業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症対策として9月末まで続いた緊急事態宣言などの行動制限が10月以降に解除されたことにより、一旦は飲食や旅行などのサービス消費が持ち直したものの、2022年1月以降はオミクロン株の感染が拡大し、まん延防止等重点措置が発令されるなど、経済社会活動は再び制限されることとなりました。また、食用油の主原料となる大豆に関しては、北米地域の乾燥天候による減収やバイオ燃料の需要拡大によって食料向けとの競合が発生し、さらには資源価格の大幅な高騰により急激に物価が上昇する状況が続いております。

 

 このような事業環境の中、当社グループにおきましては、次の成長へ向けて当連結会計年度を初年度とする中期経営計画『KENKO Transformation Plan』をスタートさせております。この中期経営計画は、前中期経営計画のCSV経営の考え方を継続し、社会と企業の共存を目指すために「企業価値の向上と持続的な成長に向けた変革」を基本方針とし、4つのテーマ及びサステナビリティ方針を軸に取組みを進めております。

 

(イ)財政状態の状況

(資産)

 流動資産は、27,868百万円(前連結会計年度比1,551百万円の増加、5.9%増)となりました。これは主に売掛金が940百万円増加し、商品及び製品が267百万円増加、受取手形が11百万円増加したこと等によるものであります。

(なお、現金及び預金の詳しい内容につきましては連結キャッシュ・フロー計算書をご参照くだささい。)

 固定資産は、33,892百万円(前連結会計年度比2,110百万円の減少、5.9%減)となりました。これは主に機械装置及び運搬具(純額)が1,754百万円減少、建物及び構築物(純額)が694百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は61,760百万円(前連結会計年度比559百万円の減少、0.9%減)となりました。

 

(負債)

 流動負債は、16,068百万円(前連結会計年度比1,064百万円の増加、7.1%増)となりました。

これは主に買掛金が1,407百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は、9,153百万円(前連結会計年度比2,584百万円の減少、22.0%減)となりました。これは主に長期借入金が1,675百万円減少、長期未払金が483百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は25,221百万円(前連結会計年度比1,520百万円の減少、5.7%減)となりました。

 

(純資産)

 純資産合計は、36,539百万円(前連結会計年度比961百万円の増加、2.7%増)となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は59.2%(前連結会計年度比2.1ポイント増)となりました。

 

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(ロ)経営成績の状況

(売上高)

  売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため飲食店などの休業や営業時間短縮、また酒類の提供禁止など行動制限の厳格化等に伴う売上高の減少要因はありましたが、前連結会計年度と比べその影響は軽微なものにとどまりました。また、ファストフード向けの売上が引き続き好調で推移したことやマヨネーズ類等の価格改定などにより、前連結会計年度比で増収となりました。

 

(利益)

 利益につきましては、原料価格の更なる高騰による大幅なコストの増加に対して、価格改定に加えて工場の原価低減をはじめとした全社的な経費削減の取組みを進めてまいりましたが、前連結会計年度比で減益となりました。

 

 

 当連結会計年度における連結売上高は75,647百万円(前連結会計年度比7,144百万円の増加、10.4%増)、連結営業利益は1,616百万円(前連結会計年度比359百万円の減少、18.2%減)、連結経常利益は1,622百万円(前連結会計年度比428百万円の減少、20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,211百万円(前連結会計年度比246百万円の減少、16.9%減)となりました。

 

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。

 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

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(調味料・加工食品事業)

 前連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大による大幅な落ち込みから回復が進み、各商品群いずれも前連結会計年度比で増収となりました。各商品群における主な内容は次のとおりであります。サラダ・総菜類につきましては、主力商品の1kg形態のポテトサラダが外食向けなどで売上の回復が進んだことや、ファストフード向けのプロモーション品に採用されたことにより増収となりました。タマゴ加工品につきましては、大手製パンメーカーやコンビニエンスストア向けのタマゴサラダが増加したこと、また厚焼き卵が外食チェーンやコンビニエンスストアで採用されたことにより増収となりました。 マヨネーズ・ドレッシング類につきましては、中期経営計画のテーマの一つである「BtoBtoC」に基づいたミドルサイズ商品やテイクアウト需要への対応に加えて、7月から進めておりますマヨネーズ類の価格改定効果等により増収となりました。

 この結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は57,552百万円(前連結会計年度比5,940百万円の増加、11.5%増)、セグメント利益は1,887百万円(前連結会計年度比270百万円の増加、16.7%増)となりました。

 

(総菜関連事業等)

 2018年より稼働を開始した株式会社ダイエットクック白老及び株式会社関東ダイエットクック神奈川工場は、コロナ禍における中食需要の高まりも寄与して売上高は順調に拡大し、利益も大幅に改善しております。

