文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供しております。
「企業活動を効率化し便利にする」を経営理念として、以下の経営方針に基づいて事業展開を行っております。
a.企業間取引分野、インターネット分野、金融分野などの専門性の向上を重視する。
b.顧客のニーズに真摯に耳を傾け、顧客ニーズを充足することを重視する。
c.労働集約的な仕組みでなく、極力自動化し、効率的な経営を行う。
当社グループは、経営理念に従って、企業と企業が取引を行う上で必要なサービスに新しい価値を創出し、進化させていくことが事業拡大に必要であるとしており、また、株主利益の増大が実現されると考えております。
(2)経営戦略等
当社グループは、中期経営計画(2023年4月期~2025年4月期)において「広さを深さに~LTVの向上によるサステナブルな事業成長へ」をテーマに掲げ、コロナ禍で増加した会員を強固な顧客基盤に育てるために既存の事業に投資を集中しLTV(Life Time Value)を高めることでサステナブルな事業成長を目指します。
中期経営計画の骨子は下記のとおりです。
事業戦略 |
EC事業 |
国内EC |
購入客単価の向上 |
海外EC |
カテゴリ特化 |
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フィナンシャル事業 |
Paid |
加盟企業単価の向上 |
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URIHO |
契約社数の拡大 |
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家賃保証 |
二者間契約商品の拡販 |
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事業基盤 |
コア・コンピタンスの強化 |
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開発リソースの増強 |
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画ではすべての事業の売上成長と、さらに高い限界利益率を背景に成長への投資を行いつつ営業利益率の向上を目指します。また、積極的な株主還元をおこない、ROEの向上を目標としております。
指標 |
2025年4月期目標 |
売上高 |
7,700百万円 |
営業利益 |
2,310百万円 |
営業利益率 |
30.0% |
ROE |
25.0% |
上記の経営目標は、当社グループが現時点で入手可能な情報や計画策定の前提としている仮定などに基づき判断した見通しであり、実際の業績は今後の様々な要因によって変動する可能性があります。
(4)経営環境
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行とその長期化により、古い商習慣が続いていたB2BにおいてもデジタルシフトやDXが推進しております。国内のみならず世界中の企業がDXの重要性を再認識しており、当社グループの提供するサービスの市場規模はますます拡大することを予想しております。
コロナ禍でサービスの需要が高まったことで顧客接点が大幅に増えました。その顧客接点を一過性のものにせず、継続利用を促し、LTVを向上させることで市場内シェアを拡大いたします。
IT及びFinTechを活用した市場は、技術進歩が非常に早く、高い成長が見込まれることを背景にサービスも進化し、多様化しております。変化の激しい市場において、当社は技術進歩に対応しながら、付加価値の高いサービスを提供し続けられるよう努める方針であります。
(5)優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題
①新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の変化に対する対応
新型コロナウイルス感染症をきっかけとしたB2Bのデジタルシフトにより、当社グループの事業環境は良化が継続しております。企業の非対面ニーズにより、EC事業、フィナンシャル事業ともに、認知度が向上し事業規模も拡大しております。新型コロナウイルス感染症の収束後におきましても、良好な事業環境は継続すると認識しております。この機会を逃すことなく、B2Bのデジタルシフトをコロナ禍における一時的なものではなく定着させるために、当社グループではより利便性の高いサービスの提供をしていくことで企業活動にとって必要不可欠なサービスとなるよう努めてまいります。
②全社的な課題
a.既存事業への投資の集中について
当社グループは、これまで企業間取引分野で事業展開することで企業価値を向上させてまいりました。ここ数年のコロナ禍においては経済活動の低迷の影響を受けながらも、それを上回る企業の非対面ニーズにより新規顧客の獲得が増加したことで各事業が成長いたしました。今後も、当社グループの中長期的な成長を持続させていくためには、獲得した顧客基盤を最大限に活かすことにより各事業の成長をさせていくことが課題であると認識しております。
この課題に対応するため、当社グループでは既存事業への投資を集中させ、LTVを高めることでサステナブルな事業成長を目指してまいります。
