業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、企業活動や個人消費が制限され、経済活動は大きく減退いたしました。感染対策の徹底及びワクチン接種が促進されるなか、新規感染者数の減少に伴う経済の持ち直しが期待されたものの、度重なる新たな変異株の発現と感染再拡大により、新型コロナウイルス感染症の猛威は未だ衰えず、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 

 新型コロナウイルス感染症の影響により、現在、企業や生活者を取り巻く環境は大きく変化しており、それに伴い消費行動や価値観も変わってきております。このような環境に対応すべく、当社グループは、お客さまに喜んでいただける接客、お客さまに満足していただける商品、お客さまのニーズの変化に応える売場を実現させるべく、品揃え、接客サービス、売場オペレーションの実証実験を、現場の声を取り入れながら、モデル店を使って推し進め、水平展開して行くことで、企業としての成長性を確保し、またイオングループと戦略を連動させグループシナジーを発揮することによる企業価値の更なる向上を目指し取り組んでまいりました。

 モデル店舗では、①見やすく、選びやすい売場、②ジーフット独自の体験型提案接客(接客に関する社内認定資格フィッティングアドバイザーによる、足型計測器、はっ水加工機IMBOXを使った接客)、③自ら考え、判断し、行動できる店長の教育(店舗情報分析に基づいた月別・週別販売計画の立案、検証、修正)を骨子として取り組み、店舗の過剰在庫削減による見やすく、選びやすい売場の実現や、足型計測器、はっ水加工機IMBOXを使った体験型提案接客や、プラスワン接客によるセット販売率アップの取り組みによる、買上点数(前期比3.1%増)、客単価(同4.5%増)アップの成果を得ることができました。商品開発では、ジーフットのプライベートブランド商品「ATHREAM」において、製造委託先との情報共有に基づく一貫したMDプロセス(安定的な生産取り組みによる品質向上、生産コスト圧縮)をスタート、コスト面では、アナログ業務のデジタル化(自動化・見える化)による業務効率化を継続推進、販売費及び一般管理費を前期比3.8%減、新型コロナウイルス感染症影響前の一昨年との比較で18.3%減の取り組みとなりました。

 

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出の長期間化、広域化の影響で、当社にとって、お客さまの来店頻度の高い土・日・祝日や繁忙時間帯が臨時休業や営業時間短縮となり、販売機会が大幅に減少しました。限られた販売機会をより拡充するために、当社の主力となるイオングループショッピングセンター立地を活用、催事場を確保の上、回数・期間の最大化を図ってまいりましたが、想定以上の販売機会逸失影響は大きく、売上が当初計画から大幅乖離、2021年10月6日に、今年度上期の新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響及び今後も相当期間見込まれる同感染症の影響を鑑み、2022年2月期通期連結業績を売上高667億円、営業損失60億円、経常損失61億円、親会社株主に帰属する当期純損失65億円とする通期連結業績予想の修正を行うにいたりました。

 

 このような状況の中、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大により棄損した自己資本を補い、かつ、事業構造改革を推進し、同感染症の影響に耐え得る財務体質構築及び事業再生・成長軌道回帰のため、2021年10月6日、当社より当社の親会社であるイオン株式会社(以下「イオン」という。)に対して第三者割当増資(以下「本第三者割当」という。)の引受け要請を行い、イオンとの間で資金調達や資本増強に関する各種施策の実施に関して正式に協議に入ることで合意いたしました。その後2021年10月から12月にかけて、イオンと複数回にわたり協議・交渉を行い、同年12月13日イオンとの間で当社が本第三者割当により発行するA種種類株式の引受契約書を締結、2022年2月9日に、本第三者割当によるA種種類株式の発行に係る払込完了並びに資本金及び資本準備金の額の減少を行っております。

 

 出退店につきましては、グリーンボックス白山店、アスビーイオンモール川口店、アスビー東武池袋店、アスビーキッズ東武池袋店等7店舗を出店、退店については、不採算店舗の損失抑制を目的に、当初計画66店舗から11店舗増の77店舗を退店、これらにより当連結会計年度末における当社グループの店舗数は780店舗となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は662億66百万円(前期比0.6%増)、営業損失は66億48百万円(前期は営業損失122億5百万円)、経常損失は68億2百万円(前期は経常損失122億18百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は71億42百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失127億16百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、58億41百万円と前連結会計年度末から44億68百万円増加しました。

 なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に税金等調整前当期純損失69億21百万円の計上、売上債権の減少15億1百万円、たな卸資産の減少12億14百万円及び仕入債務の減少41億38百万円により、使用した資金は55億43百万円(前期比1億30百万円の支出減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に有形及び無形固定資産の取得による支出3億65百万円、有形固定資産の売却による収入354百万円及び敷金及び保証金の回収による収入10億50百万円により、得られた資金は7億10百万円(前期比3億37百万円の収入減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において主に短期借入金の増加40億円、長期借入れによる収入15億円、長期借入金の返済による支出11億20百万円及び株式の発行による収入50億円により、得られた資金は93億36百万円(前期比48億96百万円の収入増)となりました。

 

③ 販売及び仕入の実績

 当社グループはセグメント情報を記載しておりませんので、地域別及び商品別に記載しております。

 

(ⅰ)地域別売上実績

 当連結会計年度における売上の実績を地域別に示すと次のとおりであります。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高

(百万円)

前期比

(%)

 開店

(店)

閉店

 (店)

 期末

 (店)

