課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの企業理念は「世界に通用する一流技術商品と有用な価値ある資源を国内外に販売し、豊かな社会に貢献すること」です。これからも当社グループのような伝統型企業がさらなる発展を遂げるために、新たなコア・コンピタンスを創造・育成することにより、会社の永続的な発展とさらなる飛躍を目指してまいります。このために、下記の経営基本方針をもって今後の事業を展開してまいります。

① コーポレート・ガバナンスを機能させるために、リスクマネジメントの徹底とコンプライアンスの強化を図ります。

② 経営資源の選択と集中により経営効率を高め収益の一層の拡大を図ります。

③ 高度の商品知識や技術力を持つ人材の育成に注力し、人的基盤の充実を図ります。

④ 自己資本の一層の充実を図り、財務基盤を強化し、新たな投資・事業拡大への即対応体制を強化します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

2022年5月、当社は上記企業理念のもと、長期ビジョン(10年後の目指す姿)として、「専門商社の枠組みを超えて、社会インフラを支える付加価値創出企業へ」を策定いたしました。そして、そのスタートとして、2025年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「“Resilience”Rasa 2024~再生から飛躍へ~」を発表いたしました。

当中期経営計画においては、最終年度(2025年3月期)売上高320億円、営業利益23億円、経常利益25億円、当期純利益18億円を連結経営目標に掲げ、4つの重点施策を推し進めることにより、持続可能な社会の実現に寄与するとともに、グループ全体の持続的な成長を目指します。

 

重点施策

① グループ・ガバナンスの確立

② グループの連携強化によるシナジーの追求

③ 既存事業の収益基盤強化と新規事業機会の獲得

④ 事業を通じたサステナビリティへの取り組み

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、財務の健全性を念頭におきながら、自己資本を効率的に活用しつつ、株主価値の拡大を図ることを主眼に、目標とする経営指標を下記の通り掲げております。

① 自己資本当期純利益率(ROE)は9%以上

② 売上高営業利益率は6%以上

③ 自己資本比率は50%以上

 

(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題

当社グループは、資源・金属素材関連、産機・建機関連、環境設備関連、プラント・設備工事関連、化成品関連、不動産賃貸関連の6事業体制で、収益のさらなる拡大を図ると共に、新商品の開発、開拓、グローバル化を積極的に推進し、新たな収益基盤の確立を目指してまいります。

① 資源・金属素材関連

ジルコンサンドを中心とした鉱産物を主に国内に安定的に供給してきましたが、これらの原料の用途が限定的であること、供給元の状況に左右されやすいこと、国内外の景気の影響を大きく受けること、価格面及び為替リスクがあることなどから、下記事項を中長期的な課題として取組んでまいります。

・ジルコンサンドの安定的な供給体制の確立と適正な在庫管理

パンデミックや国際紛争、国内外の景気の影響などにより、ジルコンサンドの世界的な需給バランスが乱れており、供給元や取引先各社とこれまで以上に緊密な連携を取り、安定的な供給体制の強化と適正な在庫管理に注力してまいります。

・新たな資源関連素材の開拓

取扱商品の拡大を目指し、チタン関連素材や二次電池関連の各種原材料など、新たな資源関連素材の開拓に取り組んでまいります。

 

② 産機・建機関連

民需関連の設備投資に対しては、環境負荷軽減への需要に対応してまいります。官需関連についても、SDGs17の目標のうち「つくる責任、つかう責任」(目標12)をコンセプトに、使用製品のライフサイクルを最大化することで環境の保全へ貢献してまいります。こうした方針を掲げ、産機・建機とも公共インフラの整備・長寿命化への貢献を図ってまいります。また、新たな試みを行っている下水汚泥ポンプの耐水化計画については、重要なテーマとして取り組みを継続しております。

・既存ポンプの応用と新材質の開発

主力のポンプについては、環境へのやさしさ・ランニングコストの改善を図るべく、用途に応じた材質開発を継続的に行い、またポンプ効率の改善を進めてまいります。

特に石炭火力発電については、重要な電源の一つではあるものの、2015年のパリ協定採択を機に漸次設備縮小の方向にあります。当社は石炭火力発電所で稼働するポンプの長寿命化を図ることで環境負荷の低減に貢献することが、課された大きな役割と考えております。

また、主力ポンプに関しては、改めて水力・地熱発電分野における可能性を追求してまいります。

下水道BCPについては、当社主力商品を応用し、津波、高潮、豪雨等の自然災害から下水道施設等を保護する目的で、多目的モバイルポンプユニット「BETSY」を供給しており、官庁への実績も増加しております。その用途範囲は極めて広く、下水道等の官庁に留まらずさらに民間企業への販売も促進してまいります。

当社製品拡販に直結する取引先商材の販売協力を積極的に進めることで、当社製品の付加価値を高めていけるよう取り組んでいきます。

・建機商品の新市場展開

脱炭素社会においては、電源構成上、自然エネルギーの割合が高まり、併せて送電網の普及も欠かせないため、送電網をはじめとした新たなインフラ整備需要に対応してまいります。

また海外市場においては外国勢との競争激化が進行していますが、小口径掘進機の需要再開拓をすべく取り組みを進めていきます。

・グループ各社との連携強化

旭テック株式会社との連携営業による実績も徐々にではありますが増えつつあります。京葉地区における相互の顧客に対する情報共有、官需営業推進の強化を継続してまいります。

