文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
経営理念:「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」
コーポレートメッセージ:「すべてはこどもたちの笑顔のために」
保育理念:「未来(あす)を生きる力を培う」
自分らしく、生きる道を歩み、どんな時代にも対応できる資質と能力を培います。
保育方針:一人ひとりに心をかけ、愛情を注ぎ、成長に合わせたきめ細やかな保育を行うことで、変化の激し
いこれからの社会を生き抜くための、”生涯にわたる生きる力の基礎”を育みます。
・自ら伸びようとする力を支えます
・五感を養って感性を豊かにします
・後伸びする力を育みます
育成理念:「なりたい自分になる力を育む」
自分らしく、未来に希望を持ち、なりたい自分に向かって進める資質と能力を育みます。
育成方針:一人ひとりと向き合いながら、丁寧に支援し、変化の激しいこれからの社会を生き抜くため、人と
支え合い生きる力・自分らしく生きる力を育みます
・想い・考えを伝えあい「対話する力」を育みます
・相手に寄り添い相手を知る「想像する力」を養います
・どんな違いも受け止め「認める力」を支援します
・自ら考え行動し「自律する力」を応援します
また、事業性・収益性を評価し、グループ全体の成長性及び収益力を適切に現す指標として、毎期計画する売上高予想及び営業利益率10%以上を目標といたします。
一方、子育て支援事業においては、出生数の急激な低下に伴う少子化の加速、新型コロナウイルス感染症を背景とした利用控えによる待機児童の減少、継続的な保育士不足、女性の就業率の上昇による保育需要の高まり、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方やライフスタイルの変化による対応が求められるなど、子育てを取り巻く環境は目まぐるしく変容しております。
政府は「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿を整備するとともに、「新・放課後子ども総合プラン」では、待機児童解消に向けた放課後児童クラブの整備を更に加速させるなど、子育て環境の整備に向けた様々な施策を推進しております。更に「こども家庭庁」設置法案が閣議決定され、来年4月の発足を目指し、子育てをしやすい環境整備に向けた対応が促進されるなど、子育て支援事業の社会的な役割は、ますます重要性が増すものと考えられます。
このような状況の中、当社グループは子育て支援事業のリーディングカンパニーとして待機児童の解消への寄与、安全・安心の徹底を図り、保護者の方々が安心してお子様をお預けできるよう対策を講じるとともに、社会環境の変化や保護者ニーズへ対応することで、「選ばれる園・施設づくり」を推進してまいります。
(長期経営ビジョン)
当社グループは、2018年8月8日に公表いたしました「長期経営ビジョン」における2025年3月期 売上高(連結)1,000億円の目標につきまして、当初計画策定時から新型コロナウイルス感染症の拡大により、新しい生活様式により在宅勤務の普及など働き方が大きく変わるとともに、出生率の急激な低下により少子化が加速するなど公表した時点から外部環境が著しく変化していることから、売上高(連結)目標は維持するものの達成期日を設定しない目標といたします。
このような先行き不透明な状況下でありますが、今後の持続的な成長を捉え、子育て関連企業や異業種との資本提携・業務提携を積極的に推進することで、新規事業の開発・業容拡大を図り、「長期経営ビジョン」売上高(連結)1,000億円の達成に向け邁進してまいります。
そのために、以下を重点目標として掲げ、推進してまいります。
<重点目標>
売上高目標(連結):1,000億円を目指す。
イ.子育て支援事業の更なる質的成長と既存事業の拡大(新規開設・資本提携)
ロ.事業構造改革による経営基盤の強化
ハ.新しいビジネス価値の創出(新規ビジネスの開発、子育て支援の周辺事業を絡めた業務提携、資本提携)
(中期経営計画 2022年3月期~2024年3月期)
