業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度について、新型コロナウイルスによって、依然として、我々のあらゆる行動、経済活動が大きく制約されています。ワクチン接種の進展により行動制限がかなり緩和され、なんとか諸活動が復活できそうと期待されました。しかし、半導体や電子部品等の供給不足、サプライチェーンの混乱です。この解決は重く、時間を要します。原材料・原油価格等の高騰でインフレ圧力が高まり、世界経済を失速させるリスクもあります。それに、年末に感染力の強い新たな変異株が出現、先行きの不透明感を払拭できない状況となりました。

コロナで一挙に、しかもグローバルに知られるに至ったウイルスという生き物、この特異な生き物は人類に何を語りたいのか、医療従事者でない人々にとっても奥深い、歴史の長い、宇宙レベルのテーマと推察されます。

IT投資については、新型コロナウイルス感染症対策と両立する社会経済活動の実現と国際競争力の強化のため、企業のみならず官公庁/自治体も、DX(デジタルトランスフォーメーション)とクラウド活用の動きが加速した1年と言えよう。2021年9月にはデジタル庁が発足し、官民の新時代のデジタルインフラ構築に向け始動しました。IT環境がダイナミックに転換する中、セキュリティは必要十分な対策を明確に提示しにくくなっております。当社は自社技術によるユニークな製品とサービスを軸に体系的かつ実践的なセキュリティ対策の提案に努めました。

このような環境下、当社グループの業績について、売上高は17,389百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は2,367百万円(前年同期比26.8%増)、経常利益は2,494百万円(前年同期比28.2%増)となりました。なお、特別利益について、海外子会社が抱えていた債務の一部について時効を迎え債務免除益93百万円が生じ、特別損失で投資有価証券評価損50百万円を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,872百万円(前年同期比26.3%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

[ITセキュリティ事業]

売上高は16,299百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は3,222百万円(前年同期比16.2%増)となりました。

自社製品/サービスの販売が堅調に伸長し、セグメント売上高と利益は増収増益になりました。日本中の小中学校にネットワークを導入する「GIGAスクール構想」向けに、ネットワークの安定と安全を確保する「NetAttestシリーズ」や有害サイトへのアクセスを防止する「Soliton DNS Guard」の販売が好調でした。セキュアなテレワークを実現する「Soliton SecureDesktop」(以下、「SSD」)の販売は、官民とも需要が順調でクラウドサービスでの提供が中心のため安定的な成長になりました。また、次期より自治体のセキュリティ強化が本格化します。自治体では、インターネットに接続しメールの送受信やWeb閲覧等で使用される情報系ネットワークと顧客情報や機密情報が保存されている基幹系ネットワークを分離し、セキュリティの強化を図っております。当社はネットワーク分離向けソリューションのパイオニア的存在であり、ネットワーク分離のセキュアな環境を維持しつつ高い利便性を実現する「FileZen S」や「Soliton SecureBrowser」の提案を推進しました。

[映像コミュニケーション事業]

売上高は940百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は87百万円(前年同期比71.8%増)となりました。

新型コロナウイルス感染症により東京オリンピック・パラリンピックの規模が縮小し開催されたことや野外イベントの中止等で上期の販売は苦戦しましたが、下期に国内のパブリックセイフティ分野(防災、治安、危機管理)での販売を積み上げ、増収増益となりました。また、次期に向け、4K映像を低遅延で伝送する「Smart-telecasterシリーズ」の新製品の開発を進めました。Amazonの要請により高画質、低遅延エンジンを稼働したクラウドサービスの開発も推進しました。展開は次期になると予想します。いずれもエンターティメント、モビリティ、医療、建機の遠隔操作等の分野で、5G通信の特性を生かした新たなサービスを創出することを期待しております。

 

[Eco 新規事業開発]

売上高は148百万円(前年同期比56.1%増)、セグメント損失は244百万円(前年同期はセグメント損失244百万円)となりました。

既存の人感センサーの販売が底堅く推移し増収となりましたが、新たにアナログエッジAIチップの開発を開始したことで、前年同期並みのセグメント損失を計上しました。当該AIチップはこれまで培ってきたアナログ回路技術をベースに超低消費電力で動作することをターゲットとしており、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択されました。

 

当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて1,291百万円増加し、17,305百万円となりました。
 流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,336百万円増加し、13,780百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,145百万円、受取手形及び売掛金が223百万円、流動資産その他が123百万円増加した一方、電子記録債権が150百万円減少したこと等によるものであります。
 固定資産は、前連結会計年度末に比べて44百万円減少し、3,525百万円となりました。これは主に投資その他の資産その他が186百万円、ソフトウエアが73百万円増加した一方、ソフトウエア仮勘定が144百万円、繰延税金資産が53百万円減少したこと等によるものであります。
 流動負債については、前連結会計年度末に比べて34百万円減少し、8,687百万円となりました。これは主に前受収益が692百万円増加した一方、未払法人税等が200百万円、賞与引当金が147百万円、未払金が139百万円、流動負債その他が83百万円、短期借入金が81百万円減少したこと等によるものであります。
 固定負債については、前連結会計年度末に比べて118百万円減少し、140百万円となりました。これは主に長期未払金が77百万円、長期借入金が25百万円減少したこと等によるものであります。
 純資産の部については、前連結会計年度末に比べて1,445百万円増加し、8,477百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,613百万円増加した一方、自己株式を114百万円取得したこと等によるものであります。

