業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

[財政状態及び経営成績の状況]

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により依然として厳しい状況にあります。コロナウイルス変異株の感染再拡大による経済活動への影響等に注視する必要があり、先行きについても当面の間は不透明な状況が続くと予想されます。

当社グループが属する不動産業界においては、不動産投資市場が良好な資金調達環境の中、投資事業者の積極的な投資姿勢は継続しており、堅調に推移いたしました。また、中古マンション市場は、首都圏の成約件数が前年比11.1%増の39,812件となり、2年ぶりに前年を上回り過去最高を更新するなど好調に推移いたしました。福岡市圏の新築マンション市場は、供給戸数が2年ぶりに前年を上回るなど好調に推移いたしました。

このような事業環境の中、当社グループは新型コロナウイルス感染症防止対策を徹底するとともに、新築不動産販売部門においては、レジデンスの旺盛な投資意欲を背景に、主力とする収益不動産開発の賃貸レジデンスの販売が利益に貢献いたしました。また、新築分譲マンション「ラ・アトレレジデンス室見公園」及びカンボジア王国のタワー型高級コンドミニアム「L’attrait BOEUNG KENG KANG(ラ・アトレボンケンコン)」がそれぞれ竣工し、引渡しを開始いたしました。再生不動産販売部門においては、中古マンション市場の活況を背景に、「都心3区」「100㎡」「上質」をキーワードとした1戸当たり1億円から3億円台の「プレミアム・リノベーション」シリーズの販売が好調に推移いたしました。不動産賃貸事業部門においては、前連結会計年度に竣工したヘルスケア施設及び当連結会計年度に竣工したレジデンスにより、賃貸資産が増加し賃貸収益に貢献いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高14,677百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益3,216百万円(同186.1%増)、経常利益2,847百万円(同190.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,959百万円(同201.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

セグメント別売上高の概況

セグメント

前連結会計年度

(自2020年1月1日

 至2020年12月31日)

当連結会計年度

(自2021年1月1日

 至2021年12月31日)

構成比

前年同期比

 

千円

千円

不動産販売事業

12,992,234

13,839,946

94.3

6.5

 (新築不動産販売部門)

(10,121,018)

(5,717,910)

39.0

△43.5

 (再生不動産販売部門)

(2,871,216)

(8,122,035)

55.3

182.9

不動産賃貸事業部門

688,453

834,781

5.7

21.3

その他

76,751

2,700

0.0

△96.5

13,757,440

14,677,428

100.0

6.7

(注)セグメント間の内部売上は除いております。

 

① 新築不動産販売部門

当連結会計年度の新築不動産販売部門は、収益不動産の賃貸レジデンス「K BRIDGE ASAKUSA」(東京都 墨田区)及び高級賃貸レジデンス「THE DOORS」(東京都 渋谷区)の販売、新築分譲マンション「ラ・アトレレジデンス室見公園」(福岡県 福岡市)及びタワー型高級コンドミニアム「L’attrait BOEUNG KENG KANG」(カンボジア王国 プノンペン都)がそれぞれ竣工し、引渡しを開始したことなどにより、売上高5,717百万円(前年同期比43.5%減)、セグメント利益1,266百万円(同11.1%減)となりました。

 

② 再生不動産販売部門

当連結会計年度の再生不動産販売部門は、中古マンション市場の活況を背景に、1戸当たり1億円から3億円台の「プレミアム・リノベーション」シリーズの販売が好調に推移したことに加え、インベストメントプロジェクト業務において、リニューアルオフィスビル(東京都 港区)、賃貸レジデンス(東京都 渋谷区)及び土地建物(東京都 渋谷区)等の販売がそれぞれ完了したことなどにより、売上高8,122百万円(前年同期比182.9%増)、セグメント利益2,470百万円(前年同期は60百万円)となりました。

 

③ 不動産賃貸事業部門

当連結会計年度の不動産賃貸事業部門は、前連結会計年度に竣工した賃貸資産の稼働及び当連結会計年度に竣工した賃貸レジデンス「Pair FLAT」(千葉県 市川市)の賃貸開始などにより売上高834百万円(前年同期比21.3%増)、セグメント利益227百万円(同9.8%減)となりました。

(注)セグメント利益とは、各セグメントの売上総利益から販売費用及び営業外費用を差し引いたものであります。

 

[キャッシュ・フローの状況]

