業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は、以下のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

〈連結経営成績〉

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

実績

増減率(%)

増減額

売上高

158,227

162,602

2.8

4,375

営業利益

5,602

4,581

△18.2

△1,021

経常利益

5,727

5,651

△1.3

△76

親会社株主に帰属する当期純利益

3,204

3,974

24.0

769

 

〈セグメント別概況〉

(単位:百万円)

 

売上高

セグメント利益又は損失(△)

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

国内飲料事業

115,536

118,080

2,543

7,110

6,267

△843

海外飲料事業

12,191

12,777

585

△175

△528

△353

医薬品関連事業

10,324

11,133

808

△425

△19

406

食品事業

20,900

21,165

265

946

959

13

その他

△317

△573

△256

調整額

△725

△553

172

△1,536

△1,524

11

合計

158,227

162,602

4,375

5,602

4,581

△1,021

(注)報告セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。

(単位:%)

 

セグメント利益率

セグメントROA

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減

国内飲料事業

6.2

5.3

△0.9

14.0

11.5

△2.5

海外飲料事業

△1.4

△4.1

△2.7

△1.4

△5.3

△3.9

医薬品関連事業

△4.1

△0.2

3.9

△2.0

△0.1

1.9

食品事業

4.5

4.5

5.0

4.8

△0.2

 

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きもみられます。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されているものの、感染症による影響や供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクや、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるなど、不透明な状況が続いております。

 

このような状況の中、当社グループは、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」の実現に向けた3カ年の行動計画「中期経営計画2021」の最終年度として、自販機市場における確固たる優位性の確立に向け、自販機展開強化拡充とスマート・オペレーションの全社展開に注力するとともに、すべての事業の基盤となる人財戦略を継続的に推進してまいりました。

当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出や需要最盛期である夏場の天候不順などの外部要因による影響を受けましたが、自販機設置台数の増加等を背景に国内飲料事業の売上高が伸長したほか、厳しい経営環境の中、海外飲料事業、医薬品関連事業及び食品事業についても増収を確保することができました。

利益面につきましては、国内飲料事業におけるスマート・オペレーション体制構築や、希少疾病の医療用医薬品事業におけるライセンス契約などの将来の基盤作りのための費用が増加したことにより、営業利益は減少しましたが、為替差益の計上などによる営業外損益の改善や投資有価証券評価損の減少などによる特別損益の改善により、親会社株主に帰属する当期純利益は、増益となりました。

 

なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因は、次のとおりであります。

 

ⅰ.売上高

当連結会計年度の売上高は、断続的に緊急事態宣言が発出される厳しい状況の中、1,626億2百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。

国内飲料事業は、夏場の天候不順などの外部要因の影響を受けましたが、自販機設置台数の増加を背景に自販機チャネルが増収となったほか、サプリメントなどの通信販売が大きく伸長いたしました。また、海外飲料事業においてはトルコ飲料事業における現地通貨ベースでの大幅な売上成長、医薬品関連事業ではパウチ製品の受注拡大、食品事業では中高価格帯商品の伸長が増収に貢献しております。

売上高の主な内訳は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

構成比(%)

売上高

構成比(%)

 

