当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社は、「養命酒関連事業」の単一の報告セグメントとしており、その他の事業等については、重要性が乏しいため、一部記載を省略しております。
また、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績
当事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策等により、経済社会活動は正常化に向かいつつあるものの、景気は依然として厳しい状況が続いており、先行き不透明な状況で推移いたしました。このような状況の中で当社は、経営理念「生活者の信頼に応え、豊かな健康生活に貢献する」の下、事業ビジョン「すこやかでより良い時間を願う人々を応援する」に基づき、中期経営計画(2018年4月~2022年3月)において、「持続的成長に向けた事業基盤の構築」を基本方針として「選択と集中」「スピードと効率」「コスト管理の徹底」「経営基盤の強化」の基本戦略を推進し、「養命酒の売上回復」と「酒類食品分野の伸長カテゴリーへの注力」により事業の拡大と収益性の向上に取り組んでまいりました。
当事業年度の売上高は、前年同期比1.9%増の10,577百万円となりました。養命酒関連事業の売上高は、国内養命酒の売上が堅調に推移したことにより前年同期比1.9%増の10,193百万円となりました。また、不動産賃貸と太陽光発電からなるその他の売上高は、前年同期比2.2%増の383百万円となりました。
売上原価は、前年同期比2.6%減の3,892百万円となりました。これは主に棚卸資産評価損繰入額が減少したことにより、売上原価率が改善したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前年同期比0.9%減の5,688百万円となりました。これは主に収益認識会計基準等の適用により、従来、販売費及び一般管理費に計上されていた販売手数料等を売上高から控除することになったことによるものであります。
以上の結果、営業利益は前年同期比53.7%増の996百万円となりました。
営業外損益は、前年同期比1.1%増の365百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前年同期比34.9%増の1,361百万円となりました。
特別利益として、投資有価証券売却益を49百万円計上しました。
特別損失として、固定資産除却損を33百万円、投資有価証券売却損を13百万円計上しました。
税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、前年同期比10.9%増の415百万円となりました。
以上の結果、当期純利益は前年同期比17.6%増の949百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来の会計処理方法に比べて売上高は107百万円減少し、販売費及び一般管理費が109百万円減少したことにより、営業利益、経常利益に与える影響は軽微であります。
セグメント別には以下のとおりです。
① 養命酒関連事業
養命酒関連事業の売上高は10,193百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
<養命酒>
国内における「養命酒」につきましては、季節に合わせて疲れ・冷えをテーマとする草刈正雄さん出演のテレビ・新聞広告を実施し、年間を通じて好評を得ました。売り場においては、卸店やドラッグストア等主要販売チャネルである小売店と協働し、プロモーションと連動した店頭展開や購入促進施策等を継続して実施したことにより売上が堅調に推移し、売上高は、8,052百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
海外における「養命酒」につきましては、売上が回復傾向にあり、売上高は、351百万円(前年同期比29.3%増)となりました。
以上の結果、「養命酒」全体の売上高は8,404百万円(前年同期比4.8%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は42百万円減少しております。
<その他商品・サービス>
「酒類」につきましては、「クラフトジン」の売上がスーパー等で増加した一方、コンビニエンスストア等で「フルーツとハーブのお酒」の売上が減少したことから、売上高は、534百万円(前年同期比15.8%減)となりました。
「食品」につきましては、引き続き「養命酒製造クロモジのど飴」の取扱店舗数の拡大に注力しましたが、コンビニエンスストアでの販売が減少したことや、「食べる前のうるる酢」の郵便局でのカタログ販売が減少したことにより、売上高は、578百万円(前年同期比26.8%減)となりました。
「リテール」につきましては、「くらすわ駒ヶ根店」のリニューアルオープンがあったことや通販チャネルが堅調に推移したこと等により、売上高は、676百万円(前年同期比19.1%増)となりました。
以上の結果、「その他商品・サービス」全体の売上高は1,789百万円(前年同期比10.2%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は65百万円減少しております。
② その他
不動産賃貸と鶴ヶ島太陽光発電所の売上を合算し、売上高は383百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
b. 商品等仕入実績
当事業年度における商品等の仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は仕入価格によっております。
当社は、原則として見込み生産方式を採っているため、記載を省略しております。
d. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)財政状態の状況
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ744百万円増加し、48,614百万円となりました。これは主に有形固定資産が125百万円減少した一方で、投資有価証券及び関係会社株式が債券の取得及び保有株式の時価評価等により947百万円増加したことによるものであります。
負債は、前事業年度末に比べ129百万円増加し、6,434百万円となりました。これは主に未払法人税等が109百万円減少した一方で、未払費用が90百万円、長期預り金が96百万円、繰延税金負債が80百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は、前事業年度末に比べ615百万円増加し、42,179百万円となりました。これは主に当期純利益949百万円の計上及び配当金552百万円の支払いにより利益剰余金が389百万円、その他有価証券評価差額金が179百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ142百万円減少し、2,432百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、1,806百万円(前年同期比28.2%増)となりました。これは主に税引前当期純利益1,365百万円、減価償却費572百万円等の増加要因と、法人税等の支払額491百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、1,399百万円(前年同期比544.1%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出497百万円、債券などの投資有価証券の取得による支出801百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、551百万円(前年同期比0.1%増)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
当社の主な資金需要は、製品製造のための原材料の購入、主に人件費、広告宣伝費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用に係る運転資金と製造設備の更新・拡充等の設備資金であり、概ね営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金で賄っております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積りや予測を必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 棚卸資産の評価
当社は、棚卸資産を総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価しております。期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、一定期間を超えて滞留した棚卸資産については、将来の販売見込み等を反映して正味売却価額を見積っております。
なお、前事業年度において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、特に委託製造を行っている食品について、販売が計画を下回って推移したことから、有効期限内での販売が見込めない酒類食品に係る棚卸資産を対象に棚卸資産評価損を計上したことを踏まえ、有効期限に照らし一定期間を超えて滞留する棚卸資産が生じることがないよう在庫水準の適正化に取り組んでおります。
見積りにあたっては、過去の実績に加えその時点で入手可能な将来の需要動向や市場動向等、合理的と考えられる様々な要因を考慮したうえで判断しておりますが、見積金額が実際の結果と異なる可能性があります
② 繰延税金資産の回収可能性
③ 退職給付費用及び債務
従業員の退職給付費用及び債務の計算は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率に加え、従業員の年齢構成等の変動により影響を受ける昇給率、退職率、平均残存勤務期間等の要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照ください。
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