2022年5月12日に「中期経営計画のローリングに関するお知らせ」として公表しておりますとおり、当社グループは、共働き世帯の増加、一部地域における待機児童問題、継続的な保育士不足、出生率の急激な低下に伴う更なる少子化の加速、新型コロナウイルス感染症の収束も不透明な状況が想定され、新規開設による量的な拡大を優先させるのではなく、社会環境の変化や保護者ニーズに対応した更なる子育て支援の質的向上による「選ばれる園・施設」づくりを推進しております。このような状況を捉え、ローリング方式により中期経営計画の見直しを図り、より確実性の高い経営目標とし、経営にあたることといたします。
当社グループの中期経営計画は、社会環境の変化を捉え、前期の方針を継続して「収益性・効率性の向上」「健全性の向上」「成長性の向上」を重点目標に掲げ、経営資源を効果的に配分・投下し強固な経営基盤を構築してまいります。
具体的には、社会環境の変化に対応すべくDXを改革の柱として、「収益性・効率性の向上」については、既存事業である子育て支援施設の受入児童の拡大に向けた幼児学習の拡充および新たなコンテンツの開発・導入、人員配置の更なる適正化による収益改善を推進してまいりました。
「健全性の向上」については、子育て支援の要は「人」であることから人材教育・研修体制の拡充を図るとともに、システム化により業務効率の改善を行っております。また、昨年、刷新・制定した「グループ経営理念」「コーポレートメッセージ」「運営理念」「保育・育成理念」「保育・育成方針」を社内外に浸透・実践することで、更なる子育て支援の質的向上と「選ばれる園・施設」づくりを推進しております。
「成長性の向上」ついては、新規事業として、子育て世代を中心にベビー用品・衣料品などの子育て関連用品を主としたリユース品をWEB上でユーザー同士が個々に出品・購入し合うマッチングサービスを提供する子育て支援プラットフォーム「コドメル」の運営を開始しました。今後は様々な企業との連携やサービスを提供するBtoC事業や専門人材の紹介や派遣、専門研修のオンデマンド配信を行うBtoB事業など、国内に留まることなくグローバルにサービスを拡大してまいります。また、当社グループでは、発達支援事業の対応強化、保育所等訪問支援事業など、発達が気になるお子様の支援を行ってまいりました。これまでの子育て支援のノウハウと高い専門性に基づく発達支援の対応を活かし、発達障害の可能性があるお子様へのサポートを拡充すべく、多機能型の施設や巡回サービスを新たな事業として展開し、より多くのお子様と保護者に寄り添った子育て支援を行ってまいります。
<重点目標>
既存事業の収益性強化、子育て支援の更なる質的向上と社会・事業環境の変化を捉えた新たな価値創造に向けた新規事業の開発を加速する。
イ.収益性・効率性の向上
受入児童の拡大に向けた新たなプログラムの導入、人員配置の更なる最適化、ICT化での運営の効率化による収益性向上を図る。また、業務プロセス改革やシステム導入の加速により更なる業務効率化を行う。
1)既存事業の収益性強化に向け、新たなプログラム(幼児学習プログラム、ダンス、アートなど)導入
により受入児童の拡大と競争優位性を確立
2)既存施設の収益改善に向けた、配置人数の適正化、運営オペレーションの効率化とICT化の推進
3)小さな本部の実現に向け、経営管理・収益管理の体制強化および経営の効率化を捉えたシステム化と
構造改革を推進。
ロ.健全性の向上
社会・事業環境の変化を捉えた事業構造改革と経営基盤の強化を図る。安全・安心な運営・管理体制と子育て支援の更なる質的向上に向けた人材教育を確立する。
1)安全・安心の確保を最優先とした運営体制・対策方針の策定と徹底
2)「選ばれる園・施設づくり」として、子育て支援のノウハウを活用した取り組み・施策を広く社内・
外に知らしめることで、ブランドイメージの向上と優位性を確立
3)魅力ある職場環境づくり(採用活動の強化、人材教育・定着率向上、人事制度改革)
4)コンプライアンスの徹底およびコーポレート・ガバナンスの更なる強化
ハ.成長性の向上
子育て支援の取り組みを「待機児童対策」から「少子化社会への対応」として、新たな価値創造に向けたサービス、事業を開発し展開する。
1)新規事業の開発加速・推進のため、子育て支援業界および異業種との資本提携・業務提携を積極推進
