研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動には、基礎的な要素技術の開発と、現在の製品の改善のための開発があります。
 なお、当連結会計年度の研究開発費は871百万円であり、この他売上原価に算入されているソフトウエア開発費用1,437百万円と合わせ、開発活動に関する費用の総額は2,309百万円であります。当連結会計年度における研究開発活動の主なものの概要は、セグメント別に以下のとおりです。

 

(1)ITセキュリティ事業

ITセキュリティ事業の研究開発費は474百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

[製品]

①InfoTrace Mark II 新バージョン(V3.2)の開発・リリース

InfoTrace Mark II の新バージョン(V3.2)の開発・リリースをおこないました。今回の新バージョンでは、InfoTrace PLUSからInfoTrace Mark IIへ移行いただくお客様向に、内部不正・統制対策としてご利用いただく各種機能強化(Webメールログ、Bluetoothログ、ファイル追跡分析を行うファイルトレース、インベントリ情報管理強化、ファイル取得機能等)に加え、サイバー攻撃調査に必要となるWMI/PowerShellログにも対応しました。検知・防御が困難な攻撃が増えるなか、検知有無に関わらず調査に必要な証跡を残すことができるソリューションとして進化させています。

②FileZen S V1.2新バージョンおよびオプション製品「FileZen S RA V1.0」の開発・リリース

自治体のインターネット分離環境で「自分から自分」へのファイル受け渡しをドラッグ&ドロップするだけで、異なるネットワーク間でのファイルの受け渡しが安全・確実に行えるFileZen Sの新バージョン(V1.2)とWindowsファイルサーバーとFileZen Sを連携するオプション製品「FileZen S RA V1.0」の開発・リリースをおこないました。FileZen S V1.2では、統合Windows認証に対応し、Windowsドメインにログオン済みのPCからは、FileZen S利用時のID/パスワード入力を省略し、より簡単にご利用いただくことが可能になります。また、FileZen S RAをWindowsファイルサーバーにインストールすることにより、ファイルサーバー上にあるファイルをFileZen Sへ自動アップロード、およびFileZen Sからファイルサーバーへ自動ダウンロードすることができユーザーの利便性を高めることが可能です。

③FolderZen新バージョン(V1.2)の開発・リリース

ファイルサーバーの定期的なセキュリティチェック・監査に有用な、セキュリティグループおよびフォルダセキュリティの詳細情報を一括出力する「棚卸レポート」機能、組織変更時のグループメンバーの入れ替えを簡単にする「グループメンバーの一括編集」機能を追加した新バージョン(V1.2)の開発・リリースをおこないました。なお、「FolderZen」では、ADのセキュリティグループ、および、複数のファイルサーバーの共有・フォルダセキュリティを、管理画面にて一元的に管理することが可能です。また、委任機能により、1つのファイルサーバーに対して、指定のフォルダ毎に異なる管理者を指定し、完全分離して管理することが可能です。

[クラウドサービス]

①Soliton DNS Guard 新バージョン(V1.2)の開発・リリース

悪性ドメインへのアクセスをブロックするクラウドサービス「Soliton DNS Guard」の新バージョンV1.2を開発・サービス提供を実施しました。今回の新バージョンでは、GIGAスクール端末でのWebアクセス時のフィルタリングニーズに応えるべく、Chromebook用専用エージェントを開発したほか、端末利用の時間を強制的に制限したいニーズ(例:夜22:00~朝5:00はインターネットアクセス禁止、など)に合わせ、「時間ごとのポリシー制御」にも対応しました。

②OneGate新バージョン(V1.4)の開発・リリース

ネットワーク認証から社内外のアプリケーション利用までの多要素認証に対応したID認証サービス「Soliton OneGate」の機能追加を実施した新バージョン(V1.4)の開発・サービス提供を実施しました。今回の新バージョンでは、従来の証明書発行に加え、PKCS#12形式のクライアント証明書の発行機能とサーバー証明書の発行機能を追加し、より柔軟なデジタル証明書の運用が可能となりました。また、Wi-Fi設定やVPN設定を各デバイスに配布する機能を追加し、デジタル証明書による強固なWi-Fi認証、およびVPN認証を簡単に導入できるようになりました。

