COVID-19の影響を受けるなど不透明かつ厳しい経営環境が続く中、当社は、顧客のみなさまへ日常生活に必要不可欠な製品・サービスの提供を継続すること、社員およびコミュニティの安全と健康を確保していくことを最優先としております。そして、私たちのミッションである、すべての人にハッピーなひとときをお届けするという考えに基づき、包括的な対策を行いつつ、安全・安心な製品の供給を継続すべく事業活動を行っております。
当連結会計年度(2021年1月1日~12月31日、以下「当期」)における国内の清涼飲料市場は、前連結会計年度(2020年1月1日~12月31日、以下「前期」)のCOVID-19の初期影響の反動や緊急事態宣言解除後の人出の回復等があったものの、緊急事態宣言が長期にわたって発出されていたことに伴う人々の活動制限や最需要期である8月の記録的な大雨の影響などから、前期比1%程度の増加に留まったものとみられます。
このような中、当社は新製品の展開やチャネルごとのトレンド変化への対応など、売上への影響を最小限に抑えるためのさまざまな施策に取り組んでまいりました。また、2019年8月に発表した中期計画の「これまでのやり方は選択肢にない」という考えのもと、ベンディングチャネルのオペレーションモデルのさらなる進化や、関東エリアの物流ネットワーク最適化に向けた「埼玉メガDC」を中心とした製品在庫の再配置および物流拠点の統廃合、低コストオペレーションの実現に向けたサプライチェーン体制のスリム化、全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の効率化、新しい働き方の推進など、変革の重要施策を緩めることなく推し進め、取り組みは着実に進捗しております。厳しい事業環境の継続により、業績は厳しい状況で推移しておりますが、短期的な影響緩和策に資源を投じながらも、新たな成長・効率化の機会を模索しながら中長期的な事業環境の変化に向けた対応を進めております。
また、社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動も引き続き進めております。廃棄物ゼロ社会を目指す「容器の2030年ビジョン」達成に向けた取り組みの一環としては、100%リサイクルPETボトルの採用拡大を推進しております。さらに、日本のコカ・コーラシステムとして、2030年までの国内バリューチェーン全体における温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を策定・公表するなど、取り組みを強化しています。これらについては、ESG投資の代表的指標「DJSI Asia Pacific」構成銘柄への4年連続の選定、国際的な環境非営利団体CDPの「水セキュリティ」調査における「A-(マイナス)スコア」獲得等の評価につながっております。
当期の業績の詳細は以下のとおりです。
当期のハイライト
・当第4四半期(10月1日~12月31日)には緊急事態宣言が解除され販売数量成長の兆しがみえるも、年末のオミクロン株による感染再拡大への懸念等の影響を受けた。通期ではCOVID-19の影響継続、長期にわたる緊急事態宣言や最需要期である8月の記録的な大雨の影響等により消費者トラフィックの回復に遅れが生じた
・通期の販売数量は2%増に留まる。複数の新製品が数量増に貢献するも厳しい事業環境の継続が影響。売上収益はコロナ禍における消費者の購買行動変化に伴うチャネル・パッケージへの影響やケース当たり納価の低下等により前期比1%減。金額シェアはベンディングで引き続き成長、スーパーマーケット、ドラッグストア・量販店チャネルで回復傾向
・事業利益は数量が想定を若干上回ったことや追加のコスト削減施策の効果等もあり、業績予想を12億円上回って着地。前期比では148億円減少。事業環境悪化に加え、前期に行った大幅な一時的なコスト削減の反動、原材料価格の高騰等が影響
・厳しい事業環境においてコントロール可能な分野での取り組みに注力した結果、変革への取り組みは着実に進捗。通期で約90億円の経常的コスト削減を実現
・オミクロン株による感染再拡大により市場の不透明感が高まっており、現時点では2022年の業績予想は未定とする
(単位:百万円、販売数量を除く)
(参考)第4四半期(10-12月)
*事業利益(△は損失)は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。
*親会社の所有者に帰属する当期(四半期)損失(△)については非継続事業も含めて表示しております。
連結売上収益は、 785,837百万円(前期比6,119百万円、0.8%減)となりました。新製品の展開やチャネルごとのトレンド変化への対応などの貢献があったものの、長期にわたる緊急事態宣言による人出の回復の遅れや最需要期である8月の記録的な大雨の影響等により、販売数量は前期比2%の増加に留まりました。これに加え、外出自粛や在宅勤務等による家庭内需要の増加など、消費者の購買行動変化がもたらすチャネル・パッケージへの影響や厳しい競争環境の継続に伴うケース当たり納価の低下が、売上収益に影響を与えました。10月の緊急事態宣言解除により、人出の回復および消費環境の改善が期待されたものの、年末にはオミクロン株による感染再拡大への懸念が生じ、厳しい事業環境で推移しました。
