業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

  ① 財政状態及び経営成績の状況

2022年5月期(2021年6月~2022年5月)は、持続的成長を最重要課題と位置づけ、積極投資を行う方針としております。

業績面では、ストック収益(※1)は順調に拡大しましたが、フロー収益(※2)は、オミクロン株による影響が想定以上に大きく、この環境下でも先行投資を拡大した結果、増収・減益となりました。

 

(※1)ストック収益:ITサブスクリプション事業(一部フロー含む)

(※2)フロー収益 :ITAD事業、コミュニケーション・デバイス事業

 

また、半導体不足の影響やウクライナ問題・インフレ進行による世界経済の減速懸念はあるものの、ビジネス向け新規PC出荷台数は、2023年から拡大期に入ると予想されています(※3)。その背景は、2017~19年にWindows 10 対応で大量導入されたPCが更新時期を迎えること、Windows 11 対応が本格化すること等です。

これは、ITサブスクリプション事業、ITAD事業ともに重要な成長機会です。

 

(※3)出典:MM総研

 

ITサブスクリプション事業については、次の4点から成長性は高いと判断し、積極投資を行っております。

 

 (i)  2023年からIT機器サブスクリプションの成長ペースが加速する可能性

 (ii)  IT機器サブスクリプションと、運用保守・クラウド等ITサービスとの相乗効果

 (iii) 規模の利益が効く事業特性

 (iv)  IT機器サブスクリプリョン終了後は優良なリユース商材に

 

その投資内容は、サブスクリプション資産の先行取得、IT人材の積極採用・育成、業務デジタル化やCRMシステム(※4)等への投資、並びにテクニカルセンター等の設備投資です。

 

(※4)CRMシステム:Customer Relationship Managementの略。顧客情報を一元管理し、関係強化のための最適な対応を図る仕組み。サブスクリプション型ビジネスでは特に重要性が高い。

 

 

ITAD事業については、新規PC出荷台数が拡大期に入ることはITAD事業にとっても追い風となります。しかしながら、当事業はフロー収益であり市場変動や外部環境の変化の影響を受けやすいため、持続的に成長できる構造へ転換することを重要課題とし、次の3点に取組んでおります。

まずは、全国のテクニカルセンターの設備増強とデジタルDX化による生産性向上・効率化です。2021年11月に名古屋テクニカルセンターを移転し生産能力を増強しましたが、他エリアのセンター・支店についても順次移転または設備投資を行うとともに、業務DXデジタル化も順次進めております。これには、ITサブスクリプション事業のセンター機能の全国的な強化も含まれます。

次に、IT機器専門ネットオークションの展開です。現在はITAD顧客から回収した使用済み機器の一部を対象にしていますが、サブスクリプション終了後の機器の出品や、及び出品代行のサービスを提供まで拡大することによりで、利用顧客並びに出品台数を増加させるとともに健全なオークション市場の形成、プラットフォーム化を図る方針です。

さらに、SDGs支援の強化です。当社のテクニカルセンターは、従来から資源の有効活用の観点から使用済みIT機器を100%まで国内リユース・リサイクルすることでゼロエミッションの実現を目指し、脱CO2・廃プラ等の環境課題、電子ごみの不正輸出抑止等に大きく寄与してきました。今後は、当社ITADサービスを利用いただく多数の法人へ、CO2の削減効果等を数値化した報告書を提供するなどSDGsへの取組みを支援してまいります。

コミュニケーション・デバイス事業については、イヤホンガイドⓇは、旅行業界で圧倒的シェアを有しておりますが、コロナ禍で甚大な影響を受けております。

一方、既存の顧客や全国の観光地・景勝地からは「withコロナの支援ツール」としてイヤホンガイドⓇを高く評価していただいており、国内市場の新規顧客開拓も進んでおります。今後段階的に回復する観光需要に対応するためを取り組むべく、採用などの人材投資も積極的に行い、万全の体制を構築してまいります。

 

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,507,217千円前年同期比5.4%増)、営業利益342,024千円前年同期比55.5%減)、経常利益334,259千円前年同期比56.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益209,813千円前年同期比57.7%減)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

<ITサブスクリプション事業>

ITサブスクリプション事業の規模拡大には先行投資が必要で、コストが先行し、売上が数か月~半年後から順次計上となる特性を有します。これは、サブスクリプション資産確保により減価償却費が先行すること、受注時期とサブスクリプション開始時期(売上高計上時期)にタイムラグが発生することが原因です。

当期の受注額は、好調な需要を背景に前期比で倍増し、売上高が拡大いたしました。

一方、コスト面では、今後の市場拡大に備えて先行投資をさらに拡大いたしました。具体的にはサブスクリプション資産(※5)の積極取得、IT人材の積極採用、デジタル化投資、設備投資等です。

