課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループは、以下の企業理念及びサステナビリティビジョンのもと、持続可能な社会の実現と企業としての継続的な成長を目指し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう努力してまいります。

 

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(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題

 今後の経済環境の見通しにつきましては、ウィズコロナ下での経済政策の実行等により緩やかな経済回復が継続する見込みではあるものの、感染の終息時期の見通しが立たないことによる先行き不透明な状況が続くものと想定しております。

 不動産事業環境におきましては、働き方やライフスタイルの一部変容により立地条件等の競争環境の変化が進展する可能性がありますが、国内・海外の金利環境に急激な変化が生じる可能性は低いと想定しており、収益不動産の投資市場は引き続き堅調に推移すると考えております。

 また、中長期的な外部環境認識としては、①人口減少(労働人口減少)・少子高齢化の進展、②自然災害リスクの増加、③テクノロジーの進展・ライフスタイルの変化、④世界的な不確実性の高まり、⑤温暖化現象の進行等を想定しております。

 こうした環境のもと、当社グループは、2020年度を初年度とする中長期経営計画の基本方針である「成長性」「安全性」「収益性」「生産性(効率性)」を高次元でバランスする経営に重点を置き、①ビジネスモデルの進化と賃貸ポートフォリオの再構築、②開発事業及びバリューアッド事業の強靭化、③独自性のある新規事業領域の創造とグループ力の向上、④経営基盤の強化とリスク管理の徹底、⑤社会と企業の共創・共生をはかるサステナビリティを重視したマネジメントを「対処すべき課題」と捉え、「変革とスピードをベースに、環境変化に柔軟に対応した進化を通じて、持続的な企業価値向上を実現する企業グループ」を目指してまいります。

 

 そのために、それぞれの課題に対して、主に以下の戦略に取り組んでまいります。

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①ビジネスモデルの進化と賃貸ポートフォリオの再構築

 当社グループの中核事業は、東京23区の駅近を中心に保有する不動産を賃貸する不動産賃貸事業であり、本事業をベースとして「安定性」と「効率性」を両立したビジネスモデルの進化をはかっております。

 当社グループの所有物件は、駅近の好立地のビルが大宗を占めており、マーケットより常に低い空室率を維持し、安定的な収益を確保しております。更に、CREなど戦略的ソーシングによる着実なポートフォリオの拡充に合わせて、テナントリーシング力を更に強化し、不動産賃貸事業の底支えをはかっております。

 また、将来的なエリア間の競争激化に備え、厳選立地、高耐震・高性能、環境配慮、マーケットニーズに即した用途バランスといった要素を備えた更なる競争優位性を有する賃貸ポートフォリオの再構築を進めてまいります。

 

②開発事業及びバリューアッド事業の強靭化

 開発事業につきましては、保有物件の開発・建替・PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業に取り組んでおり、2021年度は10物件が竣工し、2022年度についても7物件が竣工する計画となっております。

 今後も、中長期パイプラインの整備に基づき、耐震・環境配慮に優れた開発事業を推進することによって、優良な賃貸ポートフォリオの増強及び開発利益の獲得をはかってまいります。

 また、働き方の多様化、企業のオフィス拡張・分散・縮小、ITインフラの充実などに着目して、”借りやすく返しやすいオフィス””すぐに使える先進のオフィス””生産性向上をサポートするオフィス”をコンセプトにした中規模フレキシブルオフィス「Bizflex」のシリーズ展開をおこない、入居テナントがフレキシブルにオフィスを利用できるサービスを開始しており、2021年度には「Bizflex麻布十番 by HULIC」が開業したほか、新たに4物件の開発が確定しております。

 バリューアッド事業については、大型バリューアッドとして取り組んでいた「LICOPA鶴見」が開業いたしました。今後も多様なバリューアップ手法に基づく取組みを強化することによって、安定した利益の創出及び成長ドライバーとしての体制整備をはかってまいります。

 

③独自性のある新規事業領域の創造とグループ力の向上

 3Kビジネス(高齢者・観光・環境ビジネス)の一つとして取り組んでいる高齢者ビジネスについては、引き続き多数の高齢者施設を開発、取得及び保有しているほか、ITを活用した業務効率化・科学的介護等を提供するスマートシニアハウジング構想にも取り組んでおります。

