料売上が増加し、前期比7.2%増収の4億26百万円となりました。これにより、売上高は前期比8.9%増収の132億83百万円となりました。
(売上原価)
売上原価におきましては、売上高の増収効果により前期と比べ0.6ポイント低下し、売上原価率は60.4%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費におきましては、新店稼働に伴う固定費の増加や、積極的な人材確保および賃金制度改定により人件費等が増加し、前期比8.6%増の41億98百万円となりました。
(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)
利益におきましては、経費は増加したものの売上高の増収により、営業利益で前期比19.2%増益の10億57百万円、経常利益は前期比19.5%増益の10億48百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益では、翌連結会計年度に既存会館2店舗のリロケーションを予定していることから減損損失1億45百万円を計上し、これにより前期比4.8%増益の5億68百万円となりました。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
2022年4月26日に「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表し、通期連結業績予想を修正いたしました。売上予想としましては、2021年11月12日公表しました連結業績予想(以下 期初予想)に、上半期の増収分を見込み修正し、また、利益予想におきましては、期初予想に上半期の増益分および下半期の補正予算対応分(追加の営業促進費用、人事制度改定に伴うコンサルティング費用、DX関連費用等)を見込み修正いたしました。これにより売上高は130億70百万円(前期比7.1%増)、経常利益で9億60百万円(前期比9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益では、6億円(前期比10.6%増)を予想しておりました。
これに対し実績は、修正予想に対し売上高は2億13百万円の増収、経常利益におきましては88百万円の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益では、減損損失を計上したことから、31百万円の減益となりました。
③財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源および資金の流動性につきましては、事業の運営上、必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価の主な構成要素であります葬儀施行に伴う外注費、労務費、経費のほか販売費及び一般管理費、有利子負債の返済及び利息の支払等があります。投資を目的とした資金需要は葬儀会館の建設等の設備投資によるものであります。
運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて銀行借入を利用していく方針であります。
当社グループは健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達は可能であると考えております。
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