し、収益基盤を拡大
(株式会社学研ホールディングスとの業務提携による新たな価値創造、異業種連携)
2)社会・事業環境の変化に対応したDX化によるグループ競争力の強化
(幼児学習・新規プログラムのDX化)
3)子育て支援プラットフォーム事業「コドメル」のサービス機能、商品を拡充したグローバル展開
(専門人材の紹介・派遣、研修、商品・サービスのグローバル展開など)
4)発達支援事業を拡充し、既存施設(保育園・学童クラブ・児童館)で培った専門性の高いサービスの
提供(発達障害の児童に向けたサポート事業、多機能型施設の開設)
当社グループでは、2022年5月12日に公表しました「中期経営計画のローリングに関するお知らせ」にあるとおり、社会環境の変化を捉え、前期から継続して「収益性・効率性の向上」「健全性の向上」「成長性の向上」を重点目標に掲げ、経営資源を効果的に配分・投下し、強固な経営基盤を構築してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、管轄自治体と連携した各施設での管理体制を徹底し、お預かりしているお子様・保護者の皆様・取引先・従業員の安全確保を最優先に考え、対応してまいります。
② 保育の質の向上
当社グループでは、各施設に対する従来からの組織運営体制に加え、保育の質的向上、安全管理体制の徹底強化を図るべく委員会制度を導入し、保育士のケア、新人事制度の導入による働き方改革の推進、教育体制の拡充などにより保育の質的向上に努めております。
③ 受入児童数の拡大
当社グループは、「選ばれる園・施設づくり」を目指し、従来から実施している英語・体操・リトミックに加え新たな幼児学習プログラムを導入するなど、保育の質的向上と合わせ様々な取り組みを進めております。新たに保育所を開設するのではなく、地域社会との共生や様々な取り組みによる特徴のある保育の拡充、質の高い保育士確保により既存施設の受入児童の拡大に努めております。
また、当社グループでは、自治体ごとの待機児童の状況や保育士の採用状況及び投資効率等を総合的に勘案し、新規施設と既存施設双方への保育士配置のバランスをとりながら受入児童の拡大とともに「選ばれる園・施設づくり」を目指しております。
④ 保育士確保に向けた施策
子育て支援サービスには、保育士資格を有する人材の確保が不可欠であります。
当社グループでは、年間を通じて全国各地で採用活動を行うとともに、従業員の給与引き上げや人事評価制度の見直しを実施してきました。また、保育士養成講座による資格取得支援も行っており、より働き易い制度と仕組みづくりに取り組んでおります。
⑤ 業務の効率化及び情報の管理
業務の効率化と収益性の向上として、保育士の業務負担の軽減を図りより運営に専念できる体制づくりとしてICT化を推進するとともに、経営管理・収益管理の体制強化と高度化を図るべくシステム化と業務効率の改善を捉えた構造改革に取り組んでおります。システム化のみならず組織体制の見直し、人員配置の最適化、業務の見直しなどにより業務効率と収益改善に取り組んでおります。システム導入に際しては、情報漏洩等に対するセキュリティの強化を図るとともに、管理体制の整備も同時に進めております。
また、当社グループは全国で300施設を超える保育園・学童クラブ・児童館を運営しており、乳児期・幼児期・学童期を通じ12年間にわたって育ちの連続性をトータルで支援できる、当社ならではの強みを活かし、お子さまの成長に合わせた様々な対応を図ってまいります。
⑥ 人材への投資
当社グループは、保育の質的向上と安全確保のため、情熱と適性を有する人材を採用し、その人材が持つポテンシャルを最大限に引き出すための教育を継続的に実施していくことが不可欠であると考えております。そのため、社内で行う研修においては、保育に関する様々な知見を取り込むとともに、有識者による研修や社外の勉強会なども積極的に導入・活用し、人材のレベルアップを図っております。
また、それぞれの従業員には、公正かつ継続的に教育機会を提供し、一人ひとりが強みを認識し持ち味を存分に高め発揮できる育成施策を講じます。
更には、公正な採用選考・平等な登用制度・ジョブ型処遇制度を掲げ、ジェンダー・国際性・職歴・年齢の面を含む多様な人財の育成・確保に努めてまいります。