 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,967百万円の増加となり、6,561百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,840百万円、たな卸資産の増加7,513百万円、前受金の減少798百万円などにより5,358百万円の資金支出(前連結会計年度は1,733百万円の資金獲得)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,384百万円などにより1,173百万円の資金支出(前連結会計年度は637百万円の資金支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減少額513百万円、長期借入れによる収入13,564百万円、長期借入金の返済による支出4,203百万円、社債の発行による収入800百万円、自己株式の処分による収入1,148百万円などにより10,496百万円の資金獲得(前連結会計年度は1,292百万円の資金支出)となりました。

 

[生産、受注及び販売の実績]

① 生産実績

 該当事項はありません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における契約実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

ⅰ.契約高

セグメントの名称

契約高(千円)

前年同期比(%)

新築不動産販売部門

4,204,781

△43.7

再生不動産販売部門

6,936,061

79.8

合計

11,140,842

△1.7

(注)1.本表におきまして「受注高」は「契約高」と読み替えております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.契約高については、契約時点での売上計上予定金額であり、契約時から引渡し時の間で、契約内容に変更等が発生した場合、実際の売上計上金額と差異が出る可能性があります。

 

ⅱ.契約残高

セグメントの名称

契約残高(千円)

前年同期比(%)

新築不動産販売部門

573,031

△72.5

再生不動産販売部門

126,738

△90.3

合計

699,769

△79.4

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.契約残高については、契約時点での売上計上予定金額であり、契約時から引渡し時の間で、契約内容に変更等が発生した場合、実際の売上計上金額と差異が出る可能性があります。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

不動産販売事業

13,839,946

6.5

(新築不動産販売部門)

(5,717,910)

(△43.5)

(再生不動産販売部門)

(8,122,035)

(182.9)

不動産賃貸事業部門

834,781

21.3

その他

2,700

△96.5

合計

14,677,428

6.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ.財政状態

[資産、負債及び純資産の状況]

a.資産

当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べ、12,702百万円増加(前年同期比53.8%増)し、36,332百万円となりました。これは、現金及び預金が3,994百万円、事業用の不動産仕入及び開発用地取得などにより販売用不動産が1,286百万円及び仕掛販売用不動産が6,452百万円、賃貸レジデンス「Pair FLAT」の竣工などに伴い建物及び構築物が295百万円及び土地が240百万円、建設中のヘルスケア施設が進捗したことに伴い建設仮勘定が210百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

 

b.負債

当連結会計年度末における負債は前連結会計年度末に比べ、9,709百万円増加(前年同期比50.4%増)し、28,989百万円となりました。これは、事業用の不動産仕入及び開発用地取得に係る資金調達などにより1年内返済予定の長期借入金が1,502百万円及び長期借入金が7,857百万円、機動的な資金確保を目的とした運転資金の調達により社債790百万円それぞれ増加した一方、売上に伴う事業資金の返済などにより短期借入金が513百万円減少したことによるものです。

 

c.純資産

当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べ、2,993百万円増加(前年同期比68.8%増)し、7,342百万円となりました。これは、配当の実施に伴い資本剰余金が196百万円減少した一方新株予約権の行使により資本金が38百万円及び資本剰余金が38百万円それぞれ増加し、また、行使価額修正条項付新株予約権の権利行使により自己株式を充当した結果自己株式処分差益として資本剰余金が549百万円及び自己株式が減少したことにより607百万円それぞれ増加したことに加え、親会社株主に帰属する当期純利益1,959百万円を計上したことなどによるものです

 

ⅱ.経営成績

 「(1)経営成績等の状況の概要 [財政状態及び経営成績の状況]」に記載のとおりであります。

 

ⅲ.セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容について

 セグメントごとの経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 [財政状態及び経営成績の状況]」に記載のとおりであります。セグメントごとの財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。

① 新築不動産販売部門(不動産販売事業)

 新築不動産販売部門は、当社グループの中核事業である収益不動産開発の「都市型商業ビル」、「高級賃貸レジデンス」及び新築分譲マンション販売が中心であります。当連結会計年度末の販売用不動産及び仕掛販売用不動産(以下、「たな卸資産」という。)の残高7,227百万円及び10,286百万円の合計17,514百万円のうち、当部門の残高は13,512百万円となっており、前年同期比で114.1%増加いたしました。この増加は、仕入件数の増加及び開発物件の大型化・高収益化が見込める事業用地の取得などによるものであります。新築不動産販売部門については、金融機関からの長期借入を中心に資金調達を行っており、今後においても、収益不動産開発及び新築分譲マンション開発を引き続き成長ドライバーとして積極的に展開していく方針であります。

