(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下の通りであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたワクチン接種等の対策が講じられているものの、まん延防止等重点措置等の長期継続に加え、ウクライナでの地政学リスクの高まりなど先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
食品業界におきましては、内食需要が引き続き高い水準で推移するなかで、外食需要に持ち直しの動きが見られるなど市場構造の変化が生じたほか、原材料・エネルギー価格の上昇や外国為替市場での円安の進行による先行きへの不安等から、お客様の節約志向が高まるなど、引き続き厳しい経営環境となりました。
このような状況のなかで、当社グループは、企業理念・ビジョンのもと、2020年4月より開始いたしました第2次中期経営計画に基づき、「地の恵み スパイス&ハーブ」を核とした事業活動を推進するとともに、社会環境の変化やお客様のニーズの多様化への対応に全社一体となって取り組んでまいりました。
また、2020年より新型コロナウイルス感染症への対応を目的として対策本部を設置し、引き続き、感染予防・拡大防止に向け対策を徹底し、従業員の安全確保を最優先とした対応を進めますとともに、生産・物流の現場におきましては、衛生管理と感染リスクの対策を徹底の上、継続して製品の安定的な生産・供給に努めてまいりました。
販売面につきましては、内食需要の堅調な推移や外食需要の持ち直しの動きなどにより、食料品事業におきまして、家庭用製品、業務用製品ともに増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、食料品事業におきまして、香辛調味料グループやインスタント食品その他グループが伸長いたしましたことなどから、前期比37億91百万円増の1,180億46百万円(前期比3.3%増)となりました。利益面につきましては、売上高は増加いたしましたものの、原材料価格の上昇などによる売上原価率の増加に加え、販売活動費用も増加いたしましたことから、営業利益は前期比8億30百万円減の86億17百万円(同8.8%減)、経常利益は前期比6億74百万円減の87億9百万円(同7.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4億26百万円減の62億25百万円(同6.4%減)となりました。
セグメント別・製品区分別の経営成績は、以下の通りであります。
なお、食料品事業内の各製品区分別の売上高は出荷価格ベースのため、その合計は食料品事業の売上高と一致いたしません。
(単位:百万円)
(注)1.各セグメントの売上高は、セグメント間内部売上高消去後の数値を記載しております。
2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去であります。
香辛調味料グループや即席グループが順調に推移いたしましたことに加え、インスタント食品その他グループも伸長いたしましたことから、売上高は前期比40億円増の1,049億48百万円(同4.0%増)となりました。なお、セグメント利益(営業利益)は前期比9億円減の78億5百万円(同10.3%減)となりました。
<スパイス&ハーブ>
洋風スパイスを中心に業務用香辛料が増加いたしますとともに、唐辛子等が順調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は前期比4億38百万円増の304億38百万円となりました。
<即席>
主力ブランドの「ゴールデンカレー」が引き続き順調に推移いたしますとともに、「栗原はるみのクリームシチュー」などのパウダールウ製品が増加いたしました。
以上の結果、売上高は前期比10億37百万円増の333億28百万円となりました。
<香辛調味料>
お徳用タイプのチューブ製品が引き続き伸長いたしますとともに、中華製品では「町中華」シリーズが堅調に推移いたしました。また、昨年8月発売の「にんにく背脂」も寄与いたしました。
以上の結果、売上高は前期比17億14百万円増の425億81百万円となりました。
<インスタント食品その他>
レトルト製品では「ホテル・シェフ」シリーズや「神田カレーグランプリ」シリーズが順調に推移いたしました。パスタソースは、「まぜるだけのスパゲッティソース」シリーズが増加いたしました。
以上の結果、売上高は前期比22億98百万円増の295億47百万円となりました。
調理麺などが減少いたしましたことから、売上高は前期比2億9百万円減の130億98百万円(同1.6%減)となりました。なお、原価低減に努めたことなどから、セグメント利益(営業利益)は前期比69百万円増の7億69百万円(同9.9%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、営業活動により増加したものの投資活動及び財務活動により減少し、前連結会計年度末に比べ3億50百万円減少して、当連結会計年度末には252億13百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、81億70百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益86億3百万円に対し、法人税等の支払額30億33百万円などがあったものの、減価償却費46億49百万円などがあったことによるものであります。
前期と比較して獲得資金は31億42百万円減少いたしましたが、この要因は主に、売上債権の増加による資金の減少(31億85百万円)による影響であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、57億36百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出50億83百万円などがあったことによるものであります。
前期と比較して使用資金は8億39百万円減少いたしましたが、この要因は主に、有形固定資産の取得による支出の減少(16億41百万円)による影響であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、28億98百万円となりました。これは主に、借入金の借入・返済に伴う差引支出額8億31百万円、自己株式の取得による支出12億40百万円などがあったことによるものであります。