この結果、セグメント業績は、売上高3,493,212千円前年同期比18.6%増)、セグメント利益406,676千円前年同期比21.2%減)となりました。

 

(※5)サブスクリプション資産:勘定科目はレンタル資産。減価償却前の残高は当連結会計年度で26億円増加し、前連結会計年度末52億円に対し、当連結会計年度末は78億円。

 

新品PCは未だ半導体不足を背景とした世界的な供給難の状態にあります。当社は、個別案件によっては納期遅延も発生していますが、サブスクリプション用の新品PC在庫は積極的かつ順調に確保しており、規模拡大に対応できる体制は整えております。

 

 

<ITAD事業>

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、企業や官公庁などで使用済みIT機器の排出の動きが鈍化し、回収台数が減少しました。第4四半期にはオミクロン株が収束傾向となり回収台数は一部増加基調に転じるとともに、3月から本番運用を開始したIT機器専門ネットオークションも販売単価アップに貢献いたしました。しかしながら、電子部品等の需給逼迫により企業や官公庁での新品PC調達が難航した影響等で、使用済み機器の排出の回復が想定以上に鈍化しました。

 

この結果、売上高1,939,265千円前年同期比10.4%減)、セグメント利益574,153千円前年同期比23.9%減)となりました。

 

<コミュニケーション・デバイス事業>

当社グループが提供するイヤホンガイドは、旅行業界で利用されるガイドレシーバーにおいて圧倒的なシェアを有しておりますが、新型コロナウイルス感染拡大により甚大な影響を受けました。なお、第4四半期には、まん延防止等重点措置の全国的な解除により、需要は回復傾向となりました。

 

 この結果、売上高78,349千円前年同期比37.2%減)、セグメント損失66,032千円前年同期はセグメント損失33,925千円)となりました。

 

2020年5月に日本旅行業協会から発表された「旅行業における新型コロナウイルスガイドライン」による感染症対策として「ガイドレシーバーを利用したガイディング等を行うこと」は変わらず維持されており、旅行代理店や観光名所からのイヤホンガイド®への問い合わせは続いております。

 

(資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べ26.4%減少1,735,737千円となり、主に現金及び預金が894,996千円減少したことによります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ48.5%増加5,099,549千円となり、主にレンタル資産(純額)が1,456,902千円、差入保証金が45,524千円それぞれ増加し、のれんが41,263千円減少したことによります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ18.0%増加6,835,287千円となりました。

 

(負債)

流動負債は前連結会計年度末に比べ18.7%増加2,365,394千円となり、主に1年内返済予定の長期借入金が466,661千円と未払金が257,928千円増加し、未払法人税等が199,209千円減少したことによります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ40.8%増加1,934,078千円となり、主に長期借入金が454,213千円増加したことによります。

この結果、負債は前連結会計年度末に比べ27.7%増加4,299,472千円となりました。

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ4.5%増加2,535,814千円となり、主に親会社株主に帰属する当期純利益209,813千円の計上による増加と剰余金の配当151,135千円による減少であります。

なお、当連結会計年度末における自己資本比率は37.1%、1株当たり純資産額は497円70銭となりました。

 

 

  ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ894,996千円減少し、915,897千円となりました。 

また、当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は1,361,489千円前連結会計年度比42.9%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益332,609千円、減価償却費1,690,539千円、未払消費税等の増加額153,503千円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額298,553千円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は3,139,666千円(前連結会計年度比113.8%増)となりました。支出の主な内訳は、レンタル資産を始めとする有形固定資産の取得による支出2,996,665千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は883,099千円(前連結会計年度比52,142.2%増)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入2,100,000千円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,179,124千円、配当金の支払額151,082千円であります。

 

  ③ 生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

当社グループは、生産活動をしておりませんので記載しておりません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

ITサブスクリプション事業

147,059

546.3

ITAD事業

811,483

△1.4

コミュニケーション・デバイス事業

66,659

37.3

その他事業

合計

1,025,202

14.7

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 仕入高には他勘定受入高が含まれております。

   3 ITサブスクリプション事業の仕入高は、新品PCやモバイルルーター等の販売を強化したことにより増加しております。

   4 コミュニケーション・デバイス事業の仕入実績は、生産委託品等の仕入実績を示しております。

 

  c. 受注実績

当社グループは、受注生産活動をしておりませんので記載しておりません。

 

  d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ITサブスクリプション事業

3,482,635

18.8

ITAD事業

1,939,265

△10.4

コミュニケーション・デバイス事業

77,545

△37.2

その他事業

7,770

34.0

合計

5,507,217

5.4

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の「注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成にあたりましては、当社グループ経営陣による会計方針の選択・適用、決算日における財政状態や経営成績に影響を与える見積りを必要といたします。当社グループ経営陣は、これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なることがあります。

連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

  ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

  b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得