業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における家電小売業界は、新型コロナウイルス感染症の長期化による経済活動の停滞が続いていたものの、ワクチン接種の進展などに伴い徐々に落ち着きを見せたこともあり、経済活動の緩やかな回復の傾向が見られ始めました。変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足に伴う商品供給の遅延に対する懸念など、依然として不透明な状況が続いているものの、足元では生活家電商品や携帯電話が好調に推移するなど、徐々に明るさが見られるようになっています。

 

当企業グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年4月から5月にかけて、一部の店舗で休業や営業時間の短縮を実施せざるを得ず、売上が減少するなどの影響が発生いたしました。6月から8月には、西日本を中心とした長梅雨や豪雨の影響もあり消費マインドが低調に推移いたしましたが、9月に「緊急事態宣言」が解除されたことなどを受けて消費は緩やかに回復し、2022年1月の「まん延防止等重点措置」の発令はあったものの、概ね正常化に向かいつつあります。

商品別につきましては、年間を通じて携帯電話や住宅設備などが好調に推移いたしました。一方で大画面テレビを中心とした映像家電商品やゲーム・玩具などは、前年の特別定額給付金やテレワーク需要・巣ごもり需要の影響もあり前年を下回ったものの、平年より高水準での推移を続けています。エアコンなどの季節家電商品は、長梅雨などの天候不順の影響で夏から秋にかけて売上が伸び悩みました。

2022年1月以降は、全国的に気温の低い日が続いたこと等もあり、季節家電商品が売上を回復するとともに、冷蔵庫や洗濯機・クリーナーなどの生活家電商品が順調に売上を伸ばしております。

 

このような中で、当社は出店エリアのドミナント化を推進するとともに、エディオンアプリとエディオンカードを生活サイクルに組み込む「お客様基盤の強化」、家電を中心としてリフォームや教育といった分野も組み合わせた快適な生活を提案し、未来の暮らしを豊かにする「事業基盤の強化」、POSや基幹システムの刷新や全国物流網の構築、ダイバーシティの推進や人事制度の見直しといった「インフラ基盤の強化」の3つの基盤強化を進めて参ります。

また、当社は「お客様の豊かな暮らしを永続的に支える企業」でありたいと考えており、社会や環境に目を向けた様々な貢献活動に取り組んでおります。具体的な活動内容につきましては、2021年10月27日に開示いたしました統合報告書(https://www.edion.co.jp/ir/library/integration)をご参照ください。

 

店舗展開につきましては、京都の中心に位置する四条河原町に2021年6月25日に「エディオン京都四条河原町店」をグランドオープンいたしました。エディオン京都四条河原町店では、スマートデバイス周辺機器を扱う「Anker Store」や、クラウドファンディングサイトMakuake(マクアケ)で開発された商品を販売する「Makuake SHOP」を家電量販店内に初めて常設するなど、今まで以上にお客様に新しい体験や楽しさをご提案しております。

また、一人暮らしの女性の要望に応え、女性スタッフによる配達を行うなど、「きょうのあなたに、きょういちばんを」をコンセプトに、地域のお客様に寄り添いながら、お得な商品を豊富にご用意し、快適にお買い物ができる空間をご提供いたします。

他に家電直営店として「エディオン小牧店(愛知県)」、「エディオン高針原店(愛知県)」、「エディオンイオンモール八幡東店(福岡県)」、「エディオン日吉店(神奈川県)」、「100満ボルトイオン松任店(石川県)」、「100満ボルト富山中川原店(富山県)」などの14店舗を新設、「エディオンホームズ寝屋川店(大阪府)」などの3店舗を移転、「エディオントナリエ南千里アネックス店(大阪府)」を増床し、2店舗を閉鎖いたしました。非家電直営店は2店舗を新設、2店舗を閉鎖いたしました。また、フランチャイズ店舗は3店舗の純増加となりました。これにより当連結会計年度末の店舗数はフランチャイズ店舗753店舗を含めて1,202店舗となりました。

