事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を設置し、リスクマネジメント体制の運用方針・計画を定めるほか、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、リスク対策の妥当性を評価しております。

当連結会計年度の「グループリスク管理委員会」においては、気候変動問題の深刻化に対応し、より掘り下げたリスク評価を行うため、グループリスクとしての「環境問題への対応」を「気候変動問題」と「それ以外」に分けて管理し、各事業会社に対し、理解・浸透を図っていくことを確認いたしました。

また、直近の原材料価格高騰や為替の急激な変動など、今後の経営成績等に影響を与えるリスクが顕在化していることから、各事業会社において適切な対応策を講じていくとともに、リスク評価についても見直しを検討することといたしました。

 

(1)人材の確保・育成

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

コロナ禍を契機とした社会変革により事業環境が大きく変化していく中で、お客様や社会に価値を提供し、持続的な成長を実現していくためには、イノベーションの担い手となり得る多様な人材の確保・育成と社内環境の整備が極めて重要な課題であると認識しております。当社グループの各事業は、労働集約型産業の側面を持ち、国内飲料事業では自販機オペレーションを担う人材、医薬品関連事業や食品事業では製造工場のオペレーションを担う人材によって支えられていることから、日本国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続可能性にも関わる大きな課題となっております。

また、当社グループの成長戦略を推進していくためには、事業領域の拡大に応じた高度な専門性や経験を有する人材や、イノベーションを創出することのできる多様な知見・スキル・価値観を有する人材を確保・育成していく必要がありますが、今後の社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難になる場合、既存事業における売上確保や成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

近年、人々のワークスタイルに対する価値観の多様化が進行し、働き方に対するニーズも大きく変化していることから、当該リスクが顕在化する可能性は常に認識しておく必要があります。

当社グループでは、これらのリスクの低減を図るため、「人的資本の確保」「将来を担う人材の育成」「人材の適正配置」の3つの観点から人材マネジメント体制の強化を図っております。また、健康経営の推進により、従業員自身が自らの健康への意識を高め、健康維持・増進に努めることができる環境の整備に取り組むとともに、従業員が自律的に業務を推進する「新たな働き方」への移行や、「副業制度」「副業受入制度」の導入など、ワークスタイルに対する価値観の多様化に対応するとともに、イノベーションの創出につながる多様な知見・価値観・スキルを持つ自律型のプロフェッショナル人材を確保・育成するための取り組みを推進し、従業員のエンゲージメント向上を図ってまいります。

 

(2)海外子会社の管理・統制

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループは、海外での事業展開の拡大を「グループミッション2030」の基本方針に掲げ、「中期経営計画2026」においては、海外事業戦略の再構築に取り組むこととしております。

海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、コロナ禍による個人消費や経済活動への影響が懸念されるほか、トルコ国内のインフレ率上昇、急激な為替変動による輸入原材料価格の高騰など、足元の事業環境は激しく変化しておりますが、主力ブランドであるミネラルウォーター「Saka(サカ)」は、消費者の健康志向を背景に着実に成長を続けており、中長期的にも成長が期待されております。

一方、トルコ飲料事業に係るのれん及び商標権は、当該株式取得に係る取得原価と比較すると相対的に多額となっており、将来の環境変化等により、期待されるメリットをもたらさず著しい企業価値の減価がある場合には、減損損失が計上される可能性があります。

また、海外における事業展開には、各国の法令・制度・、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、事業展開の継続や投資回収が困難になった場合には、減損損失や事業撤退損失等が発生する可能性があるほか、中長期的な海外事業戦略の推進にも支障が出るなど、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

当社グループは、「グループミッション2030」の達成に向けて、海外での事業展開の拡大に取り組む方針であることから、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制とし、既存のトルコ・中国飲料事業の基盤を活かしながら、海外事業戦略の再構築を進めてまいります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下においては、海外への渡航に一定の制約があり、持株会社の監査部による現地監査の実施が困難であることなど、海外子会社の管理・統制については、工夫の余地があるものと認識しております。当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の監査部に対する第三者の評価結果に基づき、優先順位を定めながら、監査体制の強化を図ってまいります。

 

(3)企業買収及び事業・資本提携

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループは、「グループミッション2030」に掲げた2030年のありたい姿の実現に向けて、企業買収及び事業・資本提携などの戦略的投資も事業拡大を加速するための有効な手段として、その可能性を常に検討しております。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した戦略的投資効果を得られない場合には、成長戦略の推進に遅れが生じるなど、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、企業買収等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。