 観光ビジネスについては、自社運営ホテルの「THE GATE HOTEL」及び「ビューホテル」シリーズや、高級温泉旅館「ふふ」シリーズの開発・運営をおこなっております。また、新型コロナウイルス影響への対応として、観光ビジネスのグループ内再編を通じて経営管理及び運営管理を集約しておこなう体制を整備しており、今後も効率的な運営を進めていくとともに、アフターコロナの観光ニーズに合致した商品開発による収益回復をはかってまいります。

 環境ビジネスについては、CO排出量ネットゼロ化・耐火木造建築・100年耐久ビルのほか、環境に配慮した取り組みを強化してまいります。

 また、新規事業としては、「Bizflex事業(中規模フレキシブルオフィス事業)」に加えて、共働き世帯の増加や幼児教育無償化、教育資金の贈与税非課税制度等を背景に今後の有望な事業として、こどもを対象にした教育関連サービスを提供する「こども教育事業」を推進しており、事業の強化を目的として株式会社リソー教育への追加出資をおこない持分法適用関連会社化しました。

 今後も、これらの事業を拡大するとともに、新たな価値創造を提供する新規事業を開拓・軌道化し、グループ連携を活かした収益機会の獲得及びシナジー追求によるグループ総合力の向上をはかってまいります。また、新規事業の軌道化及びグループ力向上の早期実現の手段として、M&Aやアライアンス等を積極的に活用してまいります。

 

④経営基盤の強化とリスク管理の徹底

 2021年度に実施した約1,000億円の公募増資により資本増強をはかり、経営基盤の更なる強化を進めております。

 また、「内部統制」、「リスク管理」、「コンプライアンス」、「開示統制」についても従前から徹底をはかっており、東証の市場区分再編においては、プライム市場に要求される高いガバナンス水準を充足していたことから、「プライム市場」への移行を選択し、2022年4月4日に移行いたします。

 リスク管理に関しては、「事業継続基本計画」(BCP:Business Continuity Plan)に基づき、定期的に訓練を実施する等、今後も有事対応力の向上を進めてまいります。

 

⑤社会と企業の共創・共生をはかるサステナビリティを重視したマネジメント

 サステナビリティビジョンに基づき、社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、「持続可能な社会の実現」と「企業としての継続的な成長」を目指し、ESGを意識した事業運営と価値創造により、社会課題の解決及び社会価値の創造と企業成長が連動する取り組みを推進しております。

 環境への取り組みとしては、「脱炭素社会・循環型社会」の実現に向けて環境配慮経営を推進しており、「RE100」の達成目標を2025年から2024年に前倒ししたことに加え、「CO₂排出量ネットゼロ化」の達成目標を2050年から2030年に前倒しいたしました。今後も脱炭素に向けた取り組みを強化し、自社の非FIT再エネ電源から自社保有ビルへの電力供給をおこなってまいります。また、100年以上安全に使用できるオフィス標準仕様の導入による廃棄物削減、耐火木造建築・植林活動を通じた森の循環による環境負荷の低減に取り組んでまいります。

 社会への取り組みとしては、防災への意識の高まりに対応する高耐震ビルへの取り組みを強化しているほか、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化及び社会貢献活動も強化しております。また、人材育成を軸として、健康経営・働き方改革等の取り組み、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、女性や高齢者も等しく能力を発揮できる職場とし、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業を目指してまいります。

 ガバナンスの取り組みとしては、2021年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を踏まえ、当社の持続的成長・企業価値向上に向けての最適なコーポレートガバナンスを実現するための枠組みを、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」において開示しております。ガイドラインを基に健全な企業統治の下で株主の権利に留意し、永続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

重要課題(マテリアリティ)への取り組み

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<新型コロナウイルス感染症による影響への対応>
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、当社グループの一部の事業運営に引き続き影響を及ぼしておりますが、当社グループとしましては、感染防止対策をおこないつつ、お客様・利用者様・従業員等の安心・安全を確保するとともに、働き方やライフスタイルの変化に対応した事業を推進してまいります。

 

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(3)目標とする経営指標

 2020年1月に策定しました長期経営計画(2020-2029)及び中期経営計画(2020-2022)で掲げる定量目標及び達成状況につきましては以下の通りです。

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