 

 

 

   連結業績の概況

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

前期比(%)

 

連結売上高(百万円)

 

768,113

713,768

△54,345

92.9

 

営業利益(百万円)

 

26,785

18,796

△7,989

70.2

 

経常利益(百万円)

 

27,811

21,589

△6,222

77.6

 

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

 

16,633

13,109

△3,524

78.8

 

<連結売上高>

当連結会計年度の連結売上高は7,137億68百万円(前期比92.9%)となりました。これは、携帯電話や住宅設備、洗濯機・クリーナーなどの生活家電商品が好調に推移したものの、前年の特別定額給付金やテレワーク需要・巣ごもり需要の反動減や、夏場の天候不順の影響によりエアコンなどの季節家電商品が低調に推移したため、夏から秋にかけて全般的に売上が落ち込んだこと等によるものであります。

 

<営業利益>

当連結会計年度の営業利益は187億96百万円(前期比70.2%)となりました。これは主に連結売上高の減少や「エディオン京都四条河原町店」を始めとした新店舗の開店費用の影響により、一時的に販売費及び一般管理費が増加したこと等によるものであります。

 

<経常利益>

当連結会計年度の経常利益は215億89百万円(前期比77.6%)となりました。これは主に営業利益の減少によるものであります。

 

<親会社株主に帰属する当期純利益>

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は131億9百万円(前期比78.8%)となりました。これは主に経常利益の減少によるものの他、減損損失が17億62百万円あったこと等によるものであります。

 

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は236億39百万円、売上原価は171億32百万円、販売費及び一般管理費は58億96百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ6億11百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 

 

 

商品分類別連結売上高は以下のとおりです。

 

商品分類別連結売上高

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比

金額

(百万円)

構成比(%)

金額

(百万円)

構成比(%)

(%)

家電

 

 

 

 

 

テレビ

62,105

8.1

58,578

8.2

94.3

ビデオ・カメラ

20,004

2.6

14,650

2.1

73.2

オーディオ

15,170

2.0

12,329

1.7

81.3

冷蔵庫

55,027

7.2

52,519

7.4

95.4

洗濯機・クリーナー

77,437

10.1

75,911

10.6

98.0

電子レンジ・調理家電

39,607

5.1

37,386

5.2

94.4

理美容・健康器具

26,722

3.5

25,651

3.6

96.0

照明器具

6,526

0.8

5,961

0.8

91.3

エアコン

75,916

9.9

69,541

9.8

91.6

その他空調機器

31,770

4.1

23,000

3.2

72.4

その他

19,021

2.5

17,631

2.5

92.7

小計

429,312

55.9

393,162

55.1

91.6

情報家電

 

 

 

 

 

パソコン

51,296

6.7

43,401

6.1

84.6

パソコン関連商品

48,112

6.2

47,300

6.6

98.3

携帯電話

62,210

8.1

75,576

10.6

121.5

その他

15,097

2.0

14,693

2.1

97.3

小計

176,717

23.0

180,972

25.4

102.4

その他

 

 

 

 

 

ゲーム・玩具

34,326

4.5

33,652

4.7

98.0

音響ソフト・楽器

2,956

0.4

2,260

0.3

76.4

住宅設備

49,008

6.4

52,437

7.4

107.0

家電修理・工事収入

29,978

3.9

28,115

3.9

93.8

その他

45,813

5.9

23,166

3.2

50.6

小計

162,083

21.1

139,633

19.5

86.2

合計

768,113

100.0

713,768

100.0

92.9

 

連結財政状態

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

比較増減

総資産(百万円)

386,425

377,970

△8,455

負債(百万円)

192,583

178,489

△14,094

純資産(百万円)

193,841

199,480

5,639

自己資本比率(%)

50.2

52.8

2.6

1株当たり純資産(円)

1,809.68

1,950.13

140.45

有利子負債残高(百万円)

