業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 当期の経営成績

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

総額売上高

875,281

105,828

13.8

△46,719

売上収益

331,484

12,405

3.9

△26,016

売上総利益

147,842

13,474

10.0

△4,658

販売費及び一般管理費

136,123

4,122

3.1

△4,377

事業利益

11,718

9,352

395.1

△282

その他の営業収益

11,068

5,357

93.8

4,068

その他の営業費用

13,406

△18,937

△58.6

△94

営業利益

9,380

33,645

3,880

親会社の所有者に

帰属する当期利益

4,321

30,514

3,321

 

当連結会計年度の日本経済は、昨年度に続き新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、国内外の社会・経済活動に甚大な影響を受け、また年度後半には地政学リスクが急速に高まるなど、不安定な状況が継続いたしました。

企業業績は、海外経済の再開による外需拡大など改善の動きがみられた一方で、対面型サービス業では感染拡大に伴う人流抑制や営業自粛などの行動制限が度重なるなど業種間格差が広がりました。また、資源価格の高騰や資材供給不足の影響が顕在化するなど、先行きの不透明感が一層強まっております。

個人消費は、感染者数の減少やワクチン接種の進行などにより、昨年10月以降、回復の兆しが見られたものの、年度終盤のコロナ変異株の感染急拡大、まん延防止等重点措置の適用などにより、消費マインドが再び後退するなど厳しい状況が続きました。

「2021-2023年度 中期経営計画 初年度の取り組み」といたしましては、当社はコロナ禍という未曾有の危機に直面するなか、サステナビリティを経営の中核に据え、2030年の目指す企業像に向け、新たな中期経営計画をスタートさせました。本中期経営計画は、①経営数値においてコロナ禍前の2019年度水準への「完全復活」を果たすとともに、②2024年度以降の「再成長」に着手する期間と位置づけております。

本中期経営計画の初年度となる当年度は、感染症影響の先行きが依然不透明、かつ年度を通じて感染症拡大が断続するなか、お客様や従業員の安全安心の確保、及び事業継続を最優先に、各事業において刻々と変化する状況に応じた事業運営に努めたほか、年度中を含めた経費削減、投資の厳選などの対策を講じるなど機動的に対応いたしました。

サステナビリティへの取り組みでは、主に、7つのマテリアリティ(重要課題)と重点戦略との一体化による事業活動や新規事業の開発、また中長期目標を見据えた温室効果ガスの排出量削減やお取引先様との協働による環境・社会課題の解決などに取り組みました。

同時に、本中期経営計画で掲げた「3つの重点戦略」「経営構造改革」「経営基盤強化」を着実に推進いたしました。

「3つの重点戦略と経営構造改革」について、リアル×デジタル戦略では、当社のデジタル戦略は単なるEC強化ではなく、「リアル店舗」や「人財」が持つ魅力にデジタル技術を掛け合わせることで、時間と場所の制約を越え、新たな体験価値を提供することを目指しております。

店舗の魅力化においては、百貨店では基幹店を中心にラグジュアリーブランドなど重点カテゴリーの拡充やD2C(クリエイター・生産者と消費者の直接取引)ブランドを集積した売場の開発、またパルコでは店舗のリブランディングに向けて基幹店の改装を推進するとともに、医療から物販・サービスまでをシームレスに提供する医療ウェルネスモールを開業するなど、新たな価値を提供するコンテンツの開発を進めました。

 

デジタル活用においては、百貨店・パルコでのアプリ会員数拡大など顧客接点のデジタル化の推進、またオンラインを活用したビジネス拡大に向け、コスメやアートなどリアル店舗を起点とした独自のOMO(リアル店舗とオンラインの融合)の開発に取り組みました。また、オンラインを活用したCSV(共通価値の創造)視点の事業活動として、ファッションサブスクリプションに新規参入いたしました。

プライムライフ戦略では、「こころ豊かで、サステナブルなライフスタイルを楽しむ生活者」への提案を強化するとともに、当社の強みである優良な顧客基盤の拡大に取り組んでおります。

