当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における婦人靴業界は、前連結会計年度から継続して新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けており、ワクチン接種の進行に伴い景況は一旦持ち直しの動きがみられたものの感染症の再拡大への懸念から弱さを残し、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況において、当社グループでは当連結会計年度に、本店の移転、希望退職者の募集等、経営内容の変革を前提とした経営合理化策を積極的に実施するとともに、芸能業界に強みのある提携先と協業し人気インフルエンサーを起用した新ブランド「eclil」(エクリル)の販売を2021年10月より店舗およびECにて開始し、独自の計測システムと3Dプリンターの技術利用によるオーダーメイドシューズブランド「shuui」(シュウイ)を立ち上げ、新施策の実施を加速度的に行ってまいりました。また、従来の婦人靴事業に依存する体制からの脱却を目指し、アートビジネスやゲーム関連事業への展開を決定し、新たな事業体制の構築に踏み出しております。
これらの結果、売上高1,568百万円(前年同期比34.2%減)、営業損失795百万円(前年同期は788百万円の営業損失)、経常損失782百万円(前年同期は801百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失861百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失786百万円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの経営成績は以下のとおりであります。
(小売事業)
小売事業におきましては、路面店型の店舗を本店1階(東京都台東区)に新設しました。また、新たな事業として環境に配慮して製造されたサステナブル商品の取り扱いを中心とした生活関連領域における商品の販売を行う店舗を本店2階に新設いたしました。
事業採算の効率化とコロナ禍による人流動態の変化に対応するため、不採算店舗を9店閉店し、これにより当連結会計年度の末日である2022年1月31日現在における直営店舗数は22店舗(前年同期は29店舗)となりました。その結果、小売事業における売上高は948百万円(前年同期比33.7%減)と大きく減少しましたが、前述の不採算店舗の整理による経費項目の削減効果から、営業損失は269百万円(前年同期は営業損失262百万円)と前年同水準に留まりました。
(EC事業)
EC事業におきましては、JELLY BEANS からのコラボレーションラインとして展開したJB AKINO(ジェービーアキノ)の発売、SNS販促の強化、自社サイトへのスタッフスタイリングやカスタマーレビュー掲載の実装、スマートフォンUIの改善などに努めましたが、在庫の適正化に伴う値下げ販売や新規顧客獲得の減少、リピート率の低下等の影響により、想定目標を下回る結果となりました。また、インドネシア・台湾におけるEC事業について、テスト販売やプロモーションを経て、本格販売を開始しました。インドネシアでの販売については緩やかな滑り出しとなったものの、台湾ではSNSのプロモーション効果等により比較的堅調なスタートとなりました。その結果、EC事業における売上高は419百万円(前年同期比13.2%減)、営業利益53百万円(前年同期比19.6%減)となりました。
(卸売事業)
卸売事業におきましては、事業規模を縮小させる方針で取り組んだ結果、経費削減効果等もあり、売上高は200百万円(前年同期比57.4%減)、営業利益は23百万円(前年同期比73.6%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は、820百万円(前連結会計年度は1,246百万円)となり、425百万円減少しました。主な理由は、現金及び預金の減少(875百万円から476百万円へ398百万円減)、受取手形及び売掛金の減少(221百万円から137百万円へ83百万円減)及び未収消費税等の増加(70百万円増)であります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は、128百万円(前連結会計年度は126百万円)となり、1百万円増加しました。主な理由は、固定資産の取得による増加(27百万円増)及び減価償却による減少(1百万円減)、投資有価証券の取得による増加(8百万円増)及び減損損失による減少(26百万円減)であります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高は、314百万円(前連結会計年度は864百万円)となり、550百万円減少しました。主な理由は、1年内返済予定の長期借入金の減少(312百万円から33百万円へ279百万円減)、短期借入金の減少(206百万円減)及び電子記録債務の減少(91百万円から16百万円へ74百万円減)であります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は、312百万円(前連結会計年度は442百万円)となり、129百万円減少しました。主な理由は、長期借入金の減少(338百万円から247百万円へ91百万円減)、退職給付に係る負債の減少(85百万円から54百万円へ30百万円減)及びリース債務の減少(14百万円から4百万円へ9百万円減)であります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産の残高は、322百万円(前連結会計年度は66百万円)となり、256百万円増加しました。主な理由は、新株予約権の行使による株式の発行に伴い資本金、資本準備金がそれぞれ555百万円増加及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上861百万円であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて399百万円減少し、467百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は886百万円(前年同期は638百万円の支出)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純損失842百万円、仕入債務の減少額57百万円及び未払金の減少額39百万円に対し、売上債権の減少額83百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は31百万円(前年同期は1,137百万円の収入)となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出17百万円、無形固定資産の取得による支出16百万円及び有形固定資産の取得による支出8百万円に対し、定期預金の払戻による収入17百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は513百万円(前年同期は154百万円の支出)となりました。
これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,105百万円に対し、長期借入金の返済による支出370百万円及び短期借入金の返済による支出206百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。なお、仕入実績はセグメントごとに把握することが困難であるため、取扱品目の合計額を記載しております。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他は絵画等であり、当連結会計年度より開始した事業のため、前年同期比を記載しておりません。
4.当連結会計年度における婦人靴の仕入実績の著しい変動は、事業規模の縮小によるものであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度における婦人靴の販売実績の著しい変動は、事業規模の縮小によるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の売上高は1,568百万円(前年同期比34.2%減)となりました。セグメントごとに見ると、卸売事業で200百万円(前年同期比57.4%減)、小売事業で948百万円(前年同期比33.7%減)、EC事業で419百万円(前年同期比13.2%減)となりました。卸売事業では、事業規模を縮小させる方針で取り組み、また、小売事業では事業の採算性の向上及び効率化と、コロナ禍による人流動態の変化に対応するため不採算店舗の撤退を行い売上が低下しました。
ロ 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、売上総利益率は8.7Pt増加しており、不採算店舗の撤退による影響が大きく、前連結会計年度より215百万円減少し、811百万円(前年同期比21.0%減)となりました。
ハ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より208百万円減少し、1,607百万円(前年同期比11.5%減)となりました。減少の主な要因は店舗の退店等により固定費が減少したこと等によります。
ニ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より7百万円減少し、△795百万円(前年同期は△788百万円の営業損失)となりました。前述の売上高減による売上総利益減少によるものであります。
ホ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より18百万円増加し、△782百万円(前年同期は△801百万円の経常損失)となりました。増加の主な要因は新株予約権発行費の減少によるものであります。
へ 特別損失
特別損失は、前連結会計年度より47百万円減少し、59百万円(前年同期比44.2%減)となりました。減少の主な要因は、前連結会計年度に事業構造改善引当金繰入額33百万円を計上したものの、当連結会計年度は計上していないこと、また、臨時休業による損失が32百万円減少したことによるものであります。
ト 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より75百万円減少し、△861百万円(前年同期は△786百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ423百万円減少し、948百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ680百万円減少し、626百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ256百万円増加し、322百万円となりました。
主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載のとおりであります。
以上の結果、財務指標としては自己資本比率が前連結会計年度の4.7%から33.5%に上昇しております。
経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に新規事業に係るものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び設備投資資金の調達につきましては、これまで金融機関からの長期借入を基本として行っておりましたが、2022年1月までの返済猶予をいただいていた経緯に鑑みると、金融機関からの借入を完済したというものの、長期借入は現実的な選択肢ではなく、従って、当社グループは直接金融による資金調達方法を検討し、第三者割当による新株予約権発行が最も現実的であり最適であるとの判断から新株予約権の発行、行使による機動的で柔軟な資金調達を実行しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は294百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は467百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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