業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

 当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

企業価値向上を加速

 味の素グループは、2030年の目指す姿に向けて構造改革と重点事業への投資の集中を進めており、2021年度は新型コロナウイルス感染拡大による事業の影響を受けたものの、ROIC7.9%、オーガニック成長率6.8%を実現しました。2022年度は、原燃料価格高騰の影響を全体では打ち返し、ROIC8%、オーガニック成長率11%と、中期経営計画で掲げた構造目標の達成を目指します。さらに、新体制において、力強い成長力の回復に向け、事業ポートフォリオの強化と成長率を上げるための無形資産への投資を「スピードアップ×スケールアップ」して取り組むために、中期指標経営への転換と財務資本戦略の進化を図っていきます。

 

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<2021年度業績サマリー>

■売上高:11,493億円(対前年+7.3%)

 調味料・食品および冷凍食品において、主に海外における家庭用製品の好調や前期に新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことに加え、ヘルスケア等における電子材料およびバイオファーマサービスの販売好調により、増収。

 

■事業利益:1,209億円(対前年+6.9%)

 調味料・食品および冷凍食品において原燃料価格の上昇等の影響を受けたものの、ヘルスケア等の増収に伴う大幅増益により、全体で増益。

 

■親会社の所有者に帰属する当期利益:757億円(対前年+27.4%)

 事業利益の増加等により、増益。

 

<2022年度業績予想>

■売上高:13,100億円

 コストインフレに対応するための機敏かつ適切な価格改定や付加価値製品の販売増等を通じ、全てのセグメントで増収。

 

■事業利益:1,240億円

 調味料・食品は原燃料価格高騰の影響を受けるも、ヘルスケア等の重点事業や冷凍食品の増収効果等で、全体で増益。

 

■親会社の所有者に帰属する当期利益:770億円

 事業利益増により、増益。

 

 

・2023年3月期 :重点KPI(セグメント別予想)

 

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・「ROICを重視する経営」に向けた取り組み

 味の素グループでは、資本コスト(WACC)を上回るROICの維持・改善に向けて、経営と現場が一体となって継続的に取り組んでいます。経営は、「成長性」と「効率性」の2つの軸で経営資源の最適配分を行うことによって、継続的な投下資本効率の向上を目指し、現場は、ROICを頂点とするKPIツリー(ROICツリー)を用いた自律的なマネジメントに基づき、中長期視点でのROIC向上に努めています。

 

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・事業ポートフォリオマネジメント

 2021年度に経営会議の下部機構として設けた「重点事業グランドデザイン会議」では、成長性や効率性に課題のある事業における構造改善の可能性や施策について検討してきました。また、2030年の目指す姿からバックキャストしたときに、重点6事業がそれぞれいつまでに何を達成すべきか、環境負荷に起因するコスト(温室効果ガス排出に伴い課される炭素税等)の観点も加えつつ、検討を行ってきました。

 2020-2021年度の2年間で、欧州の動物栄養事業や国内冷凍食品事業の一部の工場等、構造改革を着実に進めていますが、今後は2023年度以降に予定していた構造改革の2022年度への前倒し着手も含め、資本効率の改善に関する検討を積極的に進め、中期経営計画で掲げた構造目標の実現を目指します。

 

・ROICツリー展開を活用した価値向上

 ROICツリーを当社グループ全体に展開することで、現場主体の自律的なマネジメントに基づき、中長期でのROIC改善を目指す基盤づくりに取り組んでいます。業績への影響が大きい重要なKPIが、経営者・現場の双方から可視化されているだけでなく、それらの変化に基づき、業績変調の兆しを早期に把握できる状態を目指しています。

 2022年度の予算編成より、事業ごとに重要なKPIを特定し、ROICツリーへの組み込みを始めており、ここから同業他社分析や時系列分析、事業内における事業ポートフォリオの経営判断につなげていきます。そして、現場主体の自律的なマネジメントに基づくROICの改善活動が、当社グループ全体の企業価値向上へとつながっている状態を実現させます。

 

・ローリングフォーキャスト実施に向けた取り組み

 ウクライナ情勢等により原燃料価格が高騰し、グローバルにインフレーションが進行する等、経営環境の不確実性が急速に高まる中、業績の動向を素早く把握し、打ち手につなげていくことが益々重要になっています。

 このような状況下、業績の見通しをタイムリーに更新することで、業績動向の把握から打ち手の検討、その効果の確認に至る一連のプロセスのスピードアップにつなげる、ローリングフォーキャストの取り組みを、2021年度より一部の事業・グループ会社で開始しました。2022年度は、これを他の事業・グループ会社にも展開することにより、経営の「スピードアップ×スケールアップ」を支える基盤としての取り組みへと進化させていきます。

