業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の概況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の長期化と感染再拡大に加え、ウクライナ情勢の悪化による影響も懸念される中、米国ではインフレが加速しているものの、個人消費は底堅く推移するなど景気の回復傾向が継続し、また東南アジアでも活動規制が段階的に緩和されるにつれて内需が持ち直し、緩やかな景気回復が続きました。一方、中国では輸出の増加基調が持続しているものの、感染症への対策強化や不動産投資への警戒感などから引き続き景気減速傾向となりました。

わが国経済は、輸出や設備投資に一時下振れの動きがみられたものの増加基調が持続した一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う断続的な緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用などにより経済活動が制限されたことで個人消費は低調に推移し、依然として厳しい状況が継続しました。

当社グループは、2022年3月期から2024年3月期までの3年間を対象とする新たな中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」を策定し、すべてのセグメントが収益を拡大しつつバランスの取れた事業ポートフォリオとすることを目指し、環境変化にも適切に対応し安定的に連結経常利益10億円を創出できる企業・収益体質を構築することに取組んでおります。

当連結会計年度における当社グループの売上高は、会計基準変更に伴う減少はあったものの、ナッツ類を中心に食品関連が増加したことなどで、全体では37,686百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。

しかしながら利益面では、年度後半にかけて、特に食品関連における原料不足や原料高に加えて、海上運賃の高騰や円安がさらに進む中、第3四半期までは影響を受けながらも当初計画に見合う進捗を確保したものの、続く第4四半期では影響をさらに大きく受ける形で利益を圧迫する結果となり、通期では経費の削減を進めましたが、営業利益は721百万円(前連結会計年度比7.3%減)、経常利益は634百万円(前連結会計年度比6.3%減)となりました。

また、特別利益に環境対策引当金戻入額を計上した一方で、特別損失に農業事業及びタイ市場における食品輸入販売事業からの撤退に伴う事業整理損などを計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は474百万円(前連結会計年度比5.3%減)となりました。

なお、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、従来の方法に比べ売上高は1,883百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ8百万円減少しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表[注記事項](会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

食品関連

 

食品業界の輸入食材を取り巻く環境は、中国をはじめとする仕入国での天候不順の影響や工場経費・原材料費の上昇、また世界的な物流の混乱等による国外の物流コスト上昇のほか、円安の進行により仕入コストの上昇傾向が続きました。国内では新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で需要の低迷が長期化し、緊急事態宣言が一斉解除された第3四半期以降に需要回復の動きが期待されたものの、第4四半期に入り感染再拡大により各地でまん延防止等重点措置が発令されたことで、結果として通期にわたり厳しい市場環境が続きました。

このような状況の中、当社グループの冷凍食品分野では、強みである品質管理体制を活かした医療老健施設向けなど品質管理要求の高いルートへの販売に引き続き注力しながら、市販用商品の販売量を伸長させるなどの販路拡大や商品開発による内食需要への取組みを強化したことで、冷凍野菜・冷凍調理品・冷凍水産加工品の各商材ともに売上は前年度並みを維持しました。一方、利益面では円安の進行や海外運賃など物流コストの上昇、また冷凍野菜の原料高の影響を受け続け、特に第4四半期での影響は非常に大きく、利益は大幅に減少しました。

農産分野は、主力のカシューナッツを中心にナッツ類の取扱いが大きく増加し、また落花生の取扱いも堅調であったことで、売上は大幅に伸長し、利益も増加しました。

その結果、食品関連の売上高は26,412百万円(前連結会計年度比5.2%増)、セグメント利益は1,072百万円(前連結会計年度比17.8%減)となりました。

 

物資関連

 

輸出事業を取り巻く環境は、世界的な自動車生産の回復やICT関連産業が堅調であった一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の抑制や半導体などの電子部品不足がサプライチェーンに影響を及ぼしました。

このような状況の中、当社グループの機械機器・金属製品分野では、北米向けのハードウエアや大型建設機械の輸出は堅調に推移したものの、各種試験機の取扱いが減少したことに加え、会計基準変更に伴う影響もあり、売上は大幅に減少しましたが、利益は経費の削減もあり増加しました。

一方で、防災関連分野では、予定していた調査案件が開始されず、わずかな売上にとどまりました。

国内における住宅建設関連については、マンション着工にも回復の動きがみられ、当社グループの建築金物・資材分野では、金物・輸入ガラスとも主要都市圏を中心とした取扱いが堅調に推移したことで、売上・利益ともに大幅に増加しました。

生活用品分野では、ブラシ毛材や周辺商品、またアウトドア関連商品が好調に推移し、売上・利益ともに増加しました。

その結果、物資関連の売上高は3,370百万円(前連結会計年度比20.6%減)、セグメント利益は377百万円(前連結会計年度比36.6%増)となりました。

 

 

繊維関連

 

繊維業界では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内では外出自粛による購買意欲の減退が続き、また原材料や物流コストの高騰などにより仕入コストが上昇し、厳しい状況が続きました。

当社グループのアパレル卸売分野では、専門店向けやコロナ関連用途の生地の販売が減少したものの、高い企画提案力で量販店に販路を有する主力顧客向け紳士衣料品やテレビショッピング向けレディース衣料品が伸長し、売上は増加しました。一方、利益は全般的に原材料や物流費の高騰などの影響を受けたことや在庫の早期処分を進めたこともあり利益率が低下し、減少しました。

その結果、繊維関連の売上高は3,391百万円(前連結会計年度比1.7%増)、セグメント利益は57百万円の損失(前連結会計年度は30百万円の利益)となりました。

 

電子関連

 

電子部品業界は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う供給制約を懸念した在庫の積み増しが受注水準を高めたことに加え、自動車や産業機器関連の生産の回復による部品需要が増大したことで、市場の拡大が続きました。

