業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う長期間の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けて個人消費のサービス支出減少やその影響を受ける業種の企業業績に弱さがみられましたが、ワクチン接種の進展等を受けた規制の緩和により持ち直しの動きが見られ、感染対策を継続しながらも正常化に向かう兆しが見られました。海外経済におきましても持ち直しの動きが見られますが、年明け以降は米国を中心とするインフレ抑制のための金融引締め、日米金利差拡大と円安進行、ウクライナ情勢に起因する原油価格等の高騰など、新たな不透明性の影響にも注視する必要があります。

当社グループが属する不動産クラウドファンディング業界及び不動産投資を通じた資産運用業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や国境を超えた移動の制限等により、ホテルの稼働率低下や商業施設の時短営業など影響が長期化するセグメントがあった一方で、安定的な需要が見込まれるレジデンスや物流施設には投資資金が流入しました。例えば、マンション市場におきましては、2021年の取引件数はコロナ禍以前の水準まで回復し、財政出動による市場の潤沢な資金を背景に平米単価と不動産価格指数は上昇傾向を維持しています。当社グループの属する業界はコロナ禍による経済の先行きや新常態への移行と、国内外の金融情勢の変化が及ぼす影響について、今後も注視する必要があります。

こうした環境の中、当社グループは、「CREAL」において、東京23区のマンション、ホテル、保育園等を投資対象とした不動産ファンドをオンラインで提供することで登録会員数及びGMV(注)の拡大を図るとともに、これらの対象不動産を着実に売却し、クラウドファンディング投資家への配当を確保しつつ、当社利益の増加につなげました。「CREAL Partners」では、区分レジデンスの販売本数を伸ばし、付随する賃貸管理物件数の増加につなげることで収益の拡大を図りました。そして「CREAL Pro」においては、「CREAL」で組成した一棟レジデンスファンドを中心とするポートフォリオを海外機関投資家へ一括バルク売却を実施し、そしてさらに当該物件管理について「CREAL Pro」としてアセットマネジメント業務を受託する等、事業間のバリューチェーンを創出した取引を実施しております。また、国内投資家及び海外機関投資家等を対象に国内ヘルスケアアセットを対象とした不動産ファンドを組成することによりファンド組成手数料及びアセットマネジメント・フィーの増加につなげることができました。一方で、「CREAL」の事業拡大に伴い先行投資も含めた人員の拡充が進み、人件費が大きく増加をいたしました。

この結果、売上高は10,581,003千円(前年同期比48.2%増)、営業利益313,700千円(前年同期比70.6%増)、経常利益256,973千円(前年同期比142.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益172,420千円(前年同期比243.2%増)となりました。

なお、当社グループは資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(注) GMVとは「流通取引総額:Gross Merchandise Value」の略であり、「CREAL」においてファンド組成のため投資家から調達した資金額をいいます。

 

資産・負債及び純資産の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は10,926,264千円となり、前連結会計年度末と比べ1,879,477千円増加しております。これは主に、販売用不動産の増加2,997,763千円、現金及び預金の減少578,602千円によるものであります。

(負債)  

当連結会計年度末における負債合計は9,880,288千円となり、前連結会計年度末に比べ1,705,906千円増加しております。これは主に、「CREAL」でのファンド運用開始による匿名組合出資預り金の増加3,543,760千円、「CREAL」でのファンド運用開始によるクラウドファンディング預り金の減少820,747千円、短期借入金の減少251,660千円、長期借入金の減少155,102千円、償還による1年内償還予定の社債の減少664,000千円によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,045,976千円となり、前連結会計年度に比べ173,570千円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上172,420千円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ578,602千円減少1,458,138千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは274,834千円の収入(前年同期は513,917千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益266,217千円、匿名組合出資預り金の増加額3,543,760千円の影響により資金が増加し、棚卸資産の増加額2,784,680千円、クラウドファンディング預り金の減少額820,747千円の影響により資金が減少したことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは237,437千円の収入(前年同期は239,151千円の支出)となりました。これは主に、貸付金の回収による収入270,000千円、ホテル設備取得に伴う有形固定資産の取得による支出78,506千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,090,874千円の支出(前年同期は1,408,541千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純減額251,660千円、長期借入金の返済による支出254,712千円、社債の償還による支出664,000千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社は生産活動を行っていないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b. 受注実績

提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

サービスの名称

第11期連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

CREAL

4,661,477

273.4

CREAL Partners

4,644,141

121.2

CREAL Pro

1,275,384

79.4

合計

10,581,003

148.2

 

(注)1.当社グループは資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

第10期連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

第11期連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

合同会社HAK

932,673

13.1

合同会社保育園みらいファンド

1,543,000

14.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b. 経営成績

(売上及び売上総利益)

「CREAL」サービスにおいては東京23区の一棟レジデンス、ホテル開発、新設保育園といった不動産を提供するとともに、既存の保有資産を着実に売却し投資家にリターンを提供することで、投資家会員数及び累積投資金額の増加につなげました。「CREAL Partners」においては区分レジデンスの販売本数を伸ばし、「CREAL Pro」においては海外機関投資家に国内レジデンスを複数組入れたファンド、国内ヘルスケアアセットを対象としたファンドの新規組成を実現した結果、売上高は10,581,003千円となり、売上総利益は1,554,168千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

販売費及び一般管理費は、主に不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」登録会員数獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大に伴う人件費の増加により1,240,468千円となりました。この結果、営業利益は313,700千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

テナント解約の違約金収入等により営業外収益を4,607千円計上した一方で、資金調達による利息計上により営業外費用は61,335千円となりました。この結果、経常利益は256,973千円となりました。

 

(特別利益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

ドムスレジデンシャルエステート株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、特別利益に関係会社株式売却益56,015千円を計上しました。

税金等調整前当期純利益の計上により、法人税等は93,375千円となり、当期純利益は172,841千円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益421千円を計上し、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は172,420千円となりました。

 

なお、経営者の問題意識と今後の方針、及び当社グループに重要な影響を与える要因については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要の主なものは、クラウドファンディング組成時に行う劣後出資、不動産取得のための取得資金であります。資金調達につきましては、増資を通じた自己資金の他、各プロジェクトや物件ごとに金融機関からの借入を行っております。また、資金繰りの悪化の際に機動的に資金を調達する観点から、金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、流動性の確保に努めております。今後の事業拡大にともなう運転資金需要については、自己資金の他、適宜金融機関より調達を行う方針であります。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の主な収益の源泉は、「CREAL」上でファンドを組成・運用・物件の売却を行う場合に発生する一連の各種フィー及び売却益、「CREAL Partners」における投資用不動産の売却益となります。これらは、「CREAL」におけるGMV(流通取引総額:Gross Merchandise Value)及び「CREAL Partners」における投資用不動産の売上高に連動するため、当社グループではこれらを重要経営指標と位置付けております。2022年3月期における各指標の前年同期比の増減率は以下のとおりであり、順調に増加をしているとの認識でおります。引続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

 

単位:千円

2022年3月

前年同期比

CREAL GMV

7,129,000

178.8%

CREAL Partners 売上高

4,644,141

121.2%

連結売上総利益

1,554,168

133.4%

 

 

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