 この結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は17,232百万円(前連結会計年度比1,175百万円の増加、7.3%増)、セグメント利益は984百万円(前連結会計年度比442百万円の増加、81.6%増)となりました。

 

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②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、12,441百万円(前連結会計年度比56百万円の増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、3,757百万円(前連結会計年度比1,446百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,754百万円、減価償却費2,797百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、419百万円(前連結会計年度比169百万円の増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出226百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、3,281百万円(前連結会計年度比304百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,725百万円、割賦債務の返済による支出906百万円によるものであります。

 

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③生産、受注及び販売の実績

 

(イ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

調味料・加工食品事業

57,852

12.8

総菜関連事業等

17,020

7.3

報告セグメント計

74,873

11.5

その他

668

6.5

合計

75,541

11.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

(ロ)受注実績

 当社グループは販売計画に基づいて生産計画をたて、これにより生産しているため、受注生産を行っておりません。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

調味料・加工食品事業

57,552

11.5

総菜関連事業等

17,232

7.3

報告セグメント計

74,785

10.5

その他

861

3.4

合計

75,647

10.4

(注)1.上記の金額にはセグメント間取引の金額は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

ベンダーサービス株式会社

8,053

11.8

8,700

11.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断及び仮定を必要としております。過去の実績や状況を踏まえ合理的と考えられる様々な要因に基づき、継続的に見積り、判断及び仮定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因としては、市場動向、原材料費動向、人財動向、品質管理の状況などがあげられます。

 

(市場動向)

 当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、感染拡大防止のため飲食店などの休業や営業時間短縮、また酒類の提供禁止などの行動制限の厳格化等に伴う売上高の減少要因はありましたが、前連結会計年度と比べその影響は軽微なものにとどまりました。

 サラダ・総菜類につきましては、主力商品の1kg形態のポテトサラダが外食向けなどで売上の回復が進んだことや、ファストフード向けのプロモーション品に採用されたことにより増収となりました。タマゴ加工品につきましては、大手製パンメーカーやコンビニエンスストア向けのタマゴサラダが増加したこと、また厚焼き卵が外食チェーンやコンビニエンスストアで採用されたことにより増収となりました。

 一方で、連結子会社の事業である総菜関連事業は、コロナ禍における中食需要の高まりも寄与して売上高は順調に拡大しました。

 

(原材料費動向)

 当社グループの主要な原材料は食用油(大豆、菜種等)・卵・野菜であり、購入価格は内外の商品市場価格及び外国為替相場に大きく影響されます。

 食用油に関しては、2021年度の大豆相場は前半は南米での生育遅れや豚肉生産回復による中国の大豆輸入の急回復、また温暖化対策として食用油のバイオディーゼルへの利用増大のため市況は上昇しており、2021年4月に最高値を更新していたカナダ菜種は夏季の大干ばつにより生産量が例年の6割程度にとどまり、相場高騰に拍車がかかっております。特に、ロシア・ウクライナのヒマワリ、菜種の輸出が停止し世界の油糧種子や食用油はさらに高騰している状況にあります。

 

(人財動向)

 当社グループは、市場環境変化の速度、多様化する顧客ニーズに対応する為には、更なる社内環境整備と人財育成、そして、様々な視点・経験・見識を確保するために多様な人財の管理職・中核人財登用が必要と考えております。 異なる価値観・文化を理解し、受け入れ、年齢、国籍、性別、性的指向、障がいの有無等に関係なく、公平な雇用と従業員へのキャリア機会の提供等を進め、さまざまなアイディアを出し合いながら社会価値を創造しイノベーションを創出できる社内環境の整備やチーム、人財の育成を進めます。

 

(品質管理の状況)

 当社グループの取り扱う商品・サービスは食品衛生法、食品表示法、JAS法等による定めがあり、法令を遵守しなければなりません。また、消費者の食品に対する安全性への関心が高まる中、当社グループは品質管理の徹底と万全の体制をとっておりますが、現状の品質体制をより高度化する取組みを行ってまいります。

 

 

資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

 

(イ)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(ロ)資金需要

 当社グループの資金需要は運転資金需要と投資資金需要であります。

運転資金需要の主なものは、原材料仕入などの製造に関わる費用、物流費などの販売費等によるものであります。また、投資資金需要としましては、工場設備投資、海外事業展開への投資、システム投資によるものであります。

 

(ハ)財務政策

 当社グループは、運転資金を内部資金より充当しておりますが、新型コロナウイルス感染症により手元流動性に影響が出ると想定される場合には、従前より資金調達枠として確保している特別当座貸越による調達のほか、コミットメントラインや政府による資金繰り支援融資とあわせて外部からの調達を検討してまいります。なお、当連結会計年度末の特別当座貸越による借入実行残高はありません。