前期と比較して使用資金は15億80百万円増加いたしましたが、この要因は主に、自己株式の取得による支出の増加(12億39百万円)による影響であります。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下の通りであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2021年3月期の期首より適用しております。2020年3月期の自己資本比率及び時価ベースの自己資本比率につきましては、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)金額は出荷価格によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)金額は商品仕入価格によっております。
主要製品の受注生産を行っていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。なお、出荷価格ベースの売上高により、割合を算出しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表作成において判断や見積りを要する重要な会計方針等につきましては、過去の実績等合理的と考えられる前提に基づき判断し、見積りを実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、概ね「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因等は次の通りであります。
(資産)
資産は、前連結会計年度末と比較して35億74百万円増加し、1,289億84百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加20億91百万円、売上債権の増加18億62百万円などがあったことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して11億91百万円減少し、690億81百万円となりました。これは主に、借入金の減少8億31百万円、未払法人税等の減少6億72百万円などがあったことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して47億66百万円増加し、599億3百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加43億64百万円などがあったことによるものであります。この結果、自己資本比率は46.4%(前期44.0%)となりました。
イ.当連結会計年度の経営成績の分析
売上高は、前期比37億91百万円増の1,180億46百万円(前期比3.3%増)となりました。これは、「食料品事業」の売上高が増加したことによるものであります。
セグメント別の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
売上高は増加したものの、売上原価率も増加したことにより、売上総利益は前期比5億円減の319億8百万円(同1.5%減)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、売上高に対する比率が19.7%(前期20.1%)に減少したものの、販売促進費等が増加いたしました。この結果、営業利益は前期比8億30百万円減の86億17百万円(前期比8.8%減)となり、売上高営業利益率は7.3%(前期8.3%)となりました。
営業外損益につきましては、支払利息4億81百万円などがあったものの、受取配当金2億18百万円、為替差益1億22百万円などがあったことから、営業外損益は91百万円の利益となりました。なお、営業利益が減少したことにより、経常利益は前期比6億74百万円減の87億9百万円(前期比7.2%減)となりました。
特別損益につきましては、補助金収入などの特別利益が59百万円発生しましたが、固定資産売却損などの特別損失が1億65百万円発生したことから、1億6百万円の損失となり、税金等調整前当期純利益は前期比6億85百万円減の86億3百万円(同7.4%減)となりました。
なお、当期の税効果会計適用後の法人税等の負担率は27.6%(前期28.4%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4億26百万円減の62億25百万円(前期比6.4%減)となりました。この結果、ROEは10.8%(前期12.9%)となりました。
ウ.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載した通りであります。
エ.資本の財源及び資金の流動性
a.資本政策の基本方針
当社グループは、事業活動により得られた資金の配分に関しましては、安定的な株主還元を行う中で、持続的な成長と企業価値の向上に資する事業や成長分野への投資へ配分するとともに、財務体質の強化と堅実な経営基盤の確保に努めることを資本政策の基本方針としております。
財務体質の強化にあたっては、事業活動に必要な水準の現金及び現金同等物を保有し流動性を確保するとともに、今後の事業展開に向けた投資と内部留保の充実のバランスを勘案しながら、自己資本比率及びROEの維持向上を目指して参ります。
b.資金需要の内容
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造に必要な原材料の調達費用や、製品販売のための販売促進費や広告宣伝費、物流費などの営業費用であります。設備投資需要のうち主なものは、製品製造のための建物等の建設費用及び生産設備の購入費用であります。
c.資金調達
事業の持続的な成長と企業価値の向上に向けた投資を行うにあたっては、主として営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金に加え、外部からの資金調達を有効に活用しております。設備投資に関しては、獲得した営業キャッシュ・フローの範囲を原則としておりますが、手元流動性を確保するとともに、必要な資金については調達方法を勘案しながら主に金融機関からの借入により、安定的かつ機動的に調達を実施しております。また、当社グループにおいて借入を行っておりますが、資金調達にあたっては当社が管理を行うことにより、当社グループ全体での資金効率の向上や金融費用の削減に努めております。
d.資金の流動性
現金及び現金同等物の水準と今後見込まれる営業キャッシュ・フローから、今後の事業活動に必要な手元流動性を充分に確保していると判断しております。また、金融機関と当座貸越枠やコミットメントライン等の設定を行い、緊急時における安定的かつ機動的な資金調達手段を備えております。
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