業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、ワクチン接種が進んだこと等により一部で持ち直しの動きがみられたものの、新たな感染拡大が懸念されるなど、非常に厳しい状況で推移いたしました。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により原材料価格が高騰、物価も上昇し依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような状況の中、当社グループは2022年6月期を初年度とする新中期経営計画をスタートし、「既存事業の収益性改善と新規事業の創出により持続的な成長を実現し、企業価値向上・株価上昇へつなげる」ことを基本方針として「コア事業での売上拡大」「事業基盤強化」「新サービス開始・新規事業の拡大」「企業価値向上」を重点戦略に掲げ取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、各事業ともにこれまで続いていたコロナ禍の影響から総じて回復基調にあったことから、5,857,851千円(前年同期比9.5%増)、営業利益は、103,646千円(前年同期は27,272千円の損失)、経常利益は128,456千円(前年同期比27.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は86,317千円(前年同期比5.6%増)となりました。

なお、当連結会計年度末の現金及び預金の残高は950,449千円であり、当面の間の運転資金が十分に賄える状況にあると考えております。また、当連結会計年度末の自己資本残高は488,943千円であるため、自己資本が著しく脆弱であるという状況にはありません。

セグメントごとの業績は、以下のとおりであります。

 

 (生花祭壇事業)

生花祭壇事業の売上高は、3,245,908千円(前年同期比6.1%増)となりました。厚生労働省「2021年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によりますと、2021年の年間死亡者数は1,439千人と推計され、高齢化社会を背景に増加傾向にあります。経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、葬儀業の2021年7月から2022年5月までの取扱件数、売上高ともにコロナ禍初期の緊急事態宣言下において大きな影響を受けた前期と比較すると増加傾向で推移しておりますが、引き続き葬儀単価の低下に加えコロナ禍によって、参列者の減少や葬儀規模は縮小している状況です。

このように葬儀業全体では市場は今後も拡大傾向にある一方で、全国的に進む「家族葬」や「密葬」、「一日葬」等葬儀の小型化とともに単価の下落傾向に加え、引き続き新型コロナウイルスによる影響への対応が求められる状況となっております。
 このような状況の中で、当事業では中期経営計画に基づく戦略の実行と葬儀の縮小傾向に対応した新たなサービス展開(@葬儀:アットそうぎ)や新商品販売を実施してまいりました。その結果営業利益は322,723千円(前年同期比32.7%増)となりました。

 

 (生花卸売事業)

生花卸売事業は、100%子会社であるマイ・サクセス株式会社において、これまで進めていた業務効率化に加え、産地開拓等当社グループとしての更なる競争力強化を図っておりますが、当期間におきましては、コロナ禍の影響等により販売数量は減少したものの販売単価が上昇し、売上高は1,828,704千円(前年同期比14.8%増)となりました。東京都中央卸売市場「市場統計情報」(2022年6月)によると、2021年7月から2022年6月までの切花累計の取扱金額は58,945百万円(前年同期比9.5%増)、数量では773百万本(前年同期比0.2%増)と単価は上昇傾向で推移いたしました。
 このような状況の中で、当事業では引き続き生花卸売事業(国内流通)と生花祭壇事業とのシナジー追求を図りながら、合わせてコロナ禍の影響を最小化するための各対応を実施しましたが円安や輸入コスト高騰の影響により、営業利益は15,951千円(前年同期比47.8%減)となりました。

 

 (ブライダル装花事業)

ブライダル装花事業の売上高は、新型コロナウイルス感染拡大により2020年3月以降結婚式の延期等により厳しい状況が続いておりましたが、徐々に回復基調で推移したことから、330,136千円(前年同期比35.9%増)となりました。

少子化による結婚件数の減少と、「ナシ婚」ともいわれる婚姻届のみの結婚の増加等により、ブライダル業界の市場規模は縮小傾向にあるものの、晩婚化による結婚式単価の上昇や、ゲストハウス・ウエディングやレストラン・ウエディング等オリジナル挙式志向の高まりを背景に新規参入企業が増加するなど、これまでは大きな市場規模が保持されていましたが、昨今のコロナ禍の影響を受け、同市場規模は大幅な縮小が際立つ結果となりました。

このような状況の中、同事業を請け負う連結子会社の株式会社One Flowerでは、東京・関西・九州エリアにおける既存顧客・エリアへの深堀による受注増、同エリアでの新規取引先拡大、リテール部門の売上拡大に取り組んでまいりました。その結果、未だコロナ禍の影響は残るものの赤字幅は大幅に縮小し、営業損失は6,468千円(前年同期は62,871千円の損失)となりました。

 

 (その他)