連結事業利益は、 14,662百万円の損失(前期比14,831百万円減)となりました。売上収益減少による利益への影響を最小限に抑えるべく、変革による経常的なコスト削減を含め、あらゆる分野においてコスト削減を図ったものの、チャネル・パッケージミックスの悪化やケース当たり納価の低下、原材料価格の高騰や物流費の増加に加え、前期に抑制したコストのうち中長期の成長に資するマーケティング投資や人材投資を適正な水準で実行したことなどが影響しています。2021年11月に発表した通期業績予想に対しては、数量が想定を若干上回ったことや追加のコスト削減施策の効果もあり、12億円上回る結果となりました。
連結営業利益は、 20,971百万円の損失 (前期比 9,248百万円減 )となりました。事業利益が前期と比べ減少したことに加え、一時帰休に伴う休業手当費用(以下、一時帰休費用)とこれに対する政府からの雇用調整助成金の双方の計上タイミングのずれ等が影響しています。なお、当期のその他の収益(非経常的に発生した収益)には、一時帰休費用に対する政府からの雇用調整助成金6,447百万円が含まれております。また、その他の費用(非経常的に発生した費用)には、一時帰休費用9,001百万円、中期計画に基づく抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用1,600百万円、希望退職プログラム実施に伴う特別退職加算金等2,437百万円、当社グループで使用する基幹システムにおいて発生した、システム障害に関連する費用1,322百万円等が含まれております。
継続事業と非継続事業の合算からなる親会社の所有者に帰属する当期利益は、子会社であったキューサイ株式会社(以下、「キューサイ」)の株式譲渡に伴い12,841百万円の売却益を非継続事業において第1四半期に計上したこと等により、 2,503百万円の損失(前期比2,212百万円増)となりました。
販売数量動向
販売数量は、前期のCOVID-19の初期影響の反動や緊急事態宣言解除後の人出の回復に加え、新製品の展開やチャネルごとのトレンド変化への対応などの貢献があったものの、長期にわたる緊急事態宣言の発出による人出の回復の遅れや天候不順による最需要期8月の総需要の減少等が響き、2%増(増減率は前期比、以下同じ)となりました。
チャネル別では、ベンディングは、緊急事態宣言が解除された際には回復が見られたものの、年間を通じた人出の回復の遅れや8月の天候不順が響き、1%増に留まりました。市場環境の厳しさは継続しておりますが、ベンディングの金額シェアは33ヵ月連続で成長を続けております。これは、主に無糖茶、水の新製品やスポーツの新パッケージの貢献、3,300万ダウンロードを達成したコカ・コーラ公式スマートフォンアプリ「Coke ON」を通じたキャンペーン等の貢献によるものです。また、自動販売機の展開についても市場環境と費用対効果を見極めながら優良ロケーションへの設置再強化に取り組んでおり、台数は前期比で純増となりました。スーパーマーケット、ドラッグストア・量販店は、家庭内消費やまとめ買いの需要の取り込みと、お客さまの購入スタイルの変化等への対応や売場でのプロモーション活動などが奏功し、それぞれ5%増、8%増となりました。課題であった金額シェアについても改善傾向にあります。CVSは、無糖茶の新製品や、戦略的に展開した950mlPET等の貢献があったものの、競合他社のプロモーション強化等による競争激化の影響を受け数量の回復が遅れており、2%減となりました。リテール・フードでは、飲食店の時短営業等による集客低迷の影響で業務用販売のマイナスが続き10%減となりましたが、緊急事態宣言解除後には一時的な回復が見られた期間もありました。オンラインは、全カテゴリーで成長しており、消費者のCOVID-19における購買行動の変化と環境意識の向上に合わせたラベルレス製品のラインナップ拡充等により、62%増となりました。
清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、高付加価値製品として展開している「ファンタ プレミア」シリーズ等の貢献や、スーパーマーケット等での家庭内需要取り込みによる貢献があったものの、夏場の天候不順による500mlPETの減少等により、前期並みとなりました。「やかんの麦茶 from 一(はじめ)」や「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」等の新製品が貢献し、無糖茶は第4四半期に10%増となり、年間では7%増となりました。コーヒーは、「コスタコーヒー」「ジョージア ショット&ブレイク」等の新製品導入によりPETボトルコーヒーは成長したものの、CVSおよびベンディングでの缶コーヒーの減少が響き、3%減となりました。スポーツは、イベント等の一部規制解除や自動販売機専用の新パッケージ製品等による貢献があったものの、オリンピックが無観客での開催となったことや最需要期である夏場の記録的な大雨の影響により、3%増に留まりました。水は、全チャネルで成長しており、家庭内需要の取り込みによる大型PETの増加、新製品「アイシー・スパーク」や「い・ろ・は・す」等小型PETの貢献もあり、23%増となりました。
アルコール飲料は、「檸檬堂」や「ノメルズ ハードレモネード」の新製品やキャンペーンの貢献等があったものの、前期に投入した新製品効果の一巡もあり、2%減となりました。