企業買収等にあたっては、対象企業の事業計画や財務内容、契約関係等についての詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、事前に把握できなかった問題の発生や事業展開が計画どおり進まない場合、のれんなどの固定資産の減損処理を行う必要性が生じる等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

当社グループは、「中期経営計画2026」において、営業キャッシュ・フローの2年分を戦略投資枠と定め、新たな成長機会を常に模索する方針としていることから、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、取締役会の実効性評価を毎年1回実施し、その評価結果をふまえて、取締役会のモニタリング機能の実効性をさらに高めるなど、迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスの継続的改善に向けた取り組みをすすめております。

 

(4)自販機チャネルへの集中・依存

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、日本国内における自販機の普及の歴史とともに発展してまいりました。地域に根差した営業活動を展開することにより、業界有数の自販機網と品質の高いオペレーション体制を構築し、当連結会計年度において、国内飲料事業における自販機チャネルの売上比率は約80%となっており、業界平均を大きく上回っております。

自販機チャネルは、本来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能ですが、近年、自販機オペレーションを担う人手不足の問題などもあり、自販機市場全体の総台数は減少に転じております。また、コロナ禍により、消費者の行動様式は大きく変容し、飲料業界全体の自販機を通じた販売数量は大きく減少するなど、市場環境は大きく変化しており、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

自販機チャネルの収益構造は、限界利益率が高い一方で、売上高に対する固定費の比率も比較的高く、国内飲料事業の中で売上構成比の高い自販機チャネルの減収は、グループ全体の営業利益の減少にもつながりやすいことから、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。

一方、コロナ禍を契機として、業界各社の自販機チャネルに対する取り組み姿勢には変化が生じていることから、当社グループは、これらのリスクをビジネスチャンスへと転換すべく、売れる場所の変化を的確に捉えた営業活動を推進し、収益性の高い自販機網の拡充を図ってまいります。また、自販機オペレーション現場の働き方においても業界をリードする存在となるべく、最新のテクノロジーを活用したスマートオペレーションのさらなる進化に取り組むとともに、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立してまいります。

 

(5)業界における市場競争

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

日本国内の清涼飲料業界の市場環境は、今後さらに進展する少子高齢化の影響により、中長期的には大きな成長を見込みにくい状況の中、コロナ禍を契機として、自販機やコンビニエンスストアを通じた販売数量が大きく減少しております。

また、足元では原材料価格の高騰が業界各社の収益を大きく圧迫するリスクが高まっておりますが、市場競争の厳しさなどを背景として、販売価格への転嫁は難易度が高いことから、業界各社は、数量確保に向けた価格面・販促面での提案を強化するなど、企業間競争環境はさらに激しさを増しております。

当社グループの商品戦略・販売戦略・価格戦略が、このような市場環境の変化のスピードに対応できなかった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

日本国内の清涼飲料業界の市場環境は、コロナ禍により急速に変化しており、原材料価格高騰リスクとともに、当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、当社グループのコアビジネスである「国内飲料事業の再成長」を「中期経営計画2026」の基本方針に掲げ、自販機市場における確固たる優位性の確立してまいります。

市場環境の変化に対応した「おいしさ」と「健康」を追求した商品やサービスの拡大や、自販機ロケーションの特性にあった商品ラインアップの最適化に取り組むとともに、お客様に寄り添った顧客志向の営業活動の強化により、業界における市場競争に対応してまいります。

 

(6)原材料・資材の調達

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されておりますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様でありますが、特に、直近のコーヒー豆価格の高騰は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、海外飲料事業(トルコ飲料事業)においては、一部の資材調達が外貨建てであることから、トルコリラの為替レートの変動によって、その調達価格は大きな影響を受けております。原材料・資材価格の高騰は、製造コストの上昇につながり、市場環境によって販売価格に転嫁できない場合があり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

コーヒー豆をはじめとする原材料・資材の多くは、商品相場や為替変動の影響を受けるものであり、国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆価格の高騰は、収益を圧迫する大きな要因になるものと認識しております。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、コーヒー豆については、国内焙煎業者との連携による情報収集を強化するとともに、調達先の分散や調達スキーム変更など、調達価格の安定化に向けた取り組みをすすめるほか、コーヒーのみに依存しない魅力ある商品ラインアップの開発を推進しております。

また、トルコ飲料事業におきましては、市場の状況を注視しつつ、販売価格への適切な転嫁を随時実施していくほか、リラ安を利用した輸出取引の拡大に取り組むことにより、業績の安定を図ってまいります。

 

