業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1) 業績

当連結会計年度の業績につきましては、文教市場販売事業において公共図書館向け電子図書館の需要が引き続き堅調であったこと、また店舗・ネット販売事業では、当該期間における新型コロナウイルス感染症拡大防止策としての店舗休業、営業時間短縮等の対応は限定的であったこと等により、売上高は1,743億55百万円(前期比1.6%増)、営業利益は40億84百万円(前期比5.2%増)、経常利益は38億53百万円(前期比3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億71百万円(前期比3.8%増)と増収増益となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ60億83百万円減少し、1,283億57百万円となりました。

当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ80億47百万円減少し、848億27百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ19億64百万円増加し、435億30百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は231億79百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、74億29百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益とたな卸資産の減少等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、14億65百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出と無形固定資産の取得による支出等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、54億44百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少による支出等によるものであります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社グループは、一部受注生産を行っておりますが、売上原価に占める生産実績割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

(2) 受注実績

当社グループは、一部受注生産を行っておりますが、販売実績に占める受注販売実績割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

文教市場販売事業

56,519

0.1

店舗・ネット販売事業

69,824

4.2

図書館サポート事業

31,744

4.5

出版事業

4,251

△0.3

その他

12,015

△10.9

合計

174,355

1.6

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度(2021年2月1日~2022年1月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う度重なる緊急事態宣言の発出及びまん延防止等重点措置の適用により、経済活動は制限され、個人消費マインドは冷え込み、厳しい事業環境が続きました。また新たな変異株の感染拡大、原材料や輸送費の高騰などもあり、依然として先行き不透明な状況にあります。

このような状況の中、当社グループでは訪問営業活動の自粛や書店及び大学内売店において営業時間の短縮など、感染症拡大防止を徹底しながら、「学びとともに生きる社会への取り組み」「地域創生への貢献」「新しい書店収益モデルの創造」を主要戦略テーマに取り組んできました。

当連結会計年度の業績につきましては、文教市場販売事業において公共図書館向け電子図書館の需要が引き続き堅調であったこと、また店舗・ネット販売事業では、当該期間における新型コロナウイルス感染症拡大防止策としての店舗休業、営業時間短縮等の対応は限定的であったこと等により、売上高は1,743億55百万円(前期比1.6%増)、営業利益は40億84百万円(前期比5.2%増)、経常利益は38億53百万円(前期比3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億71百万円(前期比3.8%増)と増収増益となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

[文教市場販売事業]

当事業は以下の事業を行っております。

1.図書館(公共図書館・学校図書館・大学図書館)に対する図書館用書籍の販売、汎用書誌データベース「TRC MARC」の作成・販売及び図書装備(バーコードラベルやICタグ等の貼付等)や選書・検索ツール等の提供

2.大学などの教育研究機関や研究者に対する学術研究及び教育に関する輸入洋書を含む出版物(書籍・雑誌・電子ジャーナル、電子情報データベースほか)や英文校正・翻訳サービスをはじめとする研究者支援ソリューションの提供

3.教育・研究施設、図書館などの設計・施工と大学経営コンサルティングをはじめとする各種ソリューションの提供

4.大学内売店の運営や学生に対する教科書・テキストの販売等

 

当連結会計年度の業績につきましては、コロナ禍において前期後半から需要が拡大しました公共図書館向け電子図書館、大学向け電子書籍などの売上が引続き堅調に推移し、売上高は565億19百万円(前期比0.1%増)とほぼ前期並みを確保しました。また販管費削減に注力した結果、営業利益は37億5百万円(前期比23.6%増)と増益となりました。

 

[店舗・ネット販売事業]

当事業は、主に全国都市部を中心とした店舗網において和書・洋書などの書籍をメインに、文具・雑貨・洋品まで多岐にわたる商品の販売を行っております。

店舗の状況といたしましては、2021年3月に「丸善 浦和伊勢丹店」「丸善 広島三越店」、8月に「丸善 プライムツリー赤池店」、11月に「丸善 セブンパーク天美店」の4店舗を開店、また10月には丸善 丸の内本店内に絵本の世界をモチーフにしたグッズの企画・販売を行う新店舗「EHONS TOKYO」を開店しました。一方7月に「丸善 池袋店」「ジュンク堂書店 仙台TR店」、2022年1月に「ジュンク堂書店 神戸さんちか店」の3店舗を閉店した結果、2022年1月末時点の店舗数は103店舗となっております。(うち1店舗は海外店(台湾)、10店舗は「MARUZEN」「ジュンク堂書店」の店舗名ではありません。)

なお、丸善 丸の内本店をはじめ全国11店舗に設置しておりました、東京2020オフィシャルショップは、2021年9月20日までに全店営業を終了いたしました。

当連結会計年度の業績につきましては、前期は新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言発出及び自治体からの各種要請を受け、2020年4月から5月に全国ほとんどの店舗で休業もしくは営業時間短縮を余儀なくされましたが、当期における営業自粛、営業時間短縮等の対応は地域、期間ともに限定的で、感染対策・衛生管理を徹底した店舗運営に努めた結果、売上高は698億24百万円(前期比4.2%増)、営業利益は3億7百万円(前期比152.3%増)と増収増益となりました。