その他の事業は、システム開発事業、冠婚葬祭に関する企画並びにコンサルタント業務、就労継続支援事業、農業を行っております。当連結会計年度においては、主にシステム開発事業がコロナ禍の影響を受け低調に推移した一方で、就労継続支援事業等が好調に推移したことから、売上高は453,102千円(前年同期比0.4%増)、営業利益は14,806千円(前年同期は8,072千円の損失)となりました。

 

また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ9,816千円減少し、2,435,062千円となりました。これは主に、現金及び預金、建物及び構築物(純額)の減少によるものであります。
 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ101,827千円減少し、1,912,167千円となりました。これは主に、社債、借入金の減少によるものであります。
 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ92,011千円増加し、522,894千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末の16.5%から20.1%となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ25,912千円減少し、950,449千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末において、営業活動の結果得られた資金は157,776千円(前年同期は57,822千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益124,005千円、減価償却費42,757千円、及び仕入債務の増加22,459千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末において、投資活動の結果使用した資金は△14,994千円(前年同期は5,627千円の使用)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出△13,908千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末において、財務活動の結果使用した資金は△168,694千円(前年同期は145,246千円の獲得)となりました。これは主に、借入金の純減154,426千円によるものであります。

 

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

前年同期比(%)

生花祭壇事業(千円)

1,891,910

102.3

ブライダル装花事業(千円)

311,349

110.2

その他事業(千円)

112,780

90.8

合計(千円)

2,316,040

102.6

 

(注) 1.金額は、当連結会計年度総製品売上原価によっております。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.生花卸売事業は、国内外から生花を仕入れ、国内に販売することを主要な業務としており、生産活動は行っていないため、生産実績はありません。

 

(商品仕入実績)

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

前年同期比(%)

生花卸売事業(千円)

2,189,486

114.6

その他事業(千円)

76,311

110.1

合計(千円)

2,265,798

114.5

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。なお、生花祭壇事業及びブライダル装花事業からの発注に基づく生花の仕入分については除外しております。また、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(受注実績)

生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業及びその他事業は、受注から納品までのリードタイムが短いために受注と販売実績は、現状では乖離が見られない状況なので、記載を省略しております。

 

(販売実績)

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年7月1日

至  2022年6月30日)

前年同期比(%)

生花祭壇事業(千円)

3,245,908

106.1

生花卸売事業(千円)

1,828,704

114.7

ブライダル装花事業(千円)

330,136

35.9

その他事業(千円)

453,102

100.4

合計(千円)

5,857,851

109.5

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

なお、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある主な見積りとして、以下の会計処理があります。

a.貸倒引当金

 当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

b.固定資産の減損

 当社グループでは固定資産の減損について、主として事業の種類別に資産をグルーピングし、減損の兆候の有無の判定を行なっております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定いたします。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理いたします。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  (経営成績の分析)

・売上高

連結売上高は、中期経営計画の施策の実行及び各事業ともにコロナ禍からの影響から総じて回復基調にあったことから、前年同期比で増加し、5,857,851千円(前年同期比9.5%増)となりました。

・営業利益

連結営業利益は、売上高が増加したこと及び業務効率化策が奏功したこと等により、ウクライナ戦争や円安の影響により原価が高騰した生花卸売事業を除き、それ以外の事業では増益若しくは赤字幅が縮小し、103,646千円(前年同期は27,272千円の損失)となりました。

・経常利益

補助金収入等により、当連結会計年度の営業外収益は47,384千円(前年同期比66.4%減)となっております。また、支払利息等により、当連結会計年度の営業外費用は22,574千円(前年同期比73.3%増)となっております。これらの結果、経常利益128,456千円(前年同期比27.7%増)となりました。

・親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等31,999千円等により、 親会社株主に帰属する当期純利益86,317千円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

  (資本の財源及び資金の流動性について)

当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資であります。
 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの借入金を基本としております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フロー」に記載されているとおりであります。

 

(3) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年6月期の計画を売上高5,600百万円、営業利益50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円、ROE11.7%としておりました。

計画に対し実績は、各事業とも新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けながらも、総じて回復基調で推移し売上高は前期比で増加し計画比でも達成いたしました。また、利益面につきましては、助成金収入等が減少し、生花祭壇事業及び生花卸売事業においては原価率上昇の影響を受けたものの業務効率化策が奏功したことから前期比増となり、計画比でも達成いたしました。その結果ROEにつきましては19.4%となりました。

2023年6月期につきましては、新たに策定いたしました2022年6月期から2024年6月期までの中期経営計画において掲げた重点戦略であるコア事業での売上拡大、事業基盤強化、新サービス開発・新規事業の拡大に注力し、売上高6,150百万円、営業利益110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益90百万円、ROE17.5%の達成を目指してまいります。

 

 

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