当社は、ヘルスケア総合企業を目指して、お客様に満足度の高い商品及びサービスを提供することにより、中長期的には更なる収益力の向上を図る観点から、次の事項を重点施策として取り組む必要があると判断しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
少子高齢化社会、ライフスタイルの変化による生活習慣病患者の急増などから、医療費の増加は続いており、現在の社会保険システムの維持は危機的な状況にあります。
そのような社会的背景の中で、当社はこうした社会状況を変革したいという理念のもと、健康増進の推進を図るためには、第一に「食事コントロール」、それでも困難な時に「医療」を行うのが望ましいという考え方を『一食二医』という当社の造語により提唱し、今後も『一食二医』社会を実現すべく事業に取り組んでまいります。
当社は、2018年4月に開始された5ヶ年の中期経営計画「Will 2022」において、当社の各事業において、事業構造の転換、大型契約の獲得推進、自社の強みを活かした新事業の創出を戦略方針として定めております。当事業年度からCID事業として、当社初の生産拠点である埼玉工場で製造した製品を販売する新サービス『旬をすぐに』を開始いたしました。今後、『旬をすぐに』は当社の成長戦略の中心となってまいります。従来のMFD事業において展開する『ミールタイム』が生活習慣病で食事療法を必要とされている方を主要顧客とする一方で、CID事業において展開する『旬をすぐに』は若年層の働き盛り世代を中心に、食材の良さやタイムパフォーマンスを重視する方々を主要顧客として想定しております。YouTube、Twitter、InstagramなどのSNSを活用し、タイムリーに、かつ食材の良さを前面に押し出して情報を発信することで、顧客への価値訴求をしてまいります。
また、マーケティング事業においては、食品メーカー等への提案及びコミュニケーションに関して、WEB会議システムを積極的に活用することで量を増やし、営業担当者への外部研修プログラムを受講させることで質を高めることで、これまで以上に食品メーカー等との接点の拡大・関係強化を図ってまいります。
(2) 経営環境
当社が属する食事宅配市場は、国内の食関連市場が縮小傾向にある反面、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化、女性の社会進出、食料品の購入や飲食に不便を感じる高齢者を中心とする買物弱者の増加といった社会的背景や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、宅配需要が増加しているため堅調に推移しております。
当社が主な顧客としている生活習慣病患者は年々増加傾向にあり、また、少子高齢化が進むことにより65歳以上の高齢者のみの世帯が増加するなど市場の成長が見込める経営環境となっております。そのため、食事宅配市場を今後の更なる成長が見込める有望市場と捉えて、事業者の積極的な参入による業種業態を超える競争の激化が進んでおります。また、宅配事業者の値上げによる配送コストの上昇もあり、引き続き厳しい状況となっております。さらに、食品業界におきましては、食の安心・安全に対する消費者の関心が一層高まる中、企業の管理体制の徹底が求められております。
このような環境の中、当社では「一人でも多くのお客様に健康で楽しい食生活を提案し、豊かな未来社会に貢献します」という企業理念を念頭に、当社の強みである管理栄養士・栄養士によるきめ細かい栄養相談を活かして、お客様にとって価値の高い商品及びサービスを提供し、品質向上に努めております。
(3) 対処すべき課題
① 「栄養士おまかせ定期便」顧客数の拡大
当社は、MFD事業において、お客様の健康状態の改善、特に血液検査の数値を改善していただくことを目指しており、そのためには当社の健康食を継続的にご利用いただくことが効果的であると考えております。
当社では、ご注文の電話に必ず栄養士が対応し、お客様一人ひとりの身体に合った商品を当社の栄養士が選んでお届けしており、さらには栄養士が直接電話でのカウンセリングも随時受け付けている点で競合他社との差別化を図っております。
当社では、電話による注文受付とは別に、お客様に手間なく当社の商品を継続購入していただくことで健康改善につなげていただけるよう、「栄養士おまかせ定期便」という定期購入サービスを提供しております。
定期購入を利用するお客様を増加させること及び離脱率を低下させることで、当社商品の購入数の増加が見込まれます。定期購入をしていただくことで、お客様の健康改善に貢献できるとともに、当社の売上・利益が増加し、業績にも大きく影響いたします。当社は従来どおり定期購入顧客数の拡大を目指しております。
② 紹介ネットワークの拡大・深耕
当社は、MFD事業において、紹介ネットワークを通じて健康食通販カタログ『ミールタイム』を配布しており、お客様を獲得するための主たる手段となっております。紹介ネットワークにおいて、いかに当社のカタログを患者様に配布いただくかによって、当社の新規顧客数が大きく左右され、業績にも大きく影響いたします。当社は従来どおり紹介ネットワークを拡大していくとともに、各紹介ネットワークにおいてカタログを配布いただくような働きかけを強化してまいります。
③ 顧客層の拡大
当社は、健康改善したい方を主要な顧客ターゲットとしております。それゆえ、顧客層は必然的に健康状態に疑義がある方が多いと推測される高齢のお客様に偏っているのが現状であります。
会社規模を拡大していくには、現状手薄となっている若年層のお客様を取り込んでいく必要があると考えております。また、健康状態に疑義がある方のみでなく、疾病予防の観点から、健康な方もお客様として取り込んでいく必要があると考えております。今後、これらに対する施策に取り組み、更なる収益獲得機会の拡大を図ってまいります。
④ 商品・製品開発の充実
当社は、MFD事業において、糖尿病・脂質異常症・高血圧・痛風・メタボの方向けの「ヘルシー食」「ヘルシー食多め」、腎臓病・糖尿病性腎症・透析の方向けの「たんぱく質調整食」、咀嚼・嚥下が困難な方向けの「ケア食」を大きな分類として、商品『ミールタイム』を販売しております。また、CID事業において、国産食材を使用して自社工場で製造している製品『旬をすぐに』を販売しております。
しかしながら、商品・製品分類によっては品揃えが充実していないこと、商品・製品に使用されている食材の多様性・美味しさについて改善の余地があることなど商品・製品価値を向上すべき点は少なくありません。これらを改善していくことで、今後もお客様の満足につながる商品開発に取り組んでまいります。
⑤ コスト削減
当社は、商品販売価格の大幅値下げを行うなど、価格面でも顧客満足の向上に努めており、今後もこの方針で取り組んでいくものと考えております。それに対応すべく当社としては、コスト削減を徹底することにいたしており、具体的には、共栄会を活用した原材料仕入れの低価格化、委託先企業との価格交渉、外部委託業務の内製化、一般経費の削減等を検討しております。
⑥ 教育体制の強化
人材の確保は、売上や顧客数、紹介ネットワーク数の増加、業務効率化の推進等の、業績向上の大きな要因となっております。採用した人材は、技術、知識を十分に兼ね備えた人材として教育できる体制を整えており、能力の向上を目的とした社内研修、外部からの講師を招いての講演会も積極的に行っております。今後も当社の業容の拡大に合わせた教育体制をさらに発展させてまいります。さらに、従業員のスキルにあったカリキュラムを構築し、全従業員がさらにステップアップできる教育体制を強化してまいります。
お知らせ