コーヒー飲料

59,829

37.8

57,109

35.1

茶系飲料

18,554

11.7

18,286

11.2

炭酸飲料

10,570

6.7

10,935

6.7

ミネラルウォーター類

6,410

4.1

6,367

3.9

果汁飲料

6,300

4.0

6,712

4.1

スポーツドリンク類

1,925

1.2

2,149

1.3

ドリンク類

1,074

0.7

2,389

1.5

その他飲料

10,869

6.9

14,128

8.7

国内飲料事業計

115,536

73.0

118,080

72.6

海外飲料事業計

12,191

7.7

12,777

7.9

医薬品関連事業計

10,324

6.5

11,133

6.8

食品事業計

20,900

13.2

21,165

13.0

調整額

△725

△0.5

△553

△0.3

合計

158,227

100.0

162,602

100.0

(注)報告セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

ⅱ.営業利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比較して1.4%増加し、847億6百万円となりましたが、売上総利益率は、海外飲料事業における原材料価格高騰の影響などにより、前連結会計年度の52.8%を下回り、52.1%となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、国内飲料事業における自販機にかかる減価償却費の増加のほか、自販機設置台数の増加や売上に連動した販売促進費等の増加、スマート・オペレーション展開に伴う費用の発生、サプリメント通販(国内飲料事業)の売上増に伴う広告宣伝費の増加、また、海外飲料事業における物流コスト上昇や、希少疾病の医療用医薬品事業におけるライセンス契約に伴う費用の発生などにより、前連結会計年度と比較して22億9百万円増加し、801億25百万円となり、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、前連結会計年度の49.2%を上回り、49.3%となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、45億81百万円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。

 

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ⅲ.経常利益

当連結会計年度の営業外収益は、為替差益を3億62百万円計上したことなどにより、前連結会計年度と比較して5億4百万円増加し、15億88百万円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に計上した為替差損や社債発行費がなくなったことにより、前連結会計年度と比較して4億40百万円減少し、5億17百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、56億51百万円(前連結会計年度比1.3%減)となりました。

 

ⅳ.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の特別利益は、海外飲料事業(トルコ飲料事業)及び食品事業の遊休施設にかかる固定資産売却益を計上したことなどから、1億69百万円となりました。特別損失は、投資有価証券評価損が減少したことに加え、前連結会計年度は、マレーシア飲料事業からの撤退に伴う関係会社整理損、新型コロナウイルス感染症による損失を特別損失として計上していたことから、前連結会計年度と比較して4億69百万円減少し、97百万円となりました。また、当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度と比較して3億12百万円減少し、17億88百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、39億74百万円(前連結会計年度比24.0%増)となりました。

また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の201.31円に対し、当連結会計年度は254.20円となりました。

 

なお、当連結会計年度における収益及び費用の主な為替換算レートは、1トルコリラ=12.44円(前連結会計年度は15.18円)、1中国元=17.13円(前連結会計年度は15.45円)となっております。

 

〈財政状態〉

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

 

流動資産

80,336

78,546

△1,790

固定資産

77,258

80,438

3,180

資産合計

157,594

158,984

1,390

 

流動負債

38,166

38,764

597

固定負債

36,818

36,958

140

負債合計

74,984

75,722

737

純資産合計

82,609

83,261

652

 

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して13億90百万円増加し、1,589億84百万円となりました。

当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の51.8%に対し52.1%、流動比率は前連結会計年度末の210.5%に対し202.6%、固定比率は前連結会計年度末の94.7%に対し97.1%となり、財務健全性を引き続き維持しております。

 

当社グループの連結財政状態の前連結会計年度末と比較した主な増減要因等は、次のとおりであります。

 

ⅰ.ネットキャッシュ

当連結会計年度末の金融資産は、前連結会計年度末と比較して32億94百万円減少し、671億20百万円となりました。また、当連結会計年度末の有利子負債は、前連結会計年度と比較して14億67百万円減少し、354億82百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末のネットキャッシュ(金融資産-有利子負債)は、前連結会計年度末と比較して18億26百万円減少し、316億38百万円となりました。

 

ⅱ.運転資本

当連結会計年度末の売上債権は、前連結会計年度末と比較して16億80百万円増加し、176億91百万円となりました。また、当連結会計年度末のたな卸資産は、前連結会計年度末と比較して6億60百万円増加し、87億63百万円となりました。一方、当連結会計年度末の仕入債務は、前連結会計年度末と比較して9億74百万円増加し、171億48百万円となりました。この主な要因は、第4四半期において、医薬品関連事業、トルコ飲料事業(海外飲料事業)における売上が伸長したことによります。

以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(売上債権+たな卸資産-仕入債務)は、前連結会計年度末と比較して13億66百万円増加し、93億6百万円となりました。

 