(7)生産・物流体制

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、生産・物流を外部へ委託するファブレス方式とすることにより、経営資源を商品の企画・開発や自販機のオペレーションといった、お客様と直接関わる分野に集中しております。全国の協力工場へ商品の生産を分散して委託することにより、物流コストの低減や、大規模な自然災害や渇水等により、一部地域での生産が困難になった場合でも柔軟な対応が可能な体制としております。

近年、生産・物流を取り巻く経営環境は、コロナ禍も相俟って大きく変化しており、人手不足やコンプライアンスの厳格化を背景とした物流コストの大幅な上昇や、物流の逼迫による供給リスクが高まっております。また、海外事業におきましては、特に、トルコ国内の物流コストの上昇や、世界的なコンテナ不足を背景とした海上運賃の上昇が大きな経営課題となるなど、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、医薬品関連事業を担う大同薬品工業においては、将来の成長に向けた設備投資を積極化しておりますが、コロナ禍により顧客企業の販売動向は厳しい推移となっております。足元では、受注回復の兆しが見えはじめておりますが、将来の環境変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることになった場合には、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

社会情勢の変化を背景とした物流コストの上昇リスクは、当面続くことが想定されます。当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、澁澤倉庫株式会社との合弁によるダイドー・シブサワ・グループロジスティクス株式会社を2018年6月に設立し、物流業界との連携強化を推進しております。

トルコ飲料事業におきましては、トルコ南西部に所在する工場の製造キャパシティを高めることにより、主力商品であるミネラルウォーターの製造分散による物流コスト上昇リスクの低減を図ってまいります。

また、医薬品関連事業におきましては、2拠点4工場での効率的な生産の実現に向けた社内体制の整備と収益改善に向けた業務内容の見直しを推進してまいります。

 

(8)品質管理体制

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループは、安全で高品質な商品の提供のため、品質管理、鮮度管理を徹底し、万全の体制で臨んでおります。国内飲料事業においては、当社が商品企画までを行い、その仕様に基づきグループ外の協力工場に製造を委託する生産体制をとっておりますが、自社と協力工場双方での厳格な管理・検査体制で常に安全安心な製造・出荷体制を維持しております。また、自社工場を有する医薬品関連事業・食品事業では、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」、食品安全マネジメントシステムの国際規格「FSSC22000」の認証を取得し、さらなる品質向上に向けた取り組みを継続しておりますが、今後、異物混入及び品質・表示不良品の流通等が発生した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

当社グループは、品質管理体制には万全を期しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万が一、重大な事故が発生した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要リスクであると認識しております。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業では、製造を委託している協力工場に対して、毎年、品質保証監査を実施し、製造における安全性・品質の向上と信頼関係の構築を図っております。また、医薬品関連事業を担う大同薬品工業におきましては、関東工場の新設等の設備増強とともに、品質管理体制の強化を図っております。

 

(9)環境問題への対応

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制も強まっております。

また、海洋プラスティック問題は世界的な共通課題であるとの認識のもと、容器包装における対応は、飲料・食品業界共通の大きな経営課題ともなっております。

これらの規制強化や、容器包装等に対する取り組みへの対応費用の増加等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害などのサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

海洋プラスティック問題をはじめとする地球環境に対する問題意識の高まりは、世界的な潮流であり、気候変動を変動に起因した自然災害の激甚化傾向も高まっていることから、当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、グループとしてのCO2排出削減目標を設定し、2050年の自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラルをめざすとともに、国内飲料事業では、循環型社会への貢献に向けた3つの環境目標を設定し、事業を通じた環境問題への取り組みを推進しております。

また、従来の「グループESG委員会」を「グループサステナビリティ委員会」に改称し、「グループリスク管理委員会」との連携のもと、中長期的な気候変動リスクと機会に対して、より掘り下げた分析と対応策の検討をすすめてまいります。

 

(10)希少疾病の医療用医薬品事業への参入

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容等

当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月に、ダイドーファーマを設立いたしました。希少疾病の医療用医薬品事業のビジネスモデルは、さまざまなフィールドのパートナーとの協業、提携をベースとしており、希少疾病治療に関わる創薬シーズに関する提携や開発候補品のライセンスイン、特に日本における独占的な製造販売権の獲得によって、開発・承認取得を行います。臨床開発業務に関してはCRO(Contract Research Organization)、医薬品製造に関してはCMO(Contract Manufacturing Organization)などの外部機関を活用いたします。

2021年には、ダイドーファーマとして初めてのライセンス契約を締結するなど、着実な歩みを進めており、会社設立時の事業計画との大きな乖離は発生しておりません。希少疾病の医療用医薬品の開発には不確実性を伴うことから、開発候補品への投資にあたっては、発生する研究開発費総額の見積り、開発品の上市時期、上市後の薬価の推移、潜在的な患者数及び将来の年平均増加数などの前提条件について、十分な検討を行った上で、経営判断を行っております。

