課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「なくてはならぬ人となれ なくてはならぬ企業であれ」を企業理念に掲げ、「Play fashion!」のミッションの下、私たちが提案するファッションを通じて、人々の心を豊かに、幸せにすることを使命としています。いつの時代も変わらぬこのミッションの下で、持続可能な成長を目指し、お客様一人ひとりの毎日を今よりもっと楽しくする選択肢をご提供することで、事業を通じた社会・業界の課題解決への貢献を果たしてまいります。

 


 

 

(2) 中期的な会社の経営戦略(経営環境、対処すべき課題と経営戦略)

世界及び日本経済は、ワクチン接種の進展等により新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立が進み、緩やかに平常化へと向かうことが期待されます。しかしながら、足元では原材料及びエネルギー価格の上昇、物価や金利の上昇、円安の進行、地政学リスクの増大など事業環境への懸念が高まっております。また、経済活動の正常化とともに一定の個人消費回復が実現しても、リモートワークの浸透などコロナ禍におけるライフスタイルや顧客の嗜好の変化は不可逆的なものであり、インバウンド需要を含め、従前と同様の消費行動は戻らないとの前提に立つ必要があります。一方で、在宅時間の伸長によるワンマイルウェアや生活雑貨類の需要増加、アウトドア人気の高まり、ビジネスシーンにおける服装のカジュアル化、EC市場の拡大など、当社に追い風となりうる変化もあり、新たに生まれた需要を確実に取り込むべく、2026年2月期を最終年度とする中期経営計画を策定致しました。中期経営計画の概要は下図の通りです。

 


 

 

対処すべき課題、具体的な成長戦略の内容は以下の通りです。

ライフスタイルや価値観、人口構成の変化に対応したマルチブランドプラットフォームの進化

中長期的には、国内では少子高齢化や可処分所得の減少により、アパレル市場の緩やかな縮小が構造的に続くと予想されております。一方で、健康寿命の伸びによって増えるアクティブシニアや在宅時間の伸長による生活雑貨のニーズなど、ライフスタイルの多様化がもたらす新たな需要もあり、これらを素早く確実にとらえることが求められます。このような市場の変化に対応するため、多数の独自ブランドを擁する当社のマルチブランドポートフォリオを、大型ブランド化を志向し独自路線を確立する「独立型ブランド」、新たな市場や顧客の開拓を進めスピード感ある拡大を目指す「成長型ブランド」、顧客との関係性を深化しながら運営の効率化を目指す「収益型ブランド」に分類し、それぞれのステージに合わせた投資戦略や事業戦略を採ることで、規模拡大と収益向上の両立を図ってまいります。また、様々なライフステージに合った新ブランドや新カテゴリー開発を、積極的に進めております。多数のブランドを運営しながらも、バリューチェーンを共通化することで品質向上やコスト抑制を進め、お客様に値ごろな価格の価値ある商品を提供してまいります。

 

デジタル時代に対応したビジネスの成長加速

新型コロナウイルスの感染拡大は、人びとの生活にデジタル技術をより深く浸透させる契機となり、EC市場が大きく伸長しただけでなく、新たな顧客体験や従来の領域にとらわれないサービスが生まれております。この拡大するデジタル分野で成長を加速するため、リアル店舗とWEB双方でシームレスなサービス・体験を提供するとともに、店舗運営や商品企画、PR、物流など、あらゆる面でデジタル技術を活用した価値創造・生産性向上を進めていくことが必要となります。デジタル戦略では、自社ECの認知度や機能向上に継続的に投資するとともに、取扱いカテゴリーの拡充やスタッフとお客様の関係性強化により、購買客数と購買回数の増加を目指します。当社は1,300万人以上の顧客会員を有しているほか、グループの約1,400店舗を通じて、日々多くのお客様と接しております。この貴重な資産とデジタル技術を融合させて新たな顧客接点を創造し、自社ECサイト上でお客様向けにスタイリング提案を行うSTAFF BOARDの拡充や、オムニチャネルサービス、自社ECや物流の機能強化によりお客様の体験や利便性を一層向上させ、デジタル時代に対応したビジネス構造へと進化してまいります。

 

海外事業への投資拡大

国内アパレル市場が緩やかな縮小傾向にある一方、海外アパレル市場は人口の増加や新興国の所得水準向上を背景に、拡大が続く見通しです。当社はこれまで日本国内の消費拡大と、商業施設の増加の波に乗り成長してまいりましたが、今後は成長市場であるアジアへの展開が不可欠であると考えております。2019年12月にオープンしたニコアンド上海旗艦店を皮切りに、地域ごとに異なる嗜好や生活文化を持つお客様を理解し、商品開発、MD構成、店頭表現などあらゆる面で現地のお客様のより豊かで楽しい生活に貢献する「グローカル」戦略を展開しております。今後、上海から中国大陸での他地域への事業拡大や、それを支える現地機能の整備、さらなる発展が期待される東南アジア市場の開拓などを進め、海外事業の成長を加速させてまいります。

 

新規領域における事業確立

近年、アパレルだけでなく住まいや食、旅やスポーツなど、ファッションの重要性は生活の様々な場面に広がり、ライフスタイルという一つの大きな市場になりつつあります。当社では株式会社ゼットンの連結子会社化による飲食事業の確立をはじめとして、既存の業界や業態の壁を越えた新たな成長領域の育成を進めております。今後も外部の有力企業やブランド等との協業、全社員からの事業アイディア募集なども含めて、スピード感をもって事業開発を進め、将来の成長ドライバーとなる事業に育成することを目指してまいります。

 

 

⑤ サステナブル経営の推進

アパレル産業については、大量生産による商品の過剰供給や、原料の生産過程での土壌汚染、生産工程での水質汚染などの環境負荷が指摘され、産業全体の課題となっております。またサプライチェーンにおける人権の尊重や従業員の働き方など、社会との関係においても対応すべき課題があります。当社では、「ファッションのワクワクを、未来まで。」をサステナビリティポリシーに掲げ、「環境を守る」「人を輝かせる」「地域と成長する」の3つの重点テーマを定めています。環境負荷低減に向けては、廃棄在庫の圧縮や生産過程での環境負荷低減、サステナブル素材を使用した商品開発を進めている他、ショッピングバッグの使用量を削減する「REBAG PROJECT」や衣料品回収プロジェクト「Play Cycle!」など、お客様とともに取り組む活動を実施しております。また人権の尊重や労働環境の整備、環境への配慮などを明記した調達方針と調達ガイドラインを定めており、取引先工場のモニタリングなどを通じてともに成長しあえるパートナーシップ関係の構築を目指しています。従業員が生き生きと長く働いていける環境づくりのために、ダイバーシティの推進や働き方の変革にも取り組んでいます。当社はこれらの取り組みをさらに推進することによって、ステークホルダーの皆様との関係を良好な状態で維持し、当社のミッションである「Play fashion!」と長期にわたる企業価値の向上を実現してまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得