(1) 経営者の視点による財政状態、経営成績の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の経営成績の概況及び分析
当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)における事業環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及に伴う感染者の減少や経済政策の効果等により、国内においては緩やかな回復がみられるようになりました。海外においては、地政学的リスクの高まりやサプライチェーンを巡る問題の長期化が懸念されており、先行きは不透明な状況が続いております。消費環境におきましては、人出の増加により改善されてはきたものの、世界経済の影響から物価が上昇しており、消費の低迷が不安視されております。
シューズ業界におきましては、コロナ禍における新しいライフスタイルが定着しつつあります。商品動向としては、昨年秋より潮目が変わり、スニーカー以外の商品群、皮革製品やレジャー・アウトドアでも使える商品需要が拡大しております。オンライン販売につきましては、ネット需要は拡大しているものの、実店舗の売上拡大につれ、伸び率が鈍化しました。
これらのことから、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
このような状況下、当社グループは、デジタルコマースの強化、グランドステージと複合業態店舗の拡大、スポーツシューズやスポーツアパレルを含めたライフスタイルカジュアルの拡充に対応してまいりました。出店につきましては、国内外合わせて73店舗の新規出店を行い、当社グループの店舗数は、1,407店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は前期比10.8%増の2,439億46百万円となりました。利益面につきましては、営業利益は前期比40.7%増の274億46百万円、連結営業利益率は11.3%となりました。経常利益は前期比32.8%増の282億60百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別損失に店舗の固定資産の減損損失11億94百万円及び非連結子会社の関係会社株式評価損19億54百万円等を計上したため、前期比9.6%減の173億82百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
イ.国内
販売戦略につきましては、SNSによるデジタル広告を中心に実店舗への訴求効果を高める販売促進を進め、プロパー販売による客単価の改善と売上総利益率の向上に努めてまいりました。商品展開においては、著名アーティストや著名企業とのコラボレーションやナショナルブランドの限定商品の販売に注力いたしました。昨年秋以降、トレンドの潮目が変わり、スポーツ以外の商品需要が高まったため、スポーツシューズの構成比が1.3ポイント低下しましたが、ビジネスシューズ、レザーカジュアルシューズ、レディースシューズの売上は好調に推移しました。キッズシューズは、国内外で大きく伸長し、前期比23.2%増となりました。サンダルにおいては、在宅ワークの定着により冬季においても好調であったことから、前期比27.3%増となりました。
店舗展開におきましては、地方郊外のショッピングセンターを中心に47店舗の新規出店を行いました。施設の閉館に伴う閉店とスクラップアンドビルドの促進により、期末の国内店舗数は1,053店舗(閉店 国内26店舗)となりました。既存店におきましては、都市型旗艦店「GRAND STAGE」や「ABC-MART SPORTS」への業態転換と、それらを組み合わせた複合業態、2バナー3バナー店舗への業態変更を含めた増床改装を積極的に進めてまいりました。当期中の改装は45店舗となり、このうち26店舗の増床、32店舗の業態変更を実施しました。これらの結果、当期末時点の「GRAND STAGE」は46店舗、「ABC-MART SPORTS」業態は73店舗、複合業態は55店舗となりました。
オンライン販売については、実店舗におけるEC在庫の販売分を含め、デジタル売上高構成比は前期比0.3ポイント減の13.2%となりました。金額ベースでは前期比9.0%増となりました。
国内店舗の通期の売上高増収率(通販含む。)につきましては、通常営業店舗の増加により、全店で前期比11.7%増、既存店で前期比4.5%増となりました。下期以降、商品単価が高めのレザーシューズの販売が好調であったことから、客単価の上昇が売上の増加につながりました。
これらの結果、国内における売上高は前期比11.8%増の1,697億73百万円、セグメント利益は前期比47.8%増の252億87百万円となりました。
ロ.海外
海外の店舗展開につきましては、韓国21店舗、台湾4店舗、米国1店舗、計26店舗の新規出店を行いました。期末店舗数(2021年12月31日現在)は、韓国285店舗、台湾62店舗、米国7店舗、計354店舗(閉店 韓国19店舗)となりました。
海外の業績につきましては、為替はいずれの通貨に対しても円安水準にありましたが、現地通貨ベースでは、韓国は増収増益、台湾と米国については減収減益となりました。韓国につきましては、ウィズコロナによる経済政策が奏功し、売上高は前期比13.0%増の463億11百万円となりました。台湾につきましては、前期は防疫措置の効果があり好調に推移しましたが、当期はデルタ株の感染拡大による外出制限により、売上高は前期比0.8%減の75億39百万円となりました。米国につきましては、下期において供給遅延が生じたことから、売上高は前期比2.6%増の211億29百万円となりました。海外連結子会社はいずれも12月決算であります。
これらの結果、海外における売上高は前期比8.4%増の750億円、セグメント利益は前期比9.8%減の21億12百万円となりました。
(販売実績)
品目別販売実績
品目別 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比(%) |
スポーツ |
129,117 |
139,693 |
8.2 |
レザーカジュアル |
33,268 |
35,839 |
7.7 |
キッズ |
16,208 |
19,973 |
23.2 |
レディース |
11,435 |
12,637 |
10.5 |
サンダル |
9,259 |
11,782 |
27.3 |
ビジネス |
6,503 |
7,441 |
14.4 |
その他 |
14,473 |
16,577 |
14.5 |
合計 |
220,267 |
243,946 |
10.8 |
(注)1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 上記金額は、国内及び海外の合計で表示しております。
地域別店舗売上実績
地域別 |
売上高 |
店舗数 |
|||
金額(百万円) |