北海道地区計

3,084

90.2

2

59

東北地区計

6,504

97.2

1

5

99

関東地区計

21,429

108.7

4

20

210

中部地区計

13,056

99.6

2

12

160

近畿地区計

11,981

96.0

19

125

中国地区計

2,511

95.3

5

29

四国地区計

1,405

101.9

3

21

九州地区計

6,293

98.9

11

77

合計

66,266

100.6

7

77

780

 (注)地域区分は、店舗の所在地によって分類しております。

 

(ⅱ)商品別売上実績

 当連結会計年度における売上の実績を商品別に示すと次のとおりであります。

商品別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

婦人靴

13,431

20.3

103.8

紳士靴

9,001

13.6

93.8

スポーツ靴

22,771

34.4

93.9

子供靴

15,334

23.1

107.1

その他

5,728

8.6

120.6

合計

66,266

100.0

100.6

 (注)その他は、インポート雑貨・服飾及び靴付属品が主なものです。

 

(ⅲ)単位当たり売上高

 当連結会計年度における単位当たり売上高は次のとおりであります。

項目

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高等

前期比(%)

商品売上高(百万円)

 

66,266

100.6

1㎡当たり売上高

平均売場面積(㎡)

307,325.10

95.3

1㎡当たり期間売上高(千円)

215

105.6

1人当たり売上高

平均従業員数(人)

4,642

95.4

1人当たり期間売上高(千円)

14,274

105.5

 (注)1.平均売場面積は、階段及び事務所等を除いた期中平均面積であります。

2.平均従業員数は期中平均在籍人数によっており、臨時雇用者を含んでおります。

 

(ⅳ)商品別仕入実績

 当連結会計年度における仕入の実績を商品別に示すと次のとおりであります。

商品別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

仕入高(百万円)

構成比(%)

前期比(%)

婦人靴

7,435

19.7

114.1

紳士靴

4,176

11.1

73.7

スポーツ靴

13,428

35.6

101.3

子供靴

9,585

25.4

111.1

その他

3,066

8.2

119.2

合計

37,692

100.0

102.8

 (注)その他は、インポート雑貨・服飾及び靴付属品が主なものです。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業、営業時間の短縮、お客さまの外出自粛により、来店客数が大幅に落ち込み、厳しい販売状況が続いた結果、当連結会計年度において多額の営業損失を計上しました。
 新型コロナウイルスの収束については一定の期間を要するものと考えられることから、2023年2月期におきましても、厳しい経営環境が続く見込みであります。
 これらのことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在していると認識しておりますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した2023年2月期重点取り組みを確実に実施することで業績回復に努めるとともに、資金調達面においても、当連結会計年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、取引金融機関による短期借入枠が十分に確保されており、当面の事業活動の継続性に懸念はないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末の総資産は、433億18百万円となりました。

 当連結会計年度末の流動資産は、366億45百万円となりました。

 これは主に売上預け金の減少14億37百万円、商品の減少12億12百万円があったものの、現金及び預金の増加44億68百万円により、前連結会計年度末と比較して4億42百万円の増加となりました。

 当連結会計年度末の固定資産は、66億72百万円となりました。

 これは主に建物及び構築物の減少2億93百万円、土地の減少2億80百万円、敷金及び保証金の減少6億59百万円により、前連結会計年度末と比較し11億30百万円の減少となりました。

(負債の部)

 当連結会計年度末の負債は、410億36百万円となりました。

 これは主に支払手形の減少2億8百万円、電子記録債務の減少32億67百万円があったものの、短期借入金の増加40億円、未払費用の増加10億円により、前連結会計年度末と比較して14億24百万円の増加となりました。

(純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産は、22億81百万円となりました。

 これは主に資本剰余金の増加50億円があったものの、利益剰余金の減少71億42百万円により、前連結会計年度末と比較して21億12百万円の減少となりました。

 以上の結果、自己資本比率は5.2%となりました。

 

③当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ4億17百万円(前期比0.6%)増加して662億66百万円となりました。

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ38億12百万円(同8.9%)減少して389億4百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ13億27百万円(同3.8%)減少して340億10百万円となりました。主な内訳は、給料及び手当117億10百万円、賃借料138億67百万円であります。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ42百万円減少して33百万円となりました。主な内訳は、受取補償金19百万円であります。

 当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ99百万円増加して1億87百万円となりました。主な内訳は、支払利息1億80百万円であります。

 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ8億20百万円減少して2億63百万円となりました。主な内訳は、固定資産売却益61百万円、補助金収入1億38百万円であります。

 当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ8億54百万円減少して3億82百万円となりました。主な内訳は、減損損失2億70百万円、店舗閉鎖損失89百万円であります。

 これらの結果を受け、当連結会計年度の営業損失は66億48百万円(前期は営業損失122億5百万円)、経常損失は68億2百万円(前期は経常損失122億18百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は71億42百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失127億16百万円)となりました。

 1株当たり当期純損失は167円87銭(前期は1株当たり当期純損失298円90銭)となりました。

 

④キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金調達は、内部資金の活用及び金融機関からの借入、リース取引によって行っており、金融機関からの借入とリース取引は、全て当社において一元管理しております。

 設備投資の実施にあたっては、グループ連結営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、短期・長期の財務バランスにも配慮して資金調達を実施します。

 また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。

 当連結会計年度末の資金残高の状況及び今後の資金繰りを検討した結果、取引金融機関による短期借入枠が十分に確保されております。

 

⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

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