業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用したことに伴い、当事業年度における経営成績に関する説明については、前事業年度と比較しての増減額及び前事業年度比(%)を記載せずに説明しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け断続的に社会経済活動が制限されたことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、先行きが極めて不透明な状況が続きました。

 原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初559セント/ブッシェル台で始まり、中国向けの輸出拡大やブラジルの天候不順等から米国期末在庫の減少が見込まれ740セント/ブッシェル迄値を上げましたが、米国産とうもろこしの収穫面積と単収が市場予想を上回ったことや中国産とうもろこしの生産量が過去最大の見込みであること等から523セント/ブッシェル台迄値を下げました。しかしその後は堅調なエタノール需要や南米の乾燥懸念等から値を上げ、ロシアによるウクライナ侵攻からウクライナ産とうもろこしの輸出停止や本年度の生産の不透明感、米国産とうもろこしの需要増加見込み等から762セント/ブッシェル迄値を上げ、期末時点では748セント/ブッシェル台、通期平均では609セント/ブッシェル台となりました。

 原油相場は期初61ドル/バレル台で始まり、OPECプラスの段階的な減産合意や新型コロナウイルスワクチンの接種が進み各国での経済活動正常化に伴う原油需要の回復や中国、欧州等でのエネルギー不足等から81ドル/バレル台迄上昇しましたが、オミクロン株の感染拡大による原油需要減退懸念等から71ドル/バレル迄下落しました。しかしその後はウクライナ侵攻からロシアへの経済制裁が強化され、世界的なエネルギー供給不足による混乱や、原油供給懸念の増大から123ドル/バレル台まで上昇し、期末時点では100ドル/バレル台、通期平均では77ドル/バレル台となりました。

 米国から日本までの穀物海上運賃は、期初57ドル/トン台で始まり、コロナ禍からの経済回復が進む中国や北米を中心に資源需要が増加したことや船員のコロナ検査による滞船増加を背景に船舶需給が逼迫していること等から79ドル/トン台迄上昇しましたが、中国が国内の石炭生産を増加させ、海上貨物需要が減少したこと等から59ドル/トン台迄下落しました。しかしその後は地政学的リスクの高まりから上昇し、期末時点では72ドル/トン台、通期平均では68ドル/トン台となりました。

 為替相場は、期初111円/ドル台で始まり、米国経済指標が上下に振れる方向性の無い展開や米国の経済政策が不明瞭なこと等から、小幅な値動きで推移しておりましたが、米国の金融緩和縮小開始や米国金利上昇等から円安が進み、期末時点では123円/ドル台、通期平均では113円/ドル台となりました。

 販売面では、澱粉製品は各種パンフレット、チラシ、オフィスで使用されるコピー用紙等の紙需要が、前事業年度の大幅な需要減少の反動から増加しつつあることから、前事業年度に比べ、販売数量は増加しました。

 糖化製品は、緊急事態宣言が解除された10月以降、外食産業の営業再開により一時的に需要が回復したものの、オミクロン株の感染拡大により再び時短営業や休業の影響を受けたことに加え長期化するコロナ禍における消費低迷や、長雨等の天候不順による飲料の販売不振の影響も残り、前事業年度に比べ販売数量は減少しました。なお、売上高については、原料とうもろこし及び原油相場高騰による製造費用上昇を背景とした製品価格の適正化を進めたことから、澱粉製品、糖化製品いずれも前事業年度に比べて増収となりました。

 この結果、当事業年度における当社の売上高は506億1千万円(前事業年度は450億6千万円)、営業利益は15億円(前事業年度は15億1千万円)、経常利益は18億5千万円(前事業年度は16億7千万円)、当期純利益は13億7千万円(前事業年度は12億2千万円)となりました。

 次に、各部門の販売概況は以下のとおりであります。

(澱粉部門)

 澱粉部門は、経済活動の制限により大きく需要が減少した前事業年度に比べ、経済活動の再開により緩やかに需要が回復したこともあり、製紙向け澱粉製品の販売数量が増加、さらに原料とうもろこしや燃料の高騰を背景とした製品価格の適正化を進めたことから、売上高は117億6千万円(前事業年度は105億円)となりました。

(糖化品部門)

