(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大と一時的な沈静化を繰り返した影響により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に適用され、長期間にわたり消費活動が影響を受けました。新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進行とともに感染者数は減少傾向となり、2022年3月をもってまん延防止等重点措置が全面解除となりました。これにより2022年4月以降においては消費活動の持ち直しが見られました。その一方で、原油などのエネルギー資源や原材料の価格が高騰しており、為替相場の円安見通しからさらなる価格上昇が懸念され、さらにウクライナを取り巻く国際情勢の悪化により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
外食業界においては、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の懸念から、全国各地で外出の自粛が要請されたことにより、断続的に営業時間の短縮が余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、生活様式の変化により外食から中食・内食へのシフトが進展し、また、大人数での外食および夜間の外出行動の自粛などの影響を受けております。さらに、エネルギー資源や原材料の価格高騰、人件費の上昇により、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況下において、当社グループは中期経営計画「ビジョン2025」の実現に向けて、お客様と従業員の安全・安心を最優先事項と捉え、感染症対策を徹底しながら店舗運営を継続してまいりました。また、当社グループの売上向上策として、既存店舗の内外装の積極的な改装や看板商品の磨きこみ、サービス力の強化による他社との差別化を図ることで顧客体験価値の向上に努めました。加えて、お客様の認知度向上への取り組みとして、『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』『寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵』のテレビCMを放映し、スマホアプリ等を活用したデジタルマーケティングの強化を行いました。これら施策の効果により、国内既存店(注1)の当連結会計年度における売上高は、直営店において前期比7.1%増、フランチャイズ店において前期比4.5%増となりました。
新業態開発への取り組みについては、『熟成醤油ラーメン きゃべとん』『牛たん大好き 焼肉はっぴぃ』『焼肉 かるびとはらみ』を軸とした新業態の育成を進めました。2021年8月には当社初のファストカジュアル店『焼きたてのかるび』を出店し、2022年3月には2号店を出店いたしました。加えて、中長期的な成長の実現に向けて、人財の採用や教育・研修による能力開発、IT化の推進、海外事業の強化等の基盤づくりを行いました。
さらに、2021年10月には、DAIZ株式会社との間で資本業務提携契約を締結いたしました。植物肉の販売や植物肉を使った新商品開発による事業拡大およびSDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目的に協業を進めております。
店舗出店については、国内において郊外ロードサイドの好立地への積極的な出店を進め、直営出店36店舗、退店4店舗、フランチャイズ出店11店舗、退店4店舗、海外において出店5店舗、退店2店舗の結果、当連結会計年度末における当社グループ店舗数は626店舗(直営372店、フランチャイズ236店、海外18店)となりました(後掲表1)。その結果、グループ店舗売上高(注2)1,000億円を達成いたしました。
以上の結果により、売上高は73,277,762千円(前期比14.4%増)、営業利益2,873,821千円(前期比12.4%増)、経常利益6,167,775千円(前期比44.5%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は3,727,606千円(前期比36.6%増)となりました。なお、営業外収益については、営業時間の短縮要請に伴う協力金等を助成金収入として3,102,255千円を計上しております。
(注1)国内既存店とは、2022年6月30日現在で開店から18カ月以上経過している国内の店舗を指します。
(注2)グループ店舗売上高とは、当社直営店とフランチャイズ店の店舗売上高の合計を指します。
当連結会計年度におけるセグメント別の概況については、当社グループの事業は単一セグメントでありますので、その概況を部門別に示すと次のとおりであります。
ⅰ.焼肉部門
当連結会計年度中において、『焼肉きんぐ』は18店舗の出店(直営13店、フランチャイズ5店)を実施しました。これにより、焼肉部門の当連結会計年度末の店舗数は286店舗(直営175店、フランチャイズ111店)となりました。
以上の結果により、直営店の売上高は38,985,909千円(前期比18.8%増)となりました。
ⅱ.ラーメン部門
当連結会計年度中において、『丸源ラーメン』は16店舗の出店(直営10店、フランチャイズ6店)を実施し、『熟成醤油ラーメン きゃべとん』は1店舗の出店(直営1店)を実施しました。これにより、ラーメン部門の当連結会計年度末の店舗数は190店舗(直営90店、フランチャイズ100店)となりました。
以上の結果により、直営店の売上高は10,733,508千円(前期比16.5%増)となりました。
ⅲ.お好み焼部門
当連結会計年度中において、『お好み焼本舗』は1店舗の出店(直営1店)を実施しました。これにより、お好み焼部門の当連結会計年度末の店舗数は24店舗(直営16店、フランチャイズ8店)となりました。
以上の結果により、直営店の売上高は1,691,579千円(前期比3.1%減)となりました。
ⅳ.ゆず庵部門
当連結会計年度中において、『寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵』は7店舗の出店(直営7店)を実施しました。これにより、ゆず庵部門の当連結会計年度末の店舗数は94店舗(直営77店、フランチャイズ17店)となりました。
以上の結果により、直営店の売上高は12,589,243千円(前期比8.8%増)となりました。
