文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来「世界共通の品質を世界共通の価格で」を企業理念に掲げ、品質の良いファッショントレンドアイテムをリーズナブルな価格でお客様へお届けするために、「ライフスタイル創造企業」として、お客様にご満足いただき感動を与えられるような世界共通のサービスを提供することで、人々の幸せを実現していくことを基本方針としております。
そのために、世界のシューズストア「ABC-MART」を展開し、以下を実行してまいります。
①「ABC-MART」の出店を拡大し、世界に通用するストアブランドに確立することを目指します。
②「ABC-MART」では、ブランドを基調としたトレンドアイテムの充実を図ります。
③「ABC-MART」のマーチャンダイジングを強化するためにブランドポートフォリオを充実します。
④「ABC-MART」のリアル店舗とオンラインをつなぐデジタルコマースを強化します。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営指標としては、連結営業利益率を二桁水準で維持することを目標とします。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、今後の中長期的な経営戦略として、①マーケットシェアの拡大、②積極的な店舗展開とデジタルコマースの推進、③世界マーケットへの発信、④既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成を掲げております。
① マーケットシェアの拡大
国内のシューズマーケットは1兆4,000億円程といわれておりますが、当社はその1割超のシェアを誇るシューズカンパニーであり、国内においてはトップ企業であります。現在置かれているシューズ業界のみならず、スポーツ市場、スポーツアパレル市場、レディース市場など、シューズを取り巻く環境下において成長市場は多数あります。これらのマーケットを取り込んでいくことで、シューズ関連事業の拡大を模索してまいります。企業買収や異業種との業務提携、新商品の共同開発やコラボレーションなど、新たなビジネスチャンスも獲得してまいります。
②積極的な店舗展開とデジタルコマースの推進
イ.出店拡大
成長への一番の原動力は新規出店であります。既存店のリニューアル出店や業態変更による新規出店を含め、年間50店舗程の出店を続けてまいります。
ロ.業態の開発・展開
「ABC-MART」を中核に据えて、
第一に、大型旗艦店「ABC-MART Grand Stage」の出店を都心部や大型商業施設へ拡大します。
第二に、カテゴリー戦略に寄与する業態店舗の出店を進めてまいります。アスレジャー向けスポーツファッション専門店「ABC-MART SPORTS」、レディースシューズ専門店「Charlotte」、レザーブーツ専門店「Danner」、スポーツセレクトショップ「OSHMAN'S」など。
第三に、面積規模が100坪以上の地方郊外のショッピングセンターにおいては、2つ以上の屋号を併設して展開する複合業態店舗の出店を進めてまいります。
ハ.デジタルコマースの拡大
デジタル事業においては、自社オンラインサイトの利用促進と他社サイトでの販売を拡大し、デジタル売上を年率で20%以上成長させることを目指します。
オンライン販売における店舗受取サービスの提供やリアル店舗におけるネットを活用した取り組みを促進し、リアル店舗とオンラインの垣根を越えたサービスを提供し、顧客サービスの向上に努めてまいります。
③ 世界マーケットへの発信
当社は、世界各地の展示会や海外市場でのリサーチにより、世界の流行を商品企画に活かし、このようにしてつくられた商品を「ABC-MART」で販売することで、海外のトレンドを日本に定着させる役割を担っております。
一方で、日本の流行を海外へ送り込む手段として「ABC-MART」の海外展開を拡大しております。現在、海外子会社によって、韓国、台湾に「ABC-MART」の店舗網を拡充し、北米においてはレザーブーツ専門店「DANNER」を展開しております。今後は、東南アジアなど他の海外市場への販路拡大も具現化してまいります。
④ 既存ブランドの拡充と新規ブランドの取得・育成
当社グループは、商品の企画開発・製造から販売までを一貫して行う自社ブランドを保有しております。1995年に商標権を取得し主にレザーカジュアルシューズを中心に展開する「HAWKINS」ブランド、レディース商品のPBブランドとして自社開発した「NUOVO Collection」「byA」等があります。2012年には米国の高品質ブーツブランド「Danner」「LaCrosse」を、2014年には「White's Boots」の商標権を取得いたしました。また「VANS」ブランドやライセンス契約を締結し販売している「saucony」ブランド等があります。
このようにして、ブランドの取得、PBブランドの開発育成、認知度の高いブランドとのライセンス契約等を行うことで高い収益性を実現し、またシューズ業界における競合他社との差別化を図っております。
今後も、様々なライフスタイルに応じた商品の開発、提供を行うとともに新規ブランドの取得も視野に入れ業容の拡大に努めてまいります。
(4) 経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境を展望しますと、社会経済活動を一定程度抑制しながら、新型コロナウイルス感染症との共生を図る動きが今後も継続すると予想します。消費環境においては、地政学的リスクの高まりを背景に、素材や資源等の供給不安による物価の上昇が相次いでおり、購買意欲の低下や消費の減退が懸念されております。また新たな感染症や頻発する地震・台風等災害への備え、自然環境への配慮など、これらのリスクへの対策を講じることは企業の社会的な責務となりました。