ⅲ.有形固定資産・無形固定資産

当連結会計年度末の有形固定資産・無形固定資産は、前連結会計年度末と比較して12億74百万円増加し、523億67百万円となりました。この主な要因は、国内飲料事業における自販機の未償却残高の増加によるものであります。

 

ⅳ.純資産

当連結会計年度末の株主資本は、利益剰余金の増加により、前連結会計年度末と比較して25億26百万円増加し、887億81百万円となりました。

当連結会計年度末のその他有価証券評価差額金は、政策保有株式の時価変動により、前連結会計年度末と比較して13億20百万円増加し、67億98百万円となりました。また、当連結会計年度末の為替換算調整勘定は、主にトルコリラの為替変動により、前連結会計年度末と比較して31億46百万円減少し、△135億43百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して6億52百万円増加し、832億61百万円となりました。

 

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②キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

12,540

8,059

△4,481

投資活動によるキャッシュ・フロー

△7,635

△6,464

1,170

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,329

△3,651

△1,322

現金及び現金同等物に係る換算差額

△141

△557

△415

現金及び現金同等物の増減額

(△は減少)

2,433

△2,614

△5,048

現金及び現金同等物の期首残高

30,253

32,687

2,433

現金及び現金同等物の期末残高

32,687

30,072

△2,614

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して26億14百万円減少し、300億72百万円となりました。

この主な要因は、第4四半期において、医薬品関連事業、トルコ飲料事業(海外飲料事業)における売上が伸長し、運転資本が増加したことによります。

 

③生産、受注及び販売の実績

ⅰ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月21日

至 2022年1月20日)

前年同期比(%)

海外飲料事業(百万円)

9,097

108.3

医薬品関連事業(百万円)

10,991

108.1

食品事業(百万円)

21,139

101.4

合計(百万円)

41,227

104.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ⅱ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月21日

至 2022年1月20日)

前年同期比(%)

国内飲料事業(百万円)

45,847

103.6

海外飲料事業(百万円)

695

31.3

医薬品関連事業(百万円)

123

90.6

合計(百万円)

46,666

100.2

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ⅲ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月21日

至 2022年1月20日)

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

海外飲料事業

2,324

116.3

38

82.5

医薬品関連事業

10,520

112.5

2,470

102.3

合計

10,777

95.0

2,508

102.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ⅳ.販売実績

当連結会計年度の販売実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生じた環境変化に柔軟に対応し、事業基盤・投資ステージと位置付けた「中期経営計画2021」の最終年度として、将来への基盤作りを着実に実行いたしました。具体的には、自販機台数の増加やオペレーション改革など、コアビジネスの基盤強化に取り組むとともに、サプリメント通販(事業セグメントは、「国内飲料事業」)の成長や医療用医薬品事業(事業セグメントは「その他」)の事業開始など、ヘルスケア領域での第2の柱の育成を着実に行いました。

また、コロナ禍を契機とした社会変革により、事業環境が大きく変化していく中で、お客様や社会に価値を提供し、持続的成長を実現していくためには、イノベーションの担い手となる多様な人材の確保・育成と社内環境の整備が極めて重要な課題であるとの認識のもと、従業員ひとりひとりが健康で、最大限の力を発揮できる「ワークライフ・シナジー」を実現すべく、テレワークをベースとした「新たな働き方」などの制度拡充に努めるとともに、イノベーションの創出につながる多様な知見・価値観・スキルを持つ自律型のプロフェッショナル人材の確保・育成への取り組みを推進し、組織基盤の強化を図りました。

 

「中期経営計画2021」の主な成果は次のとおりであります。

 

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なお、「中期経営計画2021」の成果についての詳細及び、成長ステージと位置付ける「中期経営計画2026」に向けた課題等については、2022年1月14日公表の「経営方針説明会~グループミッション2030実現への道筋~中期経営計画2026」をご参照ください。

https://www.dydo-ghd.co.jp/ir/event/investor_meetings.html

 