構成比(%) |
開店(店) |
閉店(店) |
期末(店) |
|
北海道 |
5,434 |
3.6 |
2 |
0 |
40 |
東北 |
6,076 |
4.1 |
5 |
0 |
56 |
東京 |
24,446 |
16.4 |
3 |
7 |
142 |
関東(除く東京) |
40,996 |
27.4 |
9 |
3 |
281 |
中部 |
21,119 |
14.1 |
13 |
3 |
163 |
関西 |
25,741 |
17.2 |
8 |
2 |
170 |
中国四国 |
8,181 |
5.5 |
1 |
5 |
67 |
九州沖縄 |
17,529 |
11.7 |
6 |
6 |
134 |
国内店舗売上高合計 |
149,526 |
100.0 |
47 |
26 |
1,053 |
その他 (注)2 |
19,566 |
|
|
|
|
国内合計 |
169,092 |
|
|
|
|
海外 |
74,853 |
|
|
|
|
売上高合計 |
243,946 |
|
|
|
|
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 「その他」の売上高の主なものは、通信販売及び卸売上等によるものであります。
3 単位当たり国内店舗売上実績は以下のとおりであります。
項目 |
前連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
国内店舗売上高(百万円) |
132,543 |
149,526 |
|
1㎡当たり売上高 |
平均売場面積(㎡) |
255,947.11 |
274,154.38 |
1㎡当たり年間売上高(千円) |
517 |
545 |
|
1人当たり売上高 |
平均従業員数(人) |
5,063 |
5,017 |
1人当たり年間売上高(千円) |
26,178 |
29,803 |
(注)1 平均売場面積は、店舗の稼働日数を基礎として算出しております。
2 平均従業員数は、アルバイト・契約社員を含み、役員を除いております。なお、アルバイト・契約社員は期中加重平均(1日8時間換算)で算出し、加算しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(仕入実績)
区分 |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前期比(%) |
仕入高 |
105,858 |
114,952 |
8.6 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額は、国内及び海外の合計で表示しております。
② 当連結会計年度の財政状態の概況及び分析
流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ17億1百万円増加し、2,269億23百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加30億98百万円、有価証券の増加22億24百万円、たな卸資産の減少35億8百万円等によるものであります。
固定資産合計は、前連結会計年度末と比べ18億13百万円減少し、907億96百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の増加16億25百万円、投資有価証券の減少25億94百万円、関係会社株式の減少19億54百万円等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ60億50百万円減少し、328億38百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の減少38億35百万円及び支払手形及び買掛金の減少13億6百万円等によるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ59億38百万円増加し、2,848億81百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加33億50百万円及び為替換算調整勘定の増加25億61百万円等によるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ53億16百万円増加し、1,517億70百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、251億57百万円の収入(前期比16億70百万円収入増)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益258億40百万円、減価償却費56億71百万円、減損損失11億94百万円、関係会社株式評価損19億54百万円、たな卸資産の減少額47億46百万円、及び法人税等の支払額129億85百万円等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、74億58百万円の支出(前期比38億58百万円支出減)となりました。この主な要因は、不動産の売却による収入19億50百万円、投資有価証券の売却による収入23億58百万円、新規出店及び店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出83億83百万円、無形固定資産の取得による支出15億95百万円、投資有価証券の取得による支出10億17百万円、敷金保証金の差入による支出14億45百万円等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は、139億18百万円の支出(前期比10億97百万円支出減)となりました。この主な要因は、配当金の支払による支出140億26百万円等を反映したものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金及び設備投資は、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末現在、1,517億円の現金及び現金同等物の残高を保有しており、将来資金に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
今後の資金使途については、新型コロナウイルスの収束までは感染対策が必要となるため、経費の徹底的な削減など運転資金の著しい減少を避ける取り組みを行うとともに、将来の企業買収や販売体制を強化するためのITを含めた設備投資、自社株の取得等を検討してまいります。また株主様への利益還元として安定的な配当政策の実施は元より、配当性向を意識した増配が毎期実現できるよう努めてまいります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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