 糖化品部門は、家庭用製品向けの需要は堅調であったものの、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置による外食産業の時短営業、営業休止が長期化したことに加え、長雨といった夏期の天候不順の影響も受け、販売数量は前事業年度比減少となりました。一方で原料とうもろこしや燃料の高騰を背景とした製品価格の適正化を進めたことから、売上高は309億3千万円(前事業年度は277億5千万円)となりました。

(ファインケミカル部門)

 ファインケミカル部門は、新型コロナウイルス感染再拡大の影響による国内の医薬品用途向け需要の減退により、販売数量は前事業年度比減少となりました。一方で原料とうもろこしや燃料の高騰を背景とした製品価格の適正化を進めたことから、売上高は18億6千万円(前事業年度は18億6千万円)となりました。

(副産物部門)

 副産物部門は、主製品の販売減少により副産物の発生量は減少しましたが、穀物価格上昇を受け販売価格も上昇したことにより、売上高は60億4千万円(前事業年度は49億3千万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)の残高は、前事業年度末より2千万円増加し、1億9千万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果、獲得した資金は2億9千万円となりました。これは主として、税引前当期純利益18億5千万円に

減価償却費22億円を加算した額から、売上債権の増加額21億5千万円、法人税等の支払額8億8千万円、棚卸資産

の増加額7億円を控除した額等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果、使用した資金は24億円となりました。これは主として、貸付金の回収(純額)5億4千万

円から当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出25億8千万円を控除した額等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果、獲得した資金は21億3千万円となりました。これは主として、借入金の増加(純額)25億8千万

円から配当金の支払額4億1千万円を控除した額等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当事業年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

生産高(百万円)

前事業年度比(%)

澱粉部門

9,188

糖化品部門

30,348

ファインケミカル部門

1,739

副産物部門

6,043

合計

47,320

(注)1 金額は、販売価格によっております。

   2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

 当社は受注生産を行っておりません。

c. 販売実績

 当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

販売高(百万円)

前事業年度比(%)

澱粉部門

11,769

糖化品部門

30,931

ファインケミカル部門

1,868

副産物部門

6,041

合計

50,610

 

(注)1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自 2020年 4月 1日

至 2021年 3月31日)

当事業年度

(自 2021年 4月 1日

至 2022年 3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

三菱商事株式会社

8,876

19.7

8,618

17.0

キリンビール株式会社

4,849

10.8

4,892

9.7

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

 当事業年度における総資産は396億9千万円となり、前事業年度末と比較して34億6千万円の増加となりました。

 その主な要因は、短期貸付金が5億4千万円減少したものの、売掛金が18億4千万円、流動資産のその他が7億7千万円、商品及び製品が6億5千万円、有形固定資産が4億6千万円増加したこと等によるものです。また、負債については、前事業年度末と比較して23億4千万円の増加となりました。その主な要因は、未払法人税等が3億8千万円減少したものの、借入金(純額)が25億8千万円増加したこと等によるものです。

 なお、純資産は210億5千万円となり、自己資本比率は前事業年度末と比較して2.0ポイント減少し、53.1%となりました。

2)経営成績

 当社の当事業年度の経営成績は、売上高506億1千万円、営業利益15億円、経常利益18億5千万円、当期純利益13億7千万円となり、前事業年度と比較して増収増益となりました。増収及び増益の主な要因は、原料とうもろこし及び原油相場高騰による製造費用上昇を背景とした製品価格適正化等の効果によるものであります。

 経営上の目標達成状況を判断する為の客観的な指標について、当社は「中期経営計画2022-24年度(中経2024)」において、連結経常利益ベースで単年度17±4億円を指標として掲げており、次期見通しとしては、売上高585億円、営業利益10億円、経常利益12億円、当期純利益9億円、連結ベース経常利益13億6千万円を見込んでおります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、製造設備の更新及び製品品質向上に係る工事等の支出に対し、その資金の調達財源としては主としてグループファイナンスの活用によっております。

 なお、当事業年度末における借入金の残高は74億8千万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この財務諸表の作成にあたって、当事業年度末現在における資産・負債及び当事業年度における収益・費用等に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的と思われる方法によって判断をしておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当事業年度末現在における資産・負債及び当事業年度における収益・費用等に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産、退職給付引当金、賞与引当金となります。

 なお、新型コロナウイルス感染拡大による影響は不確定要素が多く見積りが難しい要素もありますが、当事業年度末時点で入手可能な情報を基に検証を行っております。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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