百貨店事業において、重点カテゴリーの拡充に加え、お得意様ラウンジの構築などリアル店舗ならではの上質な店舗環境の整備、お得意様専用サイトでの希少性の高い商品やサービス提案、リモート販売の充実など店舗・オンラインの両面から顧客体験の価値向上に取り組みました。また、決済・金融事業において家族信託サービスなど新たなサービス提供に取り組みました。

デベロッパー戦略では、事業ポートフォリオ変革を見据え、新たな事業セグメントであるデベロッパー事業において、地域社会との共生に基づく街の賑わい創出への貢献、保有不動産の価値向上を機軸に、2024年度以降の「再成長」に向けた基盤構築、先行投資を進めております。

当期において、パルコに一元化した既存物件の有効活用による収益化を進めるとともに、他社との協働による名古屋・栄地区でのエリア開発を推進いたしました。また、グループ重点エリアにおける大型複合開発の計画、保有資産の高度利用や収益の複線化への対応を進めるなど、中長期の成長実現に向けた基盤構築に取り組みました。

経営構造改革では、重点戦略とあわせ、2019年度水準への完全復活に向けた最重要施策として、①構造改革による固定費削減、②経営効率・資産効率の向上を推進しております。

当期における固定費削減への取り組みでは、主に百貨店事業のビジネスモデル改革による組織・要員構造改革を推進したほか、広告宣伝のデジタルシフトなどにより、当初計画以上の削減を実施いたしました。

また、経営効率・資産効率の向上への取り組みでは、事業ポートフォリオ変革を見据え、6月末に専門店事業のヌーヴ・エイの全株式譲渡、2月末に人材派遣業のディンプルの株式を一部譲渡したほか、非事業用資産の売却を行いました。

中長期の成長実現を支える経営基盤強化として、グループ財務戦略では、コロナ禍による事業環境変化に応じた資金の流動性確保を図るとともに、新たな資金調達として5月に当社として初めてサステナビリティボンドを発行いたしました。また、税務ガバナンスの強化及び税務コストの最適化を目的に、2022年度からの連結納税制度の導入を決定いたしました。

グループ人財戦略では、重点戦略を着実に推進するため、デジタル領域をはじめ専門知識・スキルを要する即戦力人財の採用を進めました。また、当社のマテリアリティに基づく女性活躍推進、働き方の多様化に対応したリモートワークなどを推進いたしました。

グループIT戦略では、各事業でのデジタル戦略推進の支援とあわせ、グループ共通会計システムの刷新など経営管理の高度化に向けた基幹システムの再構築に着手いたしました。

以上のような諸施策への取り組みに加え、前期の百貨店・パルコでの店舗休業や時短営業の反動増などにより、当期の連結業績について、売上収益は前年に比べ3.9%増の3,314億84百万円となりました。

また、年度を通じて投資抑制や経費削減に努めました結果、事業利益は前年に比べ395.1%増の117億18百万円となりました。営業利益は主に子会社株式売却益や固定資産売却益、構造改革関連費用の計上等により、93億80百万円(前年は営業損失242億65百万円)となりました。税引前利益は61億90百万円(前年は税引前損失286億72百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は43億21百万円(前年は親会社の所有者に帰属する当期損失261億93百万円)となりました。

 

 

配当金につきましては、年間配当金は前期実績に比べ2円増配の1株当たり29円(前期実績27円)とさせていただきました。なお、中間・期末配当のバランスを勘案し、中間配当金は前期実績に比べ5円増配の1株当たり14円(前期実績9円)、期末配当金は前期実績に比べ3円減配の1株当たり15円とさせていただきました。

 

 

セグメント業績

<百貨店事業>

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

190,739

16,908

9.7

△10,861

事業利益

1,798

4,734

△1,202

営業利益

△4,594

16,191

△3,394

 

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用に伴い、各店では上期を中心に生活必需品以外の売場休業や時短営業、入場制限を余儀なくされるなど厳しい事業環境が継続いたしました。

一方、アプリを起点とした顧客とのコミュニケーション強化やリモート販売の充実など、デジタルを活用した営業活動を推進いたしました。また、OMOへの取り組みとして、アートの魅力を店頭・オンラインで発信するメディア「ARToVILLA(アートヴィラ)」を新たにスタートさせました。