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした大きな社会変革に柔軟に対応し、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」のもと、社会価値、環境価値、経済価値を高め、持続的成長を実現してまいります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

ⅰ.国内飲料事業

2021年の国内飲料市場の販売数量は、2020年対比では1%程度の伸びとなったものの、2019年との対比では6%程度の減少で着地し、コロナ禍発生前の水準には及ばない実績となっております。在宅勤務の定着や消費者の行動変容により、コンビニエンスストアや量販店などの流通市場における販売競争が激化する一方で、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢には変化が生じております。

当社グループは、このような状況の中、自販機市場における確固たる優位性の確立に向けて、自販機網の強化拡充に注力するとともに、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーション体制の構築に向けた取り組みを進めております。新規設置促進と引上げ抑止の営業活動により、自販機設置台数は増加傾向が続くとともに、スマート・オペレーションの展開拠点も概ね計画どおりに進捗しており、自販機ビジネスの基盤強化に向けた取り組みは着実に進んでおります。

商品戦略といたしましては、ダイドーブレンドシリーズのプレミアムラインである「ダイドーブレンドプレミアム デミタスシリーズ」を8月30日にリニューアル発売したほか、人気TVアニメ「呪術廻戦」とコラボした「ダイドーブレンドコーヒーオリジナル」「ダイドーブレンド絶品微糖」「ダイドーブレンド絶品カフェオレ」を10月4日に発売し、缶コーヒー市場の活性化を図りました。

当連結会計年度は、自販機設置台数の増加を背景に自販機チャネルの売上高が増収となったほか、健康志向の高まりに対応したサプリメントなどの通信販売は、主力商品である「ロコモプロ」を中心に高い成長を続け、業績に大きく貢献いたしました。

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一方、自販機にかかる減価償却費の増加や、自販機設置台数の増加や売上に連動した販売促進費等の増加、通信販売の成長に伴う広告宣伝費の増加などに加えて、スマート・オペレーション体制の全社展開などの将来に向けた基盤作りのための費用が増加し、利益面に影響を与えました。

以上の結果、当連結会計年度の国内飲料事業の売上高は、1,180億80百万円(前連結会計年度比2.2%増)、セグメント利益は、62億67百万円(前連結会計年度比11.9%減)となりました。

 

ⅱ.海外飲料事業

海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、トルコ国内に良質な水源と広い国土をカバーする5つの製造拠点を保有しており、ミネラルウォーター「Saka(サカ)」、炭酸飲料「Çamlıca(チャムリジャ)」「Maltana(モルタナ)」などのトルコ国民に認知度の高い主力ブランドを強みとして、高い成長ポテンシャルを有し、豊富な若年層人口を背景に中期的にも成長が見込める有望市場と位置付けております。

直近では、新型コロナウイルスの感染再拡大やトルコリラの急速な為替変動による輸入原材料価格高騰が利益面に大きな影響を与えておりますが、足元では段階的に単価の値上げを行うなど、収益力の回復に努めるとともに、リラ安を背景とした英国などへの輸出取引の拡大にも取り組んでおります。

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当連結会計年度においては、販売数量の増加・平均販売単価の上昇により、現地通貨ベースでの売上高は大きく伸長したものの、国内外の物流費、原材料価格の高騰に加え、トルコリラの急速な為替変動による影響のほか、英国への輸出取引関連の一時的な費用の発生が利益面に大きな影響を与えております。昨秋以降、段階的に単価の値上げを行い、現地通貨ベースでの売上をさらに拡大させるとともに、物流費をはじめとするコスト改革など、収益力の回復に努めております。

中国飲料事業は、これまで日本からの輸入商品の配荷拡大によるブランド認知度向上を図ってまいりましたが、2021年度より、「おいしい麦茶」などの中国現地での生産を開始し、単年度での黒字を確保いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の海外飲料事業の売上高は、127億77百万円(前連結会計年度比4.8%増)、セグメント損失は、5億28百万円(前連結会計年度は1億75百万円のセグメント損失)となりました。

 

