課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは経営理念として、「私たちは、創造と革新、融合のシナジーによって、グローバル市場でお客様第一に新たな価値を生み出し、人間社会と地球環境に役立つ未来を実現します」を掲げ、この経営理念の実現に向け、当社グループはバリュー・イノベーション(価値革新)を推進する創造革新企業として、資本財から生産財・消費財にわたり、お客様のための価値創造と株主及びその他のステークホルダーとの緊密な信頼関係のもと、常に「自己責任」「自己改革」を念頭に活力ある企業文化の構築に取り組み、ダイワボウグループの連結企業価値の向上を目指しております。

また当社グループは、ITインフラ流通事業での「ITインフラ」、繊維事業を中心とした「生活インフラ」、産業機械事業での「産業インフラ」の3事業における「社会インフラ」の領域で三位一体のグループ経営の推進により、地球環境との共生と持続可能な社会の創造への貢献を目指すことをグループビジョンに掲げ、顧客志向を原点とした新市場・新事業の創出とグループ連携を基盤とするグローバル戦略に基づくグループ経営の推進により、連結収益力の強化とキャッシュ・フローの最大化を実現することを経営の基本方針としております。

(2) 経営戦略等

当社グループは、2021年4月から新中期計画(2022年3月期~2024年3月期)をスタートさせました。本計画の対象期間を「将来にわたる発展を見据えた転換期」と捉え、グループ基本方針として「次世代成長ドライバーの創出」「リーディングカンパニーとして新たな社会作りへの貢献」「経営基盤変革」を掲げ、次なる時代に向けた成長戦略と事業を通じた社会貢献の実践による企業価値向上に取り組んでまいります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、収益性とともに、ROE(自己資本当期純利益率)、ROIC(投下資本利益率)などの指標を参考に、株主資本の効率化に取り組んでおります。

(4) 経営環境

当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として残るなか、ワクチン接種の促進や各種政策の効果もあり総じて持ち直しの動きが続いている一方で、感染力の強い新たな変異株の発生や世界的な半導体不足等の長期化に対する懸念、原材料やエネルギーコストの高騰もあり景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く環境は、IT業界では企業・官公庁でのクラウド環境の構築やサービス利用の切り替えが進みましたが、世界的な半導体不足によるIT機器全般での納期遅延や文教分野における前期の集中的な需要の反動が見られました。また、繊維業界ではレーヨンは堅調に推移しましたが、全体的に厳しい市場環境が継続し、原燃料高の影響も受けました。産業機械業界でも原材料高騰の懸念は継続しているものの受注環境は中国市場を中心に回復傾向にありました。

新型コロナウイルス感染症等の影響につきましては、ITインフラ流通事業では、企業のテレワークやオンライン会議活用、クラウド移行などのIT需要や個人の在宅用途のIT関連需要が増加する一方で、IT関連商品・部品の製造拠点で工場稼働が滞ることによるサプライチェーンへの影響が懸念されました。繊維事業では、除菌シート等の不織布やマスク用合繊綿の需要が増加する一方で、外出自粛等による衣料品等の市況悪化、イベント中止等による産業資材の需要減がありました。産業機械事業では、企業の設備投資の停滞がみられ、海外向けの営業活動、出張工事が一部制限されました。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の経済見通しについては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、ロシアのウクライナ侵攻等の世界情勢を背景とした原材料、エネルギーコストの高騰等による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があります。

こうしたなか、当社グループは中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の対象期間を「将来にわたる発展を見据えた転換期」と捉え、グループ基本方針として「次世代成長ドライバーの創出」「リーディングカンパニーとして新たな社会作りへの貢献」「経営基盤変革」を掲げ、次なる時代に向けた成長戦略と事業を通じた社会貢献の実践による企業価値の向上に取り組んでまいります。

事業別の施策といたしましては、ITインフラ流通事業においては、引き続き、IT市場に欠かすことのできないPC、タブレット、スマートフォン等のエンドポイントにこだわり、端末製品群を重点ITデバイスと位置付け、市場シェアにこだわった営業活動を行います。半導体不足の影響は今後も継続する見通しですが、戦略的な在庫運用を行うことにより、市場優位性を確保してまいります。また既存システムのパブリッククラウドへのシフトが徐々に進んでいるなか、技術支援体制の強化や新しいサービスの開発に取組み、顧客のITインフラ基盤からエンドユーザーの利用端末に至るまで、当社が複合的に提案できる体制を構築し、パートナーとインフラビジネスをはじめとした成長市場における需要獲得に注力致します。

繊維事業においては、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営やSDGs(持続可能な開発目標)を事業運営の基本におき、環境配慮型製品の提供ならびに安心・安全な社会の実現を目指した事業展開を進めてまいります。合繊・レーヨン部門では、環境対応を意識した商品開発をベースに、用途開発と新規販売チャネルの拡大を急ぎます。産業資材部門では、底堅い需要のあるカートリッジフィルターにおいて、さらに高付加価値商品の開発を加速させ、需要の拡大に努めてまいります。衣料製品部門では、生産拠点の一層の効率化を図るとともに、サステナブル素材をテーマとして新規顧客の開拓、用途展開を進めて、収益性の向上に注力してまいります。

産業機械事業においては、工作機械部門では、世界的に脱炭素社会を目指す背景より、エネルギー効率が改善される製品を顧客に提案をするとともに、エネルギー業界には風力発電向けの需要に沿った製品開発と高効率ガスタービンに向けた販売促進に取組んでまいります。自動機械部門では、省人化と脱プラスチックによる、顧客のESGへの取組みを後押しする提案を行ってまいります。また、工作機械、自動機械の両部門において、アフターサービスの充実を図るため、体制整備に取組み、収益の拡大に取組んでまいります。

当社グループは地球温暖化・気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、脱炭素社会の実現に向けてグループ全体のCO2削減目標を策定しました。また、TCFD提言への賛同表明およびTCFDコンソーシアムへの加盟により、提言に基づく情報開示を推し進め、地球環境への負荷を低減し、持続的な発展に貢献すべく事業活動を推進してまいります。

また、当社はコーポレートガバナンスを経営上の最重要課題の一つとして認識しております。グループ各社の連携のもと、内部統制機能の一段の充実と、より最適なガバナンス体制の確立に努め、株主の皆様をはじめステークホルダーとの良好な信頼関係を保ちながら、サステナビリティへの取組みの充実など、なお一層の自己変革に取組み、企業の社会的責任を果たしてまいる所存です。

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