課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針・戦略等

(企業理念)

・世界の食文化の発展に貢献していく、新しい企業の形=Global Food Professional Companyを目指します。

・世界中の優良仕入先との強固な信頼関係を基に、安心、安全な食品原料を安定的に供給し、最終的に生活者の皆様の滋養と健康および食の楽しさに寄与することで、社会に貢献しともに成長・発展し続ける企業を目指していきます。

(基本方針)

当社は、2022年11月期から始まる3か年の中期経営計画として「NEXT-LJ2024」を策定しております。なお、当社では経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎期改定を行うローリング方式にて中期経営計画を策定しております。

「NEXT-LJ2024」においては、既存ビジネスの「進化」と、アジア事業の拡大で成長を目指しつつ、次世代ビジネスの構築に向けた基礎固めにも注力してまいります。当中期経営計画の基本方針は下記のとおりです。

事業成長

《Base》

既存ビジネスの「進化」

《Growth》

アジア事業の拡大

《Challenge》

次世代ビジネスの構築

自由貿易協定を活用した輸入原料の販売強化

チーズ製造販売事業の拡大

機能性食品原料事業の展開加速

日本産乳製品の輸出事業の展開

現地営業体制の強化

サステナブルな社会の実現に資する新ビジネスの構築

経営基盤

の強化

ガバナンスの高度化 / サステナブルな成長への取組み / 人材開発

 

 

(前提条件)

中期経営計画の基本方針に大きな変更はありません。以下のような事業環境を前提としております。

<全体観>

・アフターコロナの需要急拡大と、それを背景とした原材料価格の高騰

・エネルギー価格の高騰による輸送コストの上昇

・「健康」をキーワードとした機能性食品原料の需要拡大

<日本市場>

業務用需要の回復による輸入乳製品需要の回復を見込む

国内生乳生産量は、北海道で堅調な地合いが続く一方で、都府県の搾乳頭数が減少する可能性も見込む

<アジア市場>

中国の乳製品需要は拡大の見込み

観光事業の回復とともに業務用乳製品需要が拡大を見込む

・食の欧米化の進展は続く

 

(数値目標)

2024年11月期の数値目標につきましては、コロナ禍の影響による事業環境・前提条件の見直しを踏まえ、以下の通りといたしました。

単位:億円

2021年11月期

(実績)

2022年11月期

(予想)

2024年11月期

(目標)

連結売上高

1,108

1,260

1,500

連結経常利益

26.8

29.0

39.0

親会社株主に帰属する当期純利益

19.5

21.0

28.5

 

※数値目標に関する記述は、当社が現時点で入手可能な情報や計画策定の前提としている仮定などにもとづくものであります。実際の業績は様々な要因によって数値目標と異なる可能性があります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

各事業部門の経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。

(乳原料・チーズ)

日本市場では国内の生乳生産量が堅調に推移する一方で、長引く新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響から業務用乳製品の需要が低迷しており、脱脂粉乳やバターなど国産の業務用乳製品の在庫は増加傾向にあります。そのため、前年度に続き2022年度においても、独立行政法人農畜産業振興機構(ALIC)による脱脂粉乳やバターなど国家貿易品目の輸入数量は最低限の水準にとどまると予測されております。

当社では、従来の輸入原料に加え、国産乳製品を積極的に販売していくとともに、貿易自由化の新たな枠組みであるTPPや日欧EPAなどの制度を活用した商品の取り扱いを進めるなど、将来に向けた安定的な商売を構築してまいります。また、日本政府は日本産の農林水産物や食品の輸出拡大を目指し、2030年までに5兆円の輸出額の目標を掲げておりますが、その重要品目27品の中に牛乳乳製品も盛り込まれております。当社ではこうした政府方針に対応すべく、2021年度において日本産乳製品の輸出事業を本格的に開始しており、引き続き当社の強みである東南アジア市場に構築した販売ネットワークを活用した日本産乳製品の輸出事業を推進してまいります。

 

(食肉加工品)

