業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績                                        (単位:百万円)

 

売上収益

事業利益(※)

営業利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

2021年12月期

437,159

8,142

22,029

12,331

2020年12月期

434,723

4,261

△15,938

△16,071

増減率(%)

0.6

91.1

 ※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。

 

<売上収益>

 売上収益は、主に酒類事業の増収により、前期比0.6%増、24億円増収の4,372億円となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による度重なる緊急事態宣言の発出及びまん延防止等重点措置による酒類提供制限等の影響を受け、国内酒類や外食における業務用ビールの売上や、食品飲料の自動販売機における売上は前期から減少となったものの、家庭用商品はビール・RTD(※)の缶商品売上が前期を上回りました。また、海外酒類ではアメリカにおける外出制限解除による経済回復を背景に、アメリカのサッポロブランドビールは過去最高売上数量を更新したこと等が寄与し、増収となりました。食品飲料では、健康志向の高まりにより「キレートレモン」及び「ポッカレモン」が過去最高の売上数量を更新し、当社グループの増収に貢献しました。

 

※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料

 

<事業利益>

 事業利益は、コスト構造改革による費用の減少等により、前期比91.1%増、39億円増益の81億円となりました。国内酒類、外食、食品飲料においては、早期退職優遇制度に伴う従業員数の減少により費用が減少しました。また、外食では不採算店舗の閉店と低コスト業態の出店を同時に行い、損益分岐点引き下げのための取り組みを行いました。

 

<営業利益>

 営業利益は、事業利益の増益に加え、主に投資不動産の売却によるその他の営業収益の増加等により、380億円増益の220億円となりました。

 

<親会社の所有者に帰属する当期利益>

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益、金融損益の改善等により、前期比284億円増益の123億円となりました。また、基本的1株当たり利益は158.30円(前期△206.31円)となり、親会社所有者帰属持分比率は27.3%(前期24.3%)となりました。

 

以下、報告セグメント別の概況は記載のとおりです。

(単位:百万円)

 

売上収益

事業利益

営業利益

2020年

12月期

2021年

12月期

増減率(%)

2020年

12月期

2021年

12月期

増減率(%)

2020年

12月期

2021年

12月期

増減率(%)

酒類事業

285,427

289,678

1.5

2,368

5,441

129.7

△4,861

2,146

食品飲料事業

125,861

125,453

△0.3

△2,621

712

△16,921

△3,386

不動産事業

23,262

21,863

△6.0

10,853

8,226

△24.2

11,892

29,254

146.0

その他・調整額

172

166

△3.5

△6,339

△6,237

△6,048

△5,985

合計

434,723

437,159

0.6

4,261

8,142

91.1

△15,938

22,029

 

〔酒類事業〕

(国内酒類)

新型コロナウイルス感染症の影響により、業務用市場の需要は前期から引き続き甚大な影響を受け、日本国内のビール類総需要は、前期比95%に留まったと推定されます。

そのような中、当社グループはビールの魅力化、多様化の提案を続けてきており、ビールの缶製品が継続的に成長しています。主力の「サッポロ生ビール黒ラベル」や「ヱビスブランド」の缶製品売上数量はそれぞれ前期比110%、102%と好調に推移しました。また、新ジャンルでは、売上数量が前期比116%であった「サッポロ GOLD STAR」が国内外で3つの賞を受賞し、高く評価されました。以上の結果、缶製品の売上数量は増加したものの、業務用商品の売上数量減により、ビール類合計の売上数量は前期比96%となりました。

また、微アルコールビールテイストでは9月に「サッポロ The DRAFTY」を発売し、新しい市場の開拓に挑戦しています。

RTDでは、3月に発売した缶の新商品「サッポロ 濃いめのレモンサワー」が好調で、コラボRTDの主軸商品である「男梅サワー」も順調に推移し、売上収益は前期を大幅に上回りました。

国内製造ワインでは「グランポレール」が家庭用市場で好調に推移しました。輸入ワインでは、「パラ・ヒメネス」がオーガニック需要拡大の波を捉え、好調に推移しました。また、世界的に評価の高いフランスのワインメーカーM.シャプティエ社と日本国内における販売契約を新たに締結し、「プレミアム価値」を体現するファインワインのラインナップの拡充を行いました。

輸入洋酒では、スコッチウイスキー「デュワーズ」が家庭用市場での拡大もあり、売上収益は好調に推移しました。

和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※)の「こくいも」、「濃いめのレモンサワーの素」が引き続き好調に推移し、売上収益は前期を上回りました。

 

(海外酒類)