また、当社の主力ポンプメーカーであり関連会社でもある大平洋機工株式会社との協業体制は特に重要と考え、グループ各社とともに業容拡大を目指してまいります。

・メンテナンスサービス体制の一層の充実

グループでの連携により、メンテナンス協力会社との関係強化に努め、稼動ポンプ診断サービスを通じて顧客需要を喚起し、グループでの販売、メンテナンス需要の拡大を目指してまいります。

 

③ 環境設備関連

水砕スラグ製造設備は、IGCC(石炭ガス化複合発電)プラントの大型案件が一巡し、製鉄所での設備改修計画も具体化まで長期化する可能性が高いため、新規市場の開拓が今後の課題です。一方、海外機械製品については、バイオマスエネルギー関連で受注は見込めるものの、収益の大きなウェイトを占める下水分野では新規計画の減少と競合他社との競争が激化する可能性が高く、既存商品に付加価値を与える新技術の開発に取り組んでまいります。

・当社独自の水砕スラグ製造設備「ラサ・システム」の新分野の開拓及び新技術の開発

製鉄所での高炉の付帯設備として稼動している水砕スラグ製造設備「ラサ・システム」から生じるスラグは、リサイクル材として評価されております。このシステムを応用し設備をコンパクト化させることにより、新規分野の開拓として非鉄金属業界への拡販を目指してまいります。また、新規分野において技術提携先と連携しながらシステムの負荷を軽減する高機能薬品の開発に取り組んでまいります。

・環境問題に取り組む海外主要機械メーカーとの提携

バイオマスガス発電の利用促進に向けて乾式メタン発酵が注目されています。ピストンポンプは発酵槽に圧入するポンプとしての実績を評価されているほか、下水分野でもCO2削減の観点から低含水率汚泥への対応が求められているため、既存商品の改良にドイツ高圧ポンプメーカーとの連携を強化してまいります。さらにボイラー制御に不可欠な高い制御性に加え、シンプルで信頼性の高い自動バイパス弁メーカーとの連携を強化し、次期商品として蒸気減温器の商品化を図り、新たな市場の創出と拡大を目指してまいります。

・海外市場の拡大

非鉄金属資源の豊富な東南アジアを中心に、水砕スラグ処理の応用技術を活用した設備及び機械類の輸出強化を目指してまいります。

 

④ プラント・設備工事関連

コロナ禍の影響により新規の設備投資の減少が見込まれますが、近隣事業所の定期修繕工事を確実に取り込み、短納期の内作工事案件等を受注しつつ、今後も客先との信頼関係を深めてまいります。また、既に取得運用しているISO9001、労働安全衛生マネジメントシステム(COHSMS)を活用し、品質と安全の取り組みを強化しながらさらに骨太の基盤構築に努めます。具体的には中期的な課題として下記事項を取り組んでまいります。

・国内製造設備の増改修・補修及び新設

主要顧客の京葉臨海コンビナートの新設、増改修、定期修繕の受注及びエネルギー関連、特に「火力発電」「バイオマス発電」関連への取り組みを強化してまいります。また、各種プラントによる脱炭素関連事業に対応し、設備改修及び設備建設の受注拡大を目指してまいります。

・官庁案件の受注拡大

2022年3月期において、初めて公共工事(下水道事業)の元請受注をいたしました。今後も継続して入札に参加し、事業拡大を図ります。

・人材育成への取り組み

品質と安全の取り組みを強化するため、継続的な教育を実施します。

仕事への意欲の向上を促進するため、新しい人事評価制度を策定いたします。

・グループ連携

現在でも営業活動やポンプメンテナンス工事などで連携をしておりますが、情報共有を含め、相互理解を強化させることでさらなるシナジー効果を図ってまいります。

 

⑤ 化成品関連

石油化学製品工場の海外移転などから、国内における生産量、消費量とも減少傾向にあるため、国内企業とその海外現地法人への関係強化が必要なことなどから、下記事項を中長期的課題として取り組んでまいります。

・国内取引の拡大

国内の一流メーカー及び特徴ある製品を持つメーカーとの関係強化を進め、販売先への水平展開を行い、売上、収益の拡大を目指してまいります。

・海外取引の拡大

主要取引先の海外展開に伴い、海外駐在員事務所を情報拠点として、東南アジア、北米への販売強化を推進してまいります。

・グループ運営強化及び効率化

海外販売の拡大のため、グループでの運営強化及び販売コストなどの効率化に努めてまいります。

 

⑥ 不動産賃貸関連

保有不動産の有効活用により、安定的な賃料収入を得られております。残された課題として、上尾市の賃貸駐車場の有効活用を検討してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループでは、前連結会計年度に判明した当社連結子会社である旭テック株式会社における不適切な会計処理事案を受け、社外の専門家を中心とした社内調査委員会を立ち上げ、2021年8月には調査報告書を受領し、その提言を真摯に受け止め、2021年9月に再発防止策を策定のうえ、2021年9月17日付「再発防止策の策定等に関するお知らせ」を公表いたしました。

再発防止策の公表後、当社ではグループガバナンス強化委員会を立ち上げ、グループ一丸となって再発防止策に集中的に取り組み、各種の施策を着実に実行に移すことで、ラサ商事グループとして内部管理体制の強化を推進してまいりました。

再発防止策の具体的な進捗状況につきましては、2022年4月28日付で公表いたしました「再発防止策の進捗状況に関するお知らせ」に記載のとおりでありますが、今後も本件事案を風化させることなく、引き続き、再発防止策の実施・モニタリングを通して、コンプライアンス重視の経営を推進し、皆様からの信頼回復に努めてまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得