業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく影響を受けております。そのため、以下の経営成績に関する説明は、売上高については増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。収益認識会計基準等の適用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が継続するなか、ワクチン接種の普及等、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きがみられるものの、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等、景気の下振れリスクもあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループは、国内市場における超高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加、人口減、社会の成熟化に伴うニーズの多様化に加え、デジタルテクノロジーの進展、ミレニアル・Z世代等の新たな消費者層の拡大、アジアの成長や経済のグローバル化等、国内外の事業環境が大きく複雑に変化するなか、新価値創造による強い企業成長を目指すため2019年度から2023年度までの5ヵ年の中期経営計画「Unique 2023 ~エバラらしさの追究~」を推進しております。基本とする戦略方針を「コア事業による収益強化と戦略事業の基盤確立」「“エバラらしく&面白い”ブランドへの成長」と定め、企業成長に向けたチャレンジを継続し、エバラの独自性、面白さに磨きをかけて、当社グループの根幹を支えるコア事業の収益拡大を図ってまいります。また、将来の成長ドライバーとなる戦略事業を推進し、国内外で新たな需要、市場を開拓することで、事業規模の拡大とエバラブランドの育成を図ってまいります。「Unique 2023」の第2フェーズ(2021~22年度)におきましては、第1フェーズ(2019~20年度)に引き続き、コア事業による収益強化と戦略事業の基盤確立に向け、基幹品の収益強化や新価値創造による強い企業成長を目指してまいります。

当連結会計年度における当社グループの売上高は、433億45百万円となりました。

食品事業の家庭用商品において、『プチッとうどん』の販売が販売店舗の定番導入率向上により上期(4~9月)を中心に大きく伸長したほか、2月にシリーズ初の具入りタイプを展開し、提供価値の幅を広げたことにより、第4四半期(1~3月)も好調に推移いたしました。一方、10月、11月において気温の高い日が続いたことや巣ごもり需要の反動減により、『すき焼のたれ』や『キムチ鍋の素』等の鍋物調味料群の販売は前期の販売水準には至りませんでした。『プチッと鍋』も同様に厳しい販売環境となりましたが、12月から1月にかけてテレビCMと連動した店頭露出の強化もあり、前期と同水準にて推移しました。業務用商品において、外食及び中食市場向けに展開した商品が引き続き売上を伸ばしたほか、大型チェーン店のメニュー採用等もあり、前期の販売水準を上回って推移いたしました。利益面につきましては、売上高の減少に加え、原材料の高騰や商品構成の変化による売上原価率上昇の影響もあり、営業利益は33億48百万円(前期比7.7%減)、経常利益は36億66百万円(前期比1.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等の減少により、27億4百万円(前期比7.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

<食品事業>

食品事業の売上高は356億72百万円となりました。

 

(イ)家庭用商品

家庭用商品は前期の販売水準を下回りました。

肉まわり調味料群につきましては、『黄金の味』が広告施策等によりお客様との接点強化に努めましたが、前期の新商品発売時における販売実績を補うまでには至らず、売上高は127億55百万円となりました。

鍋物調味料群につきましては、早期よりテレビCMと連動した施策を実行した『なべしゃぶ』が貢献したものの、『すき焼のたれ』や『キムチ鍋の素』の販売が気温の影響や前期の巣ごもり需要の反動を受けたことにより、売上高は103億33百万円となりました。

野菜まわり調味料群につきましては、『浅漬けの素』が第1四半期(4~6月)を中心に前期の巣ごもり需要の反動をうけたほか、一部商品の終売影響もあり、売上高は29億62百万円となりました。

その他群につきましては、『プチッとうどん』の貢献に加え、『横濱舶来亭カレーフレーク』が、需要の高まる1月において店頭露出を強化していたなか、メディアでの紹介の後押しもあり販売を伸ばした結果、売上高は25億76百万円となりました。

以上の結果、家庭用商品全体の売上高は286億26百万円となりました。

 

(ロ)業務用商品

業務用商品は前期の販売水準を上回りました。

11月の営業自粛要請解除に伴い、外食産業の来店客数が回復したほか、肉まわり調味料群におきましては外食及び中食市場向けに展開した『ヤンニョムチキンのたれ』等の販売が好調に推移しました。海外事業においても、各国における感染症の状況変化に伴う業績の回復のほか、為替の影響もあり、スープ群及びその他群とともに販売を伸ばした結果、業務用商品全体の売上高は70億45百万円となりました。