 北米のビール類総需要は、新型コロナウイルス感染症の影響により、業務用市場の需要は前期から引き続き厳しく、カナダは前期を下回ったものの、アメリカは回復傾向にあり、前期を上回ったと推定されます。

 海外ブランドでは、スリーマン社による戦略的な商品改廃により、ビールの売上数量は前期を下回りましたが、注力しているRTDの売上数量は前期を上回りました。サッポロブランドビールでは、家庭用への取組の強化が奏功したと共に、アメリカのレストランの営業制限解除に伴い業務用市場が回復したことにより、アメリカにおける売上数量は過去最高を記録しました。

 

(外食)

新型コロナウイルス感染症の影響により、パブレストラン・居酒屋業界全体が前年から引き続き甚大な影響を受けています。当社グループの外食事業においても、酒類提供制限の期間は多くの店舗で休業・営業時間の短縮となる状況が続き、各種制限解除後も新型コロナウイルス感染防止対策を実施し、店舗営業を行いました。

そのような中、食事メニューやテイクアウト・デリバリー商品の強化、不採算店舗の閉鎖・低コスト低オペレーション業態へのシフト等に取り組み、売上収益は前期から減少しましたが、事業損失は前期から改善しました。なお、12月末時点の店舗数は162店舗となりました。

 

 以上の結果、酒類事業の売上収益は2,897億円(前期比43億円、1%増)となり、事業利益は54億円(前期比31億円、130%増)、営業利益は21億円(前期は49億円の損失)となりました。

 ※ インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2020年2月~2021年11月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計

 

〔食品飲料事業〕

 日本国内の飲料総需要は、前期比101%と推定されます。国内飲料では、クエン酸による疲労感軽減効果への期待を追い風に、瓶商品に加え、「キレートレモンWレモン」や「キレートレモンクエン酸2700」も伸長し、「キレートレモン」が過去最高の売上数量を更新しました。その結果、レモン飲料は前期比115%と好調に推移しましたが、自動販売機での販売減が影響し、飲料合計の売上数量は前期並みとなりました。

加工食品では、発売から25周年を迎えた「じっくりコトコト」シリーズとして注力している冷製缶スープの売上数量は前期比127%と大きく上回りました。

レモン食品では、「ポッカレモン」が家庭内需要の拡大により引き続き好調で、売上数量は前期比107%と上回り、「キレートレモン」同様に過去最高の売上数量となりました。レモンの持つ健康維持などの価値を提供する活動として、アルビレックス新潟への食育サポートをスタートさせました。さらに国産レモン生産振興のため、大崎上島町で自社栽培をしているレモンが初収穫を迎えました。このような取り組みを通じ、レモン市場の活性化を目指します。

プランツミルクでは、健康志向の高まりにより、豆乳ヨーグルトが貢献し、売上数量は前期比109%と上回りました。また、豆乳ヨーグルトに含まれる免疫活性成分の優位性について研究成果を発表する等、豆乳ヨーグルトの価値向上と理解浸透への取り組みも行いました。

カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開するポッカクリエイト社は、カフェ業界が前期から新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、影響が生じる以前の水準まで回復はしていませんが、売上収益は前期を上回りました。

 

 以上の結果、食品飲料事業の売上収益は1,255億円(前期比4億円、0%減)となり、事業利益は7億円(前期は26億円の損失)、営業損失は34億円(前期は169億円の損失)となりました。

 

〔不動産事業〕

 首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率及び平均賃料水準は下降トレンドにあります。

 そのような中、不動産事業では、収益の柱である「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ首都圏を中心に保有する物件において一部のテナントが退去し、稼働率は低下しました。一方で、「恵比寿ファーストスクエア」等の売却や、商業施設等を保有するファンドへのエクイティ投資など、物件ポートフォリオの戦略的な組み替えを行いました。商業施設では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、恵比寿ガーデンプレイスでは2022年の商業棟リニューアル開業に向け改装工事を進めています。

 

 以上の結果、不動産事業の売上収益は219億円(前期比14億円、6%減)、事業利益は82億円(前期比26億円、24%減)、営業利益は293億円(前期比174億円、146%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2020年12月期

2021年12月期

増減額

流動資産

160,829

167,806

6,977

非流動資産

455,520

426,745

△28,775

資産合計

616,349

594,551

△21,798

流動負債

216,243

210,535

△5,707

非流動負債

250,555

220,688

△29,867

負債合計

466,798

431,224

△35,575

資本合計

149,551

163,327

13,777

負債及び資本合計

616,349

594,551

△21,798

(資産)

