(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により、企業や個人の経済活動は停滞いたしました。また、原油や商品価格が上昇するなど、先行き不透明な状況が続いており、景気回復が順調には進まないという懸念もあります。
和装業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、催事の制限や、需要の落ち込みなど、先行きが不透明な状況が続いており、新型コロナウイルス感染症の影響下における和装業界のあり方など、継続して検討していく環境下にあります。
このような事業環境のもと、日本和装ホールディングス株式会社及び重要子会社である株式会社はかた匠工芸、ニチクレ株式会社を中心とする当社グループは、新組織体制として3期目をスタートしました。
当連結会計年度の営業活動は、第1四半期は、政府や各自治体の要請に従い、着付け教室やイベント等を中止、延期若しくは開催時間の変更をしてまいりました。このため販売仲介の機会は減少し、来場者数も減少することとなりましたが、ご来場いただいたお客様に対しては満足度の高いサービスを提供することで一定の実績をあげることができ、第1四半期連結累計期間の経営成績としては想定通り堅調に推移しました。また、2021年3月、今後の海外事業の拠点とするべくシンガポールにて海外事業を統括及び推進するNihonwasou Asia Pacific Holdings Pte.Ltd.を設立いたしました。第2四半期には、上場15周年企画として、「創業地・福岡の食と職を巡る旅」、女性による女性のためのきものフォーラム「THE WOMEN'S LIFE」などを開催し、好評を博しました。当社恒例のイベントの中でも特に力を入れている全国16会場で行われた「縁の会」と東京が会場となる「遊々会」には約2千人が来場され、好調な結果となりました。また、シナジー効果もありグループ会社(ニチクレ株式会社及び株式会社はかた匠工芸)の業績も順調に推移いたしました。その結果、第2四半期連結累計期間における各段階利益は黒字を確保することができました。第3四半期以降も順調であった第2四半期連結会計期間の状況が引続き継続した結果となりました。8月には第14回となる「きものブリリアンツ全国大会」を帝国ホテルで開催し、好評裏に終えることができました。9月からは秋の「超・着付け教室」を順次開講し、本格的にスタートした富裕層の方向けのエグゼクティブ限定コースもご好評いただいております。また、「日本の伝統匠の技を感じる京都ツアー」、「奄美大島世界自然遺産記念イベント」、「心ふるわせる琉球染織沖縄ツアー」などを実施し、ご参加いただいたお客様から好評をいただきました。
新型コロナウイルス感染症による営業活動への影響を受けながらも、既存のビジネスモデルに新しいサービスを取り入れ、より一層、お客様にきものの魅力を感じていただけるよう質の高いサービスを提供してきたことにより、コロナ禍においても業績を残せる体制が維持できたものと考えております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、売上高5,058百万円(前期比11.2%増)、営業利益445百万円(前期比178.1%増)、経常利益448百万円(前期比186.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益270百万円(前期比187.0%増)と、厳しい経済環境におかれるなかでも増収増益となりました。
なお、当社グループは、和服及び和装品の販売仲介を中心としたきもの関連事業の単一セグメントのため、セグメント情報に関連付けた記述を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は8,553百万円となり、前連結会計年度末に比べ90百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が239百万円増加した一方で、ニチクレ株式会社が保有する割賦売掛金が115百万円及び未収入金が30百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は404百万円となり、前連結会計年度末に比べ37百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が19百万円、敷金及び保証金が25百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、8,958百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,900百万円となり、前連結会計年度末に比べ151百万円増加いたしました。これは主に、未払金が75百万円、未払法人税等が100百万円、前受金が90百万円増加した一方で、短期借入金が104百万円及び割賦利益繰延が25百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は1,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ268百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が268百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、5,661百万円となり、前連結会計年度末に比べ117百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,296百万円となり、前連結会計年度末と比べ169百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益270百万円、配当金の支払108百万円等によるものであります。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は36.8%(前連結会計年度末は35.1%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,660百万円(前連結会計年度は2,431百万円)となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は751百万円(前連結会計年度は419百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益421百万円、ニチクレ株式会社(当社顧客向けショッピングクレジット事業)の割賦売掛金の減少115百万円、前受金の増加90百万円及び未払金の増加75百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は47百万円(前連結会計年度は40百万円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出22百万円、敷金及び保証金の差入による支出12百万円及び定期預金の預入による支出10百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は482百万円(前連結会計年度は167百万円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入2,000百万円、長期借入金の返済による支出2,198百万円、短期借入金の純減少額175百万円及び配当金の支払額108百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、一部織物の製造及び販売を行っておりますが、主として仲介業であるため、生産実績の記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは、一部織物の製造及び販売を行っておりますが、主として仲介業であるため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは、和服及び和装品の販売仲介を中心としたきもの関連事業を行う単一セグメントであるため、事業の種類ごとに示すと、次のとおりであります。
種類 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
きもの関連(千円) |
5,058,781 |
11.2 |
その他 (千円) |
15 |
△55.5 |
合計(千円) |
5,058,797 |
11.2 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、金額には消費税等は含まれておりません。
相 手 先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
となみ織物株式会社 |
597,020 |
13.1 |
747,741 |
14.8 |
株式会社長嶋成織物 |
531,199 |
11.7 |
567,054 |
11.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりでありますが、このうち売上高、販売費及び一般管理費について、当連結会計年度に実施いたしました営業施策に関係付けて分析すると、以下のとおりであります。
a.売上高について
当連結会計年度の売上高は5,058百万円(前期比11.2%増)となりました。
このうち、「日本和装」事業における販売機会別売上高の対前期比較は下記のとおりです。
・無料きもの着付け教室(新規受講者)による売上高が、前期比で1.3%増加
・卒業生(会員)向け教室による売上高が、前期比で24.2%増加
・卒業生(会員)向け販売イベントによる売上高が、前期比で19.6%増加
b.販売費及び一般管理費について
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,097百万円(前期比8.2%増)となりました。
主要な要因は下記のとおりです。
・戦略的に新規受講者募集の広告宣伝費を投下したことにより、広告宣伝費が前期比で203百万円増加
・上場15周年企画開催等によりイベント経費等が増加したことや、前期に比べ新型コロナウイルス感染症の影響が減少したことにより、イベント経費等が前期比で61百万円増加
・外部委託費等の増加により、支払手数料が前期比で39百万円増加
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの所要資金は、大きく分けて販売仲介の過程で生じる契約企業への支払資金、割賦販売斡旋業に係る立替資金及び経常の運転資金であります。
これらの資金のうち、契約企業への支払資金については、販売会やイベントなどの販売機会において消費者が購入した販売代金をいったん当社が受領し、10日後に精算することから、資金の流動性には問題はないと考えております。割賦販売斡旋業に係る立替資金については、所要資金の不足を銀行借入により調達しております。
現状、ただちに資金が不足する状況にはありませんが、回収よりも支払が先行する割賦販売斡旋事業については、業況の変化等について十分に考慮し、必要な流動性を確保していく所存であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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