ⅲ.医薬品関連事業

医薬品関連事業を担う大同薬品工業は、医薬品・指定医薬部外品をはじめとする数多くの健康・美容等のドリンク剤等の受託製造に特化したビジネスを展開し、お客様ニーズにあった製品の創造と充実した生産体制・品質管理体制を強みとして、医薬品メーカーから化粧品メーカーまでの幅広い顧客基盤を有しております。近年は、受託製造企業としての圧倒的なポジションを確立すべく、2020年2月の奈良工場におけるパウチ容器入りの指定医薬部外品の製造ができるラインの稼働開始に続き、2020年7月には、群馬県館林市の関東工場が稼働を開始するなど、2拠点4工場体制での効率的な生産体制の整備に注力しております。

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当連結会計年度は、顧客企業のドリンク剤などの販売動向は、コロナ禍の影響を強く受けたものの、第4四半期には需要回復の兆しが出ております。また、パウチ容器入り製品の新規受注は着実に獲得しており、増収を確保するとともに、諸経費の見直しによる収益改善に努めました。

以上の結果、当連結会計年度の医薬品関連事業の売上高は、111億33百万円(前連結会計年度比7.8%増)、セグメント損失は、19百万円(前連結会計年度は4億25百万円のセグメント損失)となりました。

 

ⅳ.食品事業

食品事業を担うたらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、フルーツゼリー市場においてトップシェアを有し、成熟する市場の中、成長を続け、収益構造の改善も着実に進捗しております。

近年、カップゼリー市場は横ばいで推移し、パウチゼリー市場が継続的に成長してきましたが、コロナ禍を契機とした低価格志向の高まりや消費者の行動変容により、足元の消費動向に変化が生じております。

このような状況の中、たらみでは、持続的に成長し続けるために目標とする将来像を「フルーツとゼリーを通して、おいしさと健康を追求し、すべての人を幸せにします。」と定め、「たらみブランドの価値向上」「社員の成長による収益力強化」「カテゴリーの垣根を超えたビジネスモデル創出へのチャレンジ」の3つのテーマのもと、ライフスタイルの変化に対応した商品開発や、生産性向上への取り組みを引き続き進めております。

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当連結会計年度は、コンビニエンスストアではデザートの多様化が進んだことからカップゼリーの販売が減少いたしましたが、ドライゼリー市場全体が縮小する中でもシェアを拡大し、量販店での販売を維持、また海外向けの輸出取引の拡大や通信販売の伸長などにより、増収増益を確保することができました。

以上の結果、当連結会計年度の食品事業の売上高は、211億65百万円(前連結会計年度比1.3%増)、セグメント利益は、9億59百万円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。

 

ⅴ.その他

当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、ダイドーファーマを2019年1月21日に設立し、希少疾病の医療用医薬品事業へ参入いたしました。2021年1月には、希少疾病の医療用医薬品事業として初めてのライセンス契約を締結し、将来に向けた新たな一歩を踏み出しております。希少疾病で苦しむ患者様に、医薬品による価値提供をすることで社会的課題の解決を図るべく、優良なパイプライン獲得に向けた活動を続けてまいります。なお、2021年6月にランバート・イートン筋無力症候群への効果が期待される医療用医薬品に関する日本国内におけるライセンス契約を締結したことから、前連結会計年度との比較では費用が増加しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループのキャッシュ・フローの源泉である自販機ビジネスを取り巻く市場環境は、コロナ禍を契機として大きく変化しております。この変化をビジネスチャンスへと転換し、自販機市場における確固たる優位性を確立すべく、収益性の高い新たな自販機設置先の開拓を進めるとともに、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーション体制の構築に向けた投資を着実に推進することにより、国内飲料事業の再成長によるキャッシュ・フロー創出力の回復を図ってまいります。

 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの主な増減要因及びセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりであります。