長引く感染症の影響により、食肉製品の生産や物流では慢性的な人手不足による混乱が生じております。今後も主要なサプライヤーである米国からの原料供給不足や、船積スケジュールの混乱、さらに消費大国である中国の需要増による原料価格の高騰など、不透明な状況が続くことが推測されます。

当社では関係の強固な優良サプライヤーを複数確保しておりますが、新たなサプライヤーの開拓を進めるとともに、外部環境(船積スケジュールや他国の動き)を注視し、最適な仕入れのタイミングを計りつつ、お客様に最良のサービスを提供することで事業の拡大を図ってまいります。

また、主力商品であるポーク以外の取扱商品(牛肉・加工品・蜂蜜等)の販売についても着実に拡充しており、今後も多角化を進めてまいります。

 

(アジア事業・その他)

乳原料販売部門においては、長引く感染症の影響から、2022年度も日本産脱脂粉乳の高い在庫水準が続くものと考えており、日本市場向け乳調製品の原料販売への影響が懸念されます。さらに、国際乳製品相場も高値圏で推移することが予想されており、価格訴求の強いアジア市場において、一時的には乳製品の消費に影響が出る可能性も考えられます。

こうした事業環境に対処するため、当社では、グローバルネットワークを最大限に活用し、価格競争力のある産地からの調達を行い、また、同じ乳製品でもコスト低減が見込める代替品の紹介を積極的に進めることでシェアの維持・拡大を目指してまいります。

アジア市場における販売では、それぞれの消費国での営業活動が鍵を握ります。シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、中国といった各現地法人の営業体制をさらに強化し、地域ごとのニーズにマッチした営業を展開し、販売の拡充に努めてまいります。

 

チーズ製造販売部門においては、原料となるナチュラルチーズだけではなく、副原料や包装資材の価格も上昇しており、今後、製品の値上げを検討せざるを得なくなる可能性もあります。当社では値上げによる競争力の低下を回避すべく、新規サプライヤーの開拓や、独自の商品開発などにより原材料コストの低減に努めてまいります。また、従来品より安い「低コストタイプチーズ」を開発し、お客様にコスト削減案として提案することで、当社製品の継続使用や販売数量の維持・拡大を目指してまいります。

さらに、今般、自社ブランドで「ヴィーガンチーズ」を開発し、近々アジア地域において発売を予定しております。「ヴィーガンチーズ」はSDGsへの対応という面からも注目度が高く、欧米で消費が伸びており、今後成長が期待できる製品です。当社ではこの製品で新しい市場や新規顧客の開拓を進めてまいります。

 

新規事業である機能性食品原料事業では、世界的な需要増により主力商品であるホエイプロテイン原料の価格上昇が続いております。そのため、当社では価格競争力のある商品を安定的に供給することを優先して取り組んでまいります。また、乳由来以外のたんぱく質として注目されている植物や昆虫由来原料についても焦点を当て、販売を強化してまいります。こうした新たな原料については、優れた加工技術を有する国内食品メーカーと協働し、お客様の使用感や品質の向上に貢献する差別化した原料開発を進め、積極的に販売してまいります。これに加えて、当社グループのグローバルネットワークを活用し、アジア市場向けにも日本の優れた機能性食品原料を紹介し、新たな輸出ビジネスにつなげてまいります。

 

(経営基盤の強化)

2021年2月に経営体制を監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し、ガバナンス体制のさらなる強化と意思決定の迅速化を図りました。今後も透明性の高いガバナンスの推進に取組みます。

2021年度よりESGへの取組みを本格的に開始いたしました。取組み内容、進捗等につきましてはホームページ等で積極的に情報を公開することとしており、2021年12月には「価値創造ストーリー」として当社の考え方を開示しております。

持続的な成長基盤の確立に向けて人材開発を強化します。若手人材の育成、中途入社社員や海外拠点における現地スタッフの活性化を目指し、人材の多様化への対応や必要な人事制度改革にも積極的に取組んでまいります。

 

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