(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における流動資産の残高は12,949,406千円となり、前事業年度末に比べて1,283,019千円増加いたしました。これは主に、証券取引所への株式上場による資金調達等に伴い、現金及び預金が1,349,629千円増加したこと等によるものであります。固定資産は328,897千円となり、前事業年度末に比べ23,288千円減少しましたが、これは有形固定資産の減価償却が進んだことなどによるものであります。
この結果、総資産は、13,278,303千円となり、前事業年度末に比べ1,259,730千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は7,464,257千円となり、前事業年度末に比べ85,379千円減少いたしました。これは主に、短期より長期での資金調達が増えたことで、短期借入金は206,522千円減少、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金がそれぞれ198,800千円、40,799千円増加したほか、未払法人税等が、赤字決算の翌年度のため法人税等の中間納付を行っていない前事業年度末と比べ101,734千円減少したことなどによるものであります。固定負債は1,634,482千円となり、前事業年度末に比べ289,402千円増加いたしました。これは長期運転資金の調達にあたって借入よりも社債の発行が増えたため、長期借入金が99,826千円減少した一方、社債が389,200千円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、9,098,740千円となり、前事業年度末に比べ204,022千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は4,179,562千円となり、前事業年度末に比べ1,055,708千円増加いたしました。これは株式上場時の増資により資本金、資本準備金が前事業年度末に比べそれぞれ289,800千円ずつ増加したこと、利益剰余金が476,108千円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は31.5%(前事業年度末は26.0%)となりました。
②経営成績の分析
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により停滞した期間もありましたが、足元では政府がこれまで続けてきた各種制限の緩和・撤廃に動くなど、社会経済活動もようやく正常化しつつあります。一方、ウクライナ情勢の長期化、エネルギー価格をはじめとする広範囲で大幅な物価上昇などにより世界情勢は混迷の度を深めており、歴史的な円安の進行もあって実体経済の先行きは不透明です。
当社の属する不動産業界におきましては、住宅ローン減税制度など各種の住宅取得支援制度が長期にわたって継続しているものの、昨年来の原材料価格、物流価格、外注人件費等の高止まりに、上述のウクライナ情勢や円安などが追い打ちをかけ、先の見通しにくい事業環境となっています。
このような状況のもと、当社は『「家がほしい」すべての人のために。』を企業理念とし、品質・性能・居住性を追求したデザイン性に優れた住宅をお求めになりやすい価格で提供し、東海エリア及び関東エリアでのさらなるシェア拡大に努めてまいりました。
事業エリア別の販売件数
事業エリア |
支店 |
前事業年度 |
当事業年度 |
販売件数(棟) |
販売件数(棟) |
||
東海エリア |
静岡、浜松、 名古屋 |
398棟 |
442棟 |
関東エリア |
横浜、神奈川、 大宮、城東、相模原、 東関東(閉鎖済) |
88棟 |
130棟 |
全社計 |
486棟 |
572棟 |
以上の結果、当事業年度における業績は、売上高18,441,252千円(前期比37.4%増)、営業利益884,370千円(前期比21.9%増)、経常利益710,467千円(前期比8.0%増)、当期純利益476,108千円(前期比13.6%増)となりました。
なお、当社は戸建分譲事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、2,203,866千円(前事業年度末比158.0%増)となり、前事業年度末に比べて1,349,629千円増加しております。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、469,344千円の収入(前事業年度は2,403,520千円の支出)となりました。主な要因は、法人税等の支払額332,514千円により資金が減少した一方、税引前当期純利益710,467千円の計上、長期在庫の販売強化による棚卸資産の減少額139,506千円によりそれぞれ資金が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、21,765千円の支出(前事業年度は22,556千円の支出)となりました。主な要因は、相模原支店の設置等に伴う有形固定資産の取得による支出14,703千円、業務用基幹システムのリプレイス等に伴う無形固定資産の取得による支出5,639千円によりそれぞれ資金が減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、902,050千円の収入(前事業年度は2,251,561千円の収入)となりました。主な要因は、短期借入金の純減少額206,522千円により資金が減少した一方、長期資金の調達のための社債の発行による収入670,000千円、新規上場に伴う新株の発行による収入579,600千円によりそれぞれ資金が増加したためであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)の生産実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
件数(棟) |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
492 |
16,190,954 |
115.2 |
(注)1.当事業年度中に完成した物件の販売価格をもって生産高としております。
2.当事業年度中に完成した物件の棟数をもって件数としております。
b.受注実績
当事業年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)の受注実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
17,280,396 |
119.6 |
3,497,706 |
77.0 |
(注)1.当事業年度中に契約した物件の販売価格をもって受注高としております。
2.当事業年度末までに契約した未引渡物件の販売価格をもって受注残高としております。
c.販売実績
当事業年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)の販売実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
件数(棟) |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
572 |
18,441,252 |
137.4 |
(注)1.当事業年度中に引渡した物件の販売価格をもって販売高としております。なお、土地販売取引については戸建分譲事業に含めて表示しております。
2.当事業年度中に引渡した物件の棟数をもって件数としております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の主要な相手先がいないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において必要となる見積り及び判断については、過去の実績等を勘案した合理的な判断によっておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、特に以下の会計方針が当社の財務諸表の作成において使用される見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
当社は、販売用不動産及び仕掛販売用不動産のうち期末時点の正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額の切下げによる評価損を計上しております。正味売却価額の見積り及び判断にあたっては、入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
詳細は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」 に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は、18,441,252千円(前年同期比37.4%増)となりました。これはコロナ禍での戸建住宅需要の盛り上がりを背景に、特に関東エリアにおいて事業所数や事業規模を伸ばしたことで、販売棟数や販売単価が増加したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、2,565,036千円(前年同期比16.1%増)となりました。これは主に、販売棟数が増加したことによるものです。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,680,666千円(前年同期比13.3%増)となりました。これは主に、販売件数増に伴う不動産販売仲介会社への支払手数料の増加などによるものです。この結果、営業利益が884,370千円(前年同期比21.9%増)となり、売上高営業利益率は4.8%と、目安とする5%を若干下回りました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、27,308千円(前年同期比16.4%増)となりました。営業外費用は、201,211千円(前年同期比121.2%増)となりました。これは金融機関からの借入枠の新規設定に伴い支払手数料が増加したこと等によるものです。この結果、経常利益が710,467千円(前年同期比8.0%増)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)
当事業年度の特別利益は計上なし(前年同期は5,573千円)、特別損失も計上なし(前年同期は15,116千年)でした。この結果、税引前当期純利益は710,467千円(前年同期比9.6%増)となりました。
(法人税等、当期純利益)
当事業年度の法人税等の合計は234,359千円となり、この結果、当期純利益は476,108千円(前年同期比13.6%増)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社が今後の成長を持続して行くには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題への対処が重要であると認識しております。当社はこれら課題に対して継続的な検討及び状況の把握を行い、適切に対応をしてまいります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、今後の事業エリア拡大に対応すべく、事業運営上の必要な運転資金については主に自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、設備資金等につきましては今後の事業エリア拡大に伴う出店等について自己資金でまかなうことを基本としております。
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