文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営の基本方針を次のとおり「基本理念」として掲げております。
① 社会 よき企業市民として社会との調和ある成長を目指す。
・企業倫理の徹底をはかり、公正で透明な企業活動の推進。
・クリーンで安全な商品を提供することを使命とし、地球環境保護を重視した企業活動の推進。
・地域社会の一員としての役割を自覚し、よい社会づくりに貢献。
② お客様 革新的な技術開発、製品開発に努め、お客様に喜ばれる、よい商品を提供する。
③ 株主 将来の発展に向けた革新的経営を進め、株主の信頼に応える。
④ 社員 労使相互信頼を基本に、社員の個性を尊重し、安全で働きやすい職場環境をつくる。
⑤ 取引先 開かれた取引関係を基本に、互いに研鑚に努め、ともに長期安定的な成長を目指す。
(2)経営環境及び対処すべき課題
世界中で、気候変動への対応がますます求められており、カーボンニュートラル実現に向けた動きが加速して
います。自動車産業においては、ライフサイクルの観点からサプライチェーン全体でのCO₂排出量削減への対応
や自動車の電動化対応を強化していく必要があります。
このような環境下で、当社は創業者である豊田佐吉の考えをまとめた「豊田綱領」に基づいて「基本理念」と
「トヨタ紡織グループのマテリアリティ」を定め、これに沿って事業活動を行うことでCSV※1経営を進めていま
す。なお、2021年11月に、「サステナビリティ基本方針」とビジネスに関わるすべての人の人権を尊重するた
めの「人権方針」を策定しました。また、2030年の目指す事業構造に向けた経営資源の戦略的な配分を進める
ための「事業ポートフォリオ基本方針」を策定しました。
①2025年の目指す姿に向けて
事業領域の拡大に向け、トヨタ自動車株式会社とアライアンス関係にある自動車メーカーを戦略OEMと位
置づけ、受注活動を推進しています。トヨタ以外の売上シェアを2025年には13%、2030年には20%を目指
してまいります。
また、バリューチェーン全体での競争力向上に向けて、意匠から一貫した開発・生産を目指し、現在は自動
車メーカーの領域である表皮の選定、自給化を目指してまいります。
②2030年のありたい姿に向けて
ライフサイクルでのカーボンニュートラル実現に向けて、本年1月にカーボンニュートラル環境部をセンター
化し、サプライチェーン戦略を立案・実行していきます。なお、TCFD※2の提言に基づく情報開示強化に向け
て、シナリオ分析を実施しております。また、自動車の電動化拡大に向けて、モーターコア、セパレーターなどの拡販を推進してまいります。
さらに、新事業の創出に向けて、オープンイノベーションを加速させるとともに、昨年新設したビジネスイン
キュベーション室では、スタートアップ企業への出資を始めていきます。2030年売上構成比コア事業95%、
新事業5%を目指して活動を進めてまいります。
上記の活動を支える経営基盤の強化に向け、情報基盤を整備し、財務・非財務KPIのモニタリング強化によ
る意思決定の迅速化を図るとともに、イノベーティブ人材の採用・創出に向け、誰もがチャレンジ・活躍でき
る制度と環境を整備してまいります。また、昨年刈谷工場とユニット部品生技部で受賞したデミング賞の受賞
活動の中で得た学びを全社へ拡大しながら更なる業務品質の向上に努めてまいります。
当社は、先進的な技術開発と高品質なものづくりを通じて、人を中心としたモビリティー空間のソリュー
ションを提供することで社会課題の解決を図りながら経済的価値を向上し、「社会に必要とされ続ける企業」を
目指していきます。
※1 CSV(Creating Shared Value):「共通価値の創造」と訳し、企業が事業を通じて社会的な課題を解決することで創出される
「社会価値(環境、社会へのポジティブな影響)」と「経済価値(事業利益、成長)」を両立させる経営戦略のフレームワーク
※2 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)によって
設置された気候関連財務情報開示タスクフォース
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カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み(TCFDシナリオ分析)
トヨタ紡織グループは「地球環境保護を重視した企業活動の推進」を基本理念に、持続可能な社会の実現に向け、トヨタ紡織グループ一体となって地球環境保護に貢献しています。
「2050年環境ビジョン」や「取引先とともに「ものづくり」の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する」というマテリアリティをもとに環境へ配慮した取り組みを推進しています。
2020年4月には、TCFDの提言に賛同しました。気候変動が事業に与える影響とそれによるリスクと機会をシナリオに基づいて広範に分析することで、取り組みの方向性を確認し、今後の経営戦略に反映していきます。
■気候関連のリスクと機会のシナリオ分析
シナリオ分析結果
国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ」を踏まえ、短期・中期・長期のリスクと機会を抽出。
特にリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。
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