課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「非鉄金属の取引を通じて、新たな価値を創造し、社会の発展に貢献します」を企業理念としており、「新たな素材へ」「新たな市場へ」「新たなサービスへ」「新たな分野へ」をモットーに掲げ、法令・企業倫理を遵守し、公明正大かつ透明性の高い経営を行いながら、一方で株主、取引先、従業員、地域社会との良好な関係を維持しつつ、地域社会に留まらず世界から信頼される企業を目指すべく活動を行っております。

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

国内外の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の変異型であるオミクロン株の感染拡大が世界各地で急速に進み、またロシアによるウクライナ侵攻等に伴う地政学的リスクの高まりや資源価格の高騰が、来期以降の景気回復に影響を及ぼすことが懸念され、期を通して不透明な状況が続くものと予想されます。当社を取り巻く事業環境は、引続き自動車、半導体関連需要の拡大が継続する一方で、物流の混乱や原材料の供給不足の解消には相応の時間を要することが見込まれ、上述のマクロ的要因も併せて今後の動向に注視する必要があります。

このような環境において、当社グループでは半導体需要の更なる増加及び自動車の電動化に伴う新たな加工部品の発生に伴い、商社流通における電子・電池材料、アルミ圧延品・伸銅品、及び製造における金属精密加工部品、自動車向け材料、化成品等の出荷は、一時的な停滞や落込みが想定されるものの、中長期的には増加していくものと見込んでおります。当社グループは引続き「電子部品」「半導体」「自動車」を中期経営計画の注力すべき成長3事業分野として掲げ、商社流通及び製造の既存事業における営業収益力向上を目指す他、製造グループ会社における生産効率向上のための設備拡張投資、M&A、そして新たな成長機会を創出する施策としてコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じたスタートアップ企業への投資及び育成を推進し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。

(3)当面の対処すべき課題の内容等

当社グループは中期経営計画において次に掲げる経営方針を全体戦略として位置づけ、連結ベースでの企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。そのため、数値化した具体的な経営目標を設定し、「取り組むべき課題」と「目標達成のためのアクションプラン」を掲げ、積極的かつ大胆に実行することで目標の達成に努めてまいります。

 

(全体像とビジョン)

① 基本理念

 「夢みた未来を描く」

 アルコニックスは、非鉄金属の取引を通じて、「新たな価値=夢みた未来」を創造し、社会の発展に貢献します。

② 企業理念

 アルコニックスは、商社と製造業の両輪での事業展開を通じて新たな可能性に挑戦し続け、社会の発展に貢献します。

③ 経営理念(行動規範、価値観)

a.法令・企業倫理を順守し、公明正大かつ透明性の高い経営を行い、誠実で信頼されるグループへ成長します。

b.株主、取引先、従業員、地域社会との良好な関係を維持し、「良き企業市民」としての責務を果たします。

c.3R(Reduce、Reuse、Recycle)関連事業を中核として、資源循環型・環境配慮型社会の発展に貢献するとともに、新たな「環境親和型ビジネス」の創出に挑戦します。

d.高い専門性を持つ人材の育成を図り、活力に溢れ、洗練されたグループを目指します。

④ 中期経営方針「VISION」

アルコニックスは商社機能と製造業を融合する総合企業を目指します。

a.豊かな社会の構築への貢献

b.循環型・環境配慮型社会の構築に貢献

c.商社と製造業の融合による新たな未来の創出に貢献

d.ガバナンスの高度化とオペレーションの標準化

 

⑤ 取組むべき課題

a.財務体質の強化

b.人的資本の強化

c.ガバナンスの改善・強化

⑥ アクションプラン

a.既存事業における営業収益力の強化

b.投資案件の再構築

c.インフラ整備及び内部統制の充実・強化

 

(数値目標:中期経営計画最終年度となる2024年度)

連結営業利益       131億円超(2022年度見通し 91億円)

連結経常利益       130億円超(2022年度見通し 90億円)

連結当期純利益      100億円超(2022年度見通し 68億円)

EBITDA       175億円超

ROE(株主資本利益率)   15%超

ROIC(投下資本利益率) 7%以上

 

(取組むべき課題)

①財務体質の強化

ア 既存事業(電子機能材、アルミ銅、装置材料、金属加工の4セグメント)の収益力を強化します。

イ ROE(株主資本利益率)15%超の継続を目指し、中長期的に15%~18%を目標とします。また、ROIC(投下資本利益率)は 当社が想定する資本コストを考慮し、恒常的に7%以上を目指します。

ウ 資金調達手段の多様化。グループキャッシュマネージメントシステムの強化を行い、資金流動性の確保と資金コストの低減を図ります。

②人的資源の強化(=人的資本の強化)

ア 優秀な人材確保のため、3つのK(給与、研修、機会)が魅力的な企業グループになることを目指します。

イ 当社が重視するグループ経営、投資戦略の実行に必要なスキルを洗い出し、施策の維持及び補完、並びに強化するための人材を確保します。

ウ 人事体系、評価体系の継続的な見直しをします。

エ グループ総合力を底上げするような人事異動、人事交流、及び社員研修の実施、さらにはリスキリング(新しい知識やスキルの習得)の機会を付与することを検討します。

③ガバナンスの強化

ア 当社は中期経営計画達成に向けたコーポレートガバナンス体制の見直しの一環として、2022年4月1日に業務執行体制を刷新し、新たにCEOとCOOのTwo-Top体制として執行の役割分担を明確化して経営体制の更なる強化を図ります。