 資産合計は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産等が増加した一方、その他の流動資産、投資不動産、有形固定資産等の減少によって、前連結会計年度末と比較して218億円減少し、5,946億円となりました。なお、㈱ポッカクリエイト他の有形固定資産61億円を含む資産101億円は、売却目的で保有する資産に分類しており、各科目の減少要因となっております。

(負債)

 負債合計は、未払法人所得税、その他の流動負債等の増加があった一方、社債及び借入金(流動)、社債及び借入金(非流動)、リース負債(非流動)等の減少によって、前連結会計年度末と比較して356億円減少し、4,312億円となりました。なお、㈱ポッカクリエイト他のリース負債(非流動)29億円を含む負債61億円は、売却目的で保有する資産に直接関連する負債に分類しており、各科目の減少要因となっております。

(資本)

 資本合計は、期末配当の実施があった一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、その他の資本の構成要素が増加したことにより、前連結会計年度末と比較して138億円増加し、1,633億円となりました。

(各種財務指標)

 流動比率は、前連結会計年度の74.4%から79.7%に5.3ポイント増加しております。これは、㈱ポッカクリエイト他の非流動資産を売却目的で保有する資産に分類したこと等で流動資産が70億円増加し、社債及び借入金(流動)の減少等で流動負債が57億円減少したことによるものです。

 親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の24.3%から27.3%に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、在外営業活動体の換算差額の増加等によって、親会社の所有者に帰属する持分が増加したことによるものです。

 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の△9.9%から7.9%に増加しております。これは、「①業績」に記載のとおり当連結会計年度において親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したことによるものです。

 ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の1.5倍から1.1倍に減少しております。これは、親会社の所有者に帰属する持分が増加し、社債及び借入金(流動及び非流動)の減少等でネット有利子負債が減少したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ24億円、12%減少し、当連結会計年度末には174億円となりました。

 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2020年12月期

2021年12月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

16,466

30,308

13,842

投資活動によるキャッシュ・フロー

△16,000

20,729

36,729

フリー・キャッシュ・フロー

466

51,037

50,571

財務活動によるキャッシュ・フロー

4,138

△53,080

△57,218

現金及び現金同等物に係る換算差額

△86

777

863

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

4,519

△1,266

△5,785

現金及び現金同等物の期首残高

15,215

19,734

4,519

売却目的保有に分類される処分グループに係る資産に含まれる現金及び現金同等物(△は減少)

△1,100

△1,100

現金及び現金同等物の期末残高

19,734

17,368

△2,366

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、303億円(前期比138億円、84%増)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形資産除売却損益217億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費227億円、税引前利益212億円、減損損失75億円による増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は、207億円(前期は160億円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出120億円、投資不動産の取得による支出81億円があった一方、投資不動産の売却による収入404億円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、531億円(前期は41億円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入65億円があった一方、社債の償還による支出300億円、長期借入金の返済による支出193億円があったことによるものです。

 なお、当連結会計年度末のびセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

酒類

食品飲料

不動産

その他

全社又は消去

連結合計

EBITDA(注)

 2021年12月期

15,477

3,747

13,687

37

△4,308

28,639

 2020年12月期

12,743

2,940

16,043

0

△4,375

27,351

 増減

2,734

807

△2,356

37

67

1,288

設備投資

(支払ベース)

 2021年12月期

7,143

5,068

8,218

845

21,274

 2020年12月期

6,887

2,777

3,973

1

2,517

16,156

 増減

256

2,291

4,245

△1

△1,672

5,118

減価償却費及び

償却費

 2021年12月期

11,166

4,132

5,461

0

1,901

22,660

 2020年12月期

12,230

6,766

5,344

1

1,862

26,202

 増減

△1,064

△2,634

117

△0

39

△3,542

(注) EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかるリース資産の減価償却費を除いております。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。

重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。

 経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。

 

④事業戦略と見通し

次期は、国内・海外共に新型コロナウイルスの新たな変異株の影響もあり、市場環境は依然として不透明な状況が続くことが想定されます。国内では、まん延防止等重点措置などによる飲食店への営業時間・人数などの制限の影響によって経済が停滞する可能性があります。しかしながら、ワクチンの追加接種や経口薬の普及が進むことを前提に、市場環境は回復に転じると考えられ、家庭用商品の需要の伸びは落ち着き、外食事業や業務用商品の需要は緩やかながらも回復することが想定されます。一方で、在宅勤務やテレワーク等の定着により、オフィス需要は厳しい環境が続くことが考えられます。

次期の見通しにつきましては、業務用市場の回復が予想されることから、売上収益4,787億円、事業利益100億円、営業利益73億円、親会社の所有者に帰属する当期利益50億円を見込んでおります。

