課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営方針

当社グループは「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念とし、物売りでもなく、押し売りでもなく「儀式を尊厳する形と洗練された心の追求」を忘れない姿勢で取り組む事とデスケアを通じて社会貢献する事を事業の基本理念とし、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、1997年に創業いたしました。

(2)経営環境及び経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、葬儀に関する潜在的需要は人口動態を背景に年々増加するものと推計されておりますが、葬儀単価におきましては、核家族化や葬祭規模の縮小等により減少傾向が続いております。また、葬儀業界の新たな潮流としましては、「高齢化や核家族化による葬祭規模の縮小と葬儀単価の低下」「大手葬儀社の営業エリア拡大と異業種からの業界参入による競争激化」「高齢世帯の更なる高齢化と高齢者独居率の上昇等、社会インフラとしての葬儀社の役割」といった課題が顕在化しております。

当社グループは、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」「徹底した人財教育によるサービスの向上」「ドミナント出店による利便性の向上」を戦略の基本方針とし、直営・フランチャイズ出店による徹底した差別化戦略を展開しております。「ドミナント出店による利便性の向上」では名古屋市内に1号店となる「ティア中川」を開設し、その後も中部地区で積極的なドミナント出店を行うとともに、関東地区・関西地区への進出やフランチャイズによる多店舗化を推進しております。これにより2022年9月末現在、直営83店舗(会館店舗73店舗・葬儀相談サロン10店舗)・フランチャイズ57店舗の合計140店舗となりました。

また、「明瞭な価格体系による葬儀費用の明確化」では創業当時より一貫して葬儀価格の透明性に努めており、当社独自の会員制度「ティアの会」を中心に、明瞭な価格体系による葬儀を提供しております。さらに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」では葬儀に関する知識や技術的な教育のみならず、ビジネスマナーや徳育的な観点による人材教育を積極的に手掛け、サービス業としての質的向上にも努めてまいりました。これらの取り組みにより、ご利用されるお客様の支持を獲得し、2022年9月末現在、会員数は47万人を超え、年間の葬儀施行件数は20,000件(直営、フランチャイズ合計)を超えるまでに業容は拡大しております。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは会館数260店舗体制をはじめとする中長期ビジョンを策定しその実現に向けて、中部地区では新規出店の継続により経営基盤の更なる強化を図るとともに、関東地区・関西地区では会館による出店と、加速できる体制を整備する局面であると判断しております。

また、直営・フランチャイズによる中長期の出店方針に加え、「外部環境の変化に伴う課題の認識と対応した施策」「内部体制の更なる強化と中長期を見据えた施策」「計画的な人材確保と教育体制の充実により強い組織集団を実現する施策」「倫理コンプライアンス体制の確立に向けた施策」の推進が中長期ビジョンを目指すうえでの必要条件であると考えております。さらに、企業価値を高め、株主共同の利益を確保・向上させる取り組みも必要であると判断しております。

そこで、当社グループといたしましては、「新生ティア」のスローガンのもと、中期経営計画を策定し以下の4項目のテーマに取り組んでまいります。

① 直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長

当社グループの中長期ビジョンであります会館数260店舗体制の実現と既存会館の持続的な成長に向けて、中部地区では多様な出店フォーマットによる出店継続と営業力強化、関東地区では会館による出店と東京都内向け葬儀相談サロンの収益力向上、関西地区では新規出店により、既に展開しているエリアの事業基盤の強化に取り組んでまいります。

フランチャイズにおきましては、業務支援体制の整備および人材育成によりFC本部の機能を強化し、計画に則った新規加盟および出店契約と会館開設・運営支援、既存会館の持続的な成長実現に取り組んでまいります。

② 中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上

中核エリアでのシェア向上にこだわった営業促進を積極的に実施するとともに、終活支援体制およびコンタクトセンターの情報一元管理システムを構築してまいります。既存会館の対応としましては、葬儀ニーズの多様化に対応した設備の増設や計画的な改修を実施するのに加え、契約期間満了時のマネジメントにも取り組んでまいります。

また、インターネットからの会員獲得、葬儀受注の増加を図るべく、WEBマーケティングを強化してまいります。PR・IR活動におきましては継続的に実施し、中部地区・関東地区・関西地区のみならず、日本全国を対象に当社グループの知名度と認知度の向上に努めてまいります。さらに、DX・SXデザイン事業本部を新たに設置し、PDCAサイクルによる施策の提案、SDGs・サスティナブル経営に向けた環境整備に取り組んでまいります。

③ 葬儀付帯業務の内製化拡大と行動力と分析能力を高めたM&A

葬儀付帯業務の更なる内製化を推進すべく、セレモニーアシスタント・セレモニーガードの派遣エリアの拡大、生花事業の取り扱い会館の増加、湯灌・エンバーミングの業務エリア拡大と提供内容の充実等に取り組んでまいります。また、葬儀後のアフターサービスとして墓石の販売にも注力してまいります。

M&Aにつきましては、業界環境が変化するなか、事業の統廃合が活発化しつつあると予想されることから、当社グループによる能動的な情報収集に努めてまいります。また、M&A関連の情報に対して、機動的な行動力と分析能力を高め、適正な判断のもとM&Aの実行を目指してまいります。

④ 計画に則した人材確保・育成と次世代基幹システムの構築

ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応と、次世代基幹システム構築に取り組んでまいります。また、ICTにおける脅威への対応として、重大な結果に繋がりかねない出来事や状況を早期に発見できる検知システムの運用およびセキュリティに関する専門的な知識を有する人材の確保、人材教育を通じて従業員一人一人がセキュリティ対策を行える体制を目指してまいります。

新卒採用におきましては、多様な採用環境に対応すべく従前からの採用活動に加え、リモートにも対応した新卒採用プログラムを運用してまいります。人材育成では、新卒社員の早期育成を目指した12ヶ月間の新卒教育プログラムを設け、既存社員に対しては、施行品質の向上を目的とした研修に加え、管理職候補者育成の研修を実施してまいります。また、従業員のエンゲージメントを向上させるべく、外部のリソースを活用した部門横断型のプロジェクトを発足し、現状における問題や課題の改善を図るとともに、中長期ビジョンに則った人事制度を構築してまいります。

(4)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは翌連結会計年度の業績予想および中期経営計画の三カ年利益計画を公表しており、翌連結会計年度の業績予想の達成状況並びに三カ年利益計画の進捗状況を経営指標としております。

(5)経営方針、経営環境及び対処すべき課題における新型コロナウイルス感染症の影響

当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響としましては、葬祭規模の縮小および法要料理の販売減により葬儀単価が低下し、以降も同水準で推移しております。翌連結会計年度(2023年9月期)における葬儀単価の見通しとしましては、感染症の影響は一定程度継続すると想定しており、以降(2024年9月期)も同水準で推移すると予想しております。

この前提に基づき、翌連結会計年度の業績予想および中期経営計画の三カ年利益計画を策定しております。

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