店舗の魅力化に向け、基幹店を中心に重点カテゴリーの拡充やお得意様ラウンジの構築などの改装を実施したほか、各地域に密着した新たな店づくりに向け3月に大丸須磨店、7月に松坂屋高槻店をリニューアルオープンいたしました。また、大丸東京店ではD2Cブランドのショールーミングスペース「明日見世(asumise)」をオープンするなど新規コンテンツの開発を推進いたしました。なお、松坂屋豊田店は9月に営業を終了いたしました。

また、事業環境変化に対する機動性を高め、組織・人的生産性の向上を図るため、販売機能子会社の吸収合併や委託業務の見直しに加え、ビジネスモデル改革を見据えた組織・要員構造改革の取り組みを推進いたしました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、前年に比べ売上収益は前期の店舗休業の反動等もあり、9.7%増の1,907億39百万円となりました。営業利益は構造改革関連費用の計上等により、45億94百万円の営業損失となりましたものの、前期(営業損失207億85百万円)から改善いたしました。

 

<SC事業>

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

52,556

△2,893

△5.2

△2,444

事業利益

3,844

2,836

281.3

△356

営業利益

2,055

9,023

255

 

感染症再拡大の影響による店舗休業や時短営業、エンタテインメント拠点における入場制限など、百貨店事業と同様に、事業環境は厳しい状況が継続いたしました。

こうしたなか顧客コミュニケーションの進化に向け、テナントとの協働によるアプリ会員拡大など顧客接点のデジタル化や「PARCO ONLINE STORE」の強化、アプリ決済機能の拡充などに取り組みました。店舗のリブランディングでは、浦和PARCO、仙台PARCO、福岡PARCOなど基幹店を中心に改装を実施したほか、渋谷PARCOではラグジュアリーブランドとの独自性の高いポップアップストアを積極的に展開いたしました。また、話題性あるキャラクターとのコラボレーションによる企画の展開、渋谷・心斎橋PARCOにおいて周年イベントを実施いたしました。

ウェルネス領域の新規事業として医療モールの開発・運営事業に参入し、新しいコンセプトの医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」の1号店を、11月に心斎橋PARCOに開業いたしました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、店舗事業は増収となる一方、6月に専門店事業のヌーヴ・エイの全株式を譲渡した影響により、前年に比べ売上収益は5.2%減の525億56百万円となりました。営業利益は前期の店舗閉鎖関連費用の反動等により、20億55百万円(前年は営業損失69億68百万円)の大幅増益となりました。

 

<デベロッパー事業>

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

50,633

△3,192

△5.9

△5,867

事業利益

3,134

294

10.3

△266

営業利益

4,711

2,730

137.7

1,211

 

前期に実施した不動産事業のパルコへの集約をふまえ、3月に松坂屋流通センター跡地での商業施設の開業や商業以外の多用途な開発、非事業用資産の売却など既存物件の活用を推進いたしました。また7月に熊本市中心部の新規ビル(旧熊本PARCO建替物件)への出店を決定いたしました。

また、名古屋・栄地区の魅力化に向けたエリア開発の一環として、2026年の竣工・開業を目指す「錦三丁目25番街区計画」の開発を推進いたしました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、前年に比べ売上収益は休業に伴う賃料減免措置、また建築内装工事での特需の反動減や受注工期の延期見直しにより、5.9%減の506億33百万円となりましたものの、営業利益は固定資産売却益の計上等により、137.7%増の47億11百万円となりました。

 

 

<決済・金融事業>

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

11,037

2,002

22.2

237

事業利益

1,906

1,510

380.4

766

営業利益

1,970

1,549

367.8

770

 

決済事業では、前期に実施したカードリニューアル、新たなポイントプログラム(QIRAポイント)の導入など顧客基盤の維持・拡大への取り組みとともに、エリア加盟店網の拡大、グループ店舗間の相互送客などに着手いたしました。

金融事業では、グループ内の保険代理店事業の統合、また新たな金融商品の拡充に向け家族信託サービスの提供を開始いたしました。

以上のような諸施策に取り組みました結果、前年に比べ売上収益は、主に百貨店での取扱高の回復やカードリニューアルに伴う年会費収入増などにより、22.2%増の110億37百万円、営業利益は367.8%増の19億70百万円となりました。