 

② 再生不動産販売部門(不動産販売事業)

 再生不動産販売部門は、中古マンションの戸別販売が中心であります。当連結会計年度末のたな卸資産合計17,514百万円のうち、当部門の残高は4,002百万円となっており、前年同期比で15.5%増加いたしました。この増加は、「都心3区(千代田区・港区・渋谷区)」「100㎡以上」をターゲットに1戸当たり1億円から3億円台の「プレミアム・リノベーション」シリーズを中心とした商品を仕入れたことによるものであります。戸別リノベーションマンションについては、金融機関からの当座貸越枠及び長期借入にて資金調達を行っており、今後においても、「プレミアム・リノベーション」シリーズを、市場の需要動向を見極めつつも、積極的に展開していく方針であります。

 

③ 不動産賃貸事業部門

 不動産賃貸事業部門では、成長分野であるヘルスケア施設及び営業基盤の強化を図る福岡エリアなど、堅調な収益獲得を見込める賃貸不動産の積極的な開発を進め、安定的な収益源としての賃貸ポートフォリオの投資規模を拡大してまいりました。当連結会計年度末の有形固定資産及び無形固定資産の残高合計9,775百万円のうち、当部門の建設中を除く残高は9,366百万円となっており、前年同期比で7.9%増加しております。当部門では、収益基盤の強化を目的として保有する資産の用途や地域でポートフォリオを組んでおります。当部門の展開方針は、堅調な収益が見込める賃貸不動産の開発及び取得をよりいっそう進め長期的に安定した収益の獲得を目指します。具体的には、毎年10億円程度を上積みし、資産残高100億円超を目標に積極的に進め、収益の拡大を図る計画であります。

 

ⅳ.翌期の見通し

2022年12月期の取り組みとして、これまでの好業績を背景に資金調達力が向上してきたことなどから、仕入案件の大型化・高収益化を図ってまいります。新築不動産販売部門においては、主力の住居系開発の賃貸レジデンスブランド「THE DOORS」「SWITCH」シリーズ、新築分譲マンションブランド「ラ・アトレレジデンス」シリーズ及び商業系開発の都市型商業ビルブランド「A*G」シリーズの継続的な開発を通して、ブランド力向上と地方主要都市へのエリア展開により、更なる事業基盤の拡大を図り競争優位性が発揮できる独自のポジションを確立してまいります。

再生不動産販売部門においては、1戸当たり1億円から3億円台の「プレミアム・リノベーション」シリーズを中心とした商品に注力し、「高価格帯」「100㎡以上」「都心3区(千代田区・港区・渋谷区)」をターゲットとした仕入活動を行うとともに、富裕層のニーズに対応した企画・デザイン力により、価格競争に巻き込まれることのない競争優位性の高い高付加価値の商品を提供し独自のポジションを確立してまいります。

不動産賃貸事業部門においては、ヘルスケアなどの成長分野へ投資規模を拡大、既存オペレーターとのリレーション構築及び優秀な新規オペレーターの発掘に注力することにより、保有する管理不動産のポートフォリオの増強及び質的向上を図ってまいります。

これらの結果、2022年12月期の連結業績につきましては、売上高20,500百万円、営業利益3,500百万円、経常利益3,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円を見込んでおります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ.キャッシュ・フローの分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 [キャッシュ・フローの状況]」に記載のとおりであります。

 

ⅱ.資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を中心に資金調達を行っており、自己資本比率等の経営上の目標指標との乖離状況等を勘案しながら、資金調達手段の最適な選択を実施しております。なお、当連結会計年度における有利子負債につきましては、「2 事業等のリスク ⑫ 有利子負債への依存について」に記載のとおりであります。これら有利子負債から生じる金融コストの低減に努めつつも、金融機関からの借入は、事業セグメントごとの在庫回転期間により短期借入と長期借入に分けて調達しており、開発期間の長い不動産開発事業は長期調達を行うことで、急激な不動産マーケットの変化に対応できるよう財務体質を強化する方針を掲げております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断いたしておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

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