⑦ 新規事業の取り組みによる収益基盤拡大
当社グループが運営する施設の多くは公費で運営されており、事業が安定的に推移する一方で、政策や制度変更の影響を受けやすく、政策転換による事業への影響が懸念されます。
この様な環境を踏まえ、当社グループでは子育て支援事業に関する周辺事業を中心に、新規事業の開発・推進により、収益基盤の拡大に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症の拡大により新たな生活様式による働き方が大きく変化しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)を改革の柱とした新たな事業展開も重要であると考えております。具体的には、子育て支援事業で培ったノウハウをサービスや商品として外販するビジネス、新たなビジネスの創出として様々なコンテンツのDX化、子育て支援プラットフォーム「コドメル」による子育てに関する様々な商品やサービスをCtoC、BtoC、BtoB及び海外へ提供するなど、子育て支援業界・教育業界・異業種などと連携した様々な事業開発に取り組んでまいります。
また、当社グループでは、発達支援事業の対応強化、保育所等訪問支援事業など、発達が気になるお子様の支援を行ってまいりました。これまでの子育て支援のノウハウと高い専門性に基づく発達支援の対応を活かし、発達障害の可能性があるお子様へのサポートを拡充すべく、多機能型の施設や巡回サービスを新たな事業として展開し、より多くのお子様と保護者に寄り添った子育て支援を行ってまいります。
更なる事業規模の拡大として資本提携・業務提携に関しても積極的に推進するとともに、国内での展開に留まることなく、これまで培ってきたノウハウをグローバルに展開してまいります。
⑧ コンプライアンスへの取り組み
児童福祉法をはじめとする各種関連法令の遵守を厳格に実行するとともに、お客様の個人情報についても法律に則った取り扱いを徹底しております。コンプライアンスへの取り組みとして、内部監査・管理本部・人事総務本部等、それぞれの分野において高い専門性と豊富な経験を有する人材の採用を行うとともに、社内規程の整備・拡充、社員教育の徹底によるコンプライアンスへの意識を高め、徹底に努めてまいります。
⑨ 社会貢献
企業の持続的な成長のため、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、あらゆるステークホルダーとの適切な協働により、サステナビリティの課題に取り組んでまいります。
また、子育てプラットフォーム「コドメル」では、当社グループの各施設等に寄付BOXを設置し、お子さまの成長過程の中で必要なくなった子育て関連商品を寄付いただき、リユースし子育て世代の方に提供することで資源を有効活用し、環境負荷の低減や処理費用の削減をはじめとした地球環境の保全に配慮した取り組みを行っております。当社グループは、経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」の考えに基づき、環境に配慮したよりよい社会づくりに貢献してまいります。
⑩ 企業価値向上への取り組み
当社グループは、待機児童問題、児童虐待など社会的な問題解決に向け、各施設での様々な子育て支援活動や地域と連携した対応などにより子育ての環境整備に取り組んでまいります。また、安全・安心を第一優先に質の高い子育て支援を実現することで更なる保育の質的向上に繋げてまいります。
当社グループは、「選ばれる子育て支援施設」を目指して、こうした各施設の子育て支援活動に加え、地域との共生を図り、よりよい社会環境づくりに貢献してまいります。
⑪ 設備資金確保のための資金調達と財務基盤の安定性の確保
継続的に保育所を開園するためには、設備費用等の資金を安定的に確保することが重要となります。
当社グループでは、財務の健全性を追求しつつも、必要資金を安定的に調達していくため、金融機関からの借入れに限定せず社債の発行や株式の発行も含めて財務政策を検討しております。
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