 

<その他>

(単位:百万円、%)

2022年2月期

対前年

対10月予想

増減高

増減率

増減高

売上収益

61,755

△804

△1.3

△2,245

事業利益

1,252

△402

△24.3

52

営業利益

1,199

△525

△30.5

99

 

卸売業の大丸興業は電子デバイス部門、自動車部品部門が半導体需給ひっ迫の影響を受け、減収となりました。一方、人材派遣業のディンプルは派遣先施設の営業回復などにより増収となりました。

以上の結果、前年に比べ売上収益は1.3%減の617億55百万円、営業利益は30.5%減の11億99百万円となりました。

なお、2月末にディンプルの株式を一部売却し、連結の範囲から除外いたしました。

 

 

② 財政状態

(単位:百万円、%)

2021年2月期

2022年2月期

増減高

流動資産

273,605

234,884

△38,721

非流動資産

990,116

958,022

△32,094

資産合計

1,263,722

1,192,907

△70,815

流動負債

389,926

347,413

△42,513

非流動負債

509,451

483,373

△26,078

負債合計

899,378

830,787

△68,591

親会社の所有者に帰属する持分

352,171

350,368

△1,803

親会社所有者帰属持分比率

27.9

29.4

1.5

資本合計

364,343

362,120

△2,223

 

当連結会計年度末の資産合計は1兆1,929億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ

708億15百万円減少いたしました。一方、負債合計は8,307億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ685億91百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の適正化に取り組み、返済を進めたことなどから、5,021億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ607億6百万円減少いたしました。

資本合計は、3,621億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億23百万円減少いたしました。

 

③ キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

2021年2月期

2022年2月期

増減高

営業活動によるキャッシュ・フロー

56,471

49,866

△6,605

投資活動によるキャッシュ・フロー

△20,870

△5,289

15,581

フリーキャッシュ・フロー

35,601

44,577

8,976

財務活動によるキャッシュ・フロー

58,727

△80,392

△139,119

現金及び現金同等物の増減額

94,328

△35,815

△130,143

現金及び現金同等物の期末残高

128,925

93,278

△35,647

 

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ356億

47百万円減の932億78百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は498億66百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、税引前利益が黒字転換したものの、営業債権が増加(収入の減)したことなどにより66億5百万円の収入減となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は52億89百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出が減少したことに加え、投資不動産や子会社株式の売却による収入などにより155億81百万円の支出減となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は803億92百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、社債の発行による収入があったものの、前年に実施したコロナ感染症対策の資金調達の反動などにより1,391億19百万円の収入減となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

デベロッパー事業

608

80.5

(注)1  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

2)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

デベロッパー事業

33,625

84.9

(注)1  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記以外のセグメントについては該当事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

内訳

販売高(百万円)

前年同期比(%)

百貨店事業

大丸松坂屋百貨店

174,881

109.7

博多大丸

12,539

112.4

その他

3,319

91.6

190,739

109.7

SC事業

パルコ

49,227

113.1

その他

3,329

27.9

52,556

94.8

デベロッパー事業

パルコ

8,111

104.8

J.フロント建装

23,645

86.5

パルコスペースシステムズ

17,830

100.7

その他

1,045

98.7

50,633

94.1

決済・金融事業

JFRカード

11,037

122.2

その他

卸売業

34,632

99.4

その他

27,123

97.8

61,755

98.7

調整額

35,239

合計

331,484

103.9

(注)1 セグメント間の取引については、「調整額」欄で調整しております。

   2 販売高は、売上収益を記載しております。

   3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  3.重要な会計方針」に記載しております。

また、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績等

 セグメントごとの情報については、(1)財政状態及び経営成績の状況 ① 当期の経営成績に記載しております。

 

a)売上収益

売上収益は、前年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による百貨店・パルコでの店舗休業や時短営業の反動増などにより、前連結会計年度に比べ124億5百万円増の3,314億84百万円となりました。