世界のバイオベンチャーが開発した新薬候補を、導入・開発・承認取得して、一刻も早く患者様にお届けすべく事業展開をすすめてまいりますが、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、キャッシュ・フローはマイナスが続くことから、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、国内臨床開発の過程において予見できない事由により医療用医薬品の開発を中止した場合や、わが国の医療保険制度における薬価基準が想定を超えて大幅に引き下げられた場合には、投資コストの回収が困難となり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策

希少疾病の医療用医薬品事業は、一定の先行投資が必要な事業であることから、当面の間、営業損失の計上が続くことを想定しております。ライセンス契約に伴う一時金や開発マイルストンに応じた費用及び開発にかかる研究開発費等を販売費一般管理費として計上することにより、開発中止に伴う多額の減損損失が発生するリスクの低減を図っておりますが、費用計上の時期や金額の規模によっては、当社グループの期間損益の変動要因となる可能性があります。

また、新薬開発には不確実性が伴うことから、開発の延長や中止の判断を行う可能性や、想定どおりの内容で薬事承認がおりない又は薬事承認に想定以上の時間を要する可能性も否定できません。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマの事業計画に対するモニタリングの強化を図っております。

また、希少疾病の医療用医薬品事業における投資対象については、すでに相応の開発が進行している案件に絞り込むとともに、複数のパイプラインの開発を手掛けていくことにより、事業基盤の構築を図っていく方針であります。

なお、希少疾病の医療用医薬品事業には、医薬品医療用機器法等の関連法規による厳格な規制があります。また、知的財産権や研究開発にかかるリスクのほか、製造物責任や副作用などのリスクがあることを常に認識しておく必要があります。

当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界の経験を長く積んだ、事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整えるとともに、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら、事業運営を推進してまいります。

 

(11)その他のリスク

上記以外にも事業活動をすすめていく上において、経済情勢の変化、法規制等の外部要因によるリスクのほか、顧客情報管理やコンプライアンスに関するリスクなど、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。当社グループを取り巻くリスクを可視化し、発生時の影響を最小限に抑えるための対策を強化すべく、毎年、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることにより、リスクマネジメントを推進しております。

 

なお、直近では、新型コロナウイルスの感染再拡大によるリスクに十分注意が必要な状況にあります。新型コロナウイルス感染症の終息時期の見通しは不透明であり、当社グループの経営成績等へ重要な影響を与える可能性があります。

当連結会計年度末時点において、新型コロナウイルス感染拡大により想定される主な影響と対応策は以下のとおりであります。

 

 

想定される主な影響

今後の対応策

国内飲料事業

・2022年度の飲料業界全体の販売数量は、人流の戻りによる回復が期待されるが、コロナ禍前の水準には達しないことが想定される。

・在宅勤務の定着や消費者の行動変容により、自販機市場は大きく変化し、競合他社の自販機に対する取り組み姿勢には、変化がみられる。

・「自販機ビジネスの進化による社会価値の創造」をマテリアリティに掲げ、市場の変化に柔軟に対応できる持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざす。

海外飲料事業

・トルコ飲料事業においては、感染の再拡大による生産活動・経済活動への影響が懸念される。

・経済活動の制約により、海上輸送の遅延やトルコ国内のトラック不足が発生しており、配送コストは大幅に上昇している。

・トルコ飲料事業の業績安定化に向けた取り組みを進めるとともに、既存の事業基盤を活かしながら、海外事業戦略の再構築を進めていく。

医薬品関連事業

・顧客企業の販売動向は、足元では、受注回復の兆しも見えつつあるが、感染再拡大による受注への影響には、引き続き留意が必要な状況にある。

・2拠点4工場での効率的な生産の実現に向けた社内体制の整備と収益改善に向けた業務内容の見直しを推進する。

食品事業

・消費者の行動変容により、コンビニエンスストア向けの販売は、引き続き苦戦することが想定される。

・果肉原料の生産現場におけるコロナ対策や、労働者不足による海上運賃上昇等により、原材料価格が高騰傾向にある。

・ニューノーマルの時代に求められる付加価値商品の開発を進めるとともに、多面的なコスト見直しの継続により、収益力強化を図る。

その他

・希少疾病の医療用医薬品事業における治験に遅れが生じる可能性がある。

・感染再拡大による治験への影響予測は困難であるが、引き続き情報収集につとめていく。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得