 

 

・ROICスプレッドの拡大に向けた取り組み

 企業価値を高めるためには、ROICの向上に加え、WACCの低減を図り、両者のスプレッド(ROICスプレッド)を拡大することが重要となります。財務資本戦略においても、サステナビリティファイナンスを活用することでWACCの低減に取り組んでいます。2021年度は当社グループ初となるSDGs債を発行するとともに、ポジティブ・インパクトファイナンス*によるコミットメントライン契約を締結しました。

 今後も、必要な資金調達を行う際にはサステナビリティファイナンスを積極的に活用し、ファイナンス分野においても持続可能な社会の実現に向けた取り組みをより一層加速するとともに、資本コストの低減を図ります。

 

 *サステナビリティファイナンスの一つで、企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるもの。

 

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・バランスシートの目指す姿

 

 「ROICを重視する経営」を進めるべく、高い投資効率を確保できる健全なバランスシートを維持していきます。2021年度においては、事業資産圧縮により約430億円、リソースアロケーションおよび政策保有株式の売却により約340億円、合計約770億円のアセットライト化施策を実施しました。換算為替影響により総資産が増加しましたが、2020-2022年度においては、約1,000億円のアセットライト化施策を進め、総資産の増加を抑えていきます。負債・資本サイドは、2021年度末のネットD/Eレシオは0.36倍となり、中期的にネットD/Eレシオ0.5倍以下にコントロールしていきます。

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・キャッシュ・フロー計画

 

 2021年度の営業キャッシュ・フローは1,455億円となりました。2020-2022年度の期間の合計で目標の4,000億円を上回る見込みであり、2022年度以降についてもキャッシュ・フロー創出力を高めていくことを経営の重点課題としていきます。2020-2022年度の株主還元は1,000億円超を計画しています。

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・予測できない急激な環境変化への対応

 

 原燃料価格や為替レートの急激な変化、また金利や資金調達環境等の金融環境変化に対応し、安定的に事業継続していくために財務資本戦略を強化しています。

① 原燃料価格の影響や為替レートを適時反映させ業績予想をアップデートできる管理会計の体制・仕組みの構築

② グローバルでの各地域内、地域間で資金を有効活用するためのキャッシュマネジメントの仕組みの整備

③ 社債、コマーシャル・ペーパー、金融機関借入、売上債権流動化等調達手段の多様化と期日の分散、およびこれをバックアップする円貨、外貨のコミットメントラインの整備

④ 適切な為替ヘッジ等を実施するためのグループポリシー、ガイドラインの整備

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・株主還元方針

 

 長期的には、企業価値の最大化を目指す中でキャッシュ・フローの成長投資と株主還元への配分を決定し、株主還元については安定的・継続的に拡充していくことを目指しています。2020-2022年度においては、収益拡大と資産圧縮を通じて創出するキャッシュ・フローを成長への投資に充当するとともに、1,000億円超の株主還元を行います。また、配当性向を従来の30%から40%を目途に引き上げ、総還元性向が50%以上となるよう計画しており、長期的かつ安定的・継続的に株主還元を拡充していく予定です。

 1株当たり当期利益(EPS)の向上と、中長期的に株主資本コストを上回るROICの実現によって企業価値を向上させ、配当込みTOPIXを上回るトータル株主リターン(TSR)を目指します

 

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(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(3) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(4) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントにおいて、主に海外における家庭用製品の好調や前期新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことに加え、ヘルスケア等セグメントにおいて、主に電子材料及びバイオファーマサービスの販売好調により増収となった結果、前期を779億円上回る1兆1,493億円(前期比107.3%)となりました。

 事業利益は、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントにおいて、原燃料価格等の上昇等の影響を受けたものの、ヘルスケア等セグメントの増収に伴う大幅増益により、前期を77億円上回る1,209億円(前期比106.9%)となりました。

 営業利益はその他の営業費用で北米の調味料事業等における減損損失の計上があったものの、前期は欧州及び北米の動物栄養事業の構造改革に伴い当期を大幅に上回る減損損失等の計上があったことから、前期を234億円上回る1,245億円(前期比123.2%)となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を163億円上回る757億円(前期比127.4%)となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の概況

 セグメントごとの業績は、次のとおりです。

 

対前期実績

売上高(億円)

事業利益(億円)

第144期

前期増減

前期比

第144期

前期増減

前期比

調味料・食品

6,642

437

107.0

812

△55

93.6

冷凍食品

2,217

234

111.8

△6

△29

 