 

<物流事業>

物流事業は前期の販売水準を上回りました。

既存顧客の輸送需要及び保管需要に対応し、取引拡大に努めたことや、新型コロナウイルス感染症の影響緩和による取扱量の回復もあり、物流事業の売上高は64億83百万円となりました。

 

<その他事業>

その他事業は前期の販売水準を下回りました。

新型コロナウイルス感染症の影響が継続するなか、広告宣伝事業が顧客ニーズに適合した企画提案等により既存顧客との深耕を進め、取引拡大に努めるも、人材派遣事業部門の構造改革の一環として事業の一部を譲渡した影響等もあり、その他事業の売上高は11億89百万円となりました。

 

 

財政状態の概況は、次のとおりであります。

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産額につきましては、前連結会計年度末に比べ9億85百万円増加(前期比2.4%増)し、413億4百万円となりました。

流動資産につきましては、自己株式取得のための預け金の増加等により、前連結会計年度末に比べ9億81百万円増加(前期比3.6%増)し、279億84百万円となりました。

固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4百万円増加(前期比0.0%増)し、133億20百万円となりました。有形固定資産が3億19百万円増加(前期比3.7%増)し、無形固定資産は42百万円減少(前期比12.9%減)しました。また、投資その他の資産が投資有価証券の減少等により、2億73百万円減少(前期比6.2%減)しました。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計額につきましては、前連結会計年度末に比べ10億35百万円減少(前期比7.8%減)し、122億21百万円となりました。

流動負債につきましては、未払金及び未払法人税等の減少等により、前連結会計年度末に比べ8億36百万円減少(前期比9.3%減)し、81億93百万円となりました。

固定負債につきましては、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億99百万円減少(前期比4.7%減)し、40億27百万円となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産額につきましては、自己株式の取得による減少があるものの、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ20億20百万円増加(前期比7.5%増)し、290億82百万円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は70.4%(前期は67.1%)、1株当たり純資産額は2,951円22銭(前期は2,703円62銭)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2億66百万円増加し、157億65百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。


(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果獲得した資金は、33億26百万円(前年同期は47億35百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額14億90百万円により減少したものの、税金等調整前当期純利益において36億81百万円獲得し、減価償却費11億60百万円により増加したものであります。


(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、14億35百万円(前年同期は8億70百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15億14百万円によるものであります。


(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は、16億88百万円(前年同期は12億29百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額4億29百万円、自己株式の取得による支出4億59百万円及び自己株式取得のための預け金の増加額8億20百万円により減少したものであります。

 

 

なお、キャッシュ・フローの指標のトレンドは、次のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

67.1

70.4

時価ベースの自己資本比率(%)

67.3

67.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3,035.3

687.9

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

※ キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。

※ キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)につきましては、有利子負債がないため記載しておりません。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

食品事業(百万円)

19,599

98.4

合計(百万円)

19,599

98.4

 (注) 金額は製造原価によっております。

 

(ロ)受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は受注生産を行っておりませんので該当事項はありません。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 前年同期比(%)

食品事業(百万円)

35,672

物流事業(百万円)

6,483

その他(百万円)

1,189

合計(百万円)

43,345

 (注)1 当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しております。このため、前年同期比については記載しておりません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

伊藤忠食品株式会社

4,869

9.5

3,928

9.1

株式会社日本アクセス

4,696

9.1

3,553

8.2

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。

 

⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

(イ)資金需要

当社グループにおきましては、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、さらなる発展と飛躍を目的として、事業分野の拡大や研究及び開発体制の強化、生産設備の拡充等に、資金を活用していきたいと考えております。

 

(ロ)資金調達

当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等により資金調達を行っており、グループ内における必要な運転資金や設備資金を安定的に確保し、各事業への機動的な投資を実施できるよう努めております。資金調達においては、当座貸越枠等の調達手段を備えており、金融費用の極小化を考慮した判断のもと借入を行っております。

資金面での新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、十分な資金を有していることから、当面の事業活動に支障をきたすことはないと考えております。

 

⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの連結数値目標として、「Unique 2023」の最終年度となる2023年度において、営業利益28億円、海外売上高20億円、ROE6%を目指しております。

当連結会計年度における実績は、営業利益33億円、海外売上高約15億円、ROE9.6%となりました。

目標達成に向けた主な取組課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。

 

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