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また、当社グループの資本生産性の改善に向けましては、従業員一人ひとりが資本効率性を意識することが肝要と考えております。そこで、グループミッション2030の最終年度のKPIのひとつとして掲げていた営業利益率の目標をROICに変更するとともに、成長ステージである「中期経営計画2026」と最終ステージである「飛躍ステージ」目標数値をそれぞれ設定いたしました。各セグメントにおいて、それぞれの事業特性に合わせた、利益率改善、資産回転率向上に向けたKPIを設定し、従業員それぞれが資本効率を意識した取り組みを進めることで、当社グループ全体の「稼ぐ力」を高めてまいります。

 

 

国内飲料事業

(除く通販チャネル)

海外事業※1

非飲料事業※2

基盤強化・投資ステージ(実績)

(2020年1月期~2022年1月期)

16.3%

△6.7%

2.7%

成長ステージ

(2023年1月期~2027年1月期)

13%

3%

8%

飛躍ステージ

(2028年1月期~2030年1月期)

17%

5%

17%

※1 現行セグメントにおいては、海外飲料事業

※2 現行セグメントにおいては、国内飲料事業のうち通販チャネル、医薬品関連事業、食品事業、その他

 

なお、各セグメントにおける取り組みの詳細については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

また、自販機市場での確固たる優位性の確立に向け、自販機網の拡充、労働力が不足する中でも人員を増やさずにその自販機網を維持することが重要であると認識しております。国内飲料事業の再成長を確実なものとするため、既存事業から創出されるキャッシュ・フローは自販機関連資産への再投資に振り向けていきます。

新たな事業領域への投資については、目標への織りこみは行わず、営業キャッシュ・フローの2年分を戦略投資枠として設定し、当社グループの経営成績及び財政状態等への影響に十分注意を払いながら、定性的・定量的な投資基準をもとに、将来の成長に向けて投資すべき案件について適切な投資判断を実行してまいります。

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当社グループは、中長期的な持続的成長の実現を可能とすべく、安定収益の確保及びさらなる企業価値の向上に向けて、安定的且つ健全な財務運営を行うことを基本方針としております。グループの資金は持株会社に集中させ、適切な資金配分を行うことにより、財務健全性の維持と安定経営に努めてまいります。

将来の成長に向けた戦略的事業投資の実行の他、突発的なリスク等をカバーし得る十分な自己資本の積上げを図りつつ、株主の皆様に対しては中長期的に適正な利益還元をめざすなど、バランスのとれた健全な財務基盤の維持・構築に努めることとしております。

 

当社グループは、安定的且つ健全な財務運営を行うという「財務運営の基本方針」に則し、資金調達の多様化・機動性・柔軟性の確保、及び効率化実現に向け、安定した高格付けの維持・向上を経営上の重要課題として位置付けており、長期社債に関する格付を取得しております。

なお、当連結会計年度末時点の格付の状況は以下のとおりであります。

 

格付機関

長期発行体格付

見通し

日本格付研究所(JCR)

A-

安定的

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。

なお、当社グループにおける会計上の見積りにおいて使用する事業計画は、新型コロナウイルス感染症による影響については緩やかに回復に向かうことを前提として作成しております。

重要な会計方針のうち、見積りや仮定等による影響が大きいと考えている項目は、次のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2009年3月27日最終改正)に基づき、減損処理の要否を判定しております。将来の企業環境等の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることになった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

ⅰ.のれん、商標権及び顧客関連資産

ア.価値の源泉

当連結会計年度末におけるのれん35億32百万円は、過去の企業結合により発生したものであり、その主たる発生原因は、結合後企業が当社グループに加入したことにより、同社に期待される超過収益力であります。一部ののれんについては、結合後企業ではなく、当社などにおいて発現されることが期待されるシナジー効果が発生原因となっております。

また、企業結合時における既存製品のブランドや、既存の顧客との契約に係る価値を算定し、商標権及び顧客関連資産を無形固定資産その他として、のれんとともに計上しております。

 