42,850

41,731

1,119

 

総資産は、前連結会計年度末と比較し84億55百万円減少し、3,779億70百万円となりました。これは新型コロナウイルス感染症蔓延によるリスクに備えるために商品及び製品が81億4百万円増加した一方、法人税等の納付等により現金及び預金が131億87百万円減少したこと等により流動資産が19億52百万円減少し、また、繰延税金資産が45億17百万円減少したこと等により固定資産が65億2百万円減少したためであります。

 

負債は、前連結会計年度末と比較し140億94百万円減少し、1,784億89百万円となりました。これは法人税等の支払により未払法人税等が83億11百万円減少した一方、従来固定負債に表示していた商品保証引当金を収益認識基準適用に伴い契約負債として流動負債に表示したこと等により流動負債が52億4百万円増加し、また、長期借入金が返済等により105億12百万円減少したこと等により固定負債が192億99百万円減少したためであります。

 

純資産は、前連結会計年度末と比較し56億39百万円増加し、1,994億80百万円となりました。これは主に、剰余金の配当により50億78百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により131億9百万円増加したためであります。

詳細は連結株主資本等変動計算書をご参照下さい。

 

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.2%から当連結会計年度末は52.8%となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

42,964

10,576

△32,388

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△7,975

△10,518

△2,543

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△7,891

△13,245

△5,353

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

27,097

△13,187

△40,284

現金及び現金同等物の期首残高(百万円)

15,974

43,072

27,097

現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

43,072

29,885

△13,187

 

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し131億87百万円減少し、298億85百万円(前期比69.4%)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は105億76百万円(前連結会計年度に得られた資金は429億64百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が197億64百万円、減価償却費が110億25百万円、減損損失が17億62百万円、賞与引当金の減少による資金の減少が15億59百万円、棚卸資産の増加による資金の減少が81億54百万円、仕入債務の増加による資金の増加が44億40百万円、法人税等の支払額が134億44百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は105億18百万円(前連結会計年度に使用した資金は79億75百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が74億41百万円、有形固定資産の売却による収入が7億87百万円、無形固定資産の取得による支出が19億41百万円、投資有価証券の取得による支出が9億60百万円、差入保証金の差入による支出が11億95百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は132億45百万円(前連結会計年度に使用した資金は78億91百万円)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が28億81百万円、自己株式の取得による支出が53億61百万円、配当金の支払額が46億61百万円あったこと等によるものであります。

 

(当企業グループのキャッシュ・フロー指標のトレンド)

 

第17期

2018年3月期

第18期

2019年3月期

第19期

2020年3月期

第20期

2021年3月期

第21期

2022年3月期

自己資本比率(%)

45.7

50.1

51.5

50.2

52.8

時価ベースの自己資本比率(%)

36.9

30.2

27.3

34.4

30.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.7

1.7

1.8

1.0

4.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ

51.7

96.6

105.5

194.3

46.2

自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表上に記載されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当企業グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

また、経営者の問題認識と今後の方針については「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当企業グループのキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当企業グループの運転資金需要のうち主なものは、家庭電化商品等の仕入れのほか、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。営業費用の主なものは広告宣伝費、給料手当及び賞与、法定福利及び厚生費等の人件費のほか、水道光熱費、地代家賃及び修繕維持費等であります。

設備資金需要のうち主なものは、新規店舗出店に伴う建物及び工具、器具及び備品の取得のほか、差入保証金等であります。

当企業グループは、基本的に運転資金については、自己資金または短期借入金により調達しております。

これに対し設備資金については、自己資金、長期借入金及び転換社債型新株予約権付社債で調達しており、2022年3月31日現在、1年内に返済予定のものを含む長期借入金の残高は370億86百万円であり金融機関からの借入等によるものであります。また、転換社債型新株予約権付社債の残高は138億30百万円であります。

当企業グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当企業グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)に記載のとおりであります。

 

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