b. 開発リソースの増強について
当社グループはB2Bのデジタルシフトを推進するサービス提供を行っております。各サービスの成長にはシステム面での一層の利便性、効率性の向上が不可欠でありますが、現状、根幹となるシステムを構築する開発体制が追い付かない側面があり、事業成長のボトルネックとなっております。今後も、事業規模の拡大を継続していくためには、システム開発体制の増強が課題であると認識しております。
この課題に対応するため、システム開発体制への投資を行い、より多くの開発を迅速に遂行していくためのリソース確保に取り組んでまいります。
③EC事業
a. スーパーデリバリーの既存小売店の仕入れ比率拡大
「スーパーデリバリー」の国内展開は、コロナ禍において非対面ニーズにより新規顧客の獲得が増加したことで国内流通額の成長率が向上いたしました。引き続き中長期的に事業規模を拡大していくためには、新規の出展企業、会員小売店の獲得とともに、既存会員の客単価を向上させていくことが課題であると認識しております。
この課題に対応するために、既存会員の商品や価格に対するニーズに応える取組みの強化により客単価向上を図り、既存会員小売店の「スーパーデリバリー」からの仕入れ比率を高めてまいります。
b. スーパーデリバリーの海外流通額の拡大
「スーパーデリバリー」の海外流通額はサービス開始から高い成長率を継続しており、順調に事業規模を拡大しております。日本製の商品や、日本で企画された商品の海外における人気は依然として高く、また、マーケット規模は国内に比べはるかに大きいことから海外流通額を増加させることが「スーパーデリバリー」の事業規模を拡大するための重要施策の一つとして認識しております。
この課題に対応するため、戦略的な広告投資により集客を行う他、海外からの需要の高い品揃えの強化、送料などのコストの抑制や利便性向上のためのシステム投資に努めてまいります。
④フィナンシャル事業
a. 保証サービスの利益の安定性
URIHO、家賃保証サービスは順調に保証残高を積み上げ成長をしておりますが、まだまだ規模が小さいと認識しております。そのため、今後も積極的に事業規模を拡大し、保証残高を積み上げていく方針ですが、一方で当社グループ内で一定のリスクをとるビジネスモデルであるため、保証履行による損失が利益に与える影響が大きくならないようにしていくことが課題であると認識しております。
この課題に対応し安定的な利益成長をしていくため、保証先企業に対する審査基準を随時見直し、保証履行の発生を抑えるよう努める他、再保証の活用や、免責事項付の商品の提供等によりリスク分散に努めてまいります。
b. URIHOの商品力の強化
URIHOは定額制の売掛保証サービスであるため、事業規模拡大には契約社数の増加が必要であると認識しております。
この課題に対応するために、戦略的な広告投資により集客を行う他、契約企業が利用を開始する際に重視するニーズに対応した商品へ進化を行っていく方針であります。
c. Paidの取扱高の増加
Paidの事業規模拡大には、Paid内で取引を行う加盟企業とPaidメンバーの増加が必要であり、さらに獲得した加盟企業の客単価向上により取扱高を増加させることが課題であると認識しております。
この課題に対応するために、積極的かつ戦略的な広告投資による集客を行いながら、獲得した加盟企業やPaidメンバーの効率化・DXニーズを満たす機能の強化に努める方針であります。
⑤サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念のもと、ビジネスインフラとして幅広い事業領域の取引をサポートしています。公平・公正な取引環境の実現、過剰在庫の削減、エシカル消費の啓蒙、企業間のデジタル取引・ペーパーレス取引の推進等、事業活動を通じて社会課題を解決することをサステナビリティ基本方針とし、ステークホルダーの皆様と共に、持続可能な地球環境や社会の実現に貢献してまいります。こうした事業運営におけるリスクの適切な管理・最小化および事業機会の最大化を図り、企業価値の向上を目指すために、サステナビリティ担当役員を中心としたサステナビリティ推進体制で取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する取り組みはコーポレートサイトにおいて開示をしております。
https://www.raccoon.ne.jp/company/csr/index.html
⑥気候変動への取組みとTCFDへの対応
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識しております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づき、サステナビリティ担当役員を中心としたサステナビリティワーキンググループにて、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの視点で評価、分析を進めております。それを定期的に取締役会に報告し、取締役会が監督する体制を構築しております。まずは本年度としましては、Scope1,2の算定・開示を行い、それを基に今後具体的な削減目標等を策定してまいります。
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