ヘルスケア等

2,512

117

104.9

433

170

165.1

その他

121

△10

92.4

△30

△7

 

合計

11,493

779

107.3

1,209

77

106.9

(注)各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。

 

① 調味料・食品セグメント

 調味料・食品セグメントの売上高は、主に、海外における家庭用製品の好調や前期新型コロナウイルス感染症の蔓延で影響を受けた外食用・業務用製品の販売が一部復調したことにより、前期を437億円上回る6,642億円(前期比107.0%)となりました。事業利益は、海外の増収効果や換算為替影響があったものの、原燃料価格等の上昇等により、前期を55億円下回る812億円(前期比93.6%)となりました。

 

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<主要な変動要因>

・調味料は、日本は減収も、海外が増収となり、全体で増収。

 日本は、前期の内食需要拡大の反動等により、減収。

 海外は、内食需要拡大に伴う家庭用製品の好調や外食向け製品の一部復調、為替影響、単価上昇等により、増収。

・栄養・加工食品は、日本、海外ともに増収となり、全体で増収。

 日本は、スープの販売増等により、増収。

 海外は、即席麺の販売増や単価上昇等により増収。

・ソリューション&イングリディエンツは、加工用うま味調味料の販売増等により、増収。

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<主要な変動要因>

・調味料は、日本は減益も、海外が増益となり、全体で前期並み。

 日本は、原材料等のコスト増や減収影響等により、減益。

 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果や為替影響により、増益。

・栄養・加工食品は、海外は増益も、日本が大幅減益となり、全体で減益。

 日本は、スープ新工場立ち上げや原材料等のコスト増の影響等により、大幅減益。

 海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果等により、増益。

・ソリューション&イングリディエンツは、増収も、加工用うま味調味料が原燃料価格上昇の影響を受け、全体で減益。

 

② 冷凍食品セグメント

 冷凍食品セグメントの売上高は、主に、海外における販売が増加したことや換算為替影響等により、前期を234億円上回る2,217億円(前期比111.8%)となりました。事業利益は、北米における原材料等のコストの上昇等により、前期を29億円下回る6億円の損失となりました。

 

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<主要な変動要因>

・日本は減収も、海外が大幅増収となり、全体で増収。

 日本は、高付加価値製品の販売増も、構造改革に伴う終売影響等により、減収。

 海外は、北米や欧州における堅調な需要継続や、北米の単価上昇と為替影響等により、大幅増収。

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<主要な変動要因>

・日本は前期並みも、海外が大幅減益となり、全体で大幅減益。

 日本は、減収も、構造改革効果等により、前期並み。

 海外は、北米において、単価上昇効果あるも、原材料等のコスト増影響等により、大幅減益。

 

③ ヘルスケア等セグメント

 ヘルスケア等セグメントの売上高は、動物栄養は構造改革の影響により減収となったものの、バイオファーマサービス&イングリディエンツ及びファンクショナルマテリアルズの増収により、前期を117億円上回る2,512億円(前期比104.9%)となりました。事業利益は、増収効果により、前期を170億円上回る433億円(前期比165.1%)となりました。

 なお、当連結会計年度より一部の製品区分の名称及び製品分類を変更しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。また、当連結会計年度より「医薬用・食品用アミノ酸」と「バイオファーマサービス」をまとめて「バイオファーマサービス&イングリディエンツ」と表示しております。

 

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<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、バイオファーマサービス、医薬用・食品用アミノ酸の販売増により、増収。

・ファンクショナルマテリアルズは、主に電子材料の販売好調により、大幅増収。

・その他は、動物栄養の構造改革影響等により、大幅減収。

 

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<主要な変動要因>

・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、増収に伴い大幅増益。

・ファンクショナルマテリアルズは、大幅増収に伴い大幅増益。

・その他は、動物栄養の構造改革による費用減等により、大幅増益。

 

④ その他

 その他の事業の売上高は、前期を10億円下回る121億円(前期比92.4%)となり、事業利益は、構造改革に伴う損失の計上により、前期を7億円下回る30億円の損失となりました。

 

当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況

① 売上高

 売上高は前期を779億円上回る1兆1,493億円(前期比107.3%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を149億円上回る4,858億円(前期比103.2%)となりました。海外では、前期を629億円上回る6,635億円(前期比110.5%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ2,852億円(前期比108.2%)、2,625億円(前期比119.8%)及び1,156億円(前期比98.3%)となりました。なお、売上高海外比率は57.7%(前期は56.1%)となりました。

 

② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益

 売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から582億円増加し、7,234億円(前期比108.8%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント悪化し、62.9%となりました。販売費は、主として為替影響や海上輸送費の高騰による物流費の増加等により、前期から82億円増加し、1,688億円(前期比105.1%)となりました。研究開発費は、前期から10億円減少し、248億円(前期比95.9%)となりました。一般管理費は、為替影響や減価償却費の増加等により、前期から44億円増加し、1,122億円(前期比104.1%)となりました。持分法による損益は、9億円の利益(前期は13億円の利益)となりました。

 

③ 事業利益

 事業利益は、前期を77億円上回る1,209億円(前期比106.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では545億円(前期比112.5%)、海外では663億円(前期比102.7%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ474億円(前期比104.7%)、116億円(前期比83.8%)及び72億円(前期比134.6%)となりました。なお、事業利益海外比率は54.9%(前期は57.1%)となりました。

 セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報」をご参照ください。

 

④ その他の営業収益(費用)

 その他の営業収益は、前期から23億円増加し、267億円(前期比109.6%)となりました。その他の営業費用は、北米の調味料事業等における減損損失の計上があったものの、前期は欧州及び北米の動物栄養事業の構造改革に伴い当期を大幅に上回る減損損失等の計上があったこと等により、前期から133億円減少し、231億円(前期比63.5%)となりました。

 

⑤ 営業利益

 営業利益は、前期を234億円上回る1,245億円(前期比123.2%)となりました。

 

⑥ 金融収益(費用)

 金融収益は、前期から29億円増加し、68億円(前期比176.1.%)となりました。金融費用は、前期から22億円増加し、89億円(前期比133.8%)となりました。

 

⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を163億円上回る757億円(前期比127.4%)となり、1株当たり当期利益は139円42銭(前期は108円36銭)となりました。

 

(5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆4,312億円に対して257億円増加し、1兆4,570億円となりました。これは主として、自己株式の取得及び借入金の返済に伴う現金及び現金同等物等の減少や、動物栄養事業の構造改革に伴う欧州の動物栄養事業の売却等、資産の効率化を進めたものの、有形固定資産等が為替影響により増加したことによるものです。
 負債合計は、前連結会計年度末の7,634億円に対して461億円減少し、7,173億円となりました。これは主として、有利子負債の減少や欧州の動物栄養事業の売却によるものです。なお、有利子負債残高は、コマーシャル・ペーパーの償還や借入金の返済等により、前連結会計年度末に対して428億円減少し、3,639億円となりました。

 資本合計は、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して718億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、6,869億円となり、親会社所有者帰属持分比率は47.1%となりました。

 

セグメントごとの概況は、次のとおりです。

① 調味料・食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,629億円に対して431億円増加し、6,060億円となりました。これは主として為替影響による有形固定資産等の増加によるものです。

② 冷凍食品セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1,825億円に対して190億円増加し、2,015億円となりました。

③ ヘルスケア等セグメント

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,906億円に対して205億円増加し、3,111億円となりました。

 

(6) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(億円)

 

2021年3月期

2022年3月期

差額

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,656

1,455

△200

投資活動によるキャッシュ・フロー

△662

△615

46

財務活動によるキャッシュ・フロー

△603

△1,230

△626

現金及び現金同等物に係る換算差額

38

88

49

現金及び現金同等物の増減額

429

△301

△730

売却目的保有に分類される処分グループに係る

資産に含まれる現金及び現金同等物

△29

29

現金及び現金同等物の期末残高

1,816

1,514

△301

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,455億円の収入(前期は1,656億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,224億円であり、減価償却費及び償却費662億円と、法人所得税の支払額316億円があったこと等によるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、615億円の支出(前期は662億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出738億円と、無形資産の取得による支出68億円があったこと等によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,230億円の支出(前期は603億円の支出)となりました。自己株式の取得による支出400億円、配当金の支払額272億円、コマーシャル・ペーパーの減少300億円があったこと等によるものです。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,514億円となりました。

 

(7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途

① 資金の流動性について

 当連結会計年度は短期流動性に関し、手元流動性確保のために、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段を備えております。

 新型コロナウイルス感染症に関するリスクの認識にもとづく資金面での取り組みとして、十分な手元流動性比率の維持と既に設定している主要取引銀行との間のコミットメントラインにより資金の安全性を確保し、加えて、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。

② 資金の調達

 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、金融機関からの借入等による資金調達活動を行いました。また、サステナビリティファイナンス・フレームワークを策定し、これに基づき2021年10月にSDGs債を発行しております。

③ 資金の使途

 当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金です。

 

(8) 経営上の目標の達成状況について

 経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

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