(2)映像コミュニケーション事業

映像コミュニケーション事業の研究開発費は38百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

①手術支援ロボットを用いた遠隔手術のガイドライン策定に向けた実証研究

2020年度に採択されました実証研究内において、手術支援ロボットを青森県の弘前市-むつ市間との間をZao-SHで接続し、手術支援ロボットによる遠隔模擬手術の実証実験に成功しました。Zao-SHは手術支援ロボットの3D映像信号とロボットの制御データの送受信を担当しました。実験ではシミュレーションではない実際の通信回線を用い、遅延が手術に対してどう影響するのかの確認を行いました。また、当社の持つ映像圧縮技術により必要な通信帯域の経済性と映像品質が手術に与える影響など、模擬臓器をもちい実際の手術に近い操作を再現し社会実装上のガイドライン策定に貢献することができました。

②H.265対応Webブラウザの開発

当社で販売するモバイルエンコーダーが採用しているH.265に対応するWebブラウザは開発各社の方針により存在しておりませんでした。このためWebブラウザに対するライブ中継システムは性能のおとる旧世代のH.264でしか実現ができませんでした。当社ではGoogle社のChromeに相当する機能をもつHTML5ブラウザにWebRTCプロトコルでH.265デコードを可能にする機能を追加したソフトウエアの開発を行いました。本ソフトの開発により、HTML5が実現できるリッチでカスタマイズが容易なWebアプリケーションでZaoシリーズが実現したH.265のライブ中継を直接受信することを可能にしました。これにより旧式のH.264に対して画質を落とすことがなく半分の通信帯域で伝送することをWebアプリケーションの世界でも実現することができました。

③IO Terminalの開発

遠隔操縦(テレオペレーション)を採用したい機器は様々な分野が想定されており、操縦系や制御信号の種類も様々な形態が考えられます。分野毎にエンコーダー/デコーダーを作り替えるとコストがかかるため、Zao-SHがもつトンネリング機能に対応した上で、各インターフェイスを収容するIO Terminalを開発しました。IO TerminalはRaspberry Piのプラットホーム上で動作するように設計されており、市場で販売されている工業用に特化したRaspberry Pi互換ハードウエアを念頭において開発されております。

(3)Eco 新規事業開発

Eco 新規事業開発の研究開発費は219百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

①小型低消費電力、高性能映像伝送装置の開発

Bluetooth無線を活用し映像と音声をライブ伝送する機器を開発しました。消費電力を従来の1/5にし、小型ウェアラブル機器として販売を開始しました。長時間動作と高い信頼性を持つAndroid機器の開発を継続して行っています。手軽に使用できて見た目のきれいな試作(PoC)向けの機器が望まれています。まず高性能版が、高画質映像共有装置として受注できました。

②アナログ方式エッジAIチップの開発

超低消費電力でありながら、端末において高度な認識を可能にする、アナログ方式によるエッジAIチップの開発を独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、開始しました。

③短遅延映像伝送の基盤技術の開発

遠隔運転、遠隔医療、遠隔操縦などのアプリケーションを実現するために必要となる短遅延映像伝送の基盤技術の開発を行いました。当該技術は、4K映像信号の短遅延伝送を可能とする映像コミュニケーション事業の新製品「Zao-X」に搭載されます。独自の伝送プロトコル「RASCOW2」により、マルチリンクでの短遅延伝送を実現します。映像だけでなく音声、制御信号の双方向短遅延通信を可能とし、LANトンネリング機能も有します。

(4)その他

その他の研究開発費は139百万円であります。主要な開発項目は以下のとおりです。

①自動車を遠隔地から運転制御できる「遠隔運転システム」の開発

当社製品である超短遅延映像伝送装置Zao-SHを活用し、自動車の技術基準レベル並みの遠隔運転操作機の開発、映像/制御システムの信頼性設計およびサイバーセキュリティ設計を基本としています。

②「遠隔運転システム」を協業会社の自動運転技術と連動させた「遠隔型自動運転システム」の開発

「遠隔運転システム」を協業会社の自動運転技術と連動させた「遠隔型自動運転システム」を市販の小型電動バスに装備して、公道走行のための認定を国土交通省及び所管県警本部から取得しました。当該小型電動バスを地域内の巡回バスとしてドライバー無人で乗客を乗せ、静岡県松崎町および伊東市において実用に極めて近い形態で実証実験を実施しました。

③自動運転(レベル4:ドライバー無人)に必須となる「次世代遠隔システム(基盤となる車載用通信システムを含む)」の開発

経済産業省から当該開発を受託しました。開発期間は、2022年8月から2023年3月までの2か年計画の予定で、今年度はその1年目として基本部分の設計、開発を行いました。福井県永平寺町の道路で検証を進めています。

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