当社グループのセンサ機器分野では、ホコリセンサは車載用途が好調に推移した一方で、空気清浄機用途が減少し、また湿度センサは民生・産業用途が増加したものの、車載用途が減少したことで、売上は減少しましたが、利益は経費の削減により増加しました。

計測・試験機器分野では、携帯端末機器用途の落下試験機の輸出が伸長した一方で、計測機器が低調に推移したことで、売上は横ばいとなりましたが、利益は減少しました。

コンデンサ分野では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いマレーシアの工場で操業制限の影響を受け、売上は減少しましたが、利益率が改善したことで利益は増加しました。

その結果、電子関連の売上高は4,511百万円(前連結会計年度比1.4%減)、セグメント利益は449百万円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。

 

なお、収益認識に関する会計基準等の適用に伴うセグメントごとの売上高とセグメント利益の減少額は、以下のとおりであります。

 

 

売上高

セグメント利益

食品関連

  412百万円

8百万円

物資関連

1,228百万円

繊維関連

  230百万円

電子関連

   11百万円

 

 

※  セグメント利益は、報告セグメントに帰属しない一般管理費等配賦前の経常利益の金額に 基づいております。  

 

 

② 財政状態の概況

当連結会計年度末の資産は、23,586百万円であり、前連結会計年度末に比べて2,393百万円の増加となりました。これは商品及び製品が1,679百万円、原材料及び貯蔵品が210百万円増加したほか、売上債権が463百万円増加したことなどによるものであります。

また、負債は20,154百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,634百万円の増加となりました。これは環境対策引当金が181百万円減少した一方で、長短借入金が1,307百万円、支払手形及び買掛金が464百万円増加したことなどによるものであります。

一方、純資産は3,432百万円であり、前連結会計年度末に比べて758百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益474百万円の計上や、第三者割当増資に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ85百万円増加したことなどにより株主資本が652百万円増加したことに加え、為替換算調整勘定などのその他の包括利益累計額が106百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,291百万円の支出前連結会計年度比3,415百万円の支出増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益618百万円及び仕入債務の増加445百万円などにより増加した一方で、棚卸資産の増加1,928百万円及び売上債権の増加432百万円などにより減少したことによるものであります。

また、投資活動によるキャッシュ・フローは、264百万円の支出前連結会計年度比40百万円の支出増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出238百万円などにより減少したことによるものであります。

一方、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,347百万円の収入前連結会計年度比3,063百万円の収入増)となりました。これは、長短借入金の純増額1,307百万円などにより増加したことによるものであります。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は167百万円減少(前連結会計年度は164百万円の増加)して1,183百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

電子関連

4,230

103.2

合計

4,230

103.2

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

電子関連

3,916

91.9

281

63.5

合計

3,916

91.9

281

63.5

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

食品関連

26,412

105.2

物資関連

3,370

79.4

繊維関連

3,391

101.7

電子関連

4,511

98.6

合計

37,686

101.1

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

2 セグメント間の内部売上高は控除しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績につきましては、当社グループの当連結会計年度における経営成績に重要な影響を与える要因についての分析等は、前項の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中にあっても、主に食品関連の増収により全体で売上は増加しましたが、年度後半にかけて、特に食品関連における原料不足や原料高に加えて、海上運賃の高騰や円安がさらに進み収益を圧迫する結果となりました。当社グループでは、中期経営計画「神栄チャレンジプロジェクト2023」においては、すべてのセグメントが収益を拡大しつつバランスの取れた事業ポートフォリオとすることを目指し、取組みを進めている中で、物資関連及び電子関連が収益を拡大したことでセグメント利益の構成比率が上昇しました。また各事業が収益に貢献し又は将来貢献し得るかの検証を定期的に行う中、食品関連において農業事業から撤退し、タイ市場における食品輸入販売事業からの撤退も決定いたしました。引き続き、原材料費・物流費の高騰や円安などのコストアップ要因による収益への影響を最小限に留められるよう適時適切な対応を行い、また特に繊維関連の事業収益基盤を早期に確立することで、バランスの取れた事業ポートフォリオとするべく、取組みを進めてまいります。

 

財政状態につきましては、主に食品関連において、棚卸資産が新型コロナウイルス感染症の影響に伴う抑制からの反動や今後の売上拡大に向けた積み増しにより大幅に増加したことに加え、売上債権が増収に伴い増加したことで、総資産は増加し、これらの要因による運転資金の増加を主に短期借入金で充当したことで、負債も増加しました。一方、純資産は利益計上に加え、第三者割当増資の実施などにより増加したことで、連結自己資本比率は前連結会計年度から2.0ポイント上昇し14.6%となりました。引き続き連結自己資本比率の改善に向け、強みを有する中核的事業の拡大と今後中核となりうる事業の育成に取組むことで、すべての事業における収益基盤の確立を図り、また保有資産の効率的な活用などによる総資産の圧縮及び有利子負債の抑制に取組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、前項の(1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備投資は自己資金及びリース契約にて対応した一方で、主に食品関連における運転資金の大幅な増加に係る資金需要への対応は、短期借入金の増額による資金調達を実施いたしました。2023年3月期においては、電子関連における新製品及び新サービス等の研究開発投資については、当連結会計年度に実施した第三者割当増資により調達した資金を一部充当して対応することとし、また例年実施している更新等に係る設備投資は減価償却費の範囲内で行うことを原則とし、全体としては利益計上などによるフリーキャッシュ・フローの確保に取組んでまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当社グループとして重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、回収可能性があると判断した将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について繰延税金資産を計上しております。また回収可能性については、過去の実績に基づき見積可能期間に応じた将来の課税所得を見積もっております。

なお、当連結会計年度の見積りについては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響を含め、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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