 設備資金につきましては、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入及び割賦契約により行っておりますが、償還期間等を勘案しつつ有利子負債の圧縮にも努めております。資金調達コストや金利リスクの低減のため、金利変動リスクを回避するために、調達手段として長期借入金、固定金利等での調達を基本としております。

 また、資本の配分に関しては、株主還元、従業員還元、内部留保(成長資金確保)において適正なバランスで配分することを基本としております。

 

(3)経営者の問題意識と今後の方針について

 新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う緊急事態宣言や外出自粛等により、コンビニエンスストアや外食産業における店舗運営、テレワークによる生活スタイルの変化により食を取り巻く環境は大きく変化しました。

 また、足元では新型コロナウイルス感染症の新規感染者も減少傾向にあり、社会経済活動も正常化されつつあります。このように急速に変化する環境に柔軟に対応するべく、当社グループは以下を重要課題と認識し、企業体制の再構築を図ってまいります。

 

 ・Withコロナ、Afterコロナへの対応

 ・基盤事業の継続成長

 ・未来につながる新たな事業の検討・模索

 ・ESG、SDGsを意識したサスティナブルな企業経営

 ・グローバル化への対応・推進

 ・DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

 

 これら課題解決にチャレンジすべく、中期経営計画『KENKO Transformation Plan』として、次の4つのテーマに取り組んでおります。

 

<4つのテーマ>

 ①BtoBtoC

  消費者の皆様に当社を直接知っていただく機会を増やす

 ②イノベーション

  将来の地球環境を見据え、環境保全を意識した中からNew KENKOを創り出す

 ③構造改革

  基盤事業の成長を目指すための改革実行

 ④グローバル

  グローバル事業の基盤強化

 

 生活様式の変化を新たな事業チャンスと捉え、4つのテーマとサスティナビリティ方針を軸に事業活動を進めております。

 特に、持続可能な社会の実現は、全世界の共通目標です。当社グループも、環境・社会・健康に貢献し、持続可能な社会の実現と人々の健康・幸せに向けてしっかり貢献してまいりたいと考えております。

 

<サステナビリティ方針>

 

①方針と課題

  当社グループでは、これまで「食を通じて世の中に貢献する。」及び「心身(こころ・から

 だ・いのち)と環境」の企業理念のもとに企業の社会的責任を果たすべくCSR活動において

 様々な取組みを進めてまいりました。

  今後はこの時代の変化にあわせ、持続可能な社会の実現に向けて環境、社会、健康への貢献の

 指標としてケンコーマヨネーズグループのサステナビリティ方針を定め、温室効果ガス、原料、

 容器・包材、健康、人財、の5つの課題に取り組み、持続可能な開発目標(SDGs)と連動

 し、中・長期目標として取り組んでまいります。

 

②5つの課題の取組み

(ア)温室効果ガス

   CO₂やフロンをテーマにその削減に向けた取組みを進めてまいります。生産工場や物流

  を切り口に、温室効果ガス削減につながる取組みを進めてまいります。

(イ)原料

   食品メーカーとして食品ロスの削減は、使命感を持って解決しなければならない課題として

  とらえております。当社の商品開発力を生かし、食品ロスの削減につながる商品の開発を進め

  るほか環境負荷が少ない原料や、持続可能につながる原料の導入に向けた取組みを進めてまい

  ります。

(ウ)容器・包材

   環境に配慮した資材の選択、社会問題となっているプラスチック使用量の削減に向けた取組

  みを加速してまいります。

(エ)健康

   商品を切り口にすべての人々の健康、ヘルスケアに寄与できる商品開発を進めてまいりま

  す。社名と同じく健康につながる商品の開発に取り組み、料理教室や子供たちへの食育活動、

  取引先様への勉強会なども積極的に進めてまいります。

(オ)人財

   コロナ禍においての働き方や生活スタイルの変化への対応を進め、従業員のワークライフバ

  ランスの向上を目指してまいります。

 

③目標

  温室効果ガス削減は2019年度対比原単位で、CO₂排出量を2023年度△3%、2030年度

 △50%、2050年度までに△100%を目指します。

  代替フロンは2023年度までに代替冷媒への切り替えを推進し、2030年度までにオゾン層を破壊

 する成分が多く含まれるフロンガスR22冷媒の撤廃、2050年度までに自然冷媒100%導入を目指

 します。

  持続可能な包装資源の活用として、2023年度までは包材・資材の軽量化に取り組んでまいりま

 す。以降リサイクル可能素材の活用を進め、2030年度には全製品の60%の品目で活用、2050年度

 にはすべての製品で使用を目指します。

  廃棄物削減では加工ロスの削減を進めてまいります。2019年度対比原単位で2023年度△5%、

 2050年度には△30%を目指してまいります(目標は、社会環境変化に応じて見直してまいりま

 す)。

 

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