イ.減損要否の検討及び認識、測定

当社グループにおけるのれん、商標権及び顧客関連資産に係る減損要否の検討は、当該事業を取得した際に策定された事業計画と実績を比較し、計画未達の場合には、その要因を分析することにより経営環境の著しい悪化の有無を判定することにより行っております。

 

ウ.重要な会計上の見積りに用いた仮定の不確実性とその変動による経営成績に生じる影響

トルコ飲料事業に係るのれん4億3百万円及び商標権4億62百万円は、当該株式取得に係る取得原価と比較すると相対的に多額となっており、期待されるメリットをもたらさず著しい企業価値の減価がある場合には、減損損失が計上される可能性があります。のれん及び商標権の評価においては、計画未達の要因分析にあたり、トルコ国内のインフレ率、賃金上昇率、トルコリラの通貨価値の変動、輸入原材料価格の高騰や新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う経済活動への影響などを検討し、経営環境の著しい悪化の有無を判定いたしますが、トルコ飲料事業を取り巻く経営環境の変化が激しい状況にあります。また、減損損失の認識・測定を行う場合には、取得時よりもトルコリラ安で推移している為替相場、及び高くかつ変動幅が大きいトルコの金利を反映した割引率を考慮する必要があるため、多額の損失が発生するリスクが存在することから、会計上の見積りに用いた仮定の変動による経営成績に生じる影響が大きいと判断しております。

なお、株式会社たらみ(食品事業)に係るのれん31億29百万円、商標権及び顧客関連資産22億1百万円は、事業計画との乖離もなく安定的な業績推移となっていること、為替や金利の変動リスクも小さいことから、会計上の見積りに用いる仮定の変動リスク及び多額の損失が発生するリスクは小さいと判断しております。

 

エ.当連結会計年度における減損判定

当連結会計年度においては、経営環境や事業計画の見積りに用いた重要な仮定を置いて検討いたしましたが、経営環境の著しい悪化は認められず、のれん、商標権及び顧客関連資産の減損損失を計上する必要はないと判断しております。

 

ⅱ.ダイドーファーマ株式会社に係る投資

ア.価値の源泉

当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、ダイドーファーマ株式会社を2019年1月21日に設立し、10億円を出資して希少疾病の医療用医薬品事業へ参入しております。希少疾病で苦しむ患者様に、医薬品による価値提供をすることで社会的課題の解決を図るべく優良なパイプライン獲得に向けた活動を続けております。世界のバイオベンチャーが開発した新薬候補を、導入・開発・承認取得して、一刻も早く患者様にお届けすべく事業展開をすすめてまいりますが、事業基盤が安定するまでは投資が先行し、営業利益及びキャッシュ・フローはマイナスが続くことになります。

 

イ.減損要否の検討及び認識、測定

ダイドーファーマ株式会社の株式は、ダイドーファーマ株式会社における個々の開発プロジェクトに基づく事業計画における営業利益及びキャッシュ・フローと、株式の取得原価を比較・分析し、実質価額の回復可能性を判断しております。実質価額が著しく低下したとしても、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、期末において相当の減額をしないこととしております。

 

ウ.重要な会計上の見積りに用いた仮定の不確実性とその変動による経営成績に生じる影響

ダイドーファーマ株式会社は希少疾病の医療用医薬品の開発及び承認取得に係る事業であり、個々の開発プロジェクトに基づく事業計画における営業利益及びキャッシュ・フローを分析することによって、子会社株式の実質価額の回復可能性を判断しております。その際の事業計画策定において研究開発費総額、開発品の上市時期、上市後の薬価の推移、潜在的な患者数及び将来の年平均増加数等の重要な仮定を使用しておりますが、これらの仮定は、開発の延長や中止を行う可能性や、想定どおりの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認に想定以上の時間を要する可能性があるため不確実性を伴い、経営者の判断による程度が高くなっております。

 

エ.当事業年度における減損判定

当事業年度においては、重要な仮定を置いて見積もった設立時の事業計画から大きく乖離しておらず、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられるため、ダイドーファーマ株式会社に係る投資額の相当の減額処理は実施しておりません。

 

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