文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社の経営理念は次のとおりであります。
経営理念
1.会社は社員の夢の実現のための機関である
1.そのために会社は健全な収益性を維持しなければならない
1.お客様、社員、取引先から圧倒的な支持を受ける企業を目指す
1.おしゃれ心を満たすトレンド商品をリーズナブルプライスで提供する
1.地域社会に対して常に感謝し、ともに発展することを信条とする
この経営理念の下、株主、取引先、従業員等ステークホルダーの信頼と期待に応えつつ、「適時」「適品」「適量」「適価」「適提案」「適サービス」の実現を通じて婦人靴業界の発展に寄与し、同業界でのオンリーワン企業としての地位を確立することを目指します。
当社グループは、収益力の向上と財務体質の強化を経営目標の中心として重視しております。売上高及び経常利益、営業キャッシュ・フローの拡大を図ってまいりたいと考えております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
今後は、国内では対象人口の減少による市場規模の縮小及び業界における淘汰がより一層進行するものと予測されます。このような状況のもと、当社グループは、主力ブランドである旗艦ブランド「JELLY BEANS」を中心に足元の建て直し、収益力の拡大を重要視しております。
当社が属する婦人靴市場を取り巻く経営環境は、地方経済の衰退、消費者の節約志向やEC専門事業者の台頭による価格競争の激化などにより、厳しい環境が続いていたなか新型コロナウイルスの感染拡大による世界的規模の打撃をうけ、各社生き残りをかけた大変厳しい経営環境となりました。当連結会計年度におきましては当社も2度の緊急事態宣言による臨時休業、店舗の営業時間の短縮、休業後の客足の伸び悩みなど深刻な影響をうけ、喫緊の課題である経営再建は立ち上がりから苦難を強いられました。今後の展望は、消費者の消費行動の多様化、業界のデジタル化、新規参入企業の競争激化などある中で、目下足元からの建て直しを果たし、With/After コロナのなかで盤石たる組織となり新たな活路を見出すため以下の点を対処すべき課題と認識し、解決に向けて重点的に取り組んでまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上財務上の課題
当社グループは売上高が継続して減少しており、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても営業損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、営業キャッシュ・フローもマイナスとなっている状況であります。当社グループでは当該状況を解消し、再建計画を達成することが会社の対処すべき最も大きな課題となっております。そのため、以下の施策に重点的に取り組んでまいります。
1.直営店舗の削減による固定費の削減
事業の採算性の向上及び効率化と、コロナ禍による人流動態の変化に対応するため、靴事業における不採算店舗の撤退を加速化させます。当連結会計年度においては直営店9店舗を閉店いたしました。今後も断続的な直営店舗の採算性の見直しを行い適切なコストの維持を図り、引き続き固定費の削減に努めてまいります。
2.事業収益改善
・在庫一元管理とチャネル連携によるオムニチャネル化体制の構築
小売事業及びEC事業の物流の外部委託を実行し、在庫一元管理が進んだことに伴い、今後は在庫システムと商品データベースの連携をより強化し、自社ECサイト及び店頭での効率的な在庫運用を進めてまいります。
当連結会計年度では一般に広く使われているメッセンジャーアプリLINE(LINE株式会社)を利用したLINE連携の導入に取り組み、各チャネルの顧客情報の統一と在庫連携の強化サービスをローンチさせました。
また小売店の店頭では導線分析システムの導入を視野にいれたPOSレジの刷新や機能向上を実施し、蓄積される顧客情報を活用した提案型の顧客サービスを強化し自社ECサイトと店舗間での相互送客を実現するオムニチャネル化体制構築を進めてまいります。小売事業とEC事業の連携強化により、販売ロスの抑制、顧客満足度の向上、売上高の増加・収益向上を図ってまいります。
・ブランド統廃合とチャネル戦略に合わせたブランド展開
当社の主力ブランドである「JELLY BEANS」から派生するコラボレーションラインとして高身長の方や足の大きい方向けの「JB AKINO」を展開するなど実施してまいりました。これらの営業戦略及びマーケティング戦略を適正なチャネルで展開することにより、売上高の増加及び収益向上を図ってまいります。
・原価率の圧縮と粗利率の向上を実現する仕入施策(海外生産商品の活用)の推進