このような状況下、当社グループは、シューズ業界におけるトップ企業として、お客様の購買意欲を高めるための様々な販売戦略を実施し、新たなマーケットを開拓するべく諸施策の遂行に取り組んでおります。またどのような状況下においても、より良い商品をお客様にご提案できる接客サービスの向上に努めております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき課題といたしましては、『店舗・商品・人材・IT』という重要な戦略要素を強化していくことであると認識しております。
① 店舗戦略
店舗売上の最大化を目指すため、都市型大型旗艦店「ABC-MART Grand Stage」の出店を拡大してまいります。また異なる業態の店舗を併設させた複合業態による出店を拡大することで、新たな顧客層の拡大とオペレーションの効率化を実現してまいります。
多店舗展開を推進するにあたり、多様な商圏、顧客層に応じた店舗形態を築いていく必要があります。特に、自店競合を起こさないよう地域の特性等も考慮に入れながら新業態の開発に取り組みます。また、商品の企画から構成(マーチャンダイジング)を店舗設計等の計画に組み入れ、収益重視の店舗開発を行うことが重要と考えます。これらを踏まえ、個別店舗の収益を最重要視し、全ての店舗が収益に貢献することを目指します。
海外においても、「ABC-MART」のグローバルな店舗展開を推進してまいります。
② 商品戦略
顧客ニーズの多様化とライフスタイルの変化に即応していくために、商品カテゴリー毎の戦略をより明確にし、店舗とオンラインへの商品供給を適時適切に行ってまいります。売れ筋商品の見極めと滞留在庫の取り扱いの早期判断・対処により、単品ごとの在庫回転率の改善を図り、収益力を高めてまいります。
売上総利益率の向上を図るためには、売上高に占める自社企画商品の構成比率を上げる取り組みが必要となります。またメーカー各社との取引において、ナショナルブランドの共同企画による限定商品を展開していくことが、他社との差別化につながります。これらの取り組みを行うことで、売上原価の低減と利益率の向上に努めてまいります。
デジタル広告の積極的な利用を推進し、テレビなどの媒体活用を戦略的に使い分けて、ターゲット層に響く広告宣伝と販売促進活動を行ってまいります。
③ 販売力(人)の強化
当社グループは、対面販売による営業活動を主軸に事業を展開しております。
お客様にとって魅力のある店づくり、商品づくりを心がけ、提供していくためには、スタッフ一人ひとりの販売力が重要であると考えます。『人の力』が最も大切であるということを充分理解し、小売業の基本といえる接客サービスを身に付け向上させる取り組みを進め、今後とも適切な指導を行ってまいります。また海外子会社の店舗とも人材交流を進め、グループ企業としての「接客の均一化」を図ってまいります。
また少子高齢化による採用難に対応し、スタッフの様々なライフスタイルに応じた「働き方改革」を推進してまいります。ショートタイム社員や地域限定社員など雇用形態の多様化を図り、中長期的な労働力の確保を目指します。またスタッフの潜在能力を引き出し、最大限に活かせる場所への人材のアロケーションを含めたマネジメントを強化してまいります。
④ ITへの継続的投資
当社グループは、対面販売を基調とした直営店(リアル店舗)のほか、インターネットオンラインサイトを運営しております。当社グループの事業拡大には、デジタルコマースの成長は不可欠となってきております。
リアルとネットを繋ぐためのオムニチャネル戦略を推進していくため、ITへの積極的かつ継続的な投資を進めてまいります。リアル店舗とネットを繋ぐ媒体として、スマートフォンを活用した様々な取り組みを実現してまいります。ABCマートアプリによる新規会員の獲得、リアルとネットの相互利用が可能な電子ポイントシステム、会員向け情報発信サービスの提供や、キャッシュレス決済への対応など多岐にわたります。IT活用による顧客満足度の最大化とさらなる業務の効率化を目指してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
企業規模が拡大していくなか、国内外へのグローバルな活動が活発化しており、その社会的責任も一層増していることを強く認識しております。
2015年5月、取締役会における経営判断の適正性を監視する機能をさらに高めていくため、また取締役会の監督機能の強化によるコーポレート・ガバナンスの充実という観点から、監査等委員会設置会社へ移行しました。
取締役の職務執行状況や経営活動全般における法令遵守についての内部監査を強化していくと共に、お客様の安心・信頼に繋がる店舗運営を実現するため、店舗監査を定期的に実施し、必要に応じて是正勧告等を行い、店舗運営の適正化に努めてまいります。また法令遵守はもとより、役職員の健康管理の観点から、より一層働きやすい労働環境の整備に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。会計監査につきましては、監査等委員との相互連携により監査体制を充実させてまいります。その他法令・税務についての判断を要する案件につきましては、顧問弁護士、顧問税理士に依頼または相談し、適宜、指導や助言を受けてまいります。
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