業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりであります。

①財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より1,608,646千円増加して14,060,831千円になりました。流動資産は、1,923,720千円増加して11,796,462千円になりました。増加の主な要因は、取引の増加に伴い売掛金が1,357,701千円増加したことによるものです。固定資産は、315,074千円減少して2,264,368千円になりました。減少の主な要因は、投資有価証券が投資有価証券評価損の計上等により244,125千円減少したこと、のれんが子会社ののれんの減損損失の計上等により180,345千円減少したことによるものです。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より1,586,333千円増加して8,696,242千円になりました。流動負債は1,770,413千円増加して7,629,575千円になりました。増加の主な要因は、未払金が495,184千円減少した一方で、取引の増加に伴い買掛金が2,261,344千円増加したことによるものです。固定負債は184,079千円減少して1,066,666千円になりました。減少の主な要因は長期借入金が返済により178,336千円減少したことによるものです。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より22,313千円増加して5,364,588千円になりました。増加の主な要因は、自己株式が株式給付信託(J-ESOP)による株式付与により49,219千円減少したことと配当金の支払いにより利益剰余金が424,856千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益354,661千円の計上により利益剰余金が増加したことと、株式報酬費用の計上により新株予約権が43,288千円増加したことによるものです。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年5月1日~2022年4月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて経済活動の制限と緩和が繰り返されましたが、ワクチン接種が促進される中、感染対策に万全を期した上で制限を緩和する経済活動正常化に向け動き出し、回復の兆しを見せ始めております。一方、原油価格や原料価格の高騰、中国のゼロコロナ政策による経済減速、円安の進行など、先行きが不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念に掲げ、各企業間取引のインフラサービス事業の事業規模拡大に努めてまいりました。当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の変異株の流行などによる感染再拡大を受け、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出と延長が繰り返されましたが、感染状況が緩やかに減少したことで、徐々に様々な規制緩和がされていき国内の経済活動も少しずつ活発化いたしました。加えて、B2Bのデジタルシフトの浸透を背景に当社サービスの需要が継続していることにより、EC事業、フィナンシャル事業ともに増収となり、当連結会計年度における売上高は4,789,984千円(前期比9.7%増)となりました。

 費用面におきましては、フィナンシャル事業において国内経済の回復を見据え、与信審査基準を徐々に緩和していることで保証履行額が増加し売上原価は増加いたしましたが、審査水準は適切に管理されており、売上原価率は依然としてコロナ前よりも低い水準を継続しています。また、今期もプロモーションの強化を継続していることにより広告宣伝費が前期比19.9%増、人員増強により人件費が11.0%増となりましたが、その他の費用は抑制された結果、販売費及び一般管理費は前期比12.2%増となりました。

 この結果、EBITDA 1,268,568千円(前期比5.3%減)、営業利益1,126,081千円(前期比5.9%減)、経常利益1,135,109千円(前期比6.7%減)となりました。なお、家賃保証事業を提供している連結子会社である株式会社ラクーンレントにおいて新型コロナウイルス感染症拡大影響の長期化などによる外部環境の悪化を踏まえ今後の計画を見直した結果、147,564千円をのれんの減損損失として特別損失に計上いたしました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益354,661千円(前期比55.7%減)となりました。

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

ⅰ.EC事業

 EC事業の主力事業である「スーパーデリバリー」は、新規会員獲得数の増加と客単価の向上により流通額を増加させていくことに取り組んでおります。当連結会計年度におきましてはB2Bのデジタルシフトを背景とした需要を積極的に取り込んでいくために、認知度の向上及び顧客獲得数の増加を目的としたプロモーションを強化いたしました。

 この結果、当連結会計年度末における「スーパーデリバリー」の会員数は278,219店舗(前期末比58,108店舗増)、出展企業数は3,171社(前期末比538社増)、商材掲載数は1,431,200点(前期末比26,709点減)となりました。

 当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の変異株の流行などによる感染再拡大を受け、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出と延長が繰り返されましたが、感染状況が緩やかに減少し徐々に規制が緩和されていく中で、購入客数が順調に増加したことで国内流通額も順調に増加いたしました。2021年4月期にコロナ特需商材の恩恵を受けて流通額が急拡大した影響が大きく、2022年4月期の国内流通額の成長は前期比1.5%増と低水準になりましたが、特需商材であるマスク・除菌グッズを除いた通常商品の国内流通額の前期比は8.2%増となりました。海外流通額は、依然として送料の高騰、コンテナ不足による納期遅延、海外情勢の悪化など、マイナス要素による影響も増加している中、購入客数、客単価ともに増加し海外流通額は前期比39.3%増になりました。

 

 この結果、EC事業の売上高は2,950,677千円(前期比8.5%増)になりました。費用面においては、引き続き積極的なプロモーション展開を実施しており広告宣伝費は前期比17.3%増となりました。また、事業拡大に伴う人員増強により人件費は前期比12.7%増となりました。これにより、セグメント利益は1,178,761千円(前期比2.6%増)となりました。

 