また、成長しているノンアルコール市場での成長機会獲得に向け新ブランドを立ち上げ、ノンアルコール飲料「よわない檸檬堂」を2022年2月21日に発売しました。
(2)キャッシュ・フロー
当期における各キャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、継続事業からの税引前損失が21,683百万円となり、「減価償却費及び償却費」、「営業債務及びその他の債務の増加」、「その他の資産の減少」の一方、「有形固定資産及び無形資産売却益」、「営業債権及びその他の債権の増加」、「法人所得税の支払等」等により、35,982百万円の収入(前期は43,716百万円の収入)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、現在の厳しい事業環境を勘案して投資を抑制し「有形固定資産、無形資産の取得による支出」を前期から抑えたことに加え、キューサイの株式売却による「子会社株式の売却による収入」もあり、 15,271百万円の収入(前期は52,076百万円の支出)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは、「短期借入金の減少」「配当金の支払」「リース負債の返済による支出」等により、 67,134百万円の支出(前期は20,912百万円の収入)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前期比15,881百万円減少し、110,497百万円となりました。
生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注)1.金額は、主として製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注状況
当社グループは見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、引当金の計上など一部に将来見積りに基づいているものがありますが、これらの見積りは、当社グループにおける過去の実績や将来計画を考慮し合理的と考えられる事項に基づき判断しております。なお、会計基準につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度末(以下、「当期末」)の親会社所有者帰属持分比率は56.8%、財務体質については引き続き健全性を確保しているものと考えております。
連結財政状態計算書の主要項目ごとの前連結会計年度末(以下、「前期末」)との主な増減要因等は、次のとおりであります。
(資産)
当期末の総資産は867,111百万円となり、前期末比72,492百万円減少しました。これは主に、2021年2月1日付のキューサイの株式売却による「売却目的保有に分類される処分グループに係る資産」の減少や投資を抑制したことによる「有形固定資産」の減少によるものです。
(負債)
当期末の負債は374,660百万円となり、前期末比62,851百万円減少しました。これは主に、短期借入金の返済等による「社債及び借入金」の減少やキューサイの株式売却による「売却目的保有に分類される処分グループに係る負債」の減少によるものです。
(資本)
当期末の資本合計は492,451百万円となり、前期末比9,642百万円減少しました。これは主に、配当金支払い等による「利益剰余金」の減少等によるものです。
また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ15,881百万円減少し、110,497百万円(同比12.6%減)となりました。キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
当期における経営成績の概況につきましては、「業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであり、連結損益計算書の主要項目ごとの前期との主な増減は、次のとおりであります。
なお、当期損失および親会社の所有者に帰属する当期損失については非継続事業も含めて記載しております。
(売上収益)
当期における売上収益は、前期に比べ6,119百万円減少し、785,837百万円(前期比0.8%減)となりました。
(営業損失)
当期における営業損益は、前期に比べ9,248百万円減少し、20,971百万円の損失(前期は営業損失11,722百万円)となりました。
(当期損失)
当期における当期損益は、前期に比べ2,205百万円増加し、2,525百万円の損失(前期は当期損失4,729百万円)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期損失)
当期における親会社の所有者に帰属する当期損益は、前期に比べ2,212百万円増加し、2,503百万円の損失(前期は親会社の所有者に帰属する当期損失4,715百万円)となりました。
当社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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