ⅴ.専門店部門
当連結会計年度中において、『牛たん大好き 焼肉はっぴぃ』は2店舗の出店(直営2店)を実施し、当社初のファストカジュアル業態『焼きたてのかるび』については2店舗の出店(直営2店)を実施しました。これにより、専門店部門の当連結会計年度末の店舗数は14店舗(直営14店)となりました。
以上の結果により、直営店の売上高は1,916,108千円(前期比37.0%増)となりました。
ⅵ.フランチャイズ部門
主にフランチャイズ加盟企業からのロイヤルティ・加盟金・業務受託料等であります。当連結会計年度中においてフランチャイズ11店舗の出店を実施しました。これにより、フランチャイズ部門の当連結会計年度末の店舗数は236店舗となりました。
以上の結果により、売上高は4,941,208千円(前期比9.5%増)となりました。
ⅶ.その他部門
主に連結子会社である「物語(上海)企業管理有限公司」による取り組みであります。当連結会計年度中において5店舗の出店を実施しました。これにより、その他部門の当連結会計年度末の店舗数は18店舗となりました。
以上の結果により、売上高は2,420,204千円(前月比12.8%減)となりました。
表1 「部門別店舗数の状況」
(単位:店)
|
直営(国内) |
FC(国内) |
海外 |
2022年6月末 店舗数 |
焼肉部門 |
175 |
111 |
- |
286 |
ラーメン部門 |
90 |
100 |
- |
190 |
お好み焼部門 |
16 |
8 |
- |
24 |
ゆず庵部門 |
77 |
17 |
- |
94 |
専門店部門 |
14 |
- |
- |
14 |
その他部門 |
- |
- |
18 |
18 |
合計 |
372 |
236 |
18 |
626 |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較し5,750,048千円減少し8,464,866千円(前期比40.4%減)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は8,778,698千円(前期比51.6%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が5,465,088千円あったこと及び減価償却費が3,142,250千円あったこと等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は7,383,822千円(前期比27.8%増)となりました。これは主に、新規出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が6,799,763千円あったこと等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は7,251,515千円(前期は4,225,550千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の調達が1,000,000千円の一方で、短期借入金の純減額が6,200,000千円、配当金の支払が785,239千円、長期借入金の返済が1,259,235千円あったこと等を反映したものであります。
(生産、受注及び販売の実績)
当社グループは、単一セグメントであるため品目別及び部門別に記載しております。
ⅰ.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
前年同期比(%) |
生麺(千円) |
895,803 |
106.8 |
液体調味料(千円) |
514,250 |
143.4 |
合計(千円) |
1,410,054 |
117.8 |
(注)1.金額は販売価格によるものであり、部門間の内部振替前の数値であります。
2.当連結会計年度において、液体調味料の生産実績に著しい変動がありました。これは、液体調味料製造工場『物語フードラボ』が、2021年1月より「ポン酢」を、2021年5月より「すき焼きだれ」をそれぞれ生産開始しており、当連結会計年度は、通年生産となったことによるものであります。
ⅱ.受注実績
当社は一般消費者への直接販売を主としており、また、生産についても見込生産を行っておりますので、記載すべき事項はありません。
ⅲ.販売実績
当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
|
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
前年同期比(%) |
|
直営店 |
焼肉部門(千円) |
38,985,909 |
118.8 |
ラーメン部門(千円) |
10,733,508 |
116.5 |
|
お好み焼部門(千円) |
1,691,579 |
96.8 |
|
ゆず庵部門(千円) |
12,589,243 |
108.8 |
|
専門店部門(千円) |
1,916,108 |
137.0 |
|
その他部門(千円) |
2,420,204 |
87.1 |
|
小計(千円) |
68,336,553 |
114.8 |
|
フランチャイズ部門(千円)(注) |
4,941,208 |
109.5 |
|
合計(千円) |
73,277,762 |
114.4 |
(注)ロイヤルティ・加盟金・業務受託料等であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
ⅰ.財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比べて4,976,199千円減少し、13,129,183千円となりました。これは、店舗売上高の増加による売掛金が752,011千円増加した一方、短期借入金の返済等による現金及び預金が5,750,048千円減少したことが主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比べて3,420,208千円増加し、33,067,487千円となりました。これは、設備投資により有形固定資産が2,627,568千円、資本業務提携に伴う出資等による投資その他の資産が631,628千円増加したこと等が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比べて3,615,634千円減少し、12,329,153千円となりました。これは、償還期限が1年以内になったことに伴う1年内償還予定の社債が1,000,000千円、業容拡大に伴う未払法人税等が822,451千円、買掛金が813,054千円増加した一方、返済による短期借入金が6,200,000千円減少したこと等が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比べて939,120千円減少し、10,907,225千円となりました。これは、償還期限が1年以内になったことに伴い社債等が988,255千円減少したことが主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて2,998,763千円増加し、22,960,292千円となりました。これは、利益剰余金が2,778,024千円増加したこと等が主な要因であります。