このような中、当社グループは引き続き主力ブランドの強化に注力し、国内酒類ではビール強化と共に、仙台工場のRTD製造設備の新設を予定するなど、RTD強化にも注力します。海外酒類では北米を中心に、更なる成長を目指します。

酒類事業や食品飲料事業において原材料高騰が見込まれますが、コスト削減を中心とした構造改革を継続し、外食事業の赤字圧縮、食品飲料事業の成長を実現し、不動産事業では長期修繕なども含んだ戦略的価値向上を図り、グループ全体の収益性の向上に努めます。

 

〔酒類事業〕

(国内酒類)

 ビールの魅力化と新市場へのチャレンジを継続し、熱狂的なファンづくりを推進していきます。ビールは、多様な個性と魅力に触れる接点・仕組みを構築し、プレミアム価値の追求による成長を進めます。家庭で手軽に楽しむ新ジャンルやRTDでは主要ブランドに注力し、リーズナブル価値を追求し成長を加速させます。また、微アルコールビールテイスト「サッポロ The DRAFTY」やノンアルコールの機能性表示食品「サッポロ LEMON'S FREE」等による、新しい市場創造へのチャレンジを積極的に行います。また、更なる収益力向上に向け、コスト構造改革を進めます。

 

(海外酒類)

「Sapporo Premium Beer」をはじめとしたプレミアムブランドの浸透を図り、それぞれのエリア特性を踏まえた戦略を遂行していきます。アメリカでは、Sapporo及びAnchorブランドの成長を加速させるとともに、新商品発売などにより収益構造を改善させます。カナダでは、スリーマン社のプレミアムブランドのビール、RTDの強化及びコスト構造改革により収益力向上を目指します。

 

(外食)

 社会のニーズ変化に対応すべく、新たな商圏の研究と収益率の高い業態の展開・開発を加速させます。また、店舗賃料の減額交渉、効率的な働き方・人員配置による人件費抑制など、コスト圧縮と収益力強化に向けた構造改革に引き続き取り組みます。

 

〔食品飲料事業〕

「H(健康)+ESG経営」を理念とし、各事業において強みを活かした戦略を遂行していきます。

国内飲料では、生産振興や地域支援の観点から国産原料を用いた「TOCHIとCRAFT」シリーズをソーシャルグッド・ドリンク(※)と明確な位置づけを行い、販売をより強化します。

レモン食品・飲料では、「ポッカレモン」は広がる使用機会に対応した施策及び用途拡大を、「キレートレモン」はクエン酸による疲労感軽減などレモンならではの健康価値を訴求し、両商品とも過去最高出荷の更新を目指します。

加工食品は、主力の「じっくりコトコト」を中心にこれまでの嗜好価値にとどまらず、より健康的な価値を付与することで需要拡大に努めます。

プランツミルクでは、引き続き豆乳ヨーグルトを中心に、伸長する植物性ミルク市場に対応していきます。

 ※ 社会に対して良いインパクトを与える製品

 

〔不動産事業〕

 不動産賃貸では、ハード・ソフト両面における競争力強化を継続し、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上に取り組んでいきます。中核施設である「恵比寿ガーデンプレイス」や「サッポロファクトリー」では、多様なライフスタイル・ワークスタイルの変化に合わせ、利便性向上を図るとともに、新たな機能・付加価値を提供することで、収益の維持向上と、「まち」全体のブランド価値向上を目指します。また、不動産事業全体の価値向上を図るため、保有物件ポートフォリオの戦略的な組み替え等を通じて、恵比寿・札幌でのまちづくりを推進するとともに、私募ファンドへのエクイティ投資など、新たな事業領域での収益獲得に今後も取り組んでいきます。

 

⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ)キャッシュ・フローの分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。

 

2020年12月期

2021年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

24.3

27.3

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

25.2

28.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

18.2

8.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

9.9

20.1

親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い

(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

   3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象

としております。

 

ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。

 当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。

 現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入れによって調達しています。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 今後の方針につきましては、「サッポログループ長期ビジョン『SPEED150』」のもと、取り組みを推進します。

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(kl)

 

前期比(%)

酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)

733,466

△1.2

酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等)

93,422

33.0

食品飲料事業(飲料水等)

318,757

△0.8

 

②受注実績

 当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

 

前期比(%)

酒類事業

289,678

1.5

食品飲料事業

125,453

△0.3

不動産事業

21,863

△6.0

報告セグメント計

436,993

0.6

その他

166

△3.5

合計

437,159

0.6

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

国分グループ本社㈱

53,630

12.3

53,187

12.2

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

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