ⅱ.フィナンシャル事業

 「Paid」におきましては、加盟企業数が引き続き順調に増加し4,500社を超えました。当連結会計年度は新型コロナウイルスの感染の再拡大の波が繰り返されましたが、当連結会計年度後半より国内経済のRe-Openingにより回復傾向が継続したことで1加盟企業当たりの取扱高が増加し、グループ外の取扱高は25,600,155千円(前期比19.4%増)、全体の取扱高(グループ内の取扱高9,050,404千円を含む)は、34,650,560千円(前期比13.0%増)と二桁成長となりました。

 「売掛保証」におきましては、「T&G売掛保証」、「URIHO」では、引き続き地方銀行等との業務提携に積極的に取り組み、提携数は順調に増加いたしました。また、「URIHO」では、より多くの企業にサービスを知ってもらうための認知度向上を目的としたタクシー広告を行いました。

 「家賃保証」におきましては、引き続き、事業用家賃保証、居住用家賃保証ともに不動産会社に対する知名度向上 に取り組みました。

 当連結会計年度末の保証残高は、97,106,271千円(株式会社ラクーンフィナンシャル分30,755,223千円、株式会社ラクーンレント分66,351,047千円)と前期末比15.1%増になりました。この結果、フィナンシャル事業の売上高は2,074,871千円(前期比10.1%増)と二桁成長となりました。費用面においては、与信の審査基準を緩和している影響により保証履行額は増加いたしましたが、審査水準は適切に管理されており、売上原価率は依然としてコロナ前よりも低い水準を継続しています。広告宣伝費はプロモーション強化継続の方針により前期比32.4%増となりました。また、事業拡大に伴う人員増強により人件費は前期比12.1%増となりました。この結果、セグメント利益は431,584千円(前期比17.4%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末より531,047千円増加し5,333,916千円となりました当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は1,856,587千円(前期比1,671,820千円の資金の増加)になりました。この主な要因は、仕入債務が2,261,344千円増加したことによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は197,447千円(前期比153,935千円の資金の減少額の増加)となりました。この主な要因は、ソフトウエア開発等による無形固定資産の取得による支出129,347千円と投資有価証券の取得による支出100,000千円を計上したことによるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は1,128,092千円(前期比844,363千円の資金の減少額の減少)となりました。この主な要因は、自己株式の取得による支出499,436千円と配当金の支払額424,856千円、長期借入金の返済による支出220,006千円を計上したことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 該当事項はありません。

 

 

(3)販売実績

①当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年5月1日

至 2022年4月30日)

前年同期比(%)

 

EC事業

(千円)

2,950,677

108.5

 

フィナンシャル事業

(千円)

1,839,307

111.8

 

合計

(千円)

4,789,984

109.7

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

②EC事業の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

売上種類別

当連結会計年度

(自 2021年5月1日

至 2022年4月30日)

前年同期比(%)

 

システム利用料売上

(千円)

2,319,282

112.0

 

会員小売店向け売上(会費)

(千円)

312,852

115.3

 

出展企業向け売上(基本料等)

(千円)

300,721

82.9

 

その他

(千円)

17,820

121.0

 

合計

(千円)

2,950,677

108.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、EC事業、フィナンシャル事業ともに増加したことにより4,789,984千円(前期比9.7%増)となりました。

 

(売上総利益)

 売上原価は、フィナンシャル事業において与信の審査基準の緩和により緩やか上昇したことにより前期比29.0%の増加となりました。

 この結果、売上総利益は3,951,631千円(前期比6.4%増)となりました。

 

(営業利益)

 販売費及び一般管理費は、EC事業、フィナンシャル事業ともに広告宣伝費が前期比19.9%増加、人件費が前期比11.0%増加したことにより、2,825,550千円(前期比12.2%増)となりました。

 この結果、営業利益は1,126,081千円(前年同期比5.9%減)となりました。

 

 

(経常利益)

 長期借入金の支払利息5,879千円とコミットメントライン契約の手数料支払いによる支払手数料5,060千円を営業外費用に計上した結果、経常利益は1,135,109千円(前期比6.7%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 投資有価証券評価損325,750千円、子会社であるフィナンシャル事業の株式会社ラクーンレントののれんの減損損失147,564千円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は354,661千円(前期比55.7%減)となりました。

 

(ROE)

 中長期的な目標であるROE20%以上に対して連結会計年度におけるROEは6.7%となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものはPaid事業の販売側企業に対する買掛金の支払いになります。Paid事業の取引代金の回収・支払のサイクルは基本的には取引先企業から回収の後に販売側企業へ支払いとなり、手元資金で賄える状況ですが、事業戦略上、多種多様な回収・支払のサイクルに対応していくために、必要に応じて銀行からの借入を行う方針です。

 今後、既存事業の事業成長を図りながら、積極的に新規事業の創出や、必要に応じてM&Aを実施し成長性のあるビジネスを当社の成長に取り込んでいく考えでありますが、資金需要の必要性に応じて柔軟に資金調達を実施いたします。

 なお、当社グループは、運転資金の効率的な調達を行うために複数の金融機関との間で合計5,650百万円の当座貸越及びコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高0円)

 

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