 

[図書館サポート事業]

当事業は、図書館の業務効率化・利用者へのサービス向上の観点から、カウンター業務・目録作成・蔵書点検などの業務の請負、地方自治法における指定管理者制度による図書館運営業務、PFI(Private Finance Initiative)による図書館運営業務及び人材派遣を行っております。

当連結会計年度の業績につきましては、図書館受託館数は期初1,676館から21館増加し、2022年1月末時点では1,697館(公共図書館557館、大学図書館230館、学校図書館他910館)となり堅調に推移しました。

その結果、当事業の売上高は317億44百万円(前期比4.5%増)と増収となりました。一方利益面では、コロナ禍における図書館の休館などもあり前年度(2020年4月~2021年3月契約)の図書館内設備の更新等の整備作業が3月に集中したことなどによりコストが増加したため、営業利益は25億17百万円(前期比5.7%減)と減益となりました。

 

[出版事業]

当事業は、『理科年表』をはじめとする理工系分野を中心とした専門書・事典・便覧・大学テキストに加え、絵本・童話などの児童書、図書館向け書籍の刊行を行っております。また医療・看護・芸術・経営など多岐にわたる分野のDVDについても発売を行っております。

当連結会計年度につきましては、専門分野として『理科年表2022』『自然災害科学・防災の百科事典』『極論で語る循環器内科 第3版』『ペットと暮らす住まいのデザイン 増補改訂版』『コトラーのマーケティング入門 〔原書14版〕』、児童書として『ほねほねザウルス25』『にじいろフェアリーしずくちゃん5 ホワイトスノーファンタジー』『ようかいとりものちょう14』『わたしのマントはぼうしつき』『ぺんぎんさん』『しろくまサンタのクリスマス』など、合計新刊244点(前年246点)を刊行いたしました。

当連結会計年度の業績につきましては、新刊刊行遅延の影響もあり売上高は42億51百万円(前期比0.3%減)、営業利益は2億48百万円(前期比13.1%減)と減収減益になりました。

 

[その他]

当事業は、書店やその他小売店舗を中心に企画・設計デザインから建設工事・内装工事・店舗什器・看板・ディスプレーなどのトータルプランニング(店舗内装業)に関わる事業、図書館用図書の入出荷業務、Apple製品やパソコンの修理・アップグレード設定等の事業(株式会社図書館流通センターの子会社であるグローバルソリューションサービス株式会社による)、総合保育サービス(株式会社図書館流通センターの子会社である株式会社明日香による)を行っております。

当連結会計年度の業績につきましては、総合保育サービス事業は概ね前期並みを確保しましたが、コロナ禍の長期化により店舗内装業において主要顧客の投資意欲が戻らず、大型店の開店や改装案件が減少し、前期に引き続き受注減となりました。その結果、売上高120億15百万円(前期比10.9%減)、営業利益3億21百万円(前期比46.6%減)と減収減益となりました。

 

(2) 財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

(資産)

当連結会計年度末の総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、受取手形及び売掛金、商品及び製品の減少等により60億83百万円減少し、1,283億57百万円となりました。うち流動資産は912億26百万円、固定資産371億13百万円、繰延資産は17百万円であります。

流動資産の主な内容といたしましては、現金及び預金235億43百万円、受取手形及び売掛金176億9百万円、商品及び製品373億32百万円、立替金63億71百万円、前渡金28億93百万円であります。

固定資産の主な内容といたしましては、有形固定資産225億66百万円、無形固定資産14億41百万円、投資その他の資産131億4百万円であります。

繰延資産の内容といたしましては、社債発行費17百万円であります。

(負債)

当連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ、短期借入金の減少等により80億47百万円減少し、848億27百万円となりました。うち流動負債は592億51百万円、固定負債は255億75百万円であります。

流動負債の主な内容といたしましては、支払手形及び買掛金186億34百万円、短期借入金228億10百万円であります。

固定負債の主な内容といたしましては、社債25億円、長期借入金117億73百万円、退職給付に係る負債53億41百万円であります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ、利益剰余金の増加等により19億64百万円増加し、435億30百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 [事業の状況]-3 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]-(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

(4) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループでは、安定的な財務体質と資本効率の向上を両立させるとともに、持続的な成長のための事業基盤の構築と、新たな企業価値創出のために経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。また設備投資に関わる効果検証の徹底と、投資額を営業キャッシュ・フローの範囲内とすることで、変化を続ける市場に継続的に対応しつつ、財務体質の強化を進めてまいります。

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループでは、上記の基本的な考え方のもと、店舗のスクラップ&ビルドなど、持続的な収益基盤の維持・更新を目的とした設備投資と、競争力強化のためのシステム開発投資、および新規事業・サービス創出のためのM&A等をおこなうことで、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

(資金需要の主な内容)

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、システム開発投資、M&A等によるものであります。

(資金調達)

当社グループは、必要な資金の安定的な調達と流動性の確保を資金調達の方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及び社債発行によるものを基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務及び社債を含む有利子負債の残高は407億38百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は231億79百万円となっております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得