なお、当連結会計年度末において、自己資本比率は48.9%、1株当たり純資産額は457円12銭となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,145百万円増加し、当連結会計年度末には8,450百万円(前年同期比15.7%増)になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動から獲得した資金は2,080百万円(前年同期比20.6%減)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,523百万円、前受収益の増加687百万円、減価償却費461百万円であります。支出の主な内訳は、法人税等の支払額783百万円、その他163百万円、賞与引当金の減少147百万円、未払金の減少146百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は464百万円(前年同期比58.6%減)となりました。
 支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出248百万円、出資金の払込による支出188百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は481百万円(前年同期比56.5%減)となりました。
 支出の主な内訳は、配当金の支払額259百万円、自己株式取得による支出114百万円、長期借入金の返済による支出100百万円等であります。

(3)生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産する製品は主にソフトウエアであり、また当社グループの取り扱う製品は、受注生産形態をとらない製品であるため、生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

  販売実績

   当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ITセキュリティ(百万円)

16,299

5.6

映像コミュニケーション(百万円)

940

2.2

Eco 新規事業開発(百万円)

148

56.1

合計(百万円)

17,389

5.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容の内容は次のとおりであります。

 なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りや仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額及び会計期間の収益・費用の金額に影響を与えます。しかし、これらの見積りや仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。

①貸倒引当金

当社グループは、債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。見積りには期日経過債権の回収期間、現在の経営環境等の様々な要因を考慮しております。

②たな卸資産

当社グループは、たな卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、滞留及び過剰在庫の内、陳腐化したたな卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減の金額を見積もっております。

③繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産における回収可能性が低いと考えられる金額については、評価性引当額を設定しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得の見積りに基づいております。

④投資有価証券

当社グループは、長期的な取引維持のために、特定の取引先の株式等を保有しております。これらの株式等には、価格変動性が高い上場株式と、株価の決定が困難な非上場株式等が含まれます。これらの株式等について、時価が取得価額を下回っている場合、将来における価値の回復可能性及び発行会社の経営状態を検討しております。

⑤市場販売目的のソフトウエア

 当社グループは、市場販売目的のソフトウエアの減価償却方法について、見込販売収益に基づく償却額と残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を減価償却費として計上しております。また、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用として処理しております。当社グループの販売見込収益の算定における主要な仮定は、販売計画に基づく受注予測であります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①売上高・売上総利益

当連結会計年度の売上高17,389百万円(前年同期比5.7%増)、売上総利益7,823百万円(前年同期比3.7%増)、売上総利益率45.0%(前年同期45.8%)となりました。

売上高のセグメント別変動要因に関する詳細については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。売上総利益率は、ITセキュリティ事業で自社製品/サービスを中心に販売を行いましたが、前年同期比0.8%減少となりました。

②営業利益

経費面では、人件費及び販売促進費等が減少し、販売費及び一般管理費は5,455百万円(前年同期比3.9%減)となりました。それにより売上総利益率が前期比0.8%減となったものの、当連結会計年度の営業利益は2,367百万円(前年同期比26.8%増)、売上高営業利益率は13.6%(前年同期11.3%)となりました。

③経常利益

主に営業外収益として助成金収入が37百万円、投資事業組合運用益が20百万円発生したことにより、当連結会計年度の経常利益は、2,494百万円(前年同期比28.2%増)となりました。

④親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益について、海外子会社が抱えていた債務の一部について時効を迎え債務免除益93百万円が生じ、特別損失で投資有価証券評価損50百万円を計上しました。親会社株主に帰属する当期純利益は1,872百万円(前年同期比26.3%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の1株当たり当期純利益金額は101.08円(前年同期比22.81円増)となりました。なお、当連結会計年度における財政状態の概況については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループは、営業活動によって獲得した現金と金融機関からの借入金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大の為の設備投資を行っています。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。

キャッシュ・フローの状況

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

2,502

688

2,436

2,620

2,080

 

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△792

△468

△635

△1,120

△464

 

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△92

△813

△136

△1,105

△481

 

フリー・キャッシュフロー    (百万円)

1,709

220

1,801

1,500

1,616

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

 

自己資本比率(%)

44.8

45.7

46.4

43.8

48.9

 

時価ベースの自己資本比率(%)

232.4

107.2

181.5

222.1

159.1

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.5

0.2

0.1

0.1

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

580.5

364.4

1,354.9

1,317.3

1,536.1

・フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー

・自己資本比率:自己資本÷総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

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