ⅱ.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は、前期比14.4%増加し73,277,762千円となりました。
当社グループはお客様と従業員の安全を最優先に感染症対策を徹底しながら店舗運営を継続してまいりました。また、既存店舗の内外装の積極的な改装や看板商品の磨きこみ、サービス力の強化による他社との差別化を図ることで顧客体験価値の向上に努めました。加えて、お客様の認知度向上への取り組みとして、『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』『寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵』のテレビCMを放映し、スマホプリ等を活用したデジタルマーケティングの強化を行いました。これらの施策の効果により、国内既存店(注1)の当連結会計年度における売上高は、直営店においては前期比7.1%増、フランチャイズ店においては前期比4.5%増となりました。
焼肉部門では、直営店において13店舗の新規出店を実施しました。この結果、直営店の売上高は38,985,909千円(前期比18.8%増)となりました。
ラーメン部門では、直営店において11店舗の新規出店を実施しました。この結果、直営店の売上高は10,733,508千円(前期比16.5%増)となりました。
お好み焼部門では、直営店において1店舗の新規出店を実施しましたが、直営店の売上高は1,691,579千円(前期比3.1%減)となりました。
ゆず庵部門では、直営店において7店舗の新規出店を実施しました。この結果、直営店の売上高は12,589,243千円(前期比8.8%増)となりました。
専門店部門では、直営店において4店舗の新規出店を実施しました。この結果、直営店の売上高は1,916,108千円(前期比前期比37.0%増)となりました。
フランチャイズ部門では、フランチャイズ店において11店舗の新規出店を実施しました。フランチャイズ加盟店舗数の増加によるロイヤルティ収入の増加等により、売上高は4,941,208千円(前期比9.5%増)となりました。
その他部門では、5店舗の新規出店を実施しました。この結果、売上高は2,420,204千円(前期比12.8%減)となりました。
(注1)国内既存店とは、2022年6月30日現在で開店から18カ月以上経過している国内の店舗を指します。
売上原価は売上高の増加に伴い、前期比16.2%増加し25,457,585千円となりました。売上高に対する構成比は、前期比0.5ポイント増の34.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比13.6%増加し44,946,355千円となりました。売上高に対する構成比は、前期比0.4ポイント減の61.3%となっております。販売費及び一般管理費が増加したのは、新規出店に伴う人員増員により給料及び手当が前期比12.3%増の19,146,371千円となったこと等によります。
この結果、営業利益は前期比12.4%増加し2,873,821千円となりました。
営業外収益は、営業時間の短縮要請に伴う協力金等を助成金収入として3,102,255千円等を計上し、前期比1,563,281千円増の3,368,265千円となりました。
営業外費用は、前期比21.5%減少し74,311千円となりました。
この結果、経常利益は前期比44.5%増加し6,167,775千円となりました。
特別損失は、減損損失110,776千円等を計上し、702,686千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比36.6%増加し3,727,606千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、(経営成績等の状況の概要)に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、店舗の設備投資、システム開発投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金及び社債の発行により行っております。
なお、当連結会計年度末における社債、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は10,602,310千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は8,464,866千円となっております。
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、金融機関と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結するなど財務基盤の安定化に努めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成する上では、固定資産の減損損失、繰延税金資産の回収可能性など様々な会計上の見積りを行うことが必要となりますが、会計基準では、会計上の見積りを「資産及び負債や収益又は費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出すること」と定義されております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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