 

b)営業利益

営業利益は、前連結会計年度に比べ336億45百万円増の93億80百万円となりました。

 

c)税引前利益

税引前利益は、前連結会計年度に比べ348億62百万円増の61億90百万円となりました。

 

d)親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ305億14百万円増の43億21百万円となりました。

 

e)財政状態

当連結会計年度の資産合計は1兆1,929億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ708億15百万円減少いたしました。一方、負債合計は8,307億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ685億91百万円減少いたしました。なお、有利子負債残高(含むリース負債)は感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の適正化に取り組み、返済を進めたことなどから、5,021億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ607億6百万円減少いたしました。

資本合計は3,621億20百万円、前連結会計年度末に比べ22億23百万円減少いたしました。

これらの結果、資産合計営業利益率(ROA)は、0.8%、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、1.2%、親会社所有者帰属持分比率は、29.4%となりました。

f)キャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は498億66百万円の収入となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は52億89百万円の支出、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は803億92百万円の支出となりました。

この結果、当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ356億47百万円減の932億78百万円となりました。

今後も、利益水準やキャッシュ・フローの動向等を考慮し、適切な利益配分や設備投資を行っていく予定であります。

 

g)資本の財源及び資金の流動性

(資本政策の基本方針)

当社は、フリーキャッシュ・フローの増大とROEの向上が持続的な成長と中長期的な企業価値を高めることにつながるものと考えています。その実現に向けて、経営環境及びリスクへの備えを勘案した上で「戦略投資の実施」「株主還元の充実」及び「自己資本の拡充」のバランスを取った資本政策を推進します。

また、有利子負債による資金調達はフリーキャッシュ・フロー創出力と有利子負債残高を勘案して行うことを基本とし、資金効率と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。

フリーキャッシュ・フロー、ROEの向上には、収益を伴った売上拡大を実現する「事業戦略」及び投下資本収益性を向上させる「財務戦略(資本政策を含みます。)」が重要です。併せて、基幹事業の強化、事業領域の拡大・新規事業の積極展開等に経営資源を重点配分することにより、営業利益の最大化と営業利益率を持続的に向上させていくことが重要であると考えております。

なお、中期経営計画の達成における重要財務指標として、資本効率性はROE、事業収益性は連結営業利益及びROIC、収益性・安全性はフリーキャッシュ・フロー、財務健全性は親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)の各指標を重視しております。

 

(資金調達の状況)

当社グループでは、事業活動に必要となる資金は、グループで創出した資金でまかなうことを基本方針としております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として社債の発行及び金融機関からの借入などにより持株会社が一元的に資金調達を行っております。

 グループ子会社は金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメントシステムを利用したグループ内ファイナンスにより必要資金の調達を行うことで、グループ資金の効率化を推進しております。

 当連結会計年度については、上記方針に基づき、無担保普通社債の発行により300億円(うち、サステナビリティボンド150億円)を調達いたしました。一方、感染症拡大の影響に備え確保していた手許現預金の段階的な適正化を開始し、コマーシャル・ペーパー550億円及び長期借入金171億円の返済を進めた結果、有利子負債残高(除くリース負債)は、前連結会計年度末に比べ422億円減少し、3,177億円となりました。また、コミットメントラインについても、1,000億円減額し、2,000億円へと設定額の引き下げを実施いたしました。

なお、資金調達に係るリスクについては、「第2  事業の状況  2  事業等のリスク」に記載しております。

(財務政策)

「2021-2023年度 中期経営計画」における財務政策については、「第2  事業の状況  1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(配当政策)

当社の剰余金の配当に関する基本方針並びに当期の配当実績については、「第4  提出会社の状況  3  配当政策」に記載しております。

 

2)経営目標の達成状況

「2021-2023年度 中期経営計画」初年度である2021年度において目標として掲げております経営数値目標の達成状況は以下のとおりです。

引き続き「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の成長戦略に取り組み、経営目標の達成に努めてまいります。
 

 

2021年度実績

2023年度目標

連結営業利益(IFRS)

9,380百万円

40,300百万円

連結ROE

1.2%

7.0%

連結ROIC

1.2%

5.0%

温室効果ガス排出量※

(算定中)

△40%

女性管理職比率

21.3%

26%

※2017年度比 Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出),Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、2021年度実績は算定中

 

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