イ グループガバナンスの充実・強化のためのグループ内組織再編を実行します(2021年4月1日付でアルコニックス・三高株式会社を存続会社とする、アルコニックス三伸株式会社との合併を実施、及び2022年4月1日に商社流通セグメントの流通子会社に対する牽制機能強化のために、統合準備会社となるACメタルズ株式会社を設立。)。

ウ グループ会社幹部社員への研修を実施します(コンプライアンス教育、コンプライアンスハンドブックの配付など)。

 

(アクションプラン)

①既存事業における営業収益力の強化

ア 当社は非鉄金属の専門商社をルーツとする「商社流通」からスタートし、その後のM&A・事業投資を積極的に推進したことにより当社の新たな事業である「製造」が加わり、「商社流通-電子機能材」「商社流通-アルミ銅」「製造-装置材料」「製造-金属加工」の現在の姿に成長しました。当社はこの4つの既存事業における成長スピードと事業価値をさらに高めるために以下の施策に取り組みます。

・収益面や投資回収における具体的なKPI(目標値)を設定

・資金流動性の強化(グループキャッシュマネジメントシステムの導入)

・顧客の共有化(営業力強化の支援とマーケティングソースの共有)

・グループ間での人的、技術的交流

 

イ 当社グループのここ数年の躍進の原動力となった3つの事業分野、すなわち電子部品関連分野、半導体関連分野、自動車関連分野という成長分野における取組みを引続き強化します。また、業界構造の転換が著しい自動車用素材については、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー等の更なる開発やCASEの浸透に向けた各種素材の取扱いを拡大していきます。

ウ 当社の海外子会社を基点として、現地進出の日系企業及び現地企業との地場取引の拡大を図る他、三国間取引を拡大し、グローバル展開による連結経営での収益拡大を目指します。さらに海外ネットワーク充実のため、インドをはじめ複数の海外拠点の設立の検討を、アフターコロナで変動する経済情勢を見据えつつ継続します。

②投資戦略の推進と再構築

ア 当社グループを取り巻く環境が、新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ問題の勃発などで不透明性、不確実性が増している中、次なる分野・柱を創出すること、及び既存事業の更なる強化に補完的機能を付与するため、有効な施策と位置付ける資本提携やM&Aを継続します。

イ 日本の製造業は地政学的要因等で生産拠点の日本回帰、既存事業の衰退から新分野へのシフト、中小製造業の後継者問題や廃業等、大きな転換点に差し掛かっており、当社は優れた技術力、ノウハウを有する国内中小製造会社を承継するべくM&Aや事業投資を行い、日本の製造業の底上げに貢献します。

ウ 新たな商流、分野、素材による成長機会、及びモノづくり支援による成長機会の獲得のために、2021年12月に立ち上げたコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を積極的に活用します。

エ 製造子会社における設備拡張投資、生産性向上のための自動化システム等の導入をPMIとして実施します。

オ 環境関連に対応した分野において投融資、M&Aなどを絡めた事業の強化を行います。またアルミ、銅スクラップの国内ヤードオペレーションの拡大を目指し、ベースメタルからレアメタル・レアアースまでを含むリサイクル、資源循環事業を展開します。

カ 投資における新たなKPI(目標値) としてROIC(投下資本利益率) を重視します。

③インフラ整備及び内部統制の充実・強化

ア 当社は、自社のサステナビリティを適切に取組むことを目的として、その運営組織である「サステナビリティ委員会」を設置し、同委員会の下部組織である「サステナビリティ推進室」を中心に、サステナビリティ及びESG(環境活動、社会貢献活動を含む)の方針に基づく気候変動、人事労務及び環境に関する全社的な指針、施策を考案します。

イ 当社は情報システムを重要な事業活動上のインフラとして位置付けており、企業を対象としたサイバー攻撃はグローバル展開を行う当社にとっても重大な関心の一つと考えています。当社は情報システム部を中心に情報セキュリティマネジメントの在り方を検討し継続的なIT設備投資を行う他、情報管理体制の充実を図ります。

ウ 当社は各社ごとで実施していた従来の内部通報制度を刷新し、新たに当社と国内外グループ会社全体を網羅した「グローバル内部通報制度」を2021年度に導入しました。内部通報制度をグループ全体のインフラとしてとらえ、法令違反の未然防止と内部統制システム上のリスク低減を目指し当該制度及びシステムの更なる充実を図ります。

エ 自然災害や感染症等を想定したテレワーク、フレックスタイム等の勤務体系の多様化を推進し、遠隔勤務に備えたBCPプランの策定と充実を図ることで、緊急事態発生時における基幹業務の早期復旧と継続を可能とする強固な業務システムの構築、及び維持に努めます。

オ 適時開示体制について、更なる充実を図るため社内教育などで浸透を図ります。

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得