マーケット特性や顧客志向に合わせた商品開発を鮮明化し、原価率の低い海外生産商品比率を高めることで、原価率の圧縮を進め売上高の増加・収益向上を図ってまいります。
3.成長エンジンとしてのEC事業の強化と収益性の向上
当社主力事業である小売事業の販売方式を見直し、ECサイト販売を重視する方向で諸施策を展開してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響による店舗販売の制約及び消費者行動の変化を受けて、ECサイト販売強化の必要性に迫られております。今後より一層の強化を図ると共に販売展開の合理化を進め、国内・海外のマーケットにて、ECサイトを活用し積極的な販売活動を実施してまいります。
4.日本ブランドを活用したアジア市場への参入(海外展開)
当社は、インドネシアにおいて現地法人と業務提携を行い、マーケティング調査を経て「JELLY BEANS」商品のEC販売を開始いたしました。また、台湾においては、広告代理店系の企業らとの提携により、いわゆる越境ECにより、「JELLY BEANS」商品の販売を2021年3月から開始しております。加えて、他のアジア・東南アジア諸国においても業務提携又は委託販売等による当社ブランド商品及び新商材の販売を模索している状況であります。今後当社は、より多くのアジア市場での展開を進め、日本ブランドとしての商品・新商材の販路拡大と企業価値向上を目指すことで売上高の増加・収益向上を図ってまいります。
5.事業領域拡大事業
既存の主力事業である小売業、卸売事業、EC事業だけでなく、主力事業に付随する新たな事業の開始及び新規事業を模索・展開していくことで将来的な売上高の増加・収益向上を図ってまいります。
・3Dスキャナー技術による新ブランド展開
当社は、オーダーシューズ事業に進出いたしました。資本業務提携先が有する3D測定技術及び3Dプリンターでの靴製造技術を当社が自社チャネルで活用し、当社の独自ブランド「Shuui」を立ち上げ販売を開始いたしました。将来的に、スマートフォンでの3D測定技術が進化・普及していき、当社のオーダーシューズ事業が新たな売上・収益となることを目指しております。
・SDGs商品販売の開始
当社は、新規事業として、生活関連領域のSDGs関連商品を主力とした商品の販売を開始いたしました。業務提携先との協議のうえ、婦人靴以外の小売事業を積極的に拡大すべきとの判断から、生活関連のマーチャンダイズを実行し、小売事業に付随する新商品・新商材の販売として新たな売上・収益となることを目指しております。
・アートビジネスの開始
当社は、「上野アートビレッジ」の屋号をもって、アートをテーマとした新たな事業を開始することといたしました。現代美術家の絵画作品等に投資を行います。主に、新進の現代美術家を中心とした芸術家の育成とそのマネジメント、及び今後取得する美術品の販売によるキャピタルゲイン獲得を行うことで、当社の収益獲得の機会を得ることを目的としております。
6.資産の処分と借入金の圧縮による財務健全化
前連結会計年度において、本社機能の圧縮及び物流業務の外部委託等に伴い、所有していた余剰不動産を売却し、借入金の圧縮及びキャッシュ・フローの改善を実施してまいりました。このため、当連結会計年度の末日において借入金残高は280百万円となり、保有現預金に対して、預金超過の状況を創出することができました。引き続き借入金の圧縮及びキャッシュ・フローの改善を図ってまいります。
7.財務基盤の安定化
2020年1月及び2021年4月に第三者割当による新株予約権の発行を行い、円滑な権利行使が進む中、資本の充実を図ってまいりました。また、前連結会計年度には既存取引金融機関より、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度に基づき新たに運転資金として300百万円の借入を実行いたしました。これら調達資金の有効な活用を行い、2022年1月末には当初の懸案事項であった金融機関に返済猶予をいただいていた借入金の元本残高について全額弁済いたしました。今後も企業収益の改善に努め財務基盤の強化に取り組んでまいります。
8.継続した資金調達の実施
当社は、これまでに2回の新株予約権の発行による資金調達を実施しております。当連結会計年度の末日において当該新株予約権による資金調達額は1,562百万円となり、主に事業領域拡大資金等に充当しております。未行使新株予約権の調達可能額は725百万円であり、当社としては、継続して既存の新株予約権未行使分における行使状況の把握を行い、また、必要であると判断